2013年5月2日 日本経済新聞 朝刊
産業素材の取引価格や企業業績が、中国景気の「変調」を映し始めた。建設資材やプラスチック原料などの価格が軒並み下落し、中国事業の比重が高い企業の業績も振るわない。中国での需要減少や過剰在庫が影響しているとみられる。政府が公表する経済統計が示すよりも、中国景気は減速している可能性がある。
1日発表された4月の中国の製造業購買担当者景気指数(PMI)は景気判断の分かれ目である50を7カ月連続で上回った。数値は前月よりやや低下しており、中国景気は「緩やかな改善を続けている」と読める。
もっとも米ヘッジファンドの有力運用者であるジム・チェイノス氏は「中国の統計は額面通りに受け取ることができない」と話す。日米欧と違って、中国の統計は人為的に操作されているとの疑いが付きまとう。PMIをまとめたのも中国政府公認の業界団体。チェイノス氏は「中国の経済成長は鈍っている」と弱気な見方を示す。
(後 略)
(以上で日経新聞の記事終り)
2013年4月29日-5月6日合併号 日経ビジネス
上海モーターショー
来場者の6割、日本車「買わない」
4月20日開幕の上海国際自動車ショーに、日本車各社は復活をかけた。だが、来場者200人に聞いたところ、66割強が日本車を買わないと回答。反日だけではない、商品力や経営戦略に潜む課題が浮かび上がった。
(中 略)
「絶対に買わない。俺は日本が嫌いだ。あんたは日本の記者?」。最初に尋ねた40代の男性は強い口調でこう聞き返してきた。買わない理由に「日本が嫌い(好きじゃない)と挙げた人は34%。「昨年の9月以降は買いづらくなった」とこぼす30代の男性など、「人から非難されそう」という声も22%あった。
日中関係悪化の影響は依然として、日本車の販売に影を落としている。
質問を重ねると、買わない理由はそればかりではないことも見えてきた。
日本車は安全じゃない?
「安全じゃないから買わない」。20代カップルの答に耳を疑った。詳しく聞くと「鋼板が薄いでしょ。ペラペラで、ぶつかったらつぶれちゃう」と身振り手振りを交え、説明してくれた。薄くて柔軟な鋼板は日本の自動車、鉄鋼大手による軽量化の努力の賜物だ。
車体がへこむことで衝撃を吸収し、人命を守る設計思想がある。だが、ドイツや米国の車と比べて安全性で劣ると、多くの中国人は考えている。
このカップルの回答も含め「商品力が低い」という声は買わない人の38%で「日本が嫌い」より多かった。
(後 略)
・・・・(以上で記事の転載終わり)
まず、「中国経済、減速の影」の話ですが、過去20年くらいの間に「中国経済は破〇する」「中国バブルは崩〇する」「中国共〇党は消滅する」とどれだけ言われ続けてきたことでしょうか。
現実にはそれらの噂はすべて杞憂に終わりました。
「そしてこんどこそ!」と今言われていますが、はたしてどうなのでしょうか?
中国経済が減速、あるいは崩壊して、日本経済や日本の翻訳業界に良いことは一つもありません。ここはひとつ中国政府になんとかふんばってもらい、ソフトランディングしてほしいと願うほかありません。
次に「上海モーターショー」でのアンケート記事の話です。
日本車を買わない理由のトップが「商品力が低い(安全性が不安、ドイツ車のほうがカッコいい)」で「日本が嫌い」を上回っているとは驚きです。
きっと日本を嫌っている人たちが、まことしやかに日本車に対するネガティブな噂を広めていったのでしょう。
しかし、逆に考えれば日本の自動車メーカーにとっては良いことかもしれません。
感情的に「嫌い」なものを「好き」に変えさせるのは時間がかかりますが、事実でない情報を論理的に説明し、真実を理解させるほうがずっと楽だと思えるからです。
今後、日本の自動車メーカーにとって、中国市場における広告戦略の重要性がより増してくるというわけで、方向性がはっきりしたという点ではむしろ歓迎すべき結果だったのかもしれません。
また、今日の日経に「中国、日欧並み燃費規制」「乗用車の平均燃費性能を現行比で5割改善」「2020年までに環境軸に業界再編も」という別の記事が載っています。
報道によると新基準は相当厳しいものなので、中国を含めた世界の自動車メーカー各社は大きな変化を迫られ、ハイブリッド車など新しい技術を積極投入しなければ販売量を保てなくなるでしょう。
中国の新車販売台数は日本の4倍の規模で世界最大ですから、日本の自動車メーカーにとってもこれは朗報と言えるでしょう。
もちろんこれが日本の翻訳業界にとっても朗報であることは言うまでもありません。