日本とインド EPAで大筋合意

2010年9月10日 朝日新聞の朝刊より

日本とインド両政府は9日、両国間の貿易やサービスなどの自由化を進める経済連携協定(EPA)に大筋合意した。日本のEPAの合意はベトナムやスイスと決着した2008年9月以来、2年ぶり。12億人以上の人口を抱え、成長著しいインド市場の取り込みを図る日本企業を後押しする。

両国のEPA交渉が始まったのは07年1月。9日は次官級交渉で大筋で合意。インドのシン首相が10月に訪日した際、首脳間で正式合意に至る。

合意によると、貿易では、インドから日本への輸出額の97%、日本からインドへの輸出額の90%にあたる物品について、それぞれ10年かけて関税を撤廃する。現在、日本から輸出する家電や自動車部品、鉄鋼製品には7.5~10%の関税がかけられているが、10年後までに大半が撤廃される。現地生産する日本企業は、日本から調達する部品のコストが下げられる。ただ、インドが100%の税率をかけている乗用車の関税は対象外。

2010.9.10 朝日
(以上で記事終り)

成長著しいインドとの貿易の自由化が進むということは、わたしたち翻訳業界にとっても良いことこそあれ悪いことはないはずです。しかし、韓国企業の激しい追い上げに脅威を感ずる日本企業のあせりが、日本政府の尻をたたかせ、今回の合意にこぎつけさせた・・・・というのが実情のようです。

韓国は今年1月にすでにインドとのEPAが発効済みなので、インドにいち早く進出し、乗用車市場の半分を握る日本のスズキは、韓国の現代自動車などの激しい追い上げに、かなりの危機感を持っているようです。

また、インド市場で確実にシェアを広げつつある韓国のサムスン電子に遅れまいと日本の電機業界も必死のようです。

たとえば、インドでの売上げを2012年に現在の5倍にあたる2,000億円に引き上げようとしているパナソニックでは「先にEPAを締結した韓国勢に対抗するため、ものすごいコストダウン努力を強いられてきた。今頃になって、やっと追いついたのかという印象」との声も出ているようです。

いずれにしても、世界での存在感を急速に強めつるあるアジアの2大国、中国とインド。その巨大市場への参加レースに出遅れた日本企業が、商売上手な中国・インドに振り回されふらふらしている隙に、日本の脇を猛烈な勢いで追い抜いていく韓国政府と韓国企業の連合体。こんなことは今までは考えられなかった、信じられない、とあっけにとられる日本企業。

かつての世界の強者、日本の自動車業界と電機業界の心情を象徴的に表している出来事のように感じてなりません。