2007.3.20 NIKKEI NET
原子力委員会(近藤駿介委員長)は20日、2006年版の原子力白書を閣議に報告した。エネルギー価格の高騰や地球温暖化問題へ対応するうえで、原子力発電が中核的な役割を果たすと強調する。北陸電力の志賀原発1号機の臨界事故隠しについて、電力各社などに情報公開を徹底するよう求める見解文をまとめ公表した。
白書では中国やインドなどの経済発展で、2030年には世界のエネルギー消費量が現在の1.5倍になると予想する。原油が06年一時、1バレル75ドルになるなど価格高騰を引き起こした背景には、世界第2位のエネルギー消費国になった中国の影響が大きいとした。
・・・・(記事の転載ここまで)
相変わらず日本の原子力発電関係者の「情報隠蔽体質」は困ったものですが、ある意味それも、過去数十年間虐げられてきた彼らの怨念なのかもしれません。1979年のアメリカ、スリーマイル島の原発事故と1986年のウクライナ、チェルノブイリの原発事故以降、世界中で原発に対する猛烈な反対運動が起こりました。それ以後、日本とフランスを除けば、新規の原発建設は先進国では、ほとんど行われていないはずです。
「これからの世の中は原子力の時代」と聞いて、一生懸命原子力分野の勉強をしてきた学生や研究者たちにとって、突如冬の時代が訪れたわけです。アメリカやヨーロッパでも原発関係の技術者の数はどんどん減っていき、相当数が他分野へ移行したと聞いています。
ところがまたまた時代が変わり、近頃の原油高にCO2排出規制の問題も加わり、原発が再び脚光を浴びています。
東京電力(2003年)の試算によると、1キロワット時の発電コストは、原子力(16年) 7.3円 石炭火力(15年) 7.2円 LNG火力(15年) 7.0円 石油火力(15年) 12.2円 水力(40年) 10.6円*設備稼働率80%と仮定(水力は45%)、( )内は法定耐用年数、となります。
つまり、コスト的にみれば、原発は石炭やLNGとそう大差なく、石油や水力よりもずっと安い費用で発電できることがわかります。
一方、1キロワット発電時のCO2排出量は、石炭火力887グラム、石油火力742グラム、LNG火力478グラム。これに対し、原発はCO2排出ゼロです。
この流れにより、近頃アメリカで30年ぶりに原発を新規建設することに決まりました。一説によると今後十年間で60兆円もの膨大な予算を原発建設に費やすそうです。
ところが、現在アメリカには原発関係の技術者が極端に少なく、また巨大な原発プラントを建設できるメーカーは世界に、日立、東芝、三菱重工という日本の3社くらいしか存在しない、とも聞いています。
これからは日本の原発関係、プラント輸出関係の会社は狙い目です。当然、それらに付随する翻訳関係の仕事も急増するはずです。