2008.1.6 NIKKEI NET
日本の自動車メーカーによるBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)での生産台数が2011年にも年500万台を超え、北米生産を逆転する見通しとなった。
・・・・(記事の転載ここまで)
例によって、Web上での情報は極端に少ないので、日本経済新聞の”紙情報”から拾ってきた数字を下記に並べます。
【日本の自動車メーカーによるBRICsでの増産計画】
中国 (2006年 100万台 ⇒ 2011年にも260万台)
インド(2006年 75万台 ⇒ 190万台)
ロシア(2006年 ゼロ ⇒ 50万台)
ブラジル(2006年 17万台 ⇒ 40万台)
各社の計画を集計するとBRICs4カ国での生産台数は2010年台初めで540万台と、2006年(200万台)の3倍近くに増える。2006年に400万台だった北米生産は伸びが鈍化し、480万台前後にとどまる。
(以上で新聞からの情報は終わり)
戦後の日本経済は、途上国から資源を輸入し、加工した製品を欧米先進国へ輸出することにより外貨を稼ぎ、経済的な繁栄を謳歌してきました。
そして欧米各地に工場を建て、その国での雇用を確保し、その国へ税金を払うことにより、”日本の一人勝ち”という批判をかわして来たのです。
しかし、今後単純にBRICsでの生産を増やし、北米での売上を伸ばしていけば、またまた日米貿易摩擦の象徴として槍玉に挙げられてしまうでしょう。
”グローバル化”には常に”雇用問題”と”エネルギー問題”が付きまといます。たとえばブラジルです。
ブラジルは世界最大のコーヒー産出国として有名ですが、多くの人手を必要とするコーヒー農園では、多くの労働者が働いています。その農園で今大きな変化が起きています。
原油価格の暴騰により、代替エネルギーである”バイオエタノール”が注目を浴びていますが、作付けから収穫まで7~8年かかるコーヒーの樹木に対して、バイオエタノールの原料であるトウモロコシ、大豆、サトウキビは、1年で収穫ができます。
しかも、トウモロコシ、大豆、サトウキビは大型トラクターや飛行機、工作機械を使って、大規模経営ができるため、農園の維持や収穫に多数の人手を要するコーヒー農園が嫌われて、今次々とトウモロコシ、大豆、サトウキビ畑へと転換されているのです。
ブラジルへトラクターや農機具を売る日本企業にとっては、まさに”儲け時”なわけですが、失業したコーヒー農園の労働者達が、大地主を相手に暴動を起こし、地主は地主で私兵を雇い、武力装備をして自衛している、と聞いています。
ここでもまた、”グローバル化”が引き起こす新たな”収入格差”の問題が、新たな火種を生みだしています。
”経済のグローバル化” ⇒ ”格差拡大” ⇒ ”テロの勃発” という21世紀の世界が抱える深刻な問題の縮図が今、BRICs内部でも着実に進行しているようです。