大連市、企業の年金負担軽く 撤退防ぐ

2014年3月7日 日本経済新聞朝刊

中国・大連市が外資の進出企業の社会保険負担を軽減する。年金に当たる養老保険の会社負担を、従業員給与の20%から最大16%に引き下げる。人件費の高騰と円安で進出企業の経営状況は苦しく、撤退が続出しかねないと危機感を強めた。

(以上で記事終り)

中国では日本企業の撤退が増えているため、「日本企業向けの撤退ビジネスが繁盛している」などという噂を最近聞いたことがあります。

大連は中国の中でもかなり親日的な地域であり、日本語学習者も多い大都市という理由により、多くの日本企業が工場やオフィスを構えています。

その大連においてさえ、外資企業(大連で一番多い外資企業は日本企業のはずです)の撤退を防ぐために、企業の年金負担を軽減するというのですから、中国からの日本企業撤退の実態がうかがえます。

中国からの撤退を考える第一の理由は、反日感情の高まりでしょうが、それ以外にも中国のバブル崩壊不安や成長率鈍化などがあげられます。

日本では中国の経済成長率が8%代から7%代に下落していること、あるいは7%代すら危ないとの見方で中国の経済はもうだめだみたいな意見も一部にあるようです。

しかし、今や中国は世界第2位の経済大国です。数年前に日本のGDPを追い越したかと思ったら、もう昨年(2013年)には日本のGDPの2倍弱になっています。

このいきなりの2倍弱の理由には、大幅な円安という原因もあるわけですが、それにしてもそれだけの経済大国が未だに7%台の成長率を維持していること自体がすごいことだと思います。

中国経済のバブル崩壊懸念や中国金融システムに関する諸問題も20年くらい前からずっとささやかれてきましたが、その都度それらの不安をはねのけて中国経済は発展を遂げてきました。

人件費高騰により、「世界の工場」としての機能は変化していくでしょうが、「世界の市場」としての機能はより増していくでしょう。

そう言った意味からも中国を抜きにして今後の世界経済や日本経済は決して語れないはずです。

ASEAN諸国(インドネシア、シンガポール、タイ、フィリピン、マレーシア、ブルネイ、ベトナム、ミャンマー、ラオス、カンボジア)の10ヶ国も大事ですが、日本経済にとっては、あい変らず中国も重要であり続けるでしょう。

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2013年4月、出張で大連へ行った時に撮った「大連駅」の写真