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移動通信システム 5Gと6G

5Gで選択を迫られる世界の国々

アメリカのトランプ大統領は、世界各国に対し「5Gネットワークでアメリカをとるか?中国をとるか?」と選択を迫っています。

5Gの時代が来れば、自動車や医療機器のみならず、社会インフラ全体が5Gネットワークに組み込まれていきます。

そのためネットワークが乗っ取られてしまうと国のインフラ全体を止められるという最悪の事態も考えられます。つまり5Gネットワークの安全性確保は国土防衛やテロ防止のためにも非常に重要な施策となります。

2019年10月31日、米国上院国土安全保障・政府活動委員会は、次のように発表しています。「5Gを支配する国はイノベーションを支配し、世界の他の諸国・地域の基準を定めるだろう。現時点でその国は米国ではない可能性が高い」

現在、中国のファーウェイ(華為)、スウェーデンのエリクソン(Ericsson)、フィンランドのノキア(Nokia)の3社が、移動通信システムの設備メーカーで世界の3強と言われています。

そしてファーウェイが通信設備のシェアで世界第1位、端末のシェアで世界第2位であるのに対し、エリクソンやノキアは、基地局等の通信設備は作るものの、端末にいたってはとうの昔に撤退しています。

そのためファーウェイは、現在のところ通信設備の設計施工、通信ネットワーク全体の構築、端末の製造販売という5Gネットワークに必要とされるすべてを一括して売り込むことができる世界で唯一の会社ということになります。このようにファーウェイは5Gでの展開を優位に進めながら、なおかつ新興国に対しては、融資までをもセットにして売り込もうとしています。

移動通信システムの国際標準を巡る争い

かつて3Gの時代、移動通信システムの標準化で米国と欧州が激しいシェア争いを繰り広げ、結局、欧州系の通信機器メーカーが米国メーカーを打ち負かしてしまいました。

その昔、ビデオテープの規格争いで、ベータマックスを打ち負かしたVHSがあっという間に国際標準になったように、移動通信システムの国際標準は、欧州が作ったW-CDMAで一本化されるかと思われました。

しかし、欧州と米国が規格争いをしている間に中国は独自の規格を作り、中国国内で普及させ始めたのです。そしてあっという間に中国の巨大市場を席巻し、数年後にはそのTD-SCDMAという中国規格も国際標準として認められるようになりました。その結果、移動通信システムの国際標準は、欧州系と中国系の2つが混在することになったのです。

その後、4Gの時代に入ると中国は中国市場での規模の利益を最大限に活用し、安価な4G端末を大量生産して、アフリカや東南アジア諸国へ売りまくります。

華為(ファーウェイ)という名前は、「“華”の“為”」、つまり「中華のため」と書きます。そのためファーウェイは、中国と言う国家をバックに大量の資金をつぎ込み、盛んに設備投資や研究開発を行いました。そして欧州市場にも進出し、ついにはエリクソンやノキアという欧州が誇る通信機器メーカーをも凌駕するようになったのです。

動き始めた6G開発

日本は次の次の世代へ向けての動きを開始しました。

「ポスト5G技術による半導体・通信システムは、自動運転などでわが国の競争力の核となる技術だ。自動車・産業機械メーカーとも連携して、最先端半導体技術の国内確保を目指し、わが国の技術力を結集した国家プロジェクトを検討していく」(安倍首相の発言 2019年10月29日の未来投資会議にて:ロイター)

「日本は5Gでは一歩出遅れたが、通信の基地局やネットワーク構築や携帯端末に関しては、優秀な会社をたくさん持っている。日本政府が主導する形でそのような会社をまとめ上げ、川上から川下までを一貫して国家戦略で進めるよう総理大臣が指示を出した」ということのようです。

現在日本で通信のネットワークそのものを作っているのはキャリアと呼ばれる通信会社となります。この通信会社が世界的なアライアンスを組んで通信会社主導で新しいネットワーク施設を作るというプロジェクトが始まりつつあります。

「NTTとソニー、米インテルは31日、2030年ころの実用化が見込まれる次々世代の通信規格で連携すると発表した。光で動作する新しい原理の半導体開発などで協力するほか、1回の充電で1年持つスマートフォンなどの実用化を目指す。2020年春に日本で発表する5Gでは後塵を拝した日本勢だが、次々世代の6Gでは米企業と連携して巻き返しを狙う」(日経新聞:2019年10月31日)

アメリカは5Gのネットワークから中国を完全に排除したいと考えているようですが、現状ではなかなか簡単にはいかないようです。4Gにおける既存のシェアもあり、バリューチェーンがグローバル化している中で、その鎖を今から本当に断ち切れるのかということのようです。新興国はもちろんのこと欧州にとっても日本にとっても完全に排除するのは、そう簡単なことではないでしょう。

そのためアメリカを中心とする旧西側諸国は、ポスト5G、つまり6Gにおいていち早く新しい仕組みを作り、そこから中国を排除して、世界的に発展させていきたいと考えているようです。

6Gの端末は5Gに接続できるが、5Gは6Gに接続できない。つまり旧西側諸国のシステムは中国側のシステムに接続できるが、その逆はできないようにしたいということです。

今後アメリカはいわゆる新COCOMを強化して、中国への技術移転をより厳しく規制するようになります。なかでも「みなし再輸出規制」が発動されれば、今後日本企業の立ち位置はより難しいものになっていくでしょう。

現代中国語の7割は日本語?

中国の現代生活に欠かせない基本概念の多くは日本語

ある中国語の翻訳者から「医学・薬学の日中翻訳はやりやすい、なぜなら専門用語の9割は日本語だから」と聞いたことがあります。

明治時代に西洋医学をいち早く取り入れた日本の知識人たちが、数多くの専門用語を漢字で創作したからです。

たとえば、下記のように。
diabetes(英語) ⇒ 糖尿病(日本語) ⇒ 糖尿病(中国語)
pneumonia(英語) ⇒肺炎(日本語)⇒肺炎(中国語)

しかしながら、実際には医薬の専門用語のみならず、現在の中国人が日常的に使用している中国語のなかにかなり高い割合で日本語が使われているようです。

そのような中国語になった日本語の数は1,000語ほどのようですが、とても使用頻度の高い語彙が数多く含まれているため、それらを使わずには会話が成り立たないほどの存在感があるようです。もっとも当の中国人がそのような事実を知らず日常的にそれらの言葉を使っているようですが。

さて、南京大学文学部教授の王彬彬氏(1962年~、肩書は当時)の「中国語の中に非常に多い“日本語外来語”」という論文に下記のような一節があります。この方は、中国の近現代史、文化批評、文化史を主に研究されている学者です。

「現代中国語の中の“日本語外来語”は、驚くほどの数がある。統計によれば、わたしたちが現在使用している社会・人文科学方面の名詞・用語において、実に70%が日本から輸入したものである。これらはみな、日本人が西洋の相応する語句を翻訳したもので、中国に伝来後、中国語の中にしっかりと根を下ろしたのである。わたしたちは毎日、東洋のやり方で西洋の概念を論じ、考え、話しているのだが、その大部分が日本人によってもたらされたものである。(中略)最後にわたしは言いたい。わたしたちが使用している西洋の概念について、基本的には日本人がわたしたちに替わって翻訳したものであり、中国と西洋の間には、永遠に日本というものが挟まっているのである。」(日本語訳:松永英明氏)

また、上海外国語大学日本語学部教授の陳生保氏(1936年~、肩書は当時)の「中国語の中の日本語」という論文の中にも下記のような一節があります。

共産党、幹部、指導、社会主義、市場、経済という文は、 すべて日本製漢語語彙でできているといったら、 これらの語彙をさかんに使っている普通の中国人は信じかねるだろうし、 これらの語彙の原産地の日本人も、 たぶん半信半疑だろうが、 しかし、 それは事実である。(中略)日本語来源の語彙のほとんどは現代生活に欠かせない基本的概念であり、使用頻度の高いものであり、しかも造語力のあるものが多い、ということを考えると、現代中国語における日本来源語の影響が非常に大きいといわねばならない。

西洋文明を漢字化した日本人

日本では江戸時代末期以降、西洋から多くの思想、学問を導入し、西洋の知的抽象語を既存の日本の概念に置き換えるのではなく、漢字を使ったまったく新しい言葉に置き換えました。

そして20世紀初頭、日清戦争で日本に負けた清国は遅れを取り戻すべく、合計61,230名という数多くの留学生を日本へ送り、多数の日本の書物を中国語へ翻訳しました。あの有名な魯迅もその中の一人です。それらの留学生が日本で生まれた新しい言葉を中国へ伝え、それが現代の中国に今でも脈々と受け継がれているのです。

たとえば下記はそのほんの一例です(Wiktionary 和製漢語より)

暗示、意識、遺伝、入口、右翼、運動、栄養、演出、演説、鉛筆、温度、階級、会計、概算、回収、会談、概念、解放、科学、活躍、化膿、環境、関係、間接、簡単、幹部、議員、議院、議会、企業、喜劇、気質、基準、規則、基地、規範、義務、共産主義、協定、業務、教養、共和国、記録、金額、銀行、金融、空間、偶然、組合、軍国主義、計画、計器、景気、経験、経済、経済恐慌、警察、芸術、系統、経費、劇場、化粧品、決算、権威、現役、現金、原作、現実、現象、原則、建築、原理、講演、効果、抗議、工業、広告、講座、交際、光線、交通、肯定、公認、高利貸、効率、小型、国際、克服、故障、固定、債券、財閥、債務、作者、作家、雑誌、左翼、紫外線、時間、茂樹、施行、施工、市場、指数、思想、実感、実業、失効、実績、質量、失恋、指導、支配、資本、社会、自由、宗教、集団、終点、就任、主観、出発点、出版、蒸気、乗客、商業、証券、条件、常識、承認、消費、情報、私立、資料、進化、人権、信託、新聞記者、人民、信用、心理学、侵略、制限、政策、清算、生産、精神、性能、積極、絶対、接吻、繊維、選挙、宣伝、総合、想像、速度、体育、退化、大気、代議士、対局、対象、体操、代表、立場、棚卸、単位、探検、単純、蛋白質、知識、抽象、直接、定義、出口、哲学、電子、電車、伝染病、電波、電報、展覧会、電流、電話、動員、投資、独裁、図書館、内閣、内容、日程、任命、熱帯、年度、能率、背景、派遣、覇権、場所、発明、反響、反射、反対、反応、悲観、悲劇、美術、必要、否定、否認、批評、備品、評価、標語、広場、舞台、物質、物理学、不動産、文化、文学、分子、分析、分配、文明、方案、方式、放射、方針、法人、法則、方程式、法律、保険、母校、保障、本質、漫画、蜜月、密度、民族、民放、無産階級、明確、目的、目標、唯物論、輸出、要素、拉致、理想、理念、了解、領海、領空、領土、理論、倫理学、類型、冷戦、歴史、労働組合、労働者、論理学

漢字の知的財産権は?

中国においても西洋の概念を中国の既存の概念に置き換えようと試みた時期があったようです。しかし、日本人の作った漢字の造語の方が色々な意味で分かりやすく心地よかったのでしょう。

「中華人民共和国」という国名のうち、「人民」と「共和国」は日本で生まれた言葉だと知っている中国人はどれほどいるでしょうか?実際、日本から輸入された言葉を使わなければ、毛沢東の「毛沢東語録」は存在し得なかったでしょう。

ある時、日本の知的財産権を侵害する中国に憤りを感じた日本人が「中国は日本に知的財産の対価を支払うべきだ」と言ったところ「それならば日本は中国に漢字の使用料を払え」と言い返されたそうです。

しかし、現代中国語の7割が日本から輸入された言葉だと知れば、少なくとも漢字の使用料に関しては、平和裏に「フィフティー・フィフティーでよろしいのでは」ということになるのではないでしょうか。

食料の安全性について

フランスのドキュメンタリー映画「モンサントの不自然な食べもの」とアメリカのドキュメンタリー映画「フード・インク “Food, Inc,” 」を観ました。両映画とも公開年は2008年ですが、その内容は全世界に衝撃を与えるものでした。

そこで改めて自分なりに「遺伝子組み換え作物」や「モンサント社」や「家畜用肥育ホルモン」を調べてみました。

遺伝子組み換え作物

遺伝子組み換え作物には「除草剤耐性品種」と「害虫抵抗性品種」およびその両方を組み合わせた「スタック品種」の3種類があります。

◆除草剤耐性品種
アメリカのモンサント社(Monsanto)が開発したラウンドアップ(Roundup)という除草剤を広大な農場に散布すると、雑草などの植物は全て枯れ死しますが、遺伝子を組み換えられた大豆やトウモロコシなどの農作物は育ちます。

これはラウンドアップに耐性のある土中バクテリアの遺伝子をトウモロコシや大豆の遺伝子の中に組み入れているからです。この人為的な操作による遺伝子の変化は、自然交配では起こりえないことと言われています。

