アメリカ製造業ルネサンス

2012年4月16日号 日経ビジネスの記事より

製造業が米国の生産拠点を強化する動きが広がっている。
モノ作りを失いかけた国に何が起きているのか。
中国の人件費高等、米金融緩和に伴うドル安など、
競争力回復には様々な外的要因が指摘されるが、それだけではない。
先を見据えた企業の戦略、州政府の積極的な支援策など、主体的な努力も背景にある。
製造業の空洞化危機に直面する日本は何が学べるのか。

2012.4.46 日経B-2

2012.4.16 日経B-3

2012.4.16 日経B-1

<以上で日経ビジネスの記事終わり>

なぜ今アメリカの製造業は、自国内生産へ回帰し始めているのか?

記事の内容を簡単にまとめてみました。

1. 燃料費の高騰で、海外で生産する大型製品を米国へ輸送するコストが上昇している。

2. 「世界の工場」中国の人権費が高騰している。

3. 米国内の安価なシェールガス生産拡大により、工場運営に必要な燃料費コストが下落している。

4. パナマ運河の拡張工事が2014年に完了する予定なので、工場進出が相次ぐ米国南部とアジアを結ぶ海運の効率が高まる期待がある。

5. 実行為替レートでみるとドルは下落し、一定量のものを作るのに必要な単位労働コストも低下している。

6. オバマ大統領が製造業に対し税制面で優遇する改革案を発表している。

7. 米国内のほうが良質な人材を確保できる。

8. 米国内のほうが開発効率が良い。工場が近くにあれば要望を聞いて試作機を作ったらすぐに顧客に見てもらえる。

9. 海外に工場があると仕様変更のたびに担当者が海外出張しなければならない。

10. 地方政府が製造業に対し、法人税の減免や工場用地の提供、その他様々な支援を行っている。

戦後、日本とアメリカの間で起こったことが、現在日本と中国の間で起こっています。

従って現在アメリカで起きていることを見ておけば、将来日本で起きることも予見できる、という極めて単純な発想に行きつきます。

しかし、日本にシェールガスはないですし、アメリカマーケットと日本マーケットの大きさの違いもあります。

米中の距離よりも日中の距離のほうがはるかに近いという物理的事情もあります。

したがって、アメリカ製造業の復活が、即日本でも起こり得るとはなかなか考えにくいのではないでしょうか。

最近日本が南海トラフで開発を始めているメタンハイドレートの実用化の目途が立てば話は別ですが、仮にそれが実現するとしても数十年も先の話でしょう。

つまり、日本の製造業のグローバル化にブレーキがかかるということは今のところちょっと考えられません。