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宮城峡蒸溜所

ニッカウヰスキー第2の蒸溜所

大学時代の友人と宮城県仙台市にあるニッカウヰスキー宮城峡蒸溜所を訪ねました。今までに私たちが訪ねたことのある日本国内のウイスキー蒸溜所としては、3件目となります。山梨県北杜市にあるサントリー白州蒸溜所、北海道余市郡にあるニッカウヰスキー余市蒸溜所、そして今回の宮城峡蒸溜所ということです。

蒸溜所のパンフレットには、下記のように記されていました。

「宮城峡蒸溜所は、創業者・竹鶴政孝が、ウイスキーづくりの集大成として建設した蒸溜所です。竹鶴が目指したのは、複数の蒸溜所で生まれた個性の異なる原酒をブレンドし、より芳醇なウイスキーをつくること。彼にとって、この地はさらなる理想への出発点だったのです

実際、蒸溜所の中に入り、豊かな自然とみごとに調和した建造物や手入れのゆきとどいた庭園をながめているとなぜか静寂さの中にも圧倒される荘厳さのようなものを感じました。それは蒸溜所内で働く人々の情熱が所内の隅々にまで行き渡っていたからなのでしょうか。

蒸溜所の入口にて

ロビーから見た蒸溜所の庭園(1)

ロビーから見た蒸溜所の庭園(2)

展示用ポットスティルの前にて

宮城峡蒸溜所MAP

モルトウイスキーの製造工程概略が説明されています

歴代のニッカウヰスキーの製品が展示されています

竹鶴政孝氏の息吹を感じる

蒸溜所内を案内してくれたガイドの方の話によると竹鶴政孝氏はこの蒸溜所を建設する際に次のような指示を与えたそうです。

  • 電信柱はすべて地中に埋めること
  • 伐採は必要最小限にすませること
  • 建物は自然に溶け込む赤レンガを使うこと
  • 地面の起伏はできるかぎりそのまま残すこと

竹鶴政孝氏の情熱の息吹が今も感じられる、そんな空気が蒸溜所全体に流れているような感じがしました。私たちもスコットランドのハイランド、ローランド、アイラ島などを訪ねたことがありますが、宮城峡蒸溜所の中にいるとまさにスコットランドの蒸溜所を彷彿とさせる雰囲気がありました。

豊かな自然に恵まれた蒸溜所です

蒸溜所内の風景

蒸溜所内の風景

蒸溜所内の風景

残念だったコロナ禍での訪問

今回残念だったことは、コロナ禍における訪問となったため、数多くの制限の中での見学となってしまったことです。

まず、下記のような有料セミナーはすべて休止となりました。

  • 宮城峡キーモルトテイスティングセミナー
  • マイブレンドセミナー180ml×2本コース
  • カクテルセミナー「仙台ハイボールを愉しもう!」
  • テイスティング&ブレンド体験
  • ニッカのウイスキーを知るセミナー

どれも私たちが好みそうな興味深いセミナーだったため、訪問した11月3日(祝日)にはセミナーが再開となっていることを願って行ったのですがダメでした。

宮城峡と余市のポットスティルの違いの説明を受けました

さらにもうひとつ残念だったことは、コロナとは関係なく現在ポットスティルのメンテナンス中ということで、ポットスティルの見学もできなかったことです。そのため上記のようなプレートを使って、宮城峡蒸溜所と余市蒸溜所のポットスティルの違いの説明を受けました。

貯蔵庫内

製樽・内面焼き(チャー)について

貯蔵庫内

もちろんガイドさんから「天使の分け前」の説明もありました!

有料試飲のバーにて

宮城峡蒸溜所では、ピートを使って麦芽の乾燥は行っていないとの説明がありました。しかし、宮城峡のシングルモルトを飲むとはっきりとアイラのピート香を感じます。そのためその点をガイドの女性に聞いてみると次のような返答がありました。

「ピートで乾燥した麦芽をスコットランドから輸入して使っています」・・・なるほどとひとつ疑問がとけました。

ところで、コロナ禍のため、所内のバーでの有料試飲は、おひとり様2杯までで時間も15分以内という厳しい制限がありました。私たちはおひとり様2杯ではとても足りません(笑)。

松島の牡蠣に宮城峡シングルモルト

松島産の牡蠣に宮城峡のシングルモルトウイスキーをかけて

私たちの宿泊地は松島でした。松島と言えば「牡蠣」。牡蠣と言えばシングルモルト!私たちは去年スコットランドのアイラ島を訪ね、アイラの牡蠣にBowmoreを垂らして食べる、究極のグルメを実践したのですが、今回はどこよりも美味しい松島の牡蠣に宮城峡のシングルモルトを垂らして食べるという贅沢をやってみました。とっても美味しかったです!!