◆害虫抵抗性品種
同じくモンサント社により開発されたあるトウモロコシの品種は害虫被害を受けません。ヨーロッパアワノメイガというトウモロコシを食い荒らす蛾の幼虫を殺す細菌 Bt (Bacillus thuringiensis) から取り出した遺伝子物質を含んでいるからです。この人為的な操作による遺伝子の変化もまた、自然交配では起こりえないことと言われています。

「スーパーに行って棚を見渡すと90%の製品に遺伝子組み換えコーンか遺伝子組み換え大豆成分が含まれている。たいていはその両方だ。ケチャップ、チーズ、乾電池、ピーナッツバター、スナック菓子、ドレッシング、ダイエット甘味料、シロップ、ジュース、粉末ジュース、オムツ、鎮痛剤、ファーストフード・・・・」(映画 “Food, Inc.”より)

モンサント社

モンサント社は2018年6月にドイツのバイエル社に買収され「モンサント」の企業名は現在では消滅しましたが、「遺伝子組み換え作物」以外でもいろいろと世間を騒がせています。

◆PCB(ポリ塩化ビフェニール)
「電気器具の冷却剤や潤滑油として使われていたPCBは50年以上にわたりモンサント社の主力商品でした。しかし人体に有害であることが明らかになり、欧米では1980年代初めに製造販売が禁止されました。

2001年、アラバマ州アニストンの住民2万人がモンサント社を相手取り2件の訴訟を起こし、結局モンサント社と子会社のソルシア社は7億ドルを支払うことで和解しました。2002年、ワシントンポスト紙は『モンサント社 環境汚染を数十年間隠ぺい』と報道しました(映画『モンサントの不自然な食べもの』より)」。

日本においてもPCBはその毒性(ダイオキシン、発がん性物質など)により1975年に製造、輸入が禁止されています。

枯葉剤
ベトナム戦争時、アメリカ軍は、猛毒のダイオキシンを含む大量の除草剤(枯葉剤)をベトナムの森にばら撒きました。ジャングルに隠れるベトコンのゲリラに手を焼いたアメリカ軍は、森を枯らして空からゲリラを発見しようと考えたからです。

ベトナム政府の発表によると、これにより300万人のベトナム人が枯葉剤にさらされ、奇形児等の深刻な健康被害に苦しむ人々がいまだに増え続けているそうです。現在では、この猛毒のダイオキシンがガンや重度の遺伝的機能不全を引き起こすことが明らかになっています。

モンサント社はこの枯葉剤を製造していた企業の中の1社です。1984年、アメリカのベトナム帰還兵4万人に集団訴訟を起こされ、モンサントを含む化学メーカー7社が1億8,000万ドルを支払うことで和解が成立しました。

◆データの捏造
1949年、アメリカのウエストバージニア州で、強力な除草剤2,4,5Tを製造するモンサント社の工場で爆発があり、従業員228人に塩素挫創と呼ばれる皮膚の疾患が発症しました。原因は、除草剤を製造する時に生成される、猛毒のダイオキシンでした。

モンサント社は工場爆発事故で、ダイオキシンを浴びた従業員と浴びなかった従業員では、ガン発症率に違いはなかったとする研究結果を裁判所に提出しました。しかし、この研究結果については、1990年代になって、データの捏造があったことが判明しています(映画『モンサントの不自然な食べもの』より)」。

家畜用肥育ホルモンと遺伝子組み換え飼料

アメリカでは、遺伝子組み換え作物を牛、豚、鶏、養殖魚に飼料として与えるばかりでなく、その成長を早めるため肥育ホルモンが使われています。

◆鶏肥育ホルモン
「全米の食肉業界を支配しているのはわずか3~4社。これほど巨大で強大な企業はかつて存在しなかった。たとえばタイソン社は史上最大の精肉会社。養鶏を根底から変えた企業だ。

ヒナは50年前の半分の日数で育つ。だが大きさは2倍。消費者は胸肉を好む。だから胸の大きな鶏を作る」(映画 “Food, Inc.”より)

映画 “Food, Inc.”より

「これは養鶏じゃない。工場で作られる製品と同じよ。ヒナから7週間で2.5キロの成鶏に育つの。骨や内臓は急激な成長に耐えられない。ほとんどの鶏は数歩 歩くと倒れてしまう。自分の体重を支えきれないからよ。

飼料に抗生物質を混ぜるから、当然鶏の体内に入る。細菌は抵抗力を増し、抗生物質が効かなくなる。私は抗生物質のアレルギーになったわ」(キャロル・モリソン氏、米国の大手精肉会社の契約養鶏業者:映画 “Food, Inc.”より)

◆牛肥育ホルモン
「肥育ホルモンを投与した米国産牛は、およそ20カ月齢のメスで400~450キロの枝肉重量があるのに対し、投与しない日本国産牛は29カ月齢くらいまで太らせてやっと450キロ程度になる(米国産牛肉、『肥育ホルモン』の衝撃的な実態:山本謙治氏著)より

誕生から出荷までの期間が約3分の2に縮まるわけですから、牛肉生産者にとってはとてもありがたい話です。ちなみに「枝肉」とは、皮と内臓を取り出し、脊柱の中央に沿って切断されたものだそうです。

しかし、次のような指摘もありました。
「米国産牛と日本国産牛のホルモン残留濃度を計測すると、米国産牛は日本国産牛に対して、赤身で600倍、脂肪で140倍のホルモン残留が検出された」(前出のサイトより)

◆O-157
「遺伝子組み換えトウモロコシで安価な飼料ができたおかげで、現在コーンは家畜飼料の主原料となっている。おまけに良く太る。しかし、牛はもともとコーンを食べるようにはできていない。草を食べる動物だ。

牛の第一胃には、無数のバクテリアがいる。動物は草を消化するように進化した。研究によればコーンの多い飼料を続けると大腸菌が耐酸性を持つようになり、より危険な大腸菌に変わる。コーン飼料によって普通の大腸菌が進化し、突然変異を起こした。そして大腸菌O-157という株が登場した」(アイオワ州立大学の反芻動物栄養学専門家、A・トランクル氏:映画 “Food, Inc.”より)

農林水産省のデータによると2014年の日本の飼料の自給率は27%となっています。そのため73%が輸入飼料ということになりますが、その大部分は、アメリカ、ブラジル、アルゼンチンなどの遺伝子組み換え飼料生産国です。

また、肥育ホルモンについては、やはり農林水産省のHPによれば、日本国内では、承認されていないため使用されていないとのことです。

中国のビル建設(2)

去年の9月16日にこのブログに載せた「中国のビル建設」についてですが、またその話題に触れてみようと思います。

先週(1/21~1/23)、大連へ出張し、いつものラマダプラザホテルに泊まり、朝食バイキングを食べながら窓から見える建築途中のビルの写真を撮りました。

下記がその時の写真で、その下が4か月前(2014年9月)の写真です。4カ月間でこのくらい積みあがっていれば「良し」としなければならないのでしょうか?

私はビル建築の工期に詳しいわけではありませんが、日本に比べればかなり進捗度合いが遅い気がします。

<下記は2015年1月に撮影したビルの写真>

20150123_095214

<下記は2014年9月に撮影したビルの写真>

20140911_084049

今回大連には3日間滞在しましたが、結局一度もダンプやトラックを街の道路で見かけませんでした。日本の道路でダンプやトラックを見かけない日はありません。

東京や横浜では、大型ダンプ、中型トラック、小型トラック、建築用の特殊車両、宅配便の車、軽トラックなどなど乗用車以外の車が常に所狭しと走り回っています。

大連の道路を走っている車は、乗用車、タクシー、バス(マイクロバスを含む)の3種類だけです。あれだけ多くの建設途上のビルが乱立しているにもかかわらず、まったく建設関連の車両を見かけませんでした。不思議なことです。

もっとも「不思議の国・中国」では、こんなことは取るに足らない小さなことなので、いちいちそんなことに驚くこと自体がナンセンスなのかもしれません。

中国のビル建設

久しぶりに出張で中国の大連へ行ってきました。

大連へ行ったときには、いつもラマダプラザホテルに泊まります。大連駅前にあるホテルですが、私はその2階のレストランでいつも外の景色を眺めながら、朝食バイキングを食べています。今回は、そのレストランの窓から見える建設中の高層ビルの話をしようと思います。

そのビルを2013年4月に撮った写真と2014年9月に撮った写真が下記の2枚です。

何を言いたいのかと言うと、1年半も経っているのに遅々として工事が進んでいない、ということです。

<下記は2013年4月に撮影したビルの写真>

20130425_082857

<下記は2014年9月に撮影したビルの写真>

20140911_084049

私が初めて大連へ行ったのは、3年前の2011年9月のことですが、その時タクシーから見える風景の中にたくさんの建設中の高層ビルが見えました。

「やはり、中国はすごい建設ラッシュなんだな」

そう思いながら、ただなんとなく眺めていたのですが、しばらくして「なにか変だな?」と気づきました。

そうなんです、建設中のビルのほとんどが動いていないのです。通常建設中であればクレーンが上下に動いていたり、ビルの周りをたくさんのダンプトラックが行き来したりしているものです。しかし、大連の建設中のビルはほとんどすべてが止まっていました。

その後、2回、3回、4回、5回と大連を訪れるたびにタクシーから見える建設途中のビルを注意深く見ましたが、やはりほとんど工事に進展は見られませんでした。

大連でも朝夕の時間帯は、日本同様、どこも車のラッシュでにぎわいます。しかし、日本と決定的に違うことがあります。それは、大連では、ダンプやトラックがほとんど走っていないということです。

東京や横浜の道路では、大型ダンプから軽トラックまで、さまざまな種類のトラックが所狭しと走り回っていますが、大連ではほとんどトラックが走っていないのです。少なくともここ3年間のあいだは。

掲載した2枚の写真は、大連駅前の一等地に建設中の高層ビルです。日本であれば、土台さえできてしまえば、上物の建設スピードは実に早く、高層ビルでさえあっという間に完成してしまいます。逆に短期間で完成させなければ投資額を早く回収できないので困ることでしょう。

噂されているように中国のバブルはすでに崩壊しているのでしょうか?中国政府が力づくで景気の下支えをしてとりつくろっているのでしょうか?

真実のほどはわかりませんが、ソフトランディングをして、日本経済はもちろん世界経済に悪影響を与えないよう願うばかりです。

中国における自動車部品カルテル

下記の表は、日経ビジネス20140年9月1日号の記事の一部です。

2014年9月01日日経ビジネス

中国政府が、日本の大企業を対象に過去最大規模の制裁金12億3500元(約200億円)を科したことから、外資叩きという論調もでています。

「また中国は日本に不当にいちゃもんつけている」という印象を持った方も多いのではないでしょうか?

実は私もそのひとりでした。しかし、上記の日経ビジネスの記事を見て考えが少し変わりました。

日本で1,409万円で売られているレクサスが、なんと中国では4,036万円で売られているという事実には驚きました。ベンツもアウディもBMWも2倍以上ですから、中国が怒るのも無理ないかもしれません。

かつての日本にも巨大なアメリカ車に莫大なお金を出して、ありがたく乗って有頂天になっていたという時代もありました。2,000円で仕入れたジョニ黒(ジョニーウォーカー黒ラベル)をありがたく1万円で売ることにより、高級感が出てより売れたという時代もありました。

日本のバブルのころには、ヨーロッパのブランド品バッグの世界売り上げの8割は、日本で売り上げられていたそうです(あるブランド品メーカーの関係者から聞いた話)。

かつての「成金」日本が欧米からカモにされたように、現在では中国の「成金」が世界中からカモにされているのかもしれません。

珍しく「中国が怒ってもしかたないかも」と思えるニュースでした。

中国、ハイブリッド車に補助 現地生産1台に25万円

2014年4月19日 日経新聞朝刊

中国、ハイブリッド車に補助 現地生産1台に25万円 大気汚染対策 トヨタやホンダ、攻勢へ

中国政府は大気汚染対策の柱として、ハイブリッド車(HV)の購入に補助金を出す検討に入った。電気自動車(EV)など充電可能な環境車に限ってきた補助の対象を、通常のHVにも広げる。2015年にも実施する。世界最大の市場を持つ中国が環境対応車の本命にHVを位置づけることで、日本勢を含む世界メーカーの戦略に影響を与えそうだ。

2014年4月19日 日経2

中国が補助金検討 日本勢、HV現地化
トヨタ、基幹部品を開発 ホンダ、16年から完成車

中国政府がハイブリッド車(HV)に購入補助金を出す検討に入った。割高な価格がHV販売のネックになっていた日本勢には追い風だ。トヨタ自動車は2015年をめどにHVの基幹部品、ホンダが16年からHV車両の現地生産を計画しており、現地シフトによるコスト削減に今回の補助金が加わる。世界最大市場で欧米勢とのエコカー販売競争が激しくなりそうだ。

2014年4月19日 日経1

2014年4月19日 日経3

(以上で日経新聞の記事終わり)

私が1999年に初めて北京へ行った時、空港から一歩外へ出たとたん、あまりの空気の汚さにビックリ仰天したことを思い出します。排気ガスを吹き出す出すダンプカーの真後ろに立っている感じでした。

