2012年2月28日 日本経済新聞より
シャープは27日、台湾の電子機器受託製造会社、鴻海グループと戦略的な業務・資本提携を行うことで合意したと発表した。同グループを割当先にした第三者割当増資を実施する。新株発行数は発行済み株式数の10.95%にあたる1億2164万9000株。併せてシャープの堺工場が生産する液晶パネルや関連部品を鴻海精密工業が最終的に50%まで引き取る。この結果、堺工場の操業安定を目指す。
堺工場を運営するシャープディスプレイプロダクトの出資比率も現状はシャープが約93%、ソニーが約7%だが、提携後はソニーの比率は変えずに、シャープの出資比率を約46.5%に下げ、鴻海精密の郭台銘会長や他の投資法人なども合わせて約46.5%にする。
記者会見した次期社長の奥田隆司常務執行役員は提携を「もの作り分野を変革する一環」と位置付けた。そのうえで「シャープが研究開発や設計、生産、調達、販売、サービスなどすべてのバリューチェーンを手がけるのではなく、バリューチェーンの中に協業を含めた取り組みをおこなうことが重要だ」と語った。液晶に関しては「シャープの単独垂直統合では限界がある」とも指摘した。
(以上、日経新聞2012年2月28日・29日朝刊より)
(日経ビジネス2012年3月26日号より)
・・・・(記事の転載ここまで)
すでに中国家電大手のハイアールが旧三洋電機の白物家電部門を買収し活動を始めていますが、今度は台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業がシャープの筆頭株主となりました。
私はかねてよりこのブログの中でも指摘してきましたが、アジア企業のグローバル化の波が、いよいよ現実のものとなって日本企業にも押し寄せ始めたのです。
今後この傾向はどんどん強まっていくはずです。
日本人は、企業買収というとすぐに拒絶反応を起こしますが、“資本(紙幣)の色”が何色であろうと、“経営者の目の色”が何色であろうと、そんなことはどうでもよいのです。
山一證券や北海道拓殖銀行のように、日産自動車をつぶしたほうがよかったのでしょうか?
日産に外国資本が入ったおかげで、“進駐軍”による優秀な経営者が海外から送り込まれ、みごとに日産は復活をとげました。
フランスから来た“進駐軍”は日本人を不幸にしたでしょうか?
その経緯からみて、日本人だけでは、あの難局を乗り越えることは難しかったでしょう。
雇用を確保し、利益を上げ、税金を払ってさえいれば、“資本の色”や“経営者の目の色”など何色でも構わないのです。
これからも同様だと思います。自分のボスの国籍がどこであろうと、そんなこと自体がもうニュースにならない時代がやってくるはずです。
マリナーズのイチローが初めて野茂と対戦した時、日本中のマスコミが「メジャー・リーグで日本人同士が対決する」と大騒ぎをしました。
その時のイチローのインタビューが印象的でした。
「早く誰も騒がなくなるよう、多くの日本人がアメリカでプレーしてほしいものです」
事実、今では多くの日本人がアメリカでプレーしているため、日本人同士の対決など、たいしたニュースにもなりません。
近い将来、アジア企業による日本企業の買収報道は、きっと大きなニュースではなくなっていることでしょう。