ただやってみてわかったことですが、松島の牡蠣も宮城峡シングルモルトもそれぞれに舌鼓を打つ絶品なわけですが、合わせるとアイラの牡蠣にBowmoreほどのパンチがない。なぜかと考えたのですが、やはりピート香が足りないからだと感じました。

強烈な個性を持つアイラのピート香と好き嫌いがはっきりと分かれるクセのある生牡蠣とが織りなす微妙なハーモニーがミソだったんですね。

宮城峡を飲むとはっきりとピート香を感じますが、やはりBowmoreほど強烈にピートを使っていないので、わざわざ生牡蠣の個性と合わせる必要もないということなんでしょうね!

宮城峡蒸溜所でしか買えない貴重なキーモルトウイスキー

最後に宮城峡蒸溜所のお土産ショップで上記の「宮城峡キーモルトの3本セット」を買いました。もちろんこれらのキーモルトはこの宮城峡蒸溜所に来なければ買えません。それぞれアルコール度数が55度(通常の宮城峡は45度)ということで贅沢な原酒の違いを堪能できるので、自宅で少しずつ飲み比べをして楽しんでいます。

ミニチュアボトルセットを買って自宅で試飲

上記のキーモルト3本セットのほかにおまけで「ミニボトル5本セット」も購入してしまいました。「竹鶴」「余市」「宮城峡」この3本をテーブルに並べて飲み比べできるところがうれしいです。

いずれにしてもコロナ禍という禍の最中での蒸溜所訪問ではありましたが、十分に竹鶴政孝氏の息吹を感じることができ大満足の旅でした。

アイルランド(その2)

ギネス・ストアハウス

アイリッシュ・ウイスキーが世界5大ウイスキーのひとつであり、世界的に有名であることは間違いないのですが、アイルランドと言えばやはり「ギネスビール」ですね!

ちなみに麦芽(発芽した大麦・モルト)を醸造したのが「ビール」なら、麦芽を醸造して蒸溜したのが「ウイスキー」です。そのため両者ともアイルランドの大麦が原点という共通点があります。

ギネスビール創業者のアーサー・ギネスは、1759年にダブリンのセント・ジェームズ・ゲート醸造所を年間45ポンドで9,000年間賃貸するという契約を結びました。今から260年も前のことですから、まずはその歴史の長さに驚きます。

ギネスビールの醸造所(ダブリンのセント・ジェームズ・ゲート醸造所)

そして9,000年契約という正気の沙汰とは思えない年数にも驚かされますが、その後敷地を拡張する際に土地を買収したので、現在この賃貸契約は有効ではないとのことです。

醸造所の入口で記念撮影

ギネスビール醸造所(Guinness Brewery)は、ダブリン市街地に26ヘクタールという広大な敷地を持っていて、これはヨーロッパでも最大の規模だそうです。その敷地内にギネス・ストアハウス(Guinness Storehouse)という地上7階地下2階の建物があり、ギネスビールの歴史や製造工程の説明、歴代の広告、その他様々な展示やアイリッシュ・ダンスなどの催しが行われています。

7階の “GRAVITY BAR”

私たちが行ったときは土曜日でもあり、観光客で大変な混雑ぶりでしたが、入場料を払うとビール1杯無料券がついてくるので、中のレストランでランチを食べながら新鮮なドラフトギネスを堪能することができました。

ランチで食べたキッシュとドラフトギネス

ストアハウス内部

ストアハウス内部

醸造所前ではタクシー代わりに馬車が走ってました

ダブリンでは、1592年にイングランドのエリザベス1世によって創設されたトリニティ・カレッジ(Trinity College)やダブリン城(Dublin Castle)なども行きましたが、やはりダブリン一の繁華街であるテンプル・バー(Temple Bar)で友人たちと飲んだことが一番の思い出となりました。ダブリンは古きヨーロッパの街を彷彿とさせる雰囲気のある街でした。

アイルランド(その1)

アイリッシュ・ウイスキー博物館

私たちはスコットランドのアイラ島を後にして次なる目的地、アイルランドのダブリンへ向かいました。

まずはダブリン市街地にあるアイリッシュ・ウイスキー博物館(Irish Whisky Museum)を訪ね、アイリッシュ・ウイスキーの歴史とその製法や特徴の説明を受けました。

Irish whisky Museum 入口

ウイスキーの発祥の地が、アイルランドなのかスコットランドなのかの論争はいまだ決着がついていないようですが、「ウイスキー」という言葉が最初に文献上に登場したのはアイルランドだったようです。

こんな感じで説明を受けました

かつてアイリッシュ・ウイスキーは、世界のウイスキー生産量の6割を占めるウイスキー大国だったのですが、戦争、ジャガイモ飢饉、政変、アメリカの禁酒法などに翻弄された結果、1980年代には、ミドルトン蒸溜所(The Old Midleton Distillery)とブッシュミルズ蒸溜所(Old Bushmills Distillery)の2つにまで激減してしまいました。

いくつかの部屋をまわって説明を受けました

しかし、その2つの蒸溜所が上質なウイスキー造りを続けたことにより、近年アイリッシュ・ウイスキーの評価が見直され、現在では世界的ブームとなっています。そのため、かつて操業を停止した蒸溜所が次々に復活をとげ、現在では18の蒸溜所が操業し、さらに16の蒸溜所が今後新たに操業を開始する予定になっています。