最近は、さらにひどくなっているとのことなので、国民からの苦情に中国政府もさすがに重い腰を上げざるを得なかったのでしょう。

中国上層部の人たちも、自分たちだけのために、きれいな「空気」を確保することはできないとやっと気がついたのでしょうか。

ハイブリッド車の技術に関しては、トヨタとホンダが世界でも一歩抜きん出た存在であることはもはや周知の事実です。

今後、中国人が息をするために、否が応でも日本車を買わざるを得ない、というほどに日本車メーカーにはがんばってもらいたいものです。

自動車産業は非常に裾野の広い産業です。特に日本においては莫大な影響力を持つ存在だということが、リーマンショックの時に露呈しました。

中国市場において日本車勢がシェアを伸ばし、現地生産も増えてくれば、雇用も確保され、さらに裾野の広い産業にも多大なる好影響を与えることになるでしょう。結果として日中両国の経済関係が非常に深まっていくことは必定です。

緊密な経済関係は、政治や文化面においても、間違いなく良好な影響を与えていくはずです。

かつて坂本龍馬は、「思想で人は動かせても組織は動かせない。組織を動かすものは“利”だ」と言ったそうです。

“利”とはつまり、現代で言う“経済”のことです。

龍馬は、幕府の圧力により、外国から武器が買えずに困っていた長州のために、薩摩を通じて英国の武器を購入できるよう仲立ちをしたそうです。

それに対し龍馬は、見返りに長州から薩摩へ“米”を送らせたそうです。薩摩はあまり米が豊富にとれないため、普段から“芋”ばかりを食べていた薩摩人は「イモ侍」と揶揄されていたからです。

そうやって始まった薩長の“貿易”により、顔を見ただけで殺し合いをはじめるほど憎しみあっていたあの薩長が同盟を結ぶことになります。

今後、日本と中国が強固な経済関係を築くことにより、良好な友好国となる日が来ることを願ってやみません。

中国、大連の写真

本日の日経新聞に、中国の大連市が外資系企業の社会保険負担を軽減する、という旨の記事が出ていました。中国から逃げ出す日本企業を少しでも食い止めようとする政策の表れのようです。

さて、久々に大連の話題を新聞で見かけたので、昨年(2013年)4月に大連に出張した際に撮った写真のことを思い出しました。大連駅から30分ほど電車に乗って開発区へ行き、その後タクシーに乗って街なかを走りました。その時の写真を下記に掲載します。

大連駅前 右手奥に大連駅が見えます。大連駅前

建設中のビル 大連には建設中のビルがとてもたくさんあります。私の知っている限り、ここ2年間、そのほとんどが中断しています。ダンプカーなどの工事用車両もほとんど見かけたことがありません。

大連 建設中のビル

大連駅の自動販売機 朝になると多くの農民工の人たちが列を作って窓口の切符を買い求めていますが、一部自動販売機も使われているようです。

大連駅 切符の自動販売機

電車の切符

大連駅 切符

大連駅のホーム 電車内は日本よりも幅が広くゆったりしています。

大連駅のホーム

大連駅の路線図

大連駅の路線図

大連開発区 タクシーからみた光景 その1

大連開発区 その1

大連開発区 タクシーからみた光景 その2

大連開発区 その2

大連開発区 タクシーからみた光景 その3

大連開発区 その3

大連開発区 タクシーからみた光景 その4

大連開発区 その4

大連開発区 タクシーからみた光景 その5

大連開発区 その5

大連開発区 タクシーからみた光景 その6

大連開発区 その6

大連開発区 タクシーからみた光景 その7

大連開発区 その7

大連開発区 タクシーからみた光景 その8

大連開発区 その8

大連開発区 タクシーからみた光景 その9

大連開発区 その9

大連市、企業の年金負担軽く 撤退防ぐ

2014年3月7日 日本経済新聞朝刊

中国・大連市が外資の進出企業の社会保険負担を軽減する。年金に当たる養老保険の会社負担を、従業員給与の20%から最大16%に引き下げる。人件費の高騰と円安で進出企業の経営状況は苦しく、撤退が続出しかねないと危機感を強めた。

(以上で記事終り)

中国では日本企業の撤退が増えているため、「日本企業向けの撤退ビジネスが繁盛している」などという噂を最近聞いたことがあります。

大連は中国の中でもかなり親日的な地域であり、日本語学習者も多い大都市という理由により、多くの日本企業が工場やオフィスを構えています。

その大連においてさえ、外資企業(大連で一番多い外資企業は日本企業のはずです)の撤退を防ぐために、企業の年金負担を軽減するというのですから、中国からの日本企業撤退の実態がうかがえます。

中国からの撤退を考える第一の理由は、反日感情の高まりでしょうが、それ以外にも中国のバブル崩壊不安や成長率鈍化などがあげられます。

日本では中国の経済成長率が8%代から7%代に下落していること、あるいは7%代すら危ないとの見方で中国の経済はもうだめだみたいな意見も一部にあるようです。

しかし、今や中国は世界第2位の経済大国です。数年前に日本のGDPを追い越したかと思ったら、もう昨年(2013年)には日本のGDPの2倍弱になっています。

このいきなりの2倍弱の理由には、大幅な円安という原因もあるわけですが、それにしてもそれだけの経済大国が未だに7%台の成長率を維持していること自体がすごいことだと思います。

中国経済のバブル崩壊懸念や中国金融システムに関する諸問題も20年くらい前からずっとささやかれてきましたが、その都度それらの不安をはねのけて中国経済は発展を遂げてきました。

人件費高騰により、「世界の工場」としての機能は変化していくでしょうが、「世界の市場」としての機能はより増していくでしょう。

そう言った意味からも中国を抜きにして今後の世界経済や日本経済は決して語れないはずです。

ASEAN諸国(インドネシア、シンガポール、タイ、フィリピン、マレーシア、ブルネイ、ベトナム、ミャンマー、ラオス、カンボジア)の10ヶ国も大事ですが、日本経済にとっては、あい変らず中国も重要であり続けるでしょう。

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2013年4月、出張で大連へ行った時に撮った「大連駅」の写真

中国人客誘致、アジア激戦 観光消費10兆円奪い合い

2013年9月20日 日本経済新聞朝刊

韓国やタイ、日本などアジア各国で中国人観光客の誘致競争が激しくなっている。国連によると2012年に海外旅行した中国人は11年比2割増の8300万人、旅先での支出額は中国系クレジットカードの普及も後押しし4割増の10兆円を突破した。20年には2億人まで増えるとされ、官民挙げたマーケティング合戦に火花が散る。

2013年9月20日日経

(以上で記事終り)

中国の海外旅行客数は年間8,300万人、つまり日本の人口の3分の2もいるということですから本当に驚きです。人口13億を超える国ですから、全てにスケールが大きいですね。

中国人は外国へ移り住んでも「中華街」などの中国人コミュニティーを作り、地元社会に融合しながらもかたくなに中国文化を守り続けているという印象があります。

外国に住む中国人、つまり華僑と呼ばれる人達だけでも日本の人口に匹敵する1億2,000万人もいると何かで読んだことがあります。

年間8,300万人もの中国人観光客が世界を訪れて、さらに香港や台湾からの観光客もかなりいるでしょうから、今後は世界各地に中国語を話す人々がもっともっと増えていくことでしょう。

日本もその巨大な旅行客マーケットの受け入れに一生懸命のようですが、政治的な問題もあり、なかなか簡単にはいきそうにありません。

ところで、日本を訪れたことのある中国人観光客の感想文を読んでいたら、日本にかなりな好印象を持って帰って行った中国人も少なからずいるということがわかりました。下記のサイトです。興味のある方は読んでみてください。私は一気に最後まで読んでしまいました。↓

中国人観光客から見た日本

このような草の根での交流が日中両国間の無用な摩擦を減らす良いきっかけになっていってほしいと心から願っています。

中国景気、減速の影 上海モーターショー 来場者の6割、日本車「買わない」

2013年5月2日 日本経済新聞 朝刊

産業素材の取引価格や企業業績が、中国景気の「変調」を映し始めた。建設資材やプラスチック原料などの価格が軒並み下落し、中国事業の比重が高い企業の業績も振るわない。中国での需要減少や過剰在庫が影響しているとみられる。政府が公表する経済統計が示すよりも、中国景気は減速している可能性がある。

1日発表された4月の中国の製造業購買担当者景気指数(PMI)は景気判断の分かれ目である50を7カ月連続で上回った。数値は前月よりやや低下しており、中国景気は「緩やかな改善を続けている」と読める。

もっとも米ヘッジファンドの有力運用者であるジム・チェイノス氏は「中国の統計は額面通りに受け取ることができない」と話す。日米欧と違って、中国の統計は人為的に操作されているとの疑いが付きまとう。PMIをまとめたのも中国政府公認の業界団体。チェイノス氏は「中国の経済成長は鈍っている」と弱気な見方を示す。

(後 略)

2013年5月2日 日経新聞

(以上で日経新聞の記事終り)

2013年4月29日-5月6日合併号 日経ビジネス

上海モーターショー
来場者の6割、日本車「買わない」

4月20日開幕の上海国際自動車ショーに、日本車各社は復活をかけた。だが、来場者200人に聞いたところ、66割強が日本車を買わないと回答。反日だけではない、商品力や経営戦略に潜む課題が浮かび上がった。

2013年5月2日 日経ビジネス

(中 略)

「絶対に買わない。俺は日本が嫌いだ。あんたは日本の記者?」。最初に尋ねた40代の男性は強い口調でこう聞き返してきた。買わない理由に「日本が嫌い(好きじゃない)と挙げた人は34%。「昨年の9月以降は買いづらくなった」とこぼす30代の男性など、「人から非難されそう」という声も22%あった。

日中関係悪化の影響は依然として、日本車の販売に影を落としている。

質問を重ねると、買わない理由はそればかりではないことも見えてきた。

日本車は安全じゃない?

「安全じゃないから買わない」。20代カップルの答に耳を疑った。詳しく聞くと「鋼板が薄いでしょ。ペラペラで、ぶつかったらつぶれちゃう」と身振り手振りを交え、説明してくれた。薄くて柔軟な鋼板は日本の自動車、鉄鋼大手による軽量化の努力の賜物だ。

車体がへこむことで衝撃を吸収し、人命を守る設計思想がある。だが、ドイツや米国の車と比べて安全性で劣ると、多くの中国人は考えている。

このカップルの回答も含め「商品力が低い」という声は買わない人の38%で「日本が嫌い」より多かった。

(後 略)

・・・・(以上で記事の転載終わり)

まず、「中国経済、減速の影」の話ですが、過去20年くらいの間に「中国経済は破〇する」「中国バブルは崩〇する」「中国共〇党は消滅する」とどれだけ言われ続けてきたことでしょうか。

現実にはそれらの噂はすべて杞憂に終わりました。

「そしてこんどこそ!」と今言われていますが、はたしてどうなのでしょうか?

中国経済が減速、あるいは崩壊して、日本経済や日本の翻訳業界に良いことは一つもありません。ここはひとつ中国政府になんとかふんばってもらい、ソフトランディングしてほしいと願うほかありません。

次に「上海モーターショー」でのアンケート記事の話です。

日本車を買わない理由のトップが「商品力が低い(安全性が不安、ドイツ車のほうがカッコいい)」で「日本が嫌い」を上回っているとは驚きです。

きっと日本を嫌っている人たちが、まことしやかに日本車に対するネガティブな噂を広めていったのでしょう。

しかし、逆に考えれば日本の自動車メーカーにとっては良いことかもしれません。

感情的に「嫌い」なものを「好き」に変えさせるのは時間がかかりますが、事実でない情報を論理的に説明し、真実を理解させるほうがずっと楽だと思えるからです。

今後、日本の自動車メーカーにとって、中国市場における広告戦略の重要性がより増してくるというわけで、方向性がはっきりしたという点ではむしろ歓迎すべき結果だったのかもしれません。

また、今日の日経に「中国、日欧並み燃費規制」「乗用車の平均燃費性能を現行比で5割改善」「2020年までに環境軸に業界再編も」という別の記事が載っています。

報道によると新基準は相当厳しいものなので、中国を含めた世界の自動車メーカー各社は大きな変化を迫られ、ハイブリッド車など新しい技術を積極投入しなければ販売量を保てなくなるでしょう。

中国の新車販売台数は日本の4倍の規模で世界最大ですから、日本の自動車メーカーにとってもこれは朗報と言えるでしょう。

もちろんこれが日本の翻訳業界にとっても朗報であることは言うまでもありません。

中小も脱・中国依存 製造業、ミャンマーやカンボジアにも拠点 立地分散で人件費抑制

2013.3.18 日経新聞

中小製造業がアジアの生産拠点を分散させる動きが広がってきた。主要進出先の中国で人件費が上昇。コスト競争力維持に向けミャンマー、カンボジアなどへの立地を探り始めた。繊維など労働集約型産業だけでなく、機械メーカーが技術流出防止の観点から拠点分散をめざす例もある。体力が乏しい中小にとって「次」の進出先選定の重要度が高まっている。

(後略)

