2013.3.11 日経ビジネス 2013年3月11日号
外資の対中投資は減少が続く。人件費高騰に日本企業の投資減が追い打ちをかけた。日本製品ブランドへの消費者意識も回復は鈍く、投資を増やせる状況にはなっていない。中国が対日強硬姿勢を今後も続ければ、経済成長へ与える痛手は深刻になるだろう。
(中略)
四半期ベースの外資による対中直接投資は2011年第4四半期から5期連続で前年同月を下回った。中国商務省が2月20日に発表した今年1月も前年同月比7.3%減。このままでは6四半期連続マイナスとなる可能性は高い。
大きな要因は人件費の上昇だ。農村部の安価で豊富な労働力を沿岸部の工場に集め、「世界の工場」として発展してきた。しかし、平均賃金は過去10年間で4倍以上になり、労働集約型製造業の採算は合わなくなった。独アディダスなどが工場閉鎖を決定。米アップルは米国への投資回帰を表明した。
それに追い打ちをかけたのが、昨秋まで外資投資を下支えし、増え続けてきた日本企業の投資減速だ。昨年9月に各地に広がり暴徒化した反日デモと、日本製品への不買運動が原因であることは言うまでもない。
今でも日本企業誘致を地元発展の牽引役にしたいと考え、誘致活動を続ける中国の年も多いが、デモ以降は日本企業が慎重になり、」投資減に歯止めが利かない。
日本企業の対中投資は今年1月、前年同月比2割減となり、外資全体の対中投資の減少を大きく上回った。今後さらに減るとの見方がある。
(後略)
(以上で記事終り)
日本から中国への直接投資が減少している理由には、上記に記載されている尖閣問題や中国の人件費上昇のほかにもいくつかあるようです。
急速に経済発展を遂げている東南アジア諸国は、外資への優遇政策をおこなっていますが、中国より低い人件費を武器に、日本を含む外国企業の誘致を強力に推し進めています。
特に中国・アセアン自由貿易協定(FTA)の締結により、2015年に中国とアセアン10か国との間で関税が撤廃されるようになります。
これにより、アセアン諸国が中国市場に商品を販売するする際のコストを大幅に引き下げることなるため、日本企業にとってはアセアン諸国での生産比率を高める大いなる動機づけとなります。
また、安倍内閣が円安政策を実施していることで、日本企業の対中投資コストが一段と上昇したということも原因のひとつでしょう。
しかし一方で、日本の対中投資減少が中国に大きな影響を与えることはないだろうとみる専門家もいるようです。
なぜならば、2012年の日本の対中投資額は73億ドルで、中国の国内総生産(GDP)の1,000分の1にも満たないからというのです。
さてさて、日経ビジネスが言うように「日本の直接投資が諸外国からの中国直接投資を下支え」しているので、日本が及び腰になればその影響は小さくない、のでしょうか?
それとも今や中国経済全体に占める日本からの直接投資額など取るに足りない額なのでしょうか?
私としては、前者であることを願ってやみません。