テイスティングルーム

アイリッシュ・ウイスキーが人気のワケ

アイリッシュ・ウイスキーの最大の特徴はシングルポットスティルにあります。シングルポットスティルとは、大型のポットスティル(単式蒸留器)で3回蒸溜する製造方法のことです。

スコッチ・ウイスキーの場合、モルト・ウイスキーであれば通常2回蒸溜しますが、アイリッシュ・ウイスキーの場合は3回の蒸溜にこだわります。なぜならば、原材料に大麦麦芽、未発芽の大麦、オート麦、小麦、ライ麦などを使用するため、大麦麦芽(モルト)のみの場合よりもクセが強くなるからです。

この時、グレーン・ウイスキーのように連続式蒸溜器を使わずにあくまでも単式蒸溜器を3回使うところにアイリッシュ・ウイスキーのこだわりがあります。なぜならばそれによって、よりまろやかでより心地よい酒質が造れるからです。

テイスティングの説明を受けています

もうひとつアイリッシュ・ウイスキーがスコッチ・ウイスキーと大きく異なる点にピート使用の有無があります。スコッチ・ウイスキーはアイラモルトに代表されるようにピート香を前面に押し出した商品もあり、大部分のブレンデッド・ウイスキーに大なり小なり、ピートを使ったモルトがブレンドされています。

その点、アイリッシュ・ウイスキーの場合はほとんどがノン・ピートのウイスキーです。この辺はスコッチ・ウイスキーを意識したアイルランドの戦略なのかもしれません。ただし、例外としてカネマラ(Connemara)があります。このカネマラだけはアイリッシュ・ウイスキーの中では異色の存在なのですが、ピーテッド・シングルモルトとして人気も上昇中です。

いよいよお待ちかねのテイスティングタイムです

3種類のウイスキーをテイスティングしました

お土産で日本に持ち帰ったミニボトルも含め9種類ほど試飲しましたが、なるほどアイリッシュ・ウイスキーはどれも飲み心地がまろやかで軽快という印象でした。正直今まではスコッチやバーボンにばかり目がいってましたが、これからはもう少しアイリッシュに目を向けてみようと思っています。

<次回へ続く>

アイラ島(その2)

シングルモルト、シングルカスク、カスクストレングス

ウイスキーの話題になると必ずと言ってよいほど出てくる言葉に、シングルモルトがあります。この「モルト」は麦芽(通常は大麦)、「シングル」は「一つの蒸溜所」を意味します。

つまりシングルモルト(Single Malt)とは、「一つの蒸溜所で造られた麦芽を原料としたウイスキー」のことを意味します。したがって複数の蒸溜所で造られたモルトウイスキーをブレンドした場合は、シングルモルトとは呼びません。

また、シングルカスク(Single Cask)という言葉も聞いたことがあるかもしれません。「カスク」とは樽のことなので「一つの樽から取り出されてボトル詰めされたウイスキー」という意味になります。

さらにカスクストレングス(Cask Strength)という言葉も聞いたことがあるかもしれません。「ストレングス」とは強さ、つまりアルコール度数の強さを意味します。したがって樽から取り出したウイスキーに加水することなく、樽から出したままのアルコール度数でボトル詰めされたウイスキーということになります。

まさに「何も足さない、何も引かない」状態なので、通常50度~60度という高いアルコール度数になります。ウイスキーファンにとってはあこがれの「至極の一杯」となります。

シングルモルトのシングルカスクのカスクストレングスをボトル詰め(ラフロイグ蒸溜所)

さて、私たち大学時代の友人3人は「死ぬまでにできる限り多くの世界の蒸溜所と醸造所を訪ねてみたい」という共通の夢を持っています。その夢を叶えるべく遠路はるばるアイラ島までやってきて、あこがれのカスクストレングスのボトル詰めを実現しました。

蒸溜所の見学ツアーのあとお待ちかねのテイスティング・タイムとなるわけですが、その時はガイドの女性に倉庫の中へ案内され、3つのカスク(樽)をテイスティングさせてもらいました。

そして3つの中から自分の気に入ったウイスキーを選び、樽の中に巨大なスポイトのようなものを差し込んでコップに注ぎ、コップから所定のボトルへ移し替えるのです。

移し替えた LAPHROAIG のビンが下記の写真です。Cask No. 51、樽詰めされた年:2005年、アルコール度数:55.1%、容量:250ml、ボトルNo.22というように自分でタグに書き込みしました。現在自宅の自分の机の上に置いてあるのですが、時々あの時を思い出しながらチビリチビリとスモーキーな深いコクを楽しんでいます。

樽から直接ボトル詰めしたカスクストレングス ラフロイグ14年 アルコール度数55.1%

ブナハーブンのハンドフィルボトル

上記のラフロイグ(LAPHROAIG)蒸溜所では、樽から直接自分の手でボトル詰めしたわけですから、まさにそれはハンドフィルボトルということになります。しかし、直接自分の手で「ハンドフィル」しなくても、現地の蒸溜所限定で販売されているボトルのことを指す場合もあるようです。