2013年3月18日日経1

世界の製造業、それでも中国へ 巨大市場なお魅力

経済規模の拡大で権勢を増す中国。世界の企業家はその存在を無視できないようだ。国際会計事務所のデロイトやKPMGが企業関係者を対象にした最近の調査でも「中国重要」のシグナルが発せられた。沖縄県・尖閣諸島問題で、反日リスクに身構える日本勢。「脱・中国」だけでは世界最大市場をみすみす逃すことになりかねない。

デロイトと米競争力委員会が年明けに公表した「世界製造業競争力指数」。世界のグローバル企業の552人の経営者に製造インフラとしての各国・地域の競争力を評価してもらい、指数化した。1位はやはりと言うべきか、今なお「世界の工場」である中国だった。

注目すべきは、5年後の予想。日本では人件費の上昇や従業員の権利意識の高まりなどで、製造業の進出先として必ずしも有望でないという見方もある。それでも今回の調査では、中国が5年後も引き続き競争力1位の座を守るとの結果が出た。

(後略)

2013年3月18日日経2
(以上で記事は終わり)

上記2つは同じ日経新聞の記事ですが、並べて読んでみるとなかなか興味深いです。

3月18日の記事では「日本の中小製造業は、中国の人件費上昇や技術流出の懸念や反日感情のリスクなどの観点から、他のアジア新興国への工場移転を検討し始めた」という内容となっています。

一方、2月7日の記事は「米国の調査機関によると5年後の世界各国製造業の競争力は依然中国が首位を保つだろう。なぜならば世界の企業家が中国に熱視線を注ぐのはそこに市場があるからだ。KPMGは18年までに、BRICsの新車販売台数が世界全体の半分近くを占めると予測する。『売れる市場でモノを作る』。製造業の鉄則を踏まえれば、対中投資を積極化するのは当然の判断だ」とあります。

反日や中国経済の成長率鈍化で、対中投資戦略を見直すのは企業としては当然でしょうが、日本勢にとってはライバルの海外企業が今も中国を重点投資先として見ている事実を軽視することはできないでしょう。

最後に、今回の論点とはちょっとずれますが、記事の中に「日本貿易振興機構(ジェトロ)によれば、中国内陸部の武漢(湖北省)の一般工員の賃金は月333ドル(約3万円)。月3千ドル弱の米国、月4千ドル近い日本を大幅に下回る」とあります。

経済超大国米国の工場労働者の賃金よりも日本のそれは3割も高いなんて、日本の賃金体系はいったいどうなっているのでしょうか?シャープが倒産の危機に追いやられているワケもわかるような気がします。

尖閣で中国が負った「深い傷」

2013.3.11 日経ビジネス 2013年3月11日号

外資の対中投資は減少が続く。人件費高騰に日本企業の投資減が追い打ちをかけた。日本製品ブランドへの消費者意識も回復は鈍く、投資を増やせる状況にはなっていない。中国が対日強硬姿勢を今後も続ければ、経済成長へ与える痛手は深刻になるだろう。

(中略)

四半期ベースの外資による対中直接投資は2011年第4四半期から5期連続で前年同月を下回った。中国商務省が2月20日に発表した今年1月も前年同月比7.3%減。このままでは6四半期連続マイナスとなる可能性は高い。

大きな要因は人件費の上昇だ。農村部の安価で豊富な労働力を沿岸部の工場に集め、「世界の工場」として発展してきた。しかし、平均賃金は過去10年間で4倍以上になり、労働集約型製造業の採算は合わなくなった。独アディダスなどが工場閉鎖を決定。米アップルは米国への投資回帰を表明した。

それに追い打ちをかけたのが、昨秋まで外資投資を下支えし、増え続けてきた日本企業の投資減速だ。昨年9月に各地に広がり暴徒化した反日デモと、日本製品への不買運動が原因であることは言うまでもない。

今でも日本企業誘致を地元発展の牽引役にしたいと考え、誘致活動を続ける中国の年も多いが、デモ以降は日本企業が慎重になり、」投資減に歯止めが利かない。

日本企業の対中投資は今年1月、前年同月比2割減となり、外資全体の対中投資の減少を大きく上回った。今後さらに減るとの見方がある。

(後略)

2013年3月11日 日経ビジネス

(以上で記事終り)

日本から中国への直接投資が減少している理由には、上記に記載されている尖閣問題や中国の人件費上昇のほかにもいくつかあるようです。

急速に経済発展を遂げている東南アジア諸国は、外資への優遇政策をおこなっていますが、中国より低い人件費を武器に、日本を含む外国企業の誘致を強力に推し進めています。

特に中国・アセアン自由貿易協定(FTA)の締結により、2015年に中国とアセアン10か国との間で関税が撤廃されるようになります。

これにより、アセアン諸国が中国市場に商品を販売するする際のコストを大幅に引き下げることなるため、日本企業にとってはアセアン諸国での生産比率を高める大いなる動機づけとなります。

また、安倍内閣が円安政策を実施していることで、日本企業の対中投資コストが一段と上昇したということも原因のひとつでしょう。

しかし一方で、日本の対中投資減少が中国に大きな影響を与えることはないだろうとみる専門家もいるようです。

なぜならば、2012年の日本の対中投資額は73億ドルで、中国の国内総生産(GDP)の1,000分の1にも満たないからというのです。

さてさて、日経ビジネスが言うように「日本の直接投資が諸外国からの中国直接投資を下支え」しているので、日本が及び腰になればその影響は小さくない、のでしょうか?

それとも今や中国経済全体に占める日本からの直接投資額など取るに足りない額なのでしょうか?

私としては、前者であることを願ってやみません。

世界経済の減速と日中関係悪化が日本の翻訳業界へ与える影響

2012年10月9日 日経新聞夕刊

IMFのブランシャール経済顧問は9日の記者会見で「世界経済は回復を続けているが回復力は弱まっている」と述べ、先行きに懸念を表明した。減速の要因としては「財政再建が需要を減らしているほか、欧州を中心に金融システムが不安定だ」と指摘した。

IMFが世界経済の見方を厳しくした理由は欧州危機だ。欧州では「低成長が銀行経営の悪化を招き、融資の基準が厳しくなっている」(ブランシャール氏)。イタリアとスペインは12~13年がともにマイナス成長で、ドイツも13年の成長率を大きく引き下げた。

けん引役だった新興国の高成長も息切れしている。12年の中国の成長率は7.8%と、7月よりも0.2ポイント下げた。中国政府が雇用を確保するために必要としてきた8%を割り込むとみて、同国経済に懸念を強めている。新興・途上国全体では12年に5.3%と、11年の6.2%と比べると減速する。先進国の需要減が新興国に波及しており、インドやブラジルは大きく下方修正した。

先進国では米国について、底堅い個人消費や株価の上昇などを背景に12年の成長率をわずかながら上方修正した。ただ、減税の失効や歳出削減が始まる年明けの「財政の崖」をめぐり、「危険性を取り除かなければ、米経済は再び後退局面に入り、世界に悪影響を及ぼす可能性がある」との懸念を示した。輸出がさえない日本も、12年の成長率は2.2%と、7月から0.2ポイントの下方修正になった。

IMFは13年について見通しを下方修正したが、各国経済が緩やかに回復するとの道筋を描いている。

2012.10.09 日経

(以上で日経新聞の記事終わり)

下記のグラフは、環日本海経済交流センターのサイトからの引用
http://www.near21.jp/kan/data/trade/trade2/jcnew.htm

2011年対中貿易構成比

・・・・(記事の転載ここまで)

世界経済の減速懸念に加え、日本の場合は「尖閣問題」による日中関係の悪化があるため、景気の先行きにますます不安が募ります。

日本にとって輸出も輸入も最大の貿易相手国である中国との関係悪化が長引けば、日本の翻訳業界にも深刻な打撃をあたえかねません。

なぜならば「うちの会社は中国語の翻訳は取り扱っていないから関係ない」と単純に言い切れない事情があるからです。

上のグラフのうち、日本が中国から輸入している品目に注目してみてください。

① 電気機器(通信機、音響映像機器、重電機器、半導体等電子部品など)

② 一般機械(コンピューターおよび周辺機器など)

③ 原料別製品(金属製品、織物用糸・繊維製品、鉄鋼、非鉄金属など)

④ 食糧品(魚介類、肉類、野菜など)

⑤ 化学製品(有機化合物、医薬品)

⑥ その他(衣類・衣類付属品、科学光学機器、家具、バッグ類など)

どうでしょうか?

戦後長い間続いていた、「発展途上国から天然資源を輸入し、日本国内で加工した製品を輸出して儲ける」という貿易構造とまったく異なることに気がつきます。

ここ数十年の間、日本の製造業は安い人件費を求めて中国に進出し、工場を建て製品ないしは半製品を中国で製造して日本へ輸出していたのです。

中国から日本への輸出品(日本からみれば輸入品)は、日本国内で消費されるばかりでなく、さらに加工され日本から海外へ再度輸出されるケースも多いわけです。

中国からの部品や半製品の輸入が滞れば日本の製造業への影響は測り知れないものがあります。

「世界の工場」中国で安く生産された部品や半製品を輸入し、自国内で加工して世界市場へ売りに出すグローバル化の時代に、日本だけが自国内だけで全てを製造するなどあり得ないからです。

日本の場合、輸出額が減れば経済力が落ち、早晩輸入額も減り国の経済全体に多大なる影響を与えます。

1982年に3か月間にわたり続いたイギリスとアルゼンチンの戦争「フォーランド紛争」は、イギリスによる空爆とアルゼンチン大統領及び陸軍総司令官の失脚により一応の決着をみました。

しかし今回の「尖閣問題」で日中間に武力衝突でも起これば、対立はますます悪化するだけで、解決するなど決してありえないでしょう。

日中関係がこじれれば、両国経済にとって甚大な被害がでるばかりでなく、「漁夫の利」を得る欧米企業や韓国企業がほくそ笑むだけです。

現に今回の問題で中国国内における日本車の販売台数は急減し、ドイツ車や韓国車が大幅に売り上げを伸ばしているそうです。

日本は、過去2回のオイルショックを圧倒的な省エネ技術の開発により乗り越えてきました。今回も技術力と研究開発力で乗り越えて行ってほしいと願っていますが、やはりそれだけでは少し心もとない、正直言って心配です。

やはりここは米国を動かし政治決着をつけてもらう以外に方法はないでしょう。もちろん日本はそれなりに米国に対し「代償」を支払わねばなりません。

3年前鳩山首相が “Trust me” と発言して以来こじれてしまった日米関係を一刻も早く修復し、アメリカ主導による日中間の関係回復へ向け早く動き出してもらいたいものです。

アジア輸出 黒字化を左右 貿易赤字1月過去最大 中国向け2割減 燃料輸入は高水準続く

2012年2月21日 日本経済新聞朝刊より

財務省が20日発表した1月の貿易統計速報(通関ベース)で、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支の赤字が1兆4750億円と単月で過去最大となったのは、アジア向け輸出が前年比13.7%減と大幅に落ち込んだことが大きい。昨年は2月だった中国、台湾などの春節(旧正月)が今年は1月だったことに加え、欧州危機のアジア経済への波及が進んだ。原子力発電所の停止でエネルギーの輸入が引き続き高水準になるのは確実なだけに、貿易収支の先行きはアジア向け輸出がカギを握ることになりそうだ。

2012.02.21日経1

2012.02.21日経2

(以上で日経新聞の記事は終わり)

2012年2月21日 朝日新聞朝刊より

貿易赤字はこのまま定着するのか。例年は2月が多い中国の旧正月が今年は1月で、工場の稼働日数が少なかった事情もあり、「過去最大の赤字は、一時的現象」(農林中金総合研究所の南武志・主任研究員)との見方が多い。

だが、第一生命経済研究所の永浜利広主席エコノミストは、「企業の海外進出が進み、たとえ世界景気が回復しても、輸出額が過去の水準に戻るのは難しい」と指摘。

核開発疑惑があるイランに対する先進国の禁輸措置で原油やLNGの価格がさらに上がり、貿易赤字が拡大するリスクもある。

これまで日本は、貿易収支と所得収支の二本柱で経常黒字を稼いできたが、1月の経常収支は2009年1月以来、3年ぶりに赤字になる見通し。巨額の貿易赤字が続けば、経常赤字が恒常化するおそれもある。

2012.02.21 朝日

(以上で朝日新聞の記事は終わり)

内閣府は「日本は貿易赤字が定着したとは言い難い」(日経新聞)と指摘しています。

また、日銀の白川総裁も「一時的な要因で、定着するとは見ていない」(日経新聞)との見方を示しています。

本当にそうであればよいのですが・・・。

中国以外のアジア諸国への貿易収支は今のところ黒字となっていますが、実は日本が輸出した先のアジア諸国は、その部品を使って中国へ再輸出してお金を稼いでいるのです。

したがって中国経済が失速すれば、アジア経済全体が失速し、日本も多大な影響を受けるのです。

日本の経常収支が赤字定着するようにでもなれば、高騰する資源を輸入するお金はもう日本にはありません。

油もガスも食料も買えなくなった日本を想像したくはありません。

いまこそ日本の次世代のドル箱商品を官民挙げて研究開発していってもらいたいものです。

上海港世界一 コンテナ量、日本の総量超す

2011.8.30 朝日新聞朝刊

上海港が急拡大している。中国経済が好調なことから、コンテナ取扱量はこの6年で倍増。2010年はシンガポールを抜き、貨物取扱量とともに世界一となった。今年上半期も10%以上、伸びており、上海港だけで日本全体のコンテナ取扱量を上回っている。(中略)

中国政府は、2020年までに上海を金融だけでなく海運でも国際的なセンターにする計画で、国のバックアップも大きい。同港の邵小平税関長は「中国は内陸部の市場も大きく、他国の港と需要の規模が違う。今後は国際的ハブ港として貨物の中継機能も強化する」と語った。
(以上で記事終わり)

2011.8.30 朝日1

2011.8.30 朝日2
<上海の沖合に造られた洋山深水港。こうした岸壁が5.6キロにわたって続いている(朝日新聞記事より)>

・・・・(記事の転載ここまで)

長期的視野で将来を見据え、壮大なスケールの国家戦略をスピーディーに実行に移す中国政府の実行力には今更ながら驚かされます。

国際物流の世界は、規格化された「巨大な箱」コンテナの普及で輸送スピードが格段に向上し、コストが劇的に下がりました。これがグローバル化とあいまって世界の物流量を飛躍的に増やす起爆剤にもなりました。最も恩恵を受けたのがアジアの国々です。

確かに急速に経済発展する巨大国家中国ですから、その港も一緒に発展していく、ということには納得がいきます。しかし、発展するアジアの港の中にシンガポールや韓国の釜山港が入り、日本の港がまったく入っていないとは一体どういうことなのでしょうか?

