以下は、2011年3月27日の日本経済新聞の記事からの抜粋です。
(以下 記事の抜粋)
「東日本大震災で福島第1原発が危機に陥ったことは、各国の原発政策を揺さぶっている。
<ドイツ>
・1980年以前に稼動を始めた古い原発7基の一時停止を発表。
・既存原発の稼動期間を延長する計画を凍結。
<イタリア>
・原発の復活宣言をしたベルルスコーニ政権は、復活計画の凍結を決定。
<ギリシャ>
・隣国のトルコに対し、トルコ初の原発建設計画の中止を求めた。
<トルコ>
・日本勢が受注を求めている原発建設計画が、福島の事故で不透明感が強まっている。
<中 国>
・国内の全ての原子力施設に対し緊急の安全検査を実施。
・今後5年間に発電能力4000万キロワット相当の原発計画に着手する予定だったが、その承認を当面中止。
<ベトナム・インド>
・日本が原発を売り込もうとしているベトナムやインドでも、膨らむエネルギー需要と原発の安全性への不安がせめぎあう構図が急浮上している。
1979年の米スリーマイル島原発事故と86年のチェルノブイリ原発事故で、原発を推進しようとの機運は世界的に後退した。近年地球環境問題への関心の高まりとともに温暖化ガスの排出量が少ないエネルギーとして再び関心が高まった。
これに新興国を中心としたエネルギー需要の急増と原油など資源価格の高騰が加わり、「原発ルネサンス」という言葉が生まれた。エネルギー政策の柱の一つとして、着実に再評価が進んでいたといえる。
「福島ショック」がルネサンスに大きな打撃となるのは間違いないだろう。」
(記事の抜粋 終わり)
今回の大震災と大津波が日本経済に与えた影響は、言うまでもなく莫大なものです。しかし、地震と津波の経済的被害だけであれば、幾度の大震災や戦後の焼け野原からさえも、果敢に立ち直ってきた、わたしたち日本人は、まちがいなくまた急速な復興をはたすことができるでしょう。
しかし、今回の震災被害は、「地震」と「津波」に加えて、「原発の放射能」と「風評被害」という4重苦を私たちに与えることになりました。
日本政府が21世紀の日本の戦略的輸出コンテンツのひとつとして掲げている「原子力発電」の輸出に対し、急ブレーキがかかることは必至でしょう。
そればかりでなく、同じく経済政策の重要課題としている「日本への外国人観光客の誘致」にも深刻な打撃を与えるでしょう。また、近年海外で脚光を浴び始めている、日本のコメや果物といった食料品や日本酒などの飲料にも当然影響が出てくるでしょう。
食料品ばかりでなくすでに日本の工業製品にも「風評被害」が出始めているという噂もあります。当然今後の日本の翻訳業界に与える影響も少なかろうはずはありません。
やっとリーマン・ショック後の大不況から立ち直りかけた日本経済を、この「平成の大津波」はどこへ流そうとしているのでしょうか?
非常にくやしいことではありますが、今はとにかく「原発問題」の一刻も早い収束を、ただただ「外野席」から見守るしかありません。