2013年2月16日 日本経済新聞朝刊
2013年3月期の経常損益(米国会計基準などは税引き前損益)見通しの改善額をみると、トヨタ自動車など為替相場の円安で輸出採算が改善する自動車メーカーが上位に並んだ。ソフトバンクや東海旅客鉄道(JR東海)なども堅調な内需を背景に利益を伸ばす。為替相場の円高修正を受け、為替差益の計上による損益改善も目立っている。
トヨタの改善額は8571億円と突出している。12年4~9月期決算発表時点では年間で1100億円の減益要因だった為替が300億円の増益要因に転じる。原価低減も利益を底上げする。ホンダも改善幅が2575億円と、2社だけで改善額は合計1兆1000億円を超す。
自動車ではほかに、富士重工業が00年3月期以来の過去最高益更新となる。米国での販売増に加え「コストと品質を管理する経営が実を結びつつある」(高橋充・最高財務責任者)という。マツダも黒字転換するなど損益改善が進んでいる。
リストラを進める企業の収益改善も目立つ。パネル合弁会社の解消など不振のテレビ事業の赤字縮小が進むソニーは資産売却益の計上もあり税引き前損益が黒字転換。リコーも「構造改革が進み円安も収益を押し上げる」(三浦善司副社長)効果で黒字転換を見込む。
(後 略)
(以上で記事終わり)
円安が日本の製造業に与える影響に明暗が出ているようです。
「電気機器」や「自動車・部品」などの輸出の比重の高い産業は、経常損益を大幅に改善しつつある一方、同じ製造業でも資源を輸入し、国内で加工販売する装置産業の場合は円高がマイナスに働いているようです。
超円高というあまりにも過重な手かせ足かせをはめられて苦戦一方であったかつての「日本経済の顔」、電機・自動車産業の復活を強く望んでいます。
それにしても「電気機器」と「自動車・部品」という2つの業種だけで、製造業全体の売上の約半分(48%)を占めているという事実には改めて驚かされます。
やはり日本経済復活のキーはこの2業種にかかっていると言っても過言ではないでしょう。
ただちょっと気がかりこともあります。
日本の輸出先にアジア諸国が増えたということもあるのかもしれませんが、今や日本の輸出の4割が円建てという統計結果が出ているそうです。
「円建て」であれば円安になればなるほど売る側に不利になるからです。いずれにしても急激な為替の変動は経済活動にとってあまり好ましいことではありません。
今後数年かけてゆるやかに円安に向かい、1ドル120円くらいで安定してくれれば一番好ましいような気がするのですがいかがでしょうか。
その根拠は、円が1ドル120円だった2001年から2008年にかけて、日本の貿易額が急増していったからです。
日本の電機・自動車産業が復活してどんどん輸出額を伸ばし、アメリカのシェールガス・シェールオイルを安く輸入し、貿易黒字をたっぷりためこんで国内産業に投資する・・・・。
そのうちにメタンハイドレートの目処がたち日本が資源大国となっていく・・・・。
こんな夢のようなシナリオをぜひとも実現していってもらいたいものです。