日本の観光客が韓国の空港を国際ハブ空港として利用するように、最近では日本の荷主が地方港からのコンテナを韓国の釜山港で国際航路に積み替えるケースも増えてきました。

なにしろ釜山港の荷役料などは日本より3~4割安い。低料金を背景に、運営会社が日本の自治体や荷主に売り込んできているのです。

365日24時間稼動の釜山港は、コンテナの集荷数で世界第5位となりました。

岸壁には5000~7000本のコンテナを積んだ大型船がズラリと並び、その取り扱い量は日本の主要5港の全ての取扱量を足したものよりも多いのです。

韓国政府は、1990年代後半より、周辺の港から積荷を集めて大型船に積み替える「ハブ港」としての役割を釜山港に求め、莫大な設備投資を集中させてきました。そのおかげで大きく発展し、両隣の中国や日本のほか、アメリカやヨーロッパへも運航しているのです。

それに比べ日本は、どこを日本の「ハブ港」にするかで、政官財および各港の権益者たちのあいだで内輪もめをするだけで、結局なにも決められずにここまで来ました。

阪神大震災の後、神戸港の復興を急ぐため、とにかく迅速に現状復帰がなされました。迅速な対応は、それはそれでよかったのですが、もしあのとき長期的視野を持った政治的リーダーが現れ、「神戸港に超大型コンテナ船を横付けできる岸壁」を建造していたら、現在の神戸港も大きく変わっていたことでしょう。

日本の港がこのまま地盤沈下すれば、日本経済や雇用にとっての悪影響が心配されます。電機メーカーなどはアジア各国の拠点との間で部品や半製品を大量に融通しあっているのです。

物流コストや在庫期間は競争力を左右します。港が高コストで使いにくければ、生産を海外に移す要因ともなります。

産業の空洞化を防ぐためにも、日本の港も運営会社の民営化や統合、効率化を進め、荷役料の引き下げや24時間運用などのサービス向上に一刻も早く取り掛かるべきです。

世界貿易額 昨年22%増 対外直接投資 中国、日本抜き6位

2011.08.12 日本経済新聞朝刊より

日本貿易振興機構(ジェトロ)は11日、2010年の世界の貿易額が前年比22.2%増の15兆495億ドル(1,150兆7,500億円、名目輸出)だったと発表した。リーマン・ショックによる落ち込みの反動などを背景に過去30年間で2番目の伸び率となった。けん引役は中国で、対外直接投資でも初めて日本を抜き、世界貿易での中国の存在感が一段と増している。

(以上、記事終わり)

2011.0812 日経新聞1

2011.0812 日経新聞2

輸出額で中国はすでに日本の2倍以上の規模になっているのですが、加えて対外直接投資でも日本を抜き去り、世界経済への影響力を高めています。

しかし、本日の中央日報の記事によると、中国人の7割弱、日本人の8割弱がそれぞれの相手国に良くない印象を持っていて、2005年の同調査以来、相手国への嫌悪度は最も高くなっているとのことです。

日本人が中国に良くない印象を持つ理由として、昨年9月の尖閣諸島沖での中国政府の対応を挙げる回答者が65%と最も多かったようです。

一方、中国人はどうかというと、歴史問題や福島第1原発事故後の日本政府の対応や尖閣問題などに強い不満を持っているとのことです。

また日中ともに、両国関係の発展を妨げる重要問題として、6割の人が領土問題を挙げています。

強まる中国の経済力・軍事力、高まる両国民の相手国への不信感・嫌悪感、そして解決不可能とも思える領土問題。

なんとか両国間の深い経済交流と文化交流により解決できるようにしたいものです。そのためにも両国の翻訳業界は少なからず貢献できると信じています。

中国、大豆輸入10年で5倍

2010.8.24 日本経済新聞

中国の大豆輸入量は1999年度に1,000万トンを超え、当時最大の輸入国だった日本を追い抜いた。それから10年。2009年度輸入量は1999年度の4.9倍。主な供給国は米国、ブラジル、アルゼンチンだ。(後略)

(以上記事終わり)

2010.8.24 日経新聞
<日経新聞朝刊より>

・・・・(記事の転載ここまで)

上のグラフは中国と日本の大豆の輸入量を比較したものですが、現在中国はものすごい勢いでトウモロコシも輸入し始めています。数年内には現在世界最大のトウモロコシ輸入国である日本の1,600万トンを抜いて、中国が世界第一位のトウモロコシ輸入国になるのはもう確実でしょう。

また、中国が米国から輸入している大豆のほとんどは、遺伝子組み換え大豆だそうですが、逆に日本はしょうゆや豆腐の原料としては、ほとんどが遺伝子組み換えでない大豆を輸入しています。だから日本には影響は少ないのかというと、大間違いで、今後大豆にしてもトウモロコシにしても国際相場そのものが当然のことながら急上昇していくので、日本へも大きな影響が出てくることは必至でしょう。

「毒入り餃子」や「農薬漬けの野菜」など中国から輸入される食品は危ない、というイメージがやっと定着してきた日本ではありますが、「中国の食品なんか買ってあげない」といつまで言っていられるのでしょうか?食糧危機になったときに、頼んでも「日本になんか食料を売ってやるもんか」とならないことをただただ祈るばかりです。

一方で実は日本は1ヘクタールあたりの農薬使用量は米国の8倍で世界最悪というOECDの報告もあれば、いやそんな数値は意味がないという反論もあり、どちらが正しいのかよくわかりませんが、日本に食糧危機の影が静かに近づいてきているということだけは確かなようです。

農林水産省は、おいしい日本の食品をもっと積極的に海外へ輸出するべく「輸出促進対策」を打ち出していますし、優秀な日本の農作機械ももっと積極的に海外へ輸出していこうと画策しているようです。従って翻訳業界としてはそこら辺に新たなビジネスチャンスあり、と見ていいわけですが、しかし人間は、「腹が減っては戦はできない」のです。もっと根源的な食料自給率の向上のための政策を打ち出して欲しいと強く望みます。

中国人向けビザ緩和、すでに申請数が大幅増

2010年7月24日 Searchina

中国人向けビザ緩和、すでに申請数が大幅増、顕著な中国パワー

7月1日、中国人向け個人旅行ビザの発給条件緩和が行われたが、すでにビザの申請数が大幅に増加していることが明らかとなった。中国新聞社が報じた。

2010年7月29日 Searchina

中国人観光客急増で、日本の百貨店が留学生を緊急採用

日本の大手百貨店、東急百貨店はこのほど、8月9日から渋谷の店舗で中国人観光客を対象とした接客サービスを提供すると発表した。私立大学の亜細亜大学に通う約50人の中国人留学生から応募があり、東急百貨店は中国語と英語ができ、熱心な留学生20人を採用する。

2010年7月28日 日本経済新聞

中国人客、成田で安心 TV電話で中国語サービス

個人観光ビザ(査証)の発給要件緩和による中国人観光客の増加を見越し、玄関口である成田空港でIT(情報技術)機器を使った受け入れ体制の強化が進んでいる。テレビ電話を通したスタッフによる中国語の案内、翻訳機能付きの携帯電話……。言葉の壁を越えて「十分なもてなしをする」(成田国際空港会社)のが狙いという。
(上記の記事の詳細はこちら

日本政府観光局(JNTO)の速報値によると、2010年1月から6月までの6ヶ月間の訪日外国人客数が420万人を超え、対前年比35.8%増となったもようです。その国別TOP4の内訳をみると、下記のようになっています。

1位 韓国 117万人(71.9%増)
2位 台湾 62万人(37.0%増)
3位 中国 70万人(47.4%増)
4位 香港 25万人(28.3%増)

しかも中国に対しては今年の7月1日からビザの発給条件が緩和されたわけですから更に観光客数が急増することは明らかです。

すでに中国の富裕層は銀座のデパートで高額商品を買いまくり、箱根や富士五湖などのリゾート観光地の別荘を買いあさっているそうです。

ヨーロッパ諸国は、かつて世界の海を制覇したその栄華を新大陸のアメリカに奪われ、老大国となっていったわけですが、歴史や歴史的遺産を非常に大事にする彼らは、観光大国として復活し、現在もまだ豊かな生活を維持しています。

現在日本政府も「観光立国」となるべく観光業の促進に力を注いでいるようですが、はたしてどうなるのでしょうか。歴史や伝統を軽視する日本人気質からいって、観光客にとって魅力あるハードやソフトを作れるのかどうかが疑問です。

また良くも悪くも宗教的観念の薄い国民性なので、バルセロナのサグラダファミリアのような歴史的建造物の建設を百年、二百年もの間じっと見守るなどという離れ業ができるとはとても思えません。

しかし、日本人特有のきめの細かいサービスはやはり世界に誇れる文化なので、「歴史」を売りものにするのではなく、「新文化のサービス」を売りものにして急増するアジアの観光客を日本ファンにしていくことが重要でしょう。

そのためにもわが翻訳業界は間違いなく大きな貢献ができるはずです。

日中韓連携 電子図書館

2010.5.12 朝日新聞朝刊

2010.5.12 朝日

この記事の文面からすると書籍を「電子化する」の意味が、過去の紙の書物をスキャナーで読み込んで電子化するのか、あるいはOCRで読み込んでテキスト入力するのかは不明です。後者であれば膨大な量の入力作業が発生するでしょう。

そういえば10年ほど前にそのような書籍のテキスト入力の仕事が膨大に発生していると、あるDTP専門会社の人から聞いたことがあります。現在はどうなっているのでしょうか。いずれにしても自動翻訳するためには、最低限書籍のタイトルだけはテキスト入力されている必要があります。

しかし、仮にタイトルが翻訳ソフトで正しく翻訳されたとしても、目的の書籍を検索した人は、その書籍の中身が原文のままであれば理解はできないはずです。逆に理解できるほどの語学力を持つ人であれば、自分でキーワードを入力して、自力で検索するでしょう。

となると何のための「翻訳機能」なのでしょうか?「いずれは本文も自動翻訳して各国語で読めるようにしたい」ということですが、そのためには前述のとおり、まずは本文の全てをテキスト化する必要があるため、膨大な時間とコストがかかります。しかし仮にそれをやったとしてもコンピューターによる「自動翻訳」であれば、現実的には実用レベルに達するまでにかなりの時間を要することになるでしょう。というより本当にできるのでしょうか?

一つ考えられることはまず必要のありそうな書籍を検索してから自動翻訳し、なんとなく興味がありそうなものだけを改めて人間に翻訳をしてもらう、という使い方です。

ただそれも明治・大正期の書籍にどれほどの需要があるのか疑問です。要するに結論としては「無駄に税金を使わないで欲しい」ということだけです。

中国、輸出世界一が確定

2010年2月10日 日本経済新聞

中国の輸出額が2003年から2008年まで首位だったドイツを抜き、初めて世界一になったことが確定した。(中略)2008年はドイツ、中国、アメリカ、日本、オランダの順だった。(中略)胡錦涛国家主席は最近の演説で「経済成長の方式を投資・輸出主導から、消費を含めた調和のとれたものに転換する必要がある」と強調。内需拡大をマクロ経済政策の最重要課題に掲げた。

2010.2.10中国輸出

・・・・(記事の転載ここまで)

「いよいよ」と言うか「やっぱり」と言うか、中国が輸出額で世界一に躍り出ました。しばらくすると今度は「中国のGDPが日本を抜いて世界第2位の経済大国になった」という記事で賑わうことになるでしょう。

十数年前ですが、日本のある経済の専門家がこう言っていました。「中国は共産主義国家なので、経済政策も計画経済しか経験したことがないため、資本主義に精通した専門家がほとんどいない。中国政府は日本から経済の専門家を招いて盛んに資本主義の勉強をしているが、人材育成には時間がかかるので、中国経済は近いうちに破綻するだろう・・・・」

ところがどうでしょうか?

