2007.7.25 NBonline
ブルドックソースと米スティール・パートナーズとの買収防衛策を巡る法廷闘争で、東京地方裁判所と東京高等裁判所はブルドックの防衛策を容認した。「ブルドック、完勝」との見方が一般的だが、ニッポン放送の社外取締役としてライブドアとフジテレビジョンとの買収合戦にもかかわった久保利英明弁護士は「本当に勝ったのはスティールではないか」と指摘する。
・・・・(記事の転載ここまで)
この久保利弁護士の話の要旨は下記のとおりです。
(1)ブルドックがあの買収防衛策を発動したことで、スティールの持ち株比率は10%程度から3%弱に下がった。
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(2)しかし、スティールは予約権を約23億円という大金でブルドックに買い取ってもらうことになる。しかも、裁判所のお墨付きまでもらって堂々と胸を張って。
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(3)スティール側から見れば、総額約18億円の投資に対して、リターンが約23億円(儲けは5億円)。儲けたのは誰かと言えば、間違いなくスティール。
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(4)要するに、あの買収防衛策はブルドックがスティールに約23億円を支払うことによって、お帰りいただくための仕掛け。
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(5)こうした行為は企業による特定株主への“利益供与”と見ることができる。つまり総会屋に対する”利益供与”と同じ。
私の考えでは、「企業買収」には2つあって、一つは両社発展のための「前向きの買収」、もうひとつは、”売り抜け”や”たかり”を目的とした「脅しの買収」です。
本来「企業」は「株主」のものですが、同時に企業は「雇用の確保」と「税金を国家へ支払う」という重要な使命も持ちあわせています。したがって、雇用を確保し、税金を払える経営者であれば、その目の色が何色であろうと、資本の色が何色であろうと、一向にかまわないのです。
そのため今後増えるであろう「前向きの買収」に対しては、もっと日本企業は門戸を開かねばなりません。
一方、今回のブルドックのケースは、明らかに「脅しの買収」なので、対策としては、”したたかな”法による対抗手段を講じておかねばなりません。
一般に「ハゲタカファンド」と思われている、外資系ファンドのなかにも、日本の老舗旅館やバブルリゾートホテルを格安で買収し、みごとに再建させている例もあります。
2001年2月に負債3261億円で会社更生法が適用された宮崎県のシーガイアを格安で買収した、リップルウッドは、2007年3月期決算の営業利益を2億2200万円とし、93年の施設オープン以来初の営業黒字を達成しています。