2007.11.14 Brain News Network
(前略)
今年8月に農林水産省が発表した2006年度の食料自給率(熱量に換算したカロリーベース)は、前年度から1ポイント下がり、13年ぶりに40%台を割る39%となった。
内閣府が昨年11月に実施した「食料の供給に関する特別世論調査」では、日本の将来の食料供給について「非常に不安がある」「ある程度不安がある」との回答が合わせて76.7%に達した。
先進国の中で食料自給率が最低水準にある日本の農業は近い将来、未曾有の危機を迎えようとしている。
(後略)・・・・(記事の転載ここまで)
日本の食糧問題に関しては、このブログの中でも何回か触れていますが、今回は日本とオーストラリア、2国間での具体的な貿易摩擦問題をとりあげてみます。
現在、日本がオーストラリアに輸出する自動車や機械類は、0~10%の低関税となっているのに対し、オーストラリアから輸入する農林水産物には、高い関税がかけられています。
たとえば、牛肉は38.5%ですが、なんと小麦は252%、砂糖は379%、雑豆は403%と異常に高くなっています。
オーストラリアは今回のEPA交渉でこれらの「関税撤廃」を求め、日本はそれに抵抗しています。また、農林水産省は、日本の農作物の関税がすべて撤廃されると、食料自給率は12%にまで低下(現在39%)すると試算しています。
現在、先進諸国の中で、日本だけが異常に低い食料自給率(カロリーベース)となっているのにも関わらず、さらにそれを低下させる要因が発生している訳です。
経済活動や学校教育など、大抵の問題において「公平な自由競争の導入」を支持する私ですが、さすがにこの食料問題だけは簡単に「自由競争万歳」とはいきません。
どこの国においても、自国の農業を保護育成し、食糧危機という有事に備えているのですが、耕地面積の狭い日本国において、今すぐ諸外国との競争にさらされれば、ほとんどの農家は破綻せざるを得ないからです。
しかし、今まで日本政府が施してきたバラマキの農業保護政策を続けよ、と言っているわけではありません。やはり競争原理の導入は必要で、日本人の得意とする技術力を駆使して、他国との差別化ができるよう技術革新を推進していく必要があります。また、若い人たちが参加したくなるような魅力的な産業にしなければなりません。
たとえば「コメ」です。今夏、日本のおコメ24トンを試験的に中国へ輸出しました。2キロで3,000円(中国のおコメの20倍以上)という超高額にもかかわらず、富裕層があっという間に買いつくしてしまいました。
日本の「りんご」や「メロン」も高額にもかかわらず、アジアを中心に盛んに輸出されています。中国の富裕層の間で超高級品として人気が高いそうです。
このように質の高い商品を作れば、世界のどこかに需要はあるわけですから、日本の農家も付加価値の高い作物を作りながら、大量生産という面でも、技術革新をしていってもらいたいものです。世界と日本の10年後を見据えて。
また、環境破壊の影響により、現在世界のいたるところで異常気象が発生しています。たとえばオーストラリアの異常干ばつやアメリカの洪水、干ばつ、山火事などは、私たちの記憶に新しいところです。これらの影響が徐々に世界の食物相場にも表れはじめています。
自国民の食料が確保できなくなった時、わざわざ外国へなど輸出してくれるでしょうか?気がついた時にはもう遅いのです。
さらに「環境問題」もさることながら、私たち人類は「世界人口の爆発」という深刻な問題を抱えています。私たちはこの問題に対し、今後どのように対処していけばよいのでしょうか?答えは簡単には見つかりそうにありません。
<UNFPA 国連人口基金東京事務所サイトより>
出典:国連人口部「World Population Prospects: The 2004 Revision」(2005年)、同「The World at Six Billion」(1999)、他 ※世界人口の詳しい最新情報については、国連人口部のウェブサイト(英語)へ。