リーマンショックのあと、中国中央政府はいち早く景気対策として総額4兆元(約57.5兆円)の財政出動を決定しました。そして世界に先駆けて景気回復を実現し、いまだに高い成長率を保持しています。

それに比べて日本はどうでしょうか?

政治の混乱とともに有効な経済対策を打つこともできず、先進諸国の中でも最悪の経済状況に陥っています。中国は共産党一党独裁のため、決断が早く思い切った手を打てる、という政治面でのメリットを最大限に活かしているでしょうが、それにしても日本の経済の専門家というのは一体どうなっているのでしょうか?中国から経済政策の教えを請うたほうがいいのではないか、と皮肉も言いたくなります。

さて、下記のグラフは帝国データバンクの「TDB景気白書」の中にある「日本の輸出依存度と名目輸出金額」のグラフです。1980年から2008年までは内閣府の「国民経済計算」のデータで、2009年以降は帝国データバンクの予測です。

それによると日本の輸出は「2010年度以降では平均して+4.4%の安定的な伸びを示すと予測される」そうです。TDBの予測どおり輸出が安定した伸びを見せれば、当然輸入も増えてくるので、翻訳業界にとっても悪くはないはずです。

2010.2.10輸出依存度

世界で最も話されている言語、中国語

2008.6.23 中国情報局

世界各国で話されている言語は大きく分けると、およそ100言語ほどだと言われている。最も多くの国で使用されている言語(公用語、準公用語を含む)は英語であるが、最も多くの人が使用している言語は中国語である。第2言語として使用している人口も含めるとおよそ14億の人口を擁するといわれている中国語に迫る。

・・・・(記事の転載ここまで)

数十年前までは、世界で一番話されている言語は”スペイン語”だという説がありましたが、それはまだ中国が秘密のペールに覆われていた時代の話でしょう。現在において第一言語(母国語)として一番多く使われている言葉は、まちがいなく中国語でしょう。

中国の人口は公称13億で、そのほかにも戸籍に載っていない人の数が1億人以上いると言われています。また台湾は人口2,300万人ですが、世界各地の”華僑”の数は日本の人口を上回っているとさえ言われています。

ちなみに”Wikipedia”のデータによると、スペイン語の総話者数は、3億3000万人(第二言語話者を含めると4億1700万人) 、英語は母語として約3億8000万人(第二言語として約6億人、外国語として10億人以上)だそうです。

アメリカ合衆国の人口だけですでに3億人を突破していますから、英語を第二言語とする人達や、英語を学習する人達までをも含めれば、総数が20億人に達するという説には説得力があります。しかし、あくまでも”母国語”という観点で考えれば、やはり世界最多の話者数を持つ言語は中国語と言えるでしょう。

それでは、インターネットで使用されている言語の比率はどのくらいなのでしょうか?
下記の表は、2004年 9月における言語毎のオンライン人口を示したものです。
(Wikipediaの 「インターネットにおける言語の使用」より。オリジナルデータは、”Global Reach”)

第1位 英語     32.5%
第2位 中国語    13.7%
第3位 スペイン語  19.0%
第4位 日本語     8.4%
第5位 ドイツ語    6.9%
第6位 その他    29.5%

2004年のデータでは、やはり英語が一番多いようです。しかし最近の新聞報道によると、「中国のネット利用者数はすでに米国を抜き世界一」と言われていますから、インターネットの世界でも中国語が英語を抜き「世界最多の言語」となる日も近いのかもしれません。

さて、ここで興味深いデータがあります。

世界中のブログで使われている言語は日本語が一番多い

というのです。日本語が37%で1位。英語は36%で2位。3位は中国語で8%。英語圏の有名ブログが日本語版を開設する理由はこのあたりにありそうです。ただしこれはブログ数ではなくて「記事の投稿数」なので、正確には「ブログ投稿数は日本語が世界で一番多い」ということになりますが。

それにしてもなぜでしょうか?私が想像するに、日本は携帯電話を使ってブログへ書き込みをする人たちがとても多いので、きっと1行、2行の簡単な書き込み数も含まれている、ということなのでしょうか。

さて、話は戻りますが、世界で最も話されている言語は中国語ですが、「中国語には沢山の方言があって、それぞれがまるで外国語のように違う、だから中国語を一つの言語と考えることはできない」とお考えの方もいるでしょう。

確かに中国語には多くの方言があり、なかでも5つから7つに分類される「大方言」があります。実際各方言の違いは著しく、同じ中国人同士でもまったく話が通じないというケースがあるようです。しかし、中国政府が普通話(標準語)による学校教育を普及させたため、現在ではほとんどの中国人が普通話を理解するそうです。つまり家庭内では方言を使いますが、学校や公の場では普通話を使うわけです。

また、現在、中国大陸と台湾・香港で使われている文字は異なります。基本的に大陸の新聞や雑誌などは「簡体字」を使います。一方、台湾・香港は「繁体字」を使います。1950年代の文字改革の時、使用頻度が高くかつ画数の多い517の漢字が選ばれ「簡体字」となりました。つまり繁体字を簡略化したものが簡体字なのです。それから半世紀以上の年月が経過した現在では、大陸の人達が台湾・香港の書籍を読むと多少の違和感を持ちます。また逆に台湾・香港の人たちが大陸の書籍を読む場合も同じです。しかし、多少違和感があってもなんとなく理解できるのは、漢字の不思議なところです。

ソフトバンク、中国ネット大手を傘下に・最大市場に攻勢

2008.4.30 NIKKEI NET

ソフトバンクは中国のインターネット大手、オーク・パシフィック・インタラクティブ(OPI、北京市)を傘下に収めることで同社と合意した。約400億円で株式の40%を取得、経営権を握る。急成長する中国ネット市場で携帯電話経由の情報提供など新サービスの拠点とする。中国のネット人口は今年、2億2000万人超と米国を抜き世界最大に浮上する。国内大手のミクシィや米グーグルなど米国勢も事業展開を加速しており、巨大市場を巡る攻防が激化する。

・・・・(記事の転載ここまで)

本日(2008年4月30日)の日経新聞紙媒体の1面トップはこの記事でしたが、例によってネット上に配布される記事は”無料”のため、詳細情報は載っていません。

したがって紙媒体からいくつかの情報を拾って下記に載せておきます。

1. OPIが運営するSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)「校内網」は、約2,200万会員を持ち、利用者数は日本国内最大手ミクシィの約1,300万人を上回る。

2. OPIの業績は非公開だが、毎月200万人が加入する巨大メディアに育っており、将来の株式上場をにらんで投資ファンドも出資している。

3. ソフトバンクは中国で約30%出資するアリババグループを通じ企業間電子商取引のシェア70%、消費者間競売サイトの80%を握る。OPIへの出資で主要なネット関連事業の布陣が整う。

4. 世界のネット大手はM&A(合併・買収)を加速している。

・ 今年3月には、米タイムワーナーのネット部門AOLが英SNS「ビーボ」買収を発表。
・ 米ニューズコーポレーションなどもSNS大手に出資している。
・ 米マイクロソフトが米ヤフーに買収提案をしている。
・ 米グーグルは中国のネット企業に出資するなどアジアへの攻勢を強めている。
・ 日本の大手SNSミクシィは、今春中国の上海に子会社を設立。
・ 日本のネット広告会社サイバーエージェントも中国のSNS「愛情公寓」の運営会社に出資している。

紙媒体からの情報は以上です。

さて、かねてより個人ユーザーが情報発信する際に用いる機器はPCからケータイへ、手段はブログからSNSへ移行すると言われていましたが、その動きが世界的な規模で始まっていると感じます。一般消費者をターゲットとした広告などは、益々その傾向を強めていくことでしょう。

私自身数年前からミクシィを始めましたが、確かに趣味や地域や出身校など限定された世界での情報交換や友達つくりにはとても役に立つ”社交場”だと感じます。

しかし、先日ミクシィ社長笠原健治氏の講演を聞いたところによると、ミクシィ加入者の73%が20歳代以下で、34歳まで含めると実に87.3%を占めるとのことでした。

現在においてはまだまだ若年層の”遊び道具”の域を出ていないのかもしれません。しかし、あの”ファミコン”も最初は”子供のおもちゃ”でしかなかったものが、今や世界を巻き込む一大産業に育っているわけですから、SNSも将来どう化けていくのかが楽しみです。

なによりも”言葉”を操る”遊び道具”ですから、当然そこには翻訳の需要も発生し、何らかの形で新しいビジネスチャンスが発生してくることでしょう。

さて、米国において最も人気の高いWebsiteは何でしょうか?
米国Hitwize社が調べた、訪問者数が最も多いサイト(2008年3月)の一覧が下記です。

当然第1位は、”Google”だと想像できますが、世界最大手のSNSである”MySpace”が堂々の第3位に位置し、第9位にも現在最も伸び盛りのSNS、”Facebook”がランクされています(わかりやすいように緑色の矢印をつけておきました)。

Top Website
http://www.hitwise.com/datacenter/rankings.php

また、同じくHitwiseからの資料ですが、米国SNSの上位10サイトのマーケットシェアを示したものが下記です。右端は「対前年比」ですが、既述の”Facebook”のほかに、”Club Penguin”や”myYearbook”なども現在急成長していることがよく分かります。

Top10 SNS
http://www.hitwise.com/press-center/hitwiseHS2004/social-networking-visits-in-2007.php

大雪と中国経済

最近の日本における中国関連のニュースは、”毒入りギョーザ”ばかりが注目され、同じくらい重要なニュースがあるのにもかかわらず、あまり熱心には報道されていません。

現在中国は2つの”憂鬱”を抱えています。ひとつは、サブプライムに揺れる米国経済、もうひとつは50年ぶりに中国を襲った大雪です。

米国は1600億ドル(18兆円)に上る財政出動の政策パッケージやFRBの大幅な利下げにより、深刻な経済危機を打開しようとしています。

米国は世界の消費市場の20%を占める、巨大な消費マーケットですが、特に中国から多くの製品を輸入しています。たとえば世界最大の小売業ウォルマートの商品の70%は中国からの輸入品だと言われています。

実は現在の中国は、日本以上に輸出に頼る経済構造になっています。2006年の日本の輸出依存度(財の輸出金額/名目GDP)は、14.8%ですが、中国は36.9%も占めているからです。

それともうひとつの問題が、この冬に中国中南部を襲った50年ぶりの大雪です。鉄道も飛行機もストップし、港湾では荷役が滞留、道路は大渋滞で、中国の発電の85%を占めるといわれる石炭の輸送ができず、在庫が底をつき、発電所の操業が停止され、大規模な停電が発生しました。

そのため野菜を初めとする食料品の価格が大暴騰しているのにもかかわらず、日本向け冷凍食品は、毒入りギョーザのおかげで完全にストップし、輸出価格は大暴落しています。

2月7日に始まった春節(旧正月)の帰省ラッシュも完全にストップしました。広東駅だけでも18万人が野宿を余儀なくされた、という報道もされています。

また、中国へ進出している日本企業も部品を調達できなくなったため、工場の操業停止を余儀なくされています。

このように中国経済の60%を占めるといわれる揚子江以南の地域が雪のため大混乱に陥り、今年1月中旬から2月上旬の経済活動の停止により、1-3月期の中国経済に大打撃を与える、と考えられています。

今年2月の上海証券取引所の株価は、昨年11月に比べて30%も大暴落しています。「今年8月の北京オリンピックまでは、なんとか持ちこたえる、大丈夫」という声もありますが、「はたして本当にそれまで持つのか?」という声も上がってきています。

現在、日本にとって最大の貿易相手国である中国とアメリカの経済に暗雲が漂い始めたということは、われわれ翻訳業界にとっても見過ごすことのできない”きざし”と言えます。

日本産牛肉やマグロ、中国で密輸入増加・上海の空港

2007.11.27 NIKKEI NET

中国・上海の空港で日本からの旅行客が不正に持ち込む日本産牛肉やマグロの摘発が増えている。上海出入境検査検疫局によると、今月3日と8日の摘発では牛肉とマグロの合計1490キロを押収、廃棄。輸入を禁じている日本産牛肉や品質基準が厳しいマグロなど中国内の高級食材人気を当て込んだ密輸の拡大を防ぐため、当局が水際対策を加速しているとみられる。

・・・・(記事の転載ここまで)

この記事によると、中国当局は日本産牛肉の密輸を特に深刻に受けとめているそうです。この5ヶ月間で、約3,500キロもの日本産牛肉の密輸が、上海の検疫局によって摘発されているからです。

日本では、中国産食品の安全性がこれだけ騒がれているのにもかかわらず、逆に中国では日本産食品の安全性を疑い、牛肉、まぐろ、りんご、その他多くの農産物に規制をかけています。

