2010年2月10日 日本経済新聞
中国の輸出額が2003年から2008年まで首位だったドイツを抜き、初めて世界一になったことが確定した。(中略)2008年はドイツ、中国、アメリカ、日本、オランダの順だった。(中略)胡錦涛国家主席は最近の演説で「経済成長の方式を投資・輸出主導から、消費を含めた調和のとれたものに転換する必要がある」と強調。内需拡大をマクロ経済政策の最重要課題に掲げた。
・・・・(記事の転載ここまで)
「いよいよ」と言うか「やっぱり」と言うか、中国が輸出額で世界一に躍り出ました。しばらくすると今度は「中国のGDPが日本を抜いて世界第2位の経済大国になった」という記事で賑わうことになるでしょう。
十数年前ですが、日本のある経済の専門家がこう言っていました。「中国は共産主義国家なので、経済政策も計画経済しか経験したことがないため、資本主義に精通した専門家がほとんどいない。中国政府は日本から経済の専門家を招いて盛んに資本主義の勉強をしているが、人材育成には時間がかかるので、中国経済は近いうちに破綻するだろう・・・・」
ところがどうでしょうか?
リーマンショックのあと、中国中央政府はいち早く景気対策として総額4兆元(約57.5兆円)の財政出動を決定しました。そして世界に先駆けて景気回復を実現し、いまだに高い成長率を保持しています。
それに比べて日本はどうでしょうか?
政治の混乱とともに有効な経済対策を打つこともできず、先進諸国の中でも最悪の経済状況に陥っています。中国は共産党一党独裁のため、決断が早く思い切った手を打てる、という政治面でのメリットを最大限に活かしているでしょうが、それにしても日本の経済の専門家というのは一体どうなっているのでしょうか?中国から経済政策の教えを請うたほうがいいのではないか、と皮肉も言いたくなります。
さて、下記のグラフは帝国データバンクの「TDB景気白書」の中にある「日本の輸出依存度と名目輸出金額」のグラフです。1980年から2008年までは内閣府の「国民経済計算」のデータで、2009年以降は帝国データバンクの予測です。
それによると日本の輸出は「2010年度以降では平均して+4.4%の安定的な伸びを示すと予測される」そうです。TDBの予測どおり輸出が安定した伸びを見せれば、当然輸入も増えてくるので、翻訳業界にとっても悪くはないはずです。