昨今の世界経済の一番の話題は、なんと言っても、原油価格の急上昇でしょう。
まずは過去に2度あったオイルショックをふり返ってみます。
第一次オイルショック ・・・・・ 1973年10月(約$3/バレル) → 同年12月(約$12/バレル)
2ヶ月あまりの間に原油価格が約4倍
第二次オイルショック ・・・・・ 1979年2月(約$18/バレル) → 翌年9月(約$39/バレル)
1年半ほどの間に原油価格が約2倍
しかし、その後の原油価格の歩みは実に奇妙です。1980年以降はほぼ一貫して下がり続け、その後長期低迷します。なんと1998年は約$12/バレルにまで下がり、第二次オイルショック後の最高値を更新するまでには、なんと25年以上もの年月を費やすことになります。
<グラフの出所:過去の原油価格・ガソリン価格の推移からみた限界点の考察>
一方、第二次オイルショック後の米国の名目GDPはどうだったでしょうか?
1980年実績 27,900億ドル (出所:世界各国のGDP上位60)
↓
2008年見通し 148,430億ドル (出所:2007-2008米国経済見通し)
つまり、25年間低迷していた原油価格を尻目に、その間の米国の名目GDPは、5.3倍も拡大しています。
それでは原油価格はどこまで上がるのでしょうか?
1970年代のオイルショック時 ・・・・・ 1972年(約$1.9/バレル) → 1980年(約$39/バレル)
8年間で約20倍
今回のオイルショック ・・・・・ 1998年(約$12/バレル) → 2008年(約$147/バレル)
10年間で約12倍
今回のオイルショックが「まだまだ甘い」と言うことがよく分かります。
また、米国GDPとの関係で見てみると、1980年の5倍ほどになると考えれば、$180~$210/バレルまで上がることになります。
もちろんこれは、米国GDPとの関係だけからみた私の”推論”であり、このような発言をしている専門家はどこにもいません。素人だからこその奇想天外な発想(無責任ですみません)とお考えください。
今世界では、原油価格が”異常に暴騰”していると騒いでいますが、25年間米国に抑圧されていた中東諸国の原油価格が、先進諸国の成長度合いに合わせて、遅ればせながら補正されつつあるとも考えられます。
石油の専門家の中には、「現在の原油マーケットには大量の投機マネーが流れ込んでいるだけなので、近いうちに大暴落する。石炭や天然ガスや原子力発電のコストとの兼ね合いで考えれば、バレル50ドルくらいが妥当」と主張する人もいます。
さて、現在の原油高騰は、わが翻訳業界にどのような影響を与えるのでしょうか?歴史から学ぶ必要があります。
70年代のオイルショック後、日本企業は猛烈な省エネと人員削減に取り組みはじめました。それにより、製造業は世界最強の省エネ、省コストの製造方法を生み出し、かつ、オフィスオートメーション、ファクトリーオートメーションの需要が、コンピュータ業界、ソフトウェア業界を飛躍的に発展させることになったのです。
今回の”ニューオイルショック”は、一時期の勢いを失いつつある世界中のIT産業を再び活性化させるでしょう。また、現在の日本の”省エネ技術という知的財産”も、そう遠くない将来、”輸出の花形”へと変貌していくでしょう。