私が思うに、中国政府は日本の食品の安全性を疑っているのではなく、日本政府へのけん制と日本の農産物普及による自国農業の衰退を恐れているのでしょう。

なぜならば、こんなに規制(あるいは禁止)があるにもかかわらず、中国国内では日本産食物への需要が非常に強いからです。

日本国内においても高い和牛ですから、中国の物価を考えたら桁外れに高価な肉のはずです。ましてや密輸してまでも食べたいとなると、信じられないような価格で取引されているはずです。

前回のブログでも触れましたが、今夏、日本のおコメ24トンが試験的に中国へ輸出されました。2キロで3,000円(中国のおコメの20倍以上)という超高額にもかかわらず、富裕層があっという間に買いつくしてしまったそうです。

また、日本の静岡県産のメロンが現在上海の経済界で人気が高まっているそうです。1個2万円にもかかわらず、贈答用として珍重され、贈られてくるメロンの数によって、その人の経済界での力がわかる、というような新しい言葉も生まれてきているそうです。なんだか日本のバブル経済最盛期を彷彿させる出来事ではありますが。

それ以外にも、青森県産のりんご、”ふじ”は最近米国へも輸出されるようになり、米国産りんごの5倍から6倍の価格で、飛ぶように売れているそうです。事実、りんごの産地、弘前では、米国農務省動植物検疫官が常駐して”ふじ”の検疫をおこなっているそうです。

また、JA山形によると、現在山形県産の日本酒が台湾向けに急増しているそうです。特に日本酒を冷やして飲む、いわゆる”冷酒”の人気が急騰しているからです。

とにかく、今、日本の農業が”熱い”のです。

以下は農林水産省のHPからの情報です。

●農林水産物・食品の輸出は増加傾向にあり、2006年は3,739億円と5年前より5割増加。

●政府は、2013年までに輸出額を1兆円規模とすることを目標に、輸出促進ロゴマークの作成、総合的な輸出戦略の策定、海外での展示・商談会の開催等を実施。

●日本食、日本食材の魅力を広く効果的に伝えることを目的に「WASHOKU-Try Japan’s Good Food」事業を行っている。

●世界的なブームとなっている日本食の普及を一層推進するため、2007年3月に海外日本食レストラン推奨有識者会議から提言された「日本食レストラン推奨計画」の具体化に着手。

21世紀に最も成長する日本の輸出品は、日本の食品なのかもしれません。

<所得格差>各国で拡大「平等社会」の中国でも IMF分析

2007.10.10 毎日新聞

国際通貨基金(IMF)は9日、最新の世界経済見通しのうち分析部分を公表した。IMFはこの中で「所得の国内格差が過去20年間にわたり、ほとんどの国や地域で拡大してきた」と指摘した。技術進歩と金融のグローバル化が格差拡大の主因と分析し、格差是正に向けて、労働者が世界経済に適応した技能を身につけられるように教育や訓練を強化する改革が必要だとの認識を示した。

・・・・(記事の転載ここまで)

「IMF(国際通貨基金)の調査によると、ほぼ全世界にわたって所得格差が広がっている。しかしその中において、日本国内の格差は世界的に見ると極めて小さいことも明らかになった」と、この毎日新聞の記事は触れています。

この「世界的に見ると日本国内の格差はきわめて小さい」という報道をしたのは、私が調べた限りでは、この毎日新聞だけでした。

「他国に比べて日本の所得格差は広がっている」という結果であれば、日本のマスコミは大騒ぎしたでしょうが、”期待”に反して逆の結果が出てしまったため、ひっそり静かに報道された、という点が、いかにも日本のマスコミらしいと、改めて感じました。

さて、問題は「IMFが分析した世界の所得格差の主因」です。

かねてより私が指摘してきたとおり、「技術進歩と金融のグローバル化」だと指摘しています。

その詳細についてはどこにも触れていないので、”私なりの解釈”で考えてみたいと思います。

まず「技術進歩」ですが、これはズバリ”過去20年間で、IT化に成功した企業か否か”につきると言っても過言ではないでしょう。

”IT”はほとんど全ての業界に影響を与えていますが、流通業を例にとれば、日本ではセブンイレブン、米国ではウォルマートがその顕著な例と言えます。

米国で始まった”POSシステム(Point of Sales System、販売時点情報管理システム)”をさらに強化・実用化したのが、日本のセブンイレブンでした。

当初、米国では、”従業員のレジの打ち間違い”や”レジのスピードアップ”を目的としてPOSを導入しました。

そのPOSを”情報の武器”として進化させたのが、日本のセブンイレブンでした。やがて日本のセブンイレブンは、本家である米国のセブンイレブンを買収することになります。

日本で進化したPOSは、再び海をわたり、世界最大の小売業ウォルマートは、徹底した情報管理により、今やメーカーまでをも、その支配下においてしまった話はあまりにも有名です(この件の詳細については、4月18日に私が書いたブログをご参照ください)。

さて、もう一つの原因「金融のグローバル化」ですが、私はこれも、世界の証券マーケットがIT化”されたことにより、資金調達がより円滑化されたため、と解釈しています。

短期間に大量の資金を集め、ライバル企業を合併・買収し、世界での拠点を広め、そのとき一番儲かる地域に重点投資をする。かつ、大量の資金を使って、さらなる”IT投資”を進め、”寡占化”、”独占化”をより強烈に推し進めていく。

経済のグローバル化に、”翻訳”が不可欠であることは、言うまでもありませんが、そのグローバル化が、世界中の所得格差を助長してしまっているわけです。

しかし、残念ながら、この流れはもう誰にも止められません。”格差の是正”については、途上国への援助等、違う形で行っていくほかありません。

19世紀、20世紀に繰り返された人類の愚かな歴史、”植民地支配と戦争”よりは、まだマシだ、と後ろ向きに肯定せざるを得ないからです。

世界貿易4年連続2けた増…中国、機械で日本抜く

2007.8.9 FujiSankei Business i.

日本貿易振興機構(ジェトロ)が8日発表した「2007年版貿易投資白書」によると、2006年の世界貿易額(輸出ベース)は推計で、前年比15.4%増の11兆8,742億ドル(約1,401兆1,556億円)と4年連続の2けた成長になった。

機械輸出

・・・・(記事の転載ここまで)

中国ではパソコンや通信機器などの輸出が伸び(27.2%増)、機械機器輸出の世界シェアで、初めて日本を抜き、ドイツ、米国に次ぐ第3位に浮上した、とのことです。

いずれにせよ、世界貿易額(輸出ベース)が推計で、前年比15.4%増ということですから、まさにグローバリゼーションが急速に進んでいる、というわけです。

また、IMF(国際通貨基金)の2007年4月の統計による世界全体の経済成長率は下記のようになっています。

2006年は、5.4%(実 績)
2007年は、4.9%(見通し)
2008年は、4.9%(見通し)

世界貿易が活発化することにより、各地の経済成長が促進されたのか、世界各地の経済成長が進んできたので、貿易が活発化しているのか、つまり「ニワトリが先か、タマゴが先か」はわかりませんが、とにかく相乗効果で、私たち人類は、人類史上未だかつてない、世界規模での高度経済成長を体験してきているわけです。

日本でも、大企業と中小企業の格差や都市部と地方の格差問題が叫ばれていますが、その原因は決して複雑なものだとは思いません。

答えは実に単純で「グローバリゼーション」・・・・・につきると私は考えます。

高度経済成長を続ける新興国にネットワークを持つ日本の大企業が、「バブル取引」により莫大な利益を上げ、過去4年から5年連続で、史上最高利益額を更新中です。そしてそれらの大企業と取引のある一部の企業も、同時に潤っている、と言うわけです。

ちまたでささやかれている、「2008年北京オリンピック後」や「2010年上海万博後」の「バブル崩壊」が実現しないことを祈っています。

しかし、この反動は、遅かれ早かれ、いずれ必ず訪れるでしょう。

対日輸出、99・8%が「合格」 中国検疫総局長、食品安全を強調

2007.7.21 FujiSankei Business i.

中国国家品質監督検査検疫総局の李長江局長は20日、中国の輸出食品の安全性に関して記者会見し、日本、欧州連合(EU)向け食品の安全検査合格率が99・8%などと数字を挙げ、「中国製食品の合格率、品質は不断に高まっている」と強調した。

・・・・(記事の転載ここまで)

”ダンボール入り肉まん”が”ねつ造報道”だったかどうかはともかくとしても、あの事件がきっかけとなって、今輸入食品の安全性が問われています。

実は輸入食品だけでなく、日本の”食”そのものが”怪しい”と、もう数十年も前から、さまざまな消費者団体は訴え続けているのです。

既にあの「偽装肉加工販売のミートホープ社」が「24年前から不正な表示や販売をしていた」と認めていますが、それはほんの氷山の一角に過ぎないでしょう。不二家も雪印も加ト吉も・・・・。

しかし、国内業者の話はひとまずさておいて、ここでは今話題になっている「輸入食品」の問題を考えてみます。

1.日本の食糧自給率林水産省のホームページより)
●穀物自給率
1960年 82% → 2004年 28%

●カロリーベースの総合食料自給率
1960年 79% → 2004年 40%

●品目別自給率
・米   1960年 102% → 2004年 95%
・いも類 1960年 100% → 2004年 83%
・大豆  1960年 28% → 2004年 3%
・野菜  1960年 100% → 2004年 80%
・果実  1960年 100% → 2004年 39%
・肉類  1960年 93% → 2004年 55%
・鶏卵  1960年 101% → 2004年 95%
・魚介類 1960年 110% → 2004年 60%

2. 輸入食品は安全なの?輸入食品を考えるより)
・ジャガイモの芽止め剤は1000倍に規制緩和された。不安の残る放射処理(コバルト60など)のものも出回り、後から調べようもない。

・アメリカでは牛肉へも放射線処理が許可。

・穀物などは防虫剤(レルダンなど)を直接ふり混ぜ、輸送され出荷され、そのまま加工食品(豆腐、納豆、味噌、醤油、パンなど)に使われてゆく。

・果物類はポストハーベスト(殺菌剤、防カビ剤)の王様! 真っ黄色でヘタだけは真っ青なレモンや、柑橘類にはOPP、TBZ、DP、イマザリル、2-4Dなどなど…

・ヘタを青く保つためだけに2-4D(枯葉剤)が使われている。

・リンゴ、ダークチェリーなども… 殺菌剤や防カビ剤のプールにつけられ、農薬のシャワーを浴び、しつこくポストハーベストされた上に、殺菌剤や防カビ剤入りのワックスをかけて、簡単には落ちないようにして出荷される…

・バナナも、ポストハーベストされ、輸送されてきたものをさらに青酸ガスで燻蒸し、倉庫で保存。追熟のためもう一度燻蒸して出荷される。

以上が「農林水産省」と「市民グループ」からの情報です。

肉類、酪農食品(牛乳、卵、乳製品等)は、想像より自給率が高いのですが、実は家畜に与える飼料のほとんどは輸入に頼っています。つまり輸入をストップされたら日本の酪農業の大部分は壊滅します。

以前私はいつも不思議に思っていたのですが、大豆の97%は輸入なのに、なぜかスーパーへ行くとほとんど全ての豆腐や納豆は「国産大豆使用」と表示されていました。

これも農林水産省が2006年6月27日に発表した「豆腐・納豆の原料大豆原産地表示に関するガイドライン」により、事態も少しずつ変化してきているようです。

しかし、朝日新聞の報道によると、日本の黒毛豚を外国で育て「国産黒毛豚」と表示したり、外国から輸入した豚を日本の養豚業者で数ヶ月間育て「国産黒毛豚」と表示している例があるそうです。

「国産」の定義をはっきりさせないと、日本の”種”の大豆を中国で栽培し、「国産大豆」と表示しかねません。

運悪く(われわれにとっては運良く)ミートホープや不二家や雪印が槍玉にあげられましたが、これが氷山の一角である以上、少なくとも日本国民は「食の安全に関する真実」を知る権利があるでしょう。

やはりここでもインターネットの情報が決定的に重要な役割を果たし、世の中を変えていくはずです。

「安さより優秀さ」 情報シス開発、中国シフト加速

2007.6.22 ITmedia News

かつては「安さ」から中国委託を進めてきた情シス各社だが、今や「優秀さ」がその理由になってきている。

企業や官公庁の情報システム構築を手がける国内メーカーが、中国のIT(情報技術)企業への開発委託(オフショア開発)を活発化させている。中国では技術者育成をはじめとするIT産業の土台が急速に整いつつあるからだ。かつてのような安い人件費を当て込んだ委託は影をひそめ、国内情報大手は優秀な人材確保に走る。業界ではインドやベトナムへの注目も高まっているが、各社は安定した開発委託が期待できる中国への依存度を強めている。

・・・・(記事の転載ここまで)

「安いからではなく、優秀な人材が集まるから中国でオフショア開発をする」とは、やはり驚きです。つい最近まで人件費の安さばかりが注目されていたからです。

実際、毎年行なわれる国際数学オリンピック(昨年度は90カ国が参加)では、過去12年のうち9回、中国がチャンピオンに輝いています。中国に優秀なソフトウェアエンジニアが多い、というのもうなずけます。