いずれにせよ、わざわざ蒸溜所まで足を運んで、テイスティングしてから購入するような人たちが対象なので、かなり出来の良いカスク(樽)が厳選されていると聞いています。また、一つのカスクがなくなってから、別のカスクを空けるわけですから、蒸溜所へ行った人だけが、その時だけの限定品を買えるという魅力もあります。

さて、私たちはブナハーブン(BUNNAHABHAIN)でも蒸溜所の見学ツアーに参加し、最後に蒸溜所のショップで数種類のテイスティングをさせてもらい Hand-Filled Exclusive のボトルを購入しました。

私が購入したのは下記の2本です。ひとつは16年モノでアルコール度数が55.4%、もうひとつは12年モノでアルコール度数が60.4%です。

両者ともアルコール度数は高いのですが、口当たりの柔らかな飲みやすいモルトウイスキーです。なぜならブナハーブンはピート(泥炭)をほとんど炊かずに造られているため、アイラモルトの中では異色の存在で、スモーキーさは控えめでクセの少ない「最も飲みやすいアイラ」と言われているからです。

そう言った意味では、最初に紹介したラフロイグはピート香の強い、典型的なアイラモルトですが、対照的な存在としてブナハーブンがあり、その両方の「ハンドフィルボトル」を自宅で味わえるというのはとても幸せなことです。

カスクストレングス ブナハーブン16年 アルコール度数55.4%

カスクストレングス ブナハーブン12年 アルコール度数60.4%

アイラ島(その1)

遅い夏休みを利用して、大学時代の友人たちと3人でスコットランドのアイラ島とアイルランドのダブリンへ行きました。目的はもちろんウイスキーとギネスビールの本場を訪ねることです。

4年前にも3人でスコットランドのハイランド地方を訪ねたことがあるのですが、その時は聖地とも言えるアイラ島へ行くことができませんでした。

そのため今回のスコットランドの旅はアイラ島の蒸溜所だけを目的に向かいました。と言っても、東京⇒ロンドン⇒グラスゴー⇒アイラ島と3本の飛行機を乗り継ぐことになるので、やはりアイラは遠い場所です。

スコッチウイスキーの6つの地域

スコッチ・ウイスキーの生産地は、スペイサイド(Speyside)、ハイランド(Highland)、アイラ(Islay)、ローランド(Lowland)、キャンベルタウン(Campbeltown)、アイランド(Island)と言う6つの地域に区分けされています。そしてそれぞれの地域で、それぞれの特徴を活かしたウイスキーが造られています。

なかでもアイラのウイスキーは非常に個性的な特徴を持っています。潮風と独特なピート(Peat)の香りが造り出すスモーキーな味わいは実に強烈で「ヨード臭がする」とか「正露丸みたい」と敬遠する人も少なくありません。しかし、ひとたびその個性にはまってしまうと「やみつき」になってしまうほど、奥底に不思議な魅力を秘めています。

アイラ島は独特の自然を持つ島

川の水もピートの色をしています

なぜアイラのウイスキーはそんなにも個性的なのでしょうか?

その答えはアイラ島の気候風土そのものにあります。アイラに木はほとんどなく島全体が草原と岩に覆われているのですが、その草が潮風にあたりながら、また大昔の地層内に含まれる海藻などが何億年もの時を経てピートと呼ばれる泥炭(でいたん)に変化していきます。

泥炭とは石炭になる前のドロ状の炭のことで、乾かせば暖房などの燃料としても使うことができます。そしてアイラは島の多くがそのピートで出来ているのです。

ウイスキーには大麦麦芽を水につけ発芽させ、その後乾燥させるという工程があるのですが、アイラではその乾燥工程においてピートを使い煙で燻します。

したがって、アイラモルトのあの強烈で個性的な香りと風味は、ピートによる乾燥工程により生み出されているというわけです。

大麦の発芽床(ラフロイグ蒸溜所にて)

ピート炉の説明をしてくれるガイドの女性
(ラフロイグ蒸溜所にて)

アイラ島の9つの蒸溜所

アイラ島に9つある蒸溜所のすべてを訪問しました。

1. ボウモア(BOWMORE)
2. ブルックラディ(BRUICHLADDICH)
3. キルホーマン(KILCHOMAN)
4. アードナホー(ARDNAHOE)
5. ブナハーブン(BUNNAHABHAIN)
6. カリラ(CAOL ILA)
7. ラフロイグ(LAPHROAIG)
8. アードベッグ(ARDBEG)
9. ラガヴーリン(LAGAVULIN)

「9つの蒸溜所」と聞くと、「アイラ島の蒸溜所は8つでしょ?」と思う人もいるでしょうが、実は9つあるのです。今年の4月にオープンしたばかりの「アードナホー」という出来立てほやほやの蒸溜所も訪ねました。

蒸溜所の説明をしてくれたガイドの女性(ボウモア蒸溜所)

私が生まれた年(1957年)に造られたBOWMORE、確か1,200万円と記憶(ボウモア蒸溜所にて)

