英語「一人勝ち」に対抗 自国語守れ、政策動く

2009年3月15日(日)の日本経済新聞に興味深い記事が載っていました。長い記事なので下記に要点をまとめてみます。

(以下、記事の要約)

経済や文化のグローバル化、インターネットの普及を背景に世界の言語は英語の一人勝ちの様相だ。たとえば、ユーロ通貨を使う16カ国のうち英語が公用語なのは、アイルランドとマルタだけだが、理事会の決定は英語で読み上げられる。危機感を抱く国々は自国語の擁護策に動き出している。

【フランス】
・ フランス政府は昨年、”ユーロアシスタンス”という一企業に対し、会計書類に英語を使ったという理由で5,000ユーロ(約60万円)の罰金刑を申し渡す”見せしめ”に出た。

・ 1994年制定の”トゥーボーン法”は職場での会話やメディア、製品の説明書、デモ、国際会議などでフランス語を使うことを義務付けている。

・ ラジオで流す楽曲の40%以上はフランス語の曲で、懐メロ番組は60%以上が最低ライン。

・ 昨年11月フランス政府機関は、「金融用語はフランス語を使いましょう」と国民に通達を出したが、金融界では評判が悪い。

【ドイツ】
・ シュタインマイヤー外相は、オルバン欧州委員に「重要書類はすみやかにドイツ語に翻訳してほしい」のと書簡を送りつけた。EU本部では公表書類の多くが英語とフランス語。ドイツ与党幹部は、ドイツ誌に「翻訳だけで年間数百ユーロが無駄になっている」とこぼしている。

【アラブ首長国連邦】
・昨年春、政府は市内の飲食店900店にアラビア語のメニューを用意するよう警告書を送った。そのため、ドバイのファーストフード店では、メニュー板にアラビア語を書き加える作業に追われた。

民間調査機関の推計によると、インターネットで流れる全情報の約29%は英語、次いで中国語(20%)、スペイン語(8%)。フランス語やドイツ語は5%にすぎない。手っ取り早く世界の情報を得ようとする若者やビジネスマンは英語を選ぶ。

そのため、中国とスペインは鼻息が荒い。

【中国】
・ 中国政府は3月12日、「外国で中国語を学ぶ人の数が5年で倍増し、4,000万人を超えた」と発表した。

・ 2004年に始まった中国語教育機関”孔子学院”は、81カ国に広がり、政府派遣の中国語教師は、昨年だけで1,500人以上。欧州からも年200人の教師を研修で受け入れ、海外の中国語学習者を1億人まで増やす計画だ。

【スペイン】
・スペイン語も着実に広がっている。1991年に始まったスペイン国王肝いりの教育機関は40ヶ国に及ぶ。中南米で唯一ポルトガル語を使うブラジルでも、2010年から高校でのスペイン語の選択授業設定が義務化される。

(以上、要約終わり)

国連の公用語は、英語、フランス語、ロシア語、中国語、スペイン語、アラビア語の6ヶ国語ですが、なぜ日本語は入っていないのでしょうか?

日本の人口は世界で10番目に多く、また何と言っても、世界第2位の経済大国です。またインターネットで使われている言語でも、英語、中国語、スペイン語に次いで世界第4位に位置しています。それなのに世界的には、まったく無視されています。

ここでも日本の政治力・外交力の弱さと外へ訴える文化力の貧しさを実感せざるを得ません。非常に残念なことです。

しかし、戦後の日本に限って言えば「日本語を使え」とか「外国語禁止」とかの声をあまり聞いたことがありません。なぜでしょうか?

答えは簡単でしょう。

「日本語を使え」と強制しなくても、未だに日本人の大部分は日本語でしかコミュニケーションを取れないので、心配する必要すらないのかもしれません。

グローバリゼーションを考えたとき、逆の意味で心配になりますが、これは翻訳会社にとっては良いことなのか、悪いことなのか・・・・・・。やっぱり良いことなのでしょうね。