また、オフショア開発で常に大きな障害となる”言葉の問題”に関しても「大学で日本語を学んだ人材の採用を進めた結果、ほとんどの中国人社員が日本語を話せるようになった」とあります。やはり外国語の習得に関しては、日本人よりも中国人の方が早いようです。

ただし、新たな問題も発生しているようです。

「ネックは人件費の高騰だ。かつては日本の3分の1程度とされたが、中国での開発コストは日本の8割前後にまで高まったとされる。 そのため、ベトナムやインドなどに新たな委託先を探る動きも出ている」とあります。

2年前、私はJETROの「ベトナムITミッション」でベトナムへ行ったのですが、その時も、多くの日本企業がベトナムでのオフショア開発に熱い視線を向けている様子がよくわかりました。

労働コストは中国よりもインドのほうが高い、と聞いていますので、今後ベトナムに更なる注目が集まっていくかもしれません。

川崎重工、中国で最大級造船所・低価格船、韓国に対抗

2007.6.19 NIKKEI NET

川崎重工業は2010年稼働を目指し、中国海運最大手、中国遠洋運輸集団(COSCO)と共同で大連市に中国の造船業で最大級となる造船所を建設する。総投資額は約600億円で、ばら積み船などを建造する。世界的な需要拡大で日本の造船業界は約30年ぶりに国内の生産能力を増強するが、川重は国内では液化天然ガス(LNG)船など付加価値の高い生産に特化。低価格分野は製造コストが安い中国で生産する分業体制を構築し、世界シェアトップの韓国勢に対抗する。

・・・・(記事の転載ここまで)

昨日のこのブログのなかで「国内の製造業に設備不足感が出始めている」と書いたばかりですが、今日このような記事が出てきました。国内の設備に不足感が出れば、海外に生産を委託するか、あるいは合弁で海外に工場を建てるのが一番手っ取り早いわけですから。

また、同じくNIKKEI NETの昨日の記事の中に、「川重、ボーイング新型機の機体工場新設、川崎重工業は米ボーイングの次期中型旅客機『787』の機体工場を愛知県に新設する。約200億円を投じ、2008年末の稼働を目指す」とあります。

さらに、6月15日のNIKKEI NETの中に「川重、橋梁・水門事業からの撤退を正式発表、川崎重工業は15日、橋梁(きょうりょう)と水門事業からの撤退を決めたと正式発表した」とあります。

日本企業の激しいスクラップ&ビルドとグローバル化をまさに絵に描いたような展開が見られます。

ところで、昔英国人から聞いたジョークを思い出しました。

「製品が売れて売れて、生産が追いつかなくなったらどうするか?

日本人は残業しても追いつかなくなったら、休みを返上して大増産に乗り出すでしょう。

アメリカ人は値段を上げるでしょう。

ヨーロッパ人は納期を延ばすでしょう!」

これはバブルのころに聞いたジョークですが、現在のヨーロッパはあのころとはずいぶん違うようです。冷戦の終結で旧東ヨーロッパの国々が西側経済に乱入し、ちょうど日本と中国のような関係になっているからです。

全世界を巻き込んだ経済発展の流れに、日本も乗り遅れないようにしてもらいたいものです。

中国の貿易額、世界第2位の可能性も

2007.5.8 NNA

商務部関係者はこのほど、今年の中国の対外貿易総額が2兆1,000億米ドル(約250兆円)に達し、ドイツを抜いて世界第2位に浮上する可能性が高いとの予測を発表した。2010年には米国を抜いて世界1位になる可能性もあるとしており、予測通りに増加が続けば、貿易摩擦をめぐる論議が今後さらに加熱するのは必至。右肩上がりで増加を続ける貿易額の推移に改めて注目が集まりそうだ。

・・・・(記事の転載ここまで)

中国市場という「金脈」に世界中の企業が群がっています。まさに19世紀の米国のゴールドラッシュを思い起こさせます。

19世紀、多くの人々が「金」を求めて、カリフォルニアを目指しました。しかし、そのほとんどは「金脈」を見つけることはできず、また、運良く見つけても、強盗に襲われ身包み剥がされ、命までも失いました。

そして、その強盗もまた、金持ちが組織した軍隊に襲われ、身包み剥がされ、結局、ほんのわずかの金持ちグループだけが全ての金脈を独占したとのことです。

そんな折、「金」には目もくれず、「金」を探しに来た人々に盛んに「ジーンズ」を売りまくり、巨万の富を得た男がいました。リーバイスの創業者、リーバイ・ストラウスです。

私もまた、私自身が中国へ金脈を探しには行かずに、中国へ進出する企業へ、「翻訳という名のジーンズを売りたい」などと考えています。

はたして、21世紀のゴールドラッシュの行方はどうなるのでしょうか?

2006年中日貿易額が2000億ドルを突破、経済依存度の深化を示す

2007.4.4 北京週報

商務部の最新の統計によると、2006年の中日貿易高は総額2073億6000万ドルと、2000億ドル代に突入。中日貿易依存関係は日増しに深くなっていることがわかった。

中日貿易額は1972年には10億4000万ドルだったのが、2002年には1000億ドルを突破し、その後2000億ドルを越えるのにたった四年しかかかっていない。

・・・・(記事の転載ここまで)

2004年の貿易統計資料をみると、日本からみた最大の輸入相手国は中国で、最大の輸出相手国はアメリカでした。その時点においても台湾と香港との貿易額を加えれば、日本にとって最大の貿易相手国は、中国語圏でした。そこからさらに対中貿易額は急増を続けています。いったいどこまで伸び続けるのでしょうか?

しかも、3月30日のブログの中でもふれたように、日本企業が海外に設立した現地法人の売上額は、今や北米での売上額に迫り、かつアジア諸国の現地法人から得る利益額は、どこよりも多くなっているのです。

途上国から資源を輸入し加工して、欧米諸国へ輸出し、外貨を稼ぎ繁栄を謳歌した、という戦後の日本経済成長の仕組みが、すでに終わっている、ということがこの数字を見てもよくわかります。

ところで、貿易立国日本は、天然資源をほとんど持たない国ですが、持たないからこそ得をした、という説があります。

ペリーの黒船以降、欧米列強は日本に関心を示さず、中国その他のアジア諸国ばかりを競って植民地化しました。その最大の理由は、日本に天然資源がなかったから、とのことです。

さらに第二次世界大戦後、日本は世界で一番安く、一番良質の天然資源を世界各国から自由に輸入しました。石油、石炭、天然ガス、鉄鉱石、ボーキサイト、天然ゴム、等々、一番安い国から買えたのです。なぜでしょうか?それは、日本に資源にまつわる産業がほとんどなかったからです。なまじ中途半端な資源産業を持つ欧米諸国は、自国の産業をつぶさないため、安い原材料を自由に外国から輸入するわけにはいかなかった、というわけです。そのため日本は、コスト競争力で他国より優位に立てました。

膨大な天然資源と人口の両方をあわせ持つ、”大国”中国は今後どのような成長戦略を持つのでしょうか?

中国経済の行方は、われわれ日本人の生活を、大きく左右する存在にいつの間にかなっていたのです。

中国の電話契約、8億3000万件に

2007.3.5 中国情報局

中国情報産業省の最新統計によると、1月末まで、中国で電話を利用している家庭は8億3000万世帯に達し、そのうち、固定電話を利用している家庭は3億6800万世帯、携帯の利用者は4億6700万人となっている。

・・・・(記事の転載ここまで)

インターネットの普及が世界を変えたことは、誰もが知っている事実ですが、同様にケータイの普及が中国の政治・経済に大きく影響を及ぼしている、といういことはあまり知られていません。固定電話の普及のためには、巨額のインフラ整備が必要となります。しかし、ケータイのアンテナ設置には、そうお金はかかりません。またソーラー発電のアンテナが開発されたため、メンテナンスもほとんど必要ありません。こうやって中国奥地へとケータイが普及していきました。PCを買う金銭的余裕はなくても、ケータイならなんとか手が届くからです。

かつては、政府が発行する新聞「人民日報」や国営放送からしか情報を得られなかった地方の貧しい農民達が、ケータイを通じて情報を交換し始めました。もう政府による情報統制は抑制が効きません。どんどん経済の自由化の波が地方へも押し寄せていきます。もう市場経済の勢いは誰も止めることができません。あとは政治の自由化がいつ起こるかですが、それももはや時間の問題でしょう。

三菱重:アジアのエンジン事業拡大、中国でも再編

2007.3.2 中国情報局

三菱重工業は需要が堅調なアジア市場での高速の中大型ディーゼルエンジンのサービス事業を拡大する。そのため、シンガポールにアジア地域統括会社を設立。中国でも体制を再編し整備工場を確保する。投資額は約11億円で、アジア地域での同事業の売り上げを、3年後には現在の1.7倍の150億円規模に拡大することを目指す。

・・・・(記事の転載ここまで)

重電、鉄鋼、造船、海運、エネルギーなどの「重厚長大産業」は、一昔前まで、「過去の遺物」とか、「構造不況の象徴産業」などと言われ続けてきました。「これからは軽薄短小の時代だ」などと言われ、世の中から切り捨てられかけていた時代がウソのようです。

長い間の構造不況を勝ち抜いてきた日本の重厚長大産業は、徹底的なコスト削減運動により、超効率経営を生み出してきました。また超省エネ製法から産み出される技術は、やがて環境に一番やさしいエコロジー技術に変わり、それだけでも今や世界中から引っ張りだこの知的財産となっています。

それらの技術を持つ熟年技術者の貴重な技術が、安易な人減らしにより、アジア各国へ流出していると聞いています。政治に頼るのは嫌いですが、「ものづくり」大国日本の灯を消さないよう、行政側にも一役かってもらいたいものです。

特許の国際出願件数、韓国と中国が急増・昨年

2007.2.8 NIKKEI NET

世界知的所有権機関(WIPO)が7日発表した2006年の特許の国際出願件数(速報値)は前年比6.4%増の14万5300件となった。国別の件数では韓国と中国が急増し、それぞれ4位と8位に浮上。日本を含めた東アジアが世界の4分の1を占めた。WIPOは「世界の発明地図が変わりつつある」と指摘した。

日本は8.3%増の2万6906件で、03年以来米国に次ぐ2位を保っている。韓国は26.6%増の5935件、中国は56.8%増の3910件と急増した。韓国や中国の企業は、進出先や輸出先でも特許権を確保するため自国内だけの出願から、複数の国に一度に申請できる国際出願に切り替える傾向を強めている。

・・・・(記事の転載ここまで)

中国の国際特許出願件数が56.8%増とのことです。もちろん、結構なことではありますが、正直なところ、中国は他国の特許をとる前に、自国の知的財産管理にもっと力を入れて欲しいという気がします。

中国は、政治、軍事、経済、文化における世界の「大国」であるわけですが、いまだ、日本を含む世界各国からODA開発援助を受けている「発展途上国」でもあります。

ある意味この「発展途上国」という位置づけが、色々な点で事を難しくしています。

環境問題では、中国は「発展途上国」だからという理由で規制の対象外となっています。

ODAにより他国から多額の援助を受けながら、一方で多額の軍備にお金を使っています。

知的財産の問題でも、「発展途上国だから」という理由で、世界各国もあまり強くは突っ込めません。

国民一人当たりの収入はまだまだ「発展途上国」の域を超えていませんが、トータルの額では、すでに先進国の仲間入りをしています。確か中国のGDPは、イタリアを抜いたと最近報道されたはずです。

また一部の報道では、中国の富裕層は約3,000万人いて、日本の富裕層の数と変わらず、消費する金額も同等レベルと聞いています。

2010年中国ソフトウェア市場の販売額、1兆元に

2006.12.27 中国情報局

中国情報産業省は、2010年までに、中国国内のソフトウェア市場の販売額は1兆元の大台を突破すると予測している。2006年から2010年まで、中国のソフトウェアと情報サービス業の国内市場の販売額の増加率は約30%に達するという。

2006.12.27 ブログ写真

上記の写真は1999年に私が北京出張の際、北京の秋葉原と呼ばれる中関村で買った「Windows98」と「Office2000」の違法コピーです。両方あわせて確か日本円で250円くらいだったと思います。路地裏で刺青をしたお兄さん達が売っていたものを話の種に買ってみました。もちろん恐ろしいので私は使ったことはありませんし、使う必要もないのですが、それぞれ正規版は5万円くらいで売られていました。地元の人の話によると、北京市内にある外資系大手企業くらいしか正規版は購入しないとのことでした。まさにコピー天国だったわけですが、正規版とコピーとの間にこれだけ極端に金額の開きがあると、モラルの問題をはるかに超えて、一般庶民にはとうてい手が届かないはずです。今はあの頃よりもコピーに対する取締りがきつくなったと聞いていますが、はたしてどうなんでしょうか?そんな中で1兆元(約15兆円)ものソフトウェア産業が成り立つのでしょうか?とにかく全てにおいて、日本人の想像をはるかに超える、スケールの大きな国であることは間違いないようです。