2013年4月1日号 日経ビジネス特別編集版「イノベーションへの挑戦」より
(前略)
仮にデフレが解消されても日本企業によるグローバル化の流れは変わらないだろう。
経営者が注目する2つ目の大きな経営環境の変化である「人口減少・少子高齢化」によって国内市場が長期的に縮小していく傾向にあるからだ。
2030年、日本の人口は2005年に比べて1,067万人減って1億1,661万人になると推計されている。国内市場だけを相手にしていると、お客の数は年々減っていき、ヒット商品や画期的なサービスを開発するか、単価を上げない限り売り上げは増えるどころか維持すら難しくなる。
人口を増やすには、子供を産みやすい環境を整えたり、規制を緩和して多くの移民を受け入れたりしなければならないが、そう簡単ではない。そして10年20年と時間を要することになる。
従って、高度成長している、アジアを中心とする新興国に収益を求める動きはさらに加速するとみられる。しかし、モノ作り立国である日本にとって大きな問題だった「生産の空洞化」に歯止めがかかる可能性が出てきた。
円高が続いていた昨年までの状況では、製造業の多くが生産拠点の海外移転に踏み切った。2011年秋に上場企業の経営者に実施したアンケートでは、2010年度の営業利益が2006年度に比べて増えた企業41社の海外生産比率(平均)は22.4%だったが、3年後は25.2%、5年後は28.3%に高まるという結果を得た(「21世紀を勝ち抜く決め手グローバル人材マネジメント」(日経BP社)より引用)。
2年以上連続増益の企業31社で見ると、海岸生産比率は27.8%から3年後に29.4%、5年後に33.6%と、超円高を避けて海外生産を増やす傾向が明確だった。減収企業を見てもその傾向は変わらなかった。ただし、昨年暮れから続いている円安が定着することになれば、生産拠点の海外移転は一段落する可能性もある。
未だかつて世界中のどの国も経験したことのないスピードで超高齢化社会を迎える日本は当然「課題山積」となるでしょう。
しかし、悪いことばかりではありません。
世界に先駆けて貴重な経験を積むことができる日本は、「超高齢化社会」に適合した画期的なモノやサービスを発明、発見できる壮大な実験場ともなりうるはずです。
まさにそこにイノベーションの芽があるというわけです。
世界があっと驚くような画期的なモノやサービスの創造により、輸出が増大し、再び日本が「ジャパンアズNo.1」の座を獲得するという日を迎えたいものです。
それは単なる夢物語ではなく、実現性の高い目標であると信じています。