日本の新エネルギーと翻訳業界

今後日本での新規の原発建設などは論外と言えるでしょう。

そうしたなか、“新エネルギー”問題が、がぜん脚光をあびることになりますが、エネルギー問題に詳しい東京大学名誉教授、安井至氏の記事が出ていたので、下記にその要旨をまとめてみました(週間ポスト2011年4月8日号)。

(以下記事の要旨)

今後の本命となる“自然エネルギー”を期待値の大きいもの順にならべると下記のようになる。

1. 地熱発電

火山活動による地熱で蒸気を発生させて発電する方法。現在日本には18ヶ所の地熱発電所があり、合計で原発1基の約半分の発電容量をまかなえる。

2. 中小水力発電

河川や農業用水などを利用して発電する方法。すでに日本のほとんどの大河川には大規模ダムが建設されているので、小さな河川で細かくエネルギーを拾う。

3. 洋上風力発電

陸上ではなく海上での風力発電のため、風向・風力が安定しやすく、あてにできる電源になる。

4. 風力発電太陽光発電

ヨーロッパやアメリカなどの大陸諸国と違い、島国である日本は風向きが安定せず、また雨や雪が多いため、必要なときにあてになる電源とはならない。

しかし、将来的に上記の“自然エネルギー”を全て整えたとしても、1次エネルギー消費量の約8%しかまかなえず、現在の原発での供給量の約半分ほどにしかならない。しかもそこまで設備を整えるためにはかなりの時間を要する。

したがってこれまでのような“電気依存の生活”は破綻するので、“自然エネルギー”の開発と同時に“極端な省エネ”が重要になってくる。

もはや都心での“オール電化”や“電気自動車”などは机上の空論と化す。

(以上、記事終わり)

1973年に始まったオイルショックは、日本の国民生活や経済活動に大きな変化を与えました。

当時高校生だった私もはっきりと覚えていますが「石油の99%以上を輸入に頼る日本の将来はお先真っ暗」と世論マスコミの多くは悲観論一色でした。

しかし、後にふり返ってみれば、そこから「技術立国日本」や「ジャパン・アズ・ナンバーワン」の礎がスタートしたのです。

官民一体となり、髪を振り乱して、必死の「省エネ作戦」を行ったため、気がついたら世界有数の省エネ大国となっていました。

エネルギー事情が変われば国民生活が変わり、国民生活が変われば、企業活動が変わります。そして企業活動が変われば、提供される製品やサービスが変わり、当然そこから生まれてくる技術も変化を遂げることになります。

必死になって生み出された技術はやがて国の財産となり、将来海外へ輸出されることになるでしょう。鉄も車もウォークマンも新幹線もそうでした。

今で言えばオール電化は、都市ガス+SOFC(固体酸化物燃料電池)に替わり、電気自動車は、ふたたびハイブリッド車に回帰し、照明は徹底的にLEDに替わっていくでしょう。

これらはほんの一部の例に過ぎませんが、技術の変化は必ずや日本の翻訳業界にも大きな影響を与えることになるでしょう。