経済評論家今井徴氏の講演CD(日経ベンチャー2008年10月号)の中に大変興味深い話がありましたので、下記にその要点をご紹介させていただきます。
・ メタンハイドレート(天然ガスがシャーベット状になったもの)が、低温・高圧状態で日本近海1,000メートルの海底に眠っている。
・ メタンハイドレートを商業化するためには、1バレル当たり77ドルが採算ライン、と言われているが、近年の原油相場の高騰により、俄然現実味を帯びてきた。
・ 日本は世界有数のメタンハイドレート保有国で、世界の埋蔵量の半分が日本近海にあると言われている。
・ なかでも南海トラフと呼ばれる海域(静岡県から和歌山県沖)に大量に埋蔵されているので、他国との領域争いもない。
・ この8月、アメリカのエネルギー省と日本の経済産業省とが話し合い、共同でメタンハイドレートを商業化することが決まった。
・ 日本では、石油資源開発がその鉱区のほとんどをおさえている。また、三井海洋開発という会社がテスト用の色々な機器を作り、世界中へ販売している。
・ メタンハイドレートの生産開始は、20012年からで、本格生産は2018年からとなっている。
・ このプロジェクトが成功すれば、日本が資源大国に生まれ変わるばかりでなく、その生産技術や商業化技術を世界各国へ輸出するようになり、日本の経済構造そのものが大きく変わる可能性がある。
今井徴氏の講演は以上ですが、関連する記事が新聞にも出ていました。
「経済産業省は9月29日の総合資源エネルギー調査会石油分科会で、日本の領海と排他的経済水域(EEZ)での海洋エネルギー開発の骨子案を示した。石油・天然ガスでは、探査船を使って2008年度から11年間で約6.2万平方キロメートルを立体的に探査する。さらに有望な地点を選定し、機動的にボーリングを実施する。
次世代エネルギーとして期待され、排他的経済水域の埋蔵量も多い”メタンハイドレート”は2018年度までに技術整備や経済性、環境への影響を検証し、将来の商業化を目指すことを打ち出した。2015年度までアラスカなどの永久凍土地帯での陸上産出試験の継続なども盛り込んだ」
(2008年9月29日の日経新聞)
ところが、この夢のような話にもまだまだいくつかの問題点が残っているようです
『Nature』誌の2008年5月29日号に掲載された論文によると、メタンハイドレートは「石油に代わる新エネルギーとして期待される一方、地球温暖化を激化させる脅威をはらんでいる」(→メタンハイドレートの二面性)とのことです。
しかし、この「日本を資源大国へ変貌させる」、という夢の実現のためには、私自身も一人の日本人として、おおいに拍手をおくり、応援したいと思っています。
日本が持つ様々な省エネ技術や、海水を真水に変える技術、海の波を電気エネルギーに変える技術等々、エネルギーや環境に関する日本の誇るテクノロジーは、今後一層その輝きを増していくことでしょう。
また、このブログのなかでも再三指摘している、「食料」および「食料の安全性」に関る翻訳需要同様、「エネルギー」や「環境」に関する翻訳需要もきっと増え続けていくに違いありません。