念願だったアイラ島で牡蠣にボウモア!(BOWMOREレストラン)

ブルックラディ蒸溜所にて

ンチでアイラエール(キルホーマン蒸溜所にて)

今年4月にオープンしたアードナホー蒸溜所は大樽の木がまだ若い

ポットスティル(ブナハーブン蒸溜所にて)

カリラ蒸溜所にて

地元のバーで4種類のシングルモルトを飲み比べ

ラフロイグ蒸溜所にて

ポットスティルの前で(ラフロイグ蒸溜所)

アードベッグ蒸溜所にて

5種類を試飲。なんと23年モノを飲ませてくれました(アードベッグ蒸溜所にて)

ラガヴーリン蒸溜所にて

<次回へ続く>

余市蒸溜所

今年(2018年)2月に大学時代の友人たちとニッカウヰスキー余市蒸溜所を訪ねました。彼らとシングルモルトの蒸溜所を訪ねるのは、スコットランドのDewar’s Aberfeldy 蒸溜所とGlengoyne 蒸溜所、山梨県北杜市にあるサントリー白州蒸溜所に続いて4度目となります。

私にとって北海道は29年ぶりだったので、余市のあと皆で小樽に泊り、翌日は「札幌雪祭り」を見学して帰ってきました。

さて、余市蒸溜所です。

ご存じドラマ「マッサン」のモデルとなった、ニッカウヰスキー創業者の竹鶴政孝とその妻リタが丹精込めて造り上げた至極の蒸溜所です。雪の余市蒸溜所は静寂な中にも豊かな自然の恵みを感じさせる穏やかな場所にありました。

余市蒸溜所正門の前にて

正門から入ったところ

リタハウス

貯蔵所内

1968(昭和43)年、日経新聞に連載された竹鶴政孝の「私の履歴書」によると「余市は積丹半島の入り口にある町で、余市川が日本海の石狩湾に流れる河口にあった。ニシンの漁場としても有名であったが、リンゴやぶどうの産地でもあり、北海道でも珍しく恵まれた土地であった。(中略)付近からピートがとれ、ウイスキーづくりにはうってつけの条件をそなえた場所であった。」とあります。

竹鶴政孝はスコットランドのハイランドにできるだけ近い自然環境の場所を探し、ここ余市にたどり着いたようです。一年を通じて寒冷かつ湿潤な気候の余市は樽熟成に欠かせない好条件を備えているのでしょう。

ポットスチルに火をくべていた

見学中に職人さんがポットスチルに火をくべるシーンを見ることができました。これはかなりラッキーなことです。

ウイスキー博物館内

ウイスキー博物館内

ウイスキー博物館内

ウイスキーが出来上がるまでの工程の説明やニッカウヰスキーの歴史、そして竹鶴政孝とリタの思い出の品々や写真などがたくさん展示されていて、とても興味深かったです。

3種類が無料で試飲できます

ウイスキー博物館見学の最後に3杯の無料試飲ができます。看板商品であるシングルモルトウイスキー「余市」と「スーパーニッカ」と「アップルワイン」の3種です。どれもおいしかったのですが、やはり「余市」は別格です。いまや世界で大きな存在感を持ちつつある “Japanese Whisky”  の原点がここにありました。ストレートでキュッとやる「余市」はたまりません。

無料試飲のあとはもちろん有料試飲へ

バーテンダーさんもまた洗練されていました

当然のことながら3杯の無料試飲だけではもの足りないので、皆で有料試飲の立ち飲みバーへ行きグラスを傾け、余市を後にし小樽へと向かいました。

大学時代の友人たちとは、それぞれが仕事のスケジュールのすきまを縫って、これからもできるだけ多くの国内・国外の蒸溜所、醸造所巡りをしたいと願っています。

札幌雪祭りにて

最後に蛇足ですが、かねてより行きたかった「札幌雪祭り」を見てきました。大通り公園の隅から隅まで1.5kmを歩き、大小とりまぜて100基以上ある雪像を見てきました。今年は雪が多かったため、より迫力のある巨大な雪像を見ることができてとてもラッキーでした。

(この項、終わり)

白州蒸溜所

もう1ヶ月半も前の話ですが、山梨県北杜市にあるサントリー白州蒸溜所を訪ねました。北に八ヶ岳、西に甲斐駒ヶ岳を望む深い緑に囲まれたこの蒸溜所では、シングルモルト「白州」が作られています。

豊かな森に囲まれた白州蒸留所(サントリーのホームページより)

豊かな森に囲まれた白州蒸溜所(サントリーのホームページより)

有料の見学ツアー(1,000円)があり、ガイドのお姉さんの説明を受けながら約80分間、蒸溜所の中を見て回りました。豊かな自然に囲まれた蒸溜所という点や設備や製造工程という点では、この白州もスコットランドの蒸溜所と同じなのですが、規模そのものがかなり大きいという点が印象的でした。

このポットスチルで二度にわけて蒸留されます(サントリーのホームページより)

このポットスチルで二度にわけて蒸溜される(サントリーのホームページより)

”天使の分け前”も説明されました

”天使の分け前”も説明されました

 

