2007.11.27 NIKKEI NET
中国・上海の空港で日本からの旅行客が不正に持ち込む日本産牛肉やマグロの摘発が増えている。上海出入境検査検疫局によると、今月3日と8日の摘発では牛肉とマグロの合計1490キロを押収、廃棄。輸入を禁じている日本産牛肉や品質基準が厳しいマグロなど中国内の高級食材人気を当て込んだ密輸の拡大を防ぐため、当局が水際対策を加速しているとみられる。
・・・・(記事の転載ここまで)
この記事によると、中国当局は日本産牛肉の密輸を特に深刻に受けとめているそうです。この5ヶ月間で、約3,500キロもの日本産牛肉の密輸が、上海の検疫局によって摘発されているからです。
日本では、中国産食品の安全性がこれだけ騒がれているのにもかかわらず、逆に中国では日本産食品の安全性を疑い、牛肉、まぐろ、りんご、その他多くの農産物に規制をかけています。
私が思うに、中国政府は日本の食品の安全性を疑っているのではなく、日本政府へのけん制と日本の農産物普及による自国農業の衰退を恐れているのでしょう。
なぜならば、こんなに規制(あるいは禁止)があるにもかかわらず、中国国内では日本産食物への需要が非常に強いからです。
日本国内においても高い和牛ですから、中国の物価を考えたら桁外れに高価な肉のはずです。ましてや密輸してまでも食べたいとなると、信じられないような価格で取引されているはずです。
前回のブログでも触れましたが、今夏、日本のおコメ24トンが試験的に中国へ輸出されました。2キロで3,000円(中国のおコメの20倍以上)という超高額にもかかわらず、富裕層があっという間に買いつくしてしまったそうです。
また、日本の静岡県産のメロンが現在上海の経済界で人気が高まっているそうです。1個2万円にもかかわらず、贈答用として珍重され、贈られてくるメロンの数によって、その人の経済界での力がわかる、というような新しい言葉も生まれてきているそうです。なんだか日本のバブル経済最盛期を彷彿させる出来事ではありますが。
それ以外にも、青森県産のりんご、”ふじ”は最近米国へも輸出されるようになり、米国産りんごの5倍から6倍の価格で、飛ぶように売れているそうです。事実、りんごの産地、弘前では、米国農務省動植物検疫官が常駐して”ふじ”の検疫をおこなっているそうです。
また、JA山形によると、現在山形県産の日本酒が台湾向けに急増しているそうです。特に日本酒を冷やして飲む、いわゆる”冷酒”の人気が急騰しているからです。
とにかく、今、日本の農業が”熱い”のです。
以下は農林水産省のHPからの情報です。
●農林水産物・食品の輸出は増加傾向にあり、2006年は3,739億円と5年前より5割増加。
●政府は、2013年までに輸出額を1兆円規模とすることを目標に、輸出促進ロゴマークの作成、総合的な輸出戦略の策定、海外での展示・商談会の開催等を実施。
●日本食、日本食材の魅力を広く効果的に伝えることを目的に「WASHOKU-Try Japan’s Good Food」事業を行っている。
●世界的なブームとなっている日本食の普及を一層推進するため、2007年3月に海外日本食レストラン推奨有識者会議から提言された「日本食レストラン推奨計画」の具体化に着手。
21世紀に最も成長する日本の輸出品は、日本の食品なのかもしれません。