伊勢丹“名より実”選択…三越、プライド捨て生き残り

2007.8.24 FujiSankei Business i.

三越と伊勢丹が23日、正式に経営統合で合意した。社風や企業文化が極端に異なるうえ、負け組と勝ち組の組み合わせに対し、業界関係者は交渉の難航を予想した。“百貨店衰退”への強い危機感が、予想を覆し、両社を歩み寄らせた。ただ、規模の面では勝ち残りの条件である「売上高1兆円クラブ」入りを果たしたが、交渉の過程でも顔をのぞかせた主導権争いを乗り越えて融和を図り、相乗効果を発揮していく作業は一筋縄ではいきそうもない。

・・・・(記事の転載ここまで)

意地もプライドも捨て、呉越同舟の道を選ばざるを得ないほど、この「百貨店」業界の競争も激しさを増している、ということでしょう。

実際、「百貨店」と書きましたが、現在のデパートの品揃えはすでにもう「百貨」ではなく「十貨」と呼んでもよいほど品数が激減しています。各分野の専門店にはとうていかなわないからです。

そこで、日本人の大好きなヨーロッパ高級ブランド品を目玉に客を呼び、衣料品を中心に販売する「洋服屋」さんに変貌しつつある、と言ったら少し言いすぎでしょうか?

実際米国の老舗デパートへ行くと、日本の「イトーヨーカドーの2階」のような雰囲気の中で、衣料品と日用雑貨品ばかりを売っています。

日本では、90年代以降、流通革命が始まり、大手デパート、スーパーにも大きな影響を与えました。当然、零細商店が寄せ集まる「地元商店街」へは、それ以上に影響が大きく、多くは「シャッター銀座」とか「ゴーストタウン」と呼ばれる悲惨な状況に陥っています。

しかし、日本の全ての流通業が悪いのかと言うと、そうではなく、急成長を続ける小売業や卸売業も数多くあるのです。戦後長きにわたり、規制で守られ続けてきた産業、つまり、金融業、流通業、建設業、運送業などに「勝ち組」と「負け組み」のコントラストがはっきりと現れています。

やはり、ここにも「グローバリゼーション」と「インターネット」の力が決定的な影響を与えているからです。

人々はもう「閉ざされた世界」より「情報のオープン化」を支持します。

「買わされていた時代」より「消費者が選ぶ時代」を支持します。

したがって、もうこの流れは変えようがありません。

ある地方都市の「シャッター銀座」商店街の本屋さんの話です。この埃の積もる小さな本屋さんには、一日にわずか5人ほどのお客さんしか訪れません。

それなのに、この本屋の店主は元気そうに仕事をしています。なぜなのでしょうか?

答えは、”Amazon.com”でした。「インターネット」の集客により、昔の本の在庫を多く持つ、その本屋さんは、見た目とは裏腹に商売を成り立たせています。なかには、1冊数十万円というプレミアムのつく古書もあるそうです。

実際これは私自身の経験ですが、私はある本を数十年間も探していたことがあります。その本は、どの大型書店にも図書館にもありませんでした。

しかし、アマゾンで検索すると、第1巻は山口県、第2巻は茨城県、第3巻は東京都の小さな本屋さんにあるということがわかり、それぞれ取り寄せ、無事読むことができました。あの本も私が読まなければ、ただの「燃えるゴミ」でしかなかったでしょう。

時代の変化を前向きに捕らえるか、後ろ向きに捕らえるかで、結果は大きく違ってきます。私はこの変化がおもしろくて仕方がありません。