見学ツアーを終えて、テイスティングのためのバーへ入る前に記念撮影

見学ツアーを終えて、テイスティングのためのバーへ入る前に記念撮影

見学ツアーの最後にテイスティングもできます

見学ツアーの最後にテイスティングもできます

ウイスキーの原酒には、モルト(麦芽)とグレーン(トウモロコシ、ライ麦、小麦などの穀物と麦芽)の2種類があります。モルト原酒は、それぞれの個性が強く、グレーン原酒は、穏やかで風味が軽いのが特徴です。

ウイスキーの原酒は、当然のごとく、どの蒸溜所で作られたかによっても、熟成する樽によっても、熟成する年数によっても、味や風味や濃さが大きく異なります。

そこで熟練のブレンダーが、同一の蒸溜所内のモルト原酒の微妙な味や香りを識別し、常に品質を一定に保っているウイスキーのことをシングルモルトウイスキーと言います。サントリーで言えば、「白州」や「山崎」、ニッカで言えば「余市」がそれにあたります。

また、他の蒸溜所のモルトとモルトをブレンドして作るブレンデッドモルトウイスキーもあります。ニッカの「竹鶴」がそれにあたります。

さらに同一蒸溜所の同一のカスク(樽)でのみ作られたシングルモルトウイスキーのことをシングルカスクウイスキーと呼びます。2001年に英国のコンテストで総合1位をとった、ニッカの「シングルカスク余市10年」がこれにあたります。

これに対して、モルト原酒とグレーン原酒をブレンドしてつくられたウイスキーのことをブレンデッドウイスキーと呼びます。サントリーで言えば「響」がこれにあたります・・・・・が、世の中のほとんどのウイスキーは、このブレンデッドウイスキーなので、単にウイスキーと言えばこれを指していると言ってよいでしょう。

さて、世界の5大ウイスキーと言えば、下記があります。

・ スコッチ・ウイスキー (スコットランド、世界最大)

・ アイリッシュ・ウイスキー (アイルランド、ウイスキー発祥の地)

・ アメリカン・ウイスキー (主な原料をトウモロコシとするバーボンが有名)

・ カナディアン・ウイスキー(主流は、2種類のグレーンウイスキーのブレンド)

・ ジャパニーズ・ウイスキー

「え!日本のウイスキーってそんなにスゴイの?」とお思いでしょうが、かなりレベルは高いと言えます。

イギリスの専門誌が行うウイスキーコンテストで下記の日本のウイスキーが、2001年以降、何度も最高位をとり、世界を驚かせています。

「ニッカシングルカスク余市」、「サントリー響」、「ニッカ竹鶴」、「ニッカシングルモルト余市」、「サントリー山崎」、「マルス モルテージ3プラス25 28年」

世界から選ばれたウイスキーの専門家が、銘柄を隠したブラインドコンテストで日本の銘柄を指定したわけですから、ジャパニーズ・ウイスキーは、ジャパニーズ・サケ(日本酒)とならんで、世界に胸を張って自慢できる酒類と言えます。

スコッチ・ウイスキー(その3)

Glengoyne Distillery は、スコットランドのハイランド地方とローランド地方のちょうど境目にあるスコッチ・ウイスキーの蒸溜所です。

グラスゴーから車で1時間弱北上した場所にあるグレンゴイン蒸溜所は、200年近い歴史を持つ、シングルモルトの有名ブランドのひとつです。車を降りた瞬間、周囲の美しい自然に見事に溶け込んだ洗練された母屋のたたずまいが目に入り、静かな衝撃を受けました。

案内の方の説明によると、敷地内を分断する道路の貯蔵所側がローランドで母屋側がハイランドとのこと。しかし、ハイランドから流れ来る清流を用いてウイスキーが製造されているため、ハイランドのスコッチ・ウイスキーに分類されているそうです。下記は駐車場側から見た母屋とその背景の写真です。

グレンゴイン蒸留所

グレンゴイン蒸溜所

例のごとく蒸溜所の建物内の写真撮影は禁止されているのですが、2箇所だけ撮影OKの場所があり、それが下記の3枚の写真です。

複数あるポットスティル(Pot still)はその役割により微妙に形状が異なるのですが、少しでも形状が異なることにより出来上がりの味に相当な影響を及ぼすとのことです。したがって老朽化したポットスティルを新しいものに変えるときなどは大変な熟練の技が必要となるそうです。

蒸留所内部のポットスティル

蒸溜所内部のポットスティル

さて、蒸溜された直後のウイスキーは無色透明ですが、その無色透明の液体がなぜあのような魅力的な琥珀色に変わっていくのでしょうか?

