信販にも暴力団情報 全銀協、みずほ問題受け

2013年10月17日 日本経済新聞朝刊より

全国銀行協会は自らが持つ反社会的勢力の情報を信販業界にも提供する方針だ。信販会社と銀行が提携ローンを実行する際などに、最初に審査をする信販会社が十分な情報に触れられるようにして、みずほ銀行のような不正取引が起こらないようにする。

(以上で記事終り)

みずほ銀行が系列の信販会社を通じて「暴力団」へ融資したことが大きな社会問題となりました。

なぜ日本にだけ「暴力団」が存在するのか?

日本ではわざわざご丁寧に「この組織は暴力団ですよ」と国が指定をしています。「暴力団」のライセンスを国が授与しているようなものです。

人を恐喝してお金をせびるのが彼らの仕事ですから、日本国公認の「指定暴力団」として、マスコミで大々的に宣伝までしてくれれば、「暴力団」関係者にとっては笑いがとまらないことでしょう。

あるアメリカ人に聞いてみたところ、アメリカのマフィアは当然のこと、表向きは「俺たちはビジネスマンだ」ということになっています。彼らは水面下で犯罪を犯しているわけですから、表だって「俺たちはマフィアだ」と公言するはずがありません。ましてや国がマフィアとして指定するようなことは理屈から言ってもあり得ないことです。

なぜ日本では「暴力団」を刑務所へ入れないのか?

「暴力団」ですから、叩けばいくらでもほこりが出てくるはずです。なにせ「暴力団」なのですから・・・・。

もし「明確な犯罪は犯していないから逮捕まではできない」ということであれば、また違う意味で大きな問題です。なぜなら罪もない人たちを「暴力団」とか「反社会的勢力」と呼び、差別すること自体、大変な名誉棄損であり、人権侵害ということになるからです。

タイトルは忘れましたが、子供のころ見たアラン・ドロン主演の古いフランス映画を思い出しました。

刑期を終え出所してきたアラン・ドロンが、愛する女性と出会い、必ず更生するという堅い決意とともに一生懸命真面目に働き始めます。やがて二人は結婚し、子宝にも恵まれ、質素ながらもとても幸せな家庭を築きます。

ところがそこに昔アラン・ドロンを捕まえた刑事がやってきます。その刑事は犯罪が起こるたびに彼を容疑者と疑い、彼の職場へ現れ、彼にも職場の人間にもいろいろと職務質問を行います。

職場の上司も同僚も怪訝に思い、気味悪がるのですが、やがて「どうやら彼は前科者らしい」という噂が職場中に広がります。そして職場の誰も口を聞いてくれなくなります。

もうそうなると彼もその会社にはいられず、結局転職せざるを得なくなります。

ただし、転職してからも誰よりも真面目に一生懸命働く彼は皆から信頼され順調に出世をしていきます。

しかし、しばらくするとまたあの刑事がやってくるのです。そして同じことが繰り返され、また転職せざるを得なくなります。

そのようなことが3回4回と繰り返され、やがて彼は、その刑事を殺すことを考え始めます。そして悲劇のうちに映画が終わるのです。「こんな理不尽なことがあってもいいのか?」と子供心に思ったものです。

今回の日本の「暴力団」のケースに当てはめて考えれば、まともな経済活動ができないように選択肢をとりあげ、結局犯罪でしか生き残っていけなくなるよう彼らを追いつめていくことが、はたして日本社会全体にとって良いことなのかどうかも考えさせられます。

 「反社会的勢力」を利用している人たちがいる?

確かに巷で噂されているようにそう思われてもしかたがないでしょう。国が認める「指定広域暴力団」が堂々と街なかに看板を掲げ、「暴力団」組員が昼間から平然と道を歩いている国が日本なのです。

ここでも「日本の常識は世界の非常識、世界の非常識は日本の常識」ということのようです。