「世界の武器輸出額国別ランキング」が世銀(World Bank)から発表されました。
下記は、上記サイトの表を私がグラフにしたものです。
3番目にドイツが入っているのは意外でしたが、いずれにせよ上位6ヶ国のうち、ドイツを除く5ヶ国は、国連の常任理事国(アメリカ、ロシア、フランス、中国、イギリス)であり、その5ヶ国のすべてが「核保有国」です。
ちなみに日本は「武器輸出禁止三原則」により、武器を輸出できない国だったのですが、2014年4月に制定された「防衛装備移転三原則」により、「防衛装備」という名の「武器」が輸出されています。したがって建前上「武器」ではないため、このグラフの「その他」の国の中にも日本は含まれておりません。
さて、このグラフを見て、ニコラス・ケイジ主演の2005年のアメリカ映画、「ロード・オブ・ウォー(Lord of War)」を思い出しました。これは実話をもとに作られた「史上最強の武器商人と呼ばれた男」の物語です。
ニコラス・ケイジ扮する主人公のユーリ・オルロフは、ウクライナからアメリカへ移民してきた家族の長男で、やがて武器商人となり、「世界の10大戦闘地の8ヶ所で私の武器が活躍している」と言わしめた男です。
米軍は戦地を去る時、輸送に金がかかるため、大量の物資を放置していくので、米軍が捨てていった、大量のマシンガンなどをトン単位でたたき売りしながら、武器商人としての存在感を高めていきます。
その後、東西冷戦が終わると、旧ソ連製の戦車や軍用ヘリコプター等々、ありとあらゆる武器を紛争国へ売りまくります。なかでもカラシニコフ自動小銃47年モデル、別称“AK47”を売って大もうけをします。
そして国際刑事警察機構の刑事がこう叫ぶシーンがあります。
「戦争犠牲者の9割が銃で殺されている。核兵器じゃない、“AK47”こそ、真の大量破壊兵器なんだ。」
その後、ユーリ・オルロフは、上記の刑事に動かぬ証拠を押さえられ、アメリカ国内で逮捕されるのですが、次のようなセリフを吐き、すぐに釈放されてしまいます。
「私は残虐な指導者たちと仕事でつきあってきたが、その何人かは君たちの敵の敵だ。最大の武器商人は君のボス、つまりアメリカ合衆国大統領だ。輸出量は1日で私の1年分。証拠が残るとまずい取引もある。そんな時は私のようなフリーランサーに委託する。だから私を悪と呼ぶのはいい。だが君らにとって私は必要悪なんだ」
そして映画は、次の言葉を残して終わります。
「最大の武器供給者は米・英・露・仏・中である。この5ヶ国は国連安保理の常任理事国でもある」
国連の常任理事国5か国は、世界の紛争国、それもその両陣営へ武器を売り、戦争を煽り、大もうけをしている、という事実から目を離していけないでしょう。