宇宙に刻む「新たな一歩」
アメリカのアポロ11号が月面に着陸し、人類が初めて月に降り立ったのが、今からちょうど50年前の1969年7月のことでした。
私が小学校6年生の時にテレビで見た「人類月に立つ」瞬間の興奮が今でも忘れられません。
そして2017年12月、アメリカのトランプ大統領は、有人月面探査や火星などをターゲットにした宇宙探査ミッションの大統領令に署名しました。宇宙開発においてもロシアや中国に決して遅れをとってはならない、というこれもある意味ではアメリカファーストのひとつなのかもしれません。
さて、それを受け2019年5月には、米国航空宇宙局(NASA)が、2024年までに男女2人の宇宙飛行士を月へ送るアルテミス計画を発表しました。これが実現すれば、初めて女性が月に降り立つことになります。
今後はアメリカを中心に民間企業を含めた宇宙関連ビジネスが活発化することは必至でしょう。
ところで私の書棚に1969年に発行されたLIFE誌の “SPECIAL EDITION” があります。父の遺品ですが、B4より若干大きなサイズなので、見開きでB3サイズという迫力ある写真満載の雑誌です。
料金が、”$1.00″ と書いてあります。当時は1ドルが360円だったので、今の物価水準になおせば3,600円くらいでしょうか。あくまでも米国内での料金なので、日本に輸入したときの値段は当然もっと高くなっていたことでしょう。
全部で92ページもあるそこそこ分厚い雑誌ですが、雑誌内に広告がひとつもありません。 “SPECIAL EDITION” だからかどうかはわかりませんが、広告だらけの現在の雑誌と比べれば、その違いに驚きます。「人類が初めて月に立つ」という偉大な瞬間を記した書物なので、永久保存版としてその内容に敬意を表して一切の広告を排除したのでしょうか?もしそうだとしたらその雑誌社の姿勢に私の方から敬意を表します。
さて、一昨日の日本経済新聞の記事で宇宙ビジネスに関するとても興味深い記事が出ていたので、下記にご紹介させていただきます。
2019年7月9日 日経新聞朝刊より
「5月に観測ロケットの宇宙までの打ち上げに成功したインターステラテクノロジズ(IST、北海道大樹町)が、13日にも再びロケットを打ち上げる。同社はわずか23人の技術者集団。ネット通販も使いながらコスト削減を徹底し、打ち上げ費用を従来の6分の1程度にするめどをつけた。価格破壊でロケットの世界に風穴を開けつつある。(中略)
世界では民間が主導し宇宙ビジネスは拡大が続く。宇宙関連NPOの米スペースファンデーションによれば、17年の市場規模は3835億ドル(約41兆円)と12年比で4割増えた。40年に1兆ドルを超えるとの予測もある。(中略)
ロケットの価格競争で宇宙輸送のハードルが下がれば、衛星データの販売や宇宙資源の開発などの可能性は広がり、日本勢の参入への期待も大きい。(後略)」
(記事の引用はここまで)
ホリエモンの会社
インターステラテクノロジズと言えば、ホリエモンこと堀江貴文氏が出資するロケット開発で有名な宇宙ビジネスベンチャーです。その堀江氏が、かつてある番組のインタビューで以下のような話をしていました。
「ロケットは工業製品なので量産すれば安くなる。だからたくさん打ち上げれば安くなるという非常に簡単な話。ロシアのソユーズなんて1960年代の技術を使って、一人70億円の料金をとって宇宙旅行ビジネスをしている。しかし、その時代から相当な技術革新がされているので、ロケットに必要な部品も今ではかなり安くなっている。
一番わかりやすいのはコンピューターやセンサーの類でものすごく安くなっている。実はスマートフォンの中に入っているコンピューターやセンサーで問題なくロケットを制御できる。アビオニクス(航空機等に搭載される電子機器)系の部品もどんどん安くなっていて、素材技術もどんどん向上している。
国がロケット開発をやるとなにがまずいって、国は無駄に高い技術を使おうとする。なぜなら最先端の技術じゃないと予算がおりないからだ。かつて『2番じゃだめなんですか?』って言った人がいたが、あれはまさに核心をついている。国がやる科学技術って1番じゃないと予算がつかない。僕たちはジェネリック薬品的な、もう特許が切れた、枯れた、安い技術を使って性能の低いロケットを作っている。
国が作っているのがF1マシンのスーパーカーだとしたら、僕らが作っているのは(原付バイクの)スーパーカブだ。人が乗って走れればそれでいい。安くてしょぼくてもそれで十分使える。」
さすがホリエモン、目のつけどころが違いますね。これからの展開が本当に楽しみです。ぜひこのビジネスを成功させ、近い将来、日本中が宇宙関連ビジネスで湧きかえるようになってほしいものです。