もちろんご存知のとおり、答えは「樽内での貯蔵により色が変化していく」からですが、その変化の度合いをわかりやすく示したものが下記の写真です。ボトルの入った各棚の上段左が製造直後のウイスキーの色で1年毎に変化する様が30年先までわかるようになっています。

「天使の分け前」

「天使の分け前」

アメリカン・ウイスキーであるバーボンは、なぜか新しい樽(Cask)を使うことが条件となっているそうですが、スコッチ・ウイスキーは、そのバーボンやシェリー酒で使われた樽を再利用します。

上記の写真は、下記の樽を使用して熟成したスコッチ・ウイスキーの色の変化を示しています。向かって右端を1、左端を4とすると樽の種類は下記となります。

  1.  シェリー酒で使われていたスペイン産のヨーロピアン・オーク(European Oak)の樽
  2.  シェリー酒に使われていた北米産のアメリカン・オーク(American Oak)の樽
  3.  バーボンに使われていた北米産のアメリカン・オークの樽
  4.  詰め替えられた北米産アメリカン・オークの樽とスペイン産ヨーロピアン・オークの樽

シェリー酒に使われていた樽のほうが、バーボンで使われていた樽よりも極端に色が濃いことがよくわかります。また、同じオーク材でも、アメリカ産とスペイン産とではずいぶんと色が違うこともわかります。

また、上記の写真で年数に応じてボトルの中身が年々減っていくのがおわかりのことと思います。貯蔵するウイスキーは、毎年色が変化していくばかりでなく、毎年3%程度が樽内で蒸発してしまうのです。

つまり30年も経過すると樽内の4割くらいのウイスキーが蒸発のため無くなってしまいます。この毎年無くなってしまう分のことをスコットランドでは、 Angel’s Share (天使の分け前)と呼んでいます。

「あなたと同様、ウイスキーを飲む人は誰もが必ず、その代金と税金を払わなければなりません。なのに天使はまったくお金を払わずに飲んでしまうのです」

これがスコットランドの蒸溜所で説明を受けるときのPunchline (落ち)となります。

ちなみになぜスコッチ・ウイスキーの貯蔵にシェリー酒の樽が使われるようになったのでしょうか?そのわけはなかなか興味深いものでした。

300年ほど前、スコットランドを併合したイングランドはスコッチ・ウイスキーの製造者たちに高額の税金をかけました。そこでその難を逃れるため、スコットランドの人々は、急いでその場にあったシェリー酒の空樽にウイスキーを詰め、山奥に隠したそうです。

その後しばらくしてから、人々が隠してあったシェリー酒の樽のウイスキーを飲んだところ、琥珀色の素晴らしい味わいのウイスキーに変貌していることを知り仰天することになります。これぞまさに「災い転じて福となす」の典型的な例と言えるでしょう。

さて、シングルモルト・ウイスキーの定義は、同一の蒸溜所のモルト・ウイスキーのみで造られたウイスキーなので、他の蒸溜所で造られたモルト・ウイスキーとブレンドしてしまうと「シングルモルト」とは呼べなくなってしまいます。

しかし同一の蒸溜所で造られたモルト・ウイスキーだけでもバラエティーに富んだ色があることが上記の写真だけでもお分かりのことと思います。

バーボンで使われていた樽か?シェリー酒で使われていた樽か?アメリカン・オークの樽か?ヨローピアン・オークの樽か?貯蔵期間は5年か?10年か?30年か?その年大麦の育成状態、各年の気候条件、酵母の違い、等々様々な条件により味や香りや色が異なってきます。

つまり様々な味と香りと色があるのでそれらをブレンドして常に品質を一定に保つ必要が出てきます。その仕事をする人を「ブレンダー」と呼ぶのですが、常時、数十から数百の原酒のテイスティングをして、味や香りや色を一定に保っているそうです。

そして、このグレンゴイン蒸溜所では、モルト・ウイスキーとモルト・ウイスキーを配合することをブレンドとは呼ばずに、マリッジ(Marriage)、 つまり「結婚」と呼んでいるそうです。おもしろいですね!

これは観光客用に展示されている樽のサンプル

これは観光客用に展示されている樽のサンプル

上記の写真は、実際の貯蔵所内の樽ではなく、観光客用に作られた樽のサンプルです。実際の樽は気温の変化を考え、3段以上に積むことはないと聞いています。

蒸留所構内でたまたますれ違った職員の人が、気軽に撮影に応じてくれました。

蒸溜所構内でたまたますれ違った職員の人が、気軽に撮影に応じてくれました。

スコットランドの民族衣装であるキルト(Kilt)をはいていた職員の方を運よく撮影することができました。訪れたのが11月初旬というオフシーズンだったため、観光客もかなり少なくゆったりと見学することができました。また、普段は飲ませてもらえないような高額のシングルモルトも試飲させていただくことができとてもラッキーでした。

(この項終わり)

スコッチ・ウイスキー(その2)

Dewar’s Aberfeldy Distillery は、スコットランドのハイランド地方にあるスコッチ・ウイスキーの蒸溜所で、現在もなおこの原酒がデュワーズのキーモルトとして使用されているそうです。

朝8時にエジンバラを出発し、アバフェルディに到着したのが、午後1時過ぎだったと思います。ハイランドの美しい森、湖、川などの自然と、のどかな農村風景をゆっくりと眺めながら、途中いくつかの観光スポットに立ち寄り、小さな田舎町で昼食をとったあと、いよいよ目的のアバフェルディ蒸溜所に到着しました。

デュワーズ・アバフェルディ蒸留所

デュワーズ・アバフェルディ蒸溜所

その蒸溜所はスコットランドの静寂な自然の中にありました。時として発生する激しい雨が美しい森や繊細優美な丘陵に降り注ぎ、やがて川となり、独特な気候風土を生み出している、そんな印象を受けました。スコッチ・ウイスキー造りの中で重要なポイントを占めるピート(泥炭)と水は、こんな環境の中から生まれてくるのだろうと思いました。

残念ながら蒸溜所の中はほとんどが撮影禁止のため、写真は撮れませんでしたが、ウイスキーの原料である大麦がどのような工程を経てあの美しい琥珀色の液体になっていくのかがよくわかりました。また、熟練の技と経験、そして芸術的な感性がウイスキー造りには欠かせない、ということも実際自分の目で見ることにより納得がいきました。

本場スコットランドの地元の人達は、決してスコッチ・ウイスキーに氷を入れて飲んだりはしません。せっかくのウイスキーの風味やコクが台無しになってしまうからです。彼らは下の写真のようなチューリップグラスにウイスキーを注ぎ、そのままストレートで飲みます。

チューリップグラス

チューリップグラス

ワイングラスを少し小さめにした文字通りチューリップ型のグラスにウイスキーを注ぎ、勢いよくグラスを回すと芳醇なウイスキーの香りが眼前に広がります。そして何口か味と香りを楽しんだ後、ほんの少しだけ水を足しグラスを回すと更に香りが強くなり、再び芳醇な香りを楽しむことができます。

「そんな!ウイスキーをストレートで楽しむなんて、よっぽど酒の強い人でないとできないよ」

実は私もそう思っていました。しかし、スコットランドで地元の人から飲み方を教わり、そのとおりに飲んでみると、いやはや実に美味しく、スッとのどから胃へ入っていってしまうのです。飲んだウイスキーが質のよいシングルモルトばかりだったのもあるでしょう。また、その場の雰囲気もあったでしょう。しかし、あれ以来、私は日本においてもウイスキーを飲むときには、いつもストレートで楽しむようになりました。本当にストレートのほうがずっと美味いのです。

アバフェルディ蒸留所のバーにて試飲

アバフェルディ蒸溜所のバーにて試飲

次回はGlengoyne 蒸溜所を訪れた時の「天使の分け前」の話をしてみたいと思います。

(続く)

スコッチ・ウイスキー(その1)

先月(2015年11月)、1週間ほどスコットランドへ行き、いくつかの蒸溜所でその製造工程を見学し、試飲もさせてもらいました。

まず最初にエジンバラにあるThe Scotch Whisky Experience を訪ねました。ここは蒸溜所ではなく、観光客相手のいわば博物館的アトラクションのような場所ですが、スコッチウイスキーの概要を理解するうえで大いに役立ちました。

The Scotch Whisky Experienceの館内ツアーを終えてから、スコットランド各地のウイスキーの特徴に関するレクチャーを受けました。その後試飲をしました。

The Scotch Whisky Experienceの館内ツアーを終えてから、スコットランド各地のウイスキーの特徴に関するレクチャーを受けました。その後試飲をしました。

現在スコットランドに蒸溜所は110数箇所あり、スペイサイド地方に50箇所、ハイランド地方に40箇所、アイラ島に8箇所、ローランド地方に8箇所、キャンベルタウン地方に2箇所、その他の地方に6箇所という内訳になっているそうです。

つまりほとんどのスコッチウイスキーは、スペイサイドとハイランドの2つの地方で造られていることになります。村上春樹の本でも有名になったあのアイラ島のアイラモルトも含め、中小零細の多い蒸溜所は大手資本の入った蒸溜所との競争でなかなか苦戦を強いられているようです。実際、日本でもシングルモルトとして有名な強烈な個性を持つBOWMORE(ボウモア)やLAPHROAIG(ラフロイグ)も現在サントリーの資本が入っています。

今回私達は、ロンドン経由でスコットランドへ入り、エジンバラ、グラスゴーに宿泊しながら、ハイランド地方の2つの蒸溜所を訪ねました。

アイラ島へ行かなかった理由は、スコットランドへ行ったのが11月初旬だったため、完全にアイラ島の旅行のオフシーズンだったからです。つまり、蒸溜所の人たちは来期のウィスキーの仕込みに忙しくて、観光客など相手にしていられない時期だったのです。

また、現在スコッチウイスキーの主流はどんどんスペイサイドやハイランドへ移行しつつある、との話をある事情通から聞いていたので、まずはその主流とやらを訪ねてみようということになりました。

ただハイランドはスコットランドの面積の大部分を占める一番広い地方なので、ハイランドの各蒸溜所のシングルモルトウイスキーにおいてもそれぞれが微妙な個性を持っているそうです。

ということで、ハイランドにある Dewar’s Aberfeldy 蒸溜所と Glengoyne 蒸溜所を訪ねた感想を次回以降簡単に記していきたいと思います。

(続く)