2008.6.3 NIKKEINET
自動車メーカー12社合計の2008年度の輸出台数が約700万台に達し、23年ぶりに過去最高を更新する見通しになった。
・・・・(記事の転載ここまで)
日経新聞によると「輸出台数のこれまでのピークは日米自動車摩擦が激しくなった1985年度の685万台。2008年度の12社の輸出計画はこれを上回る」とのことです。
不思議な気がしませんか?急成長した日本の自動車産業の輸出台数が過去23年間低迷していたなんて。
この新聞記事ではとりあげていませんが、輸出台数が増えていないのに自動車メーカーの業績が伸びている理由は簡単に想像がつきますよね。
単純明快! 海外で生産した車を海外で販売しているワケです。これは翻訳会社にとってはあまりうれしくない話なのですが・・・・。
日本自動車工業会の資料によると、日本の自動車メーカーの海外生産台数は1985年に約90万台だったものが、2006年には約1,100万台へと実に12倍以上にも拡大しています。
つまり1980年代初め、日米貿易摩擦でバッシングを受けた日本の自動車メーカーは、一所懸命に現地に工場を建て、現地の従業員を雇用し、米国に税金を支払って共存共栄をはかってきたわけです。
ところで、「日本の貿易摩擦の元凶は自動車輸出」と思っている人は多いのではないでしょうか?
私は過去にこのブログの中でも何度かこの話題を取り上げてきましたが、日本の輸出の主役は自動車や家電品などの耐久消費財ではなく、資本財(クレーン、金属・工作機械など設備投資に向けられる機材)なのです。
2007年の日本の全輸出に占める耐久消費財の割合は19.4%で、うち乗用車の比率は15.1%にすぎません(⇒JETROの統計より)
日本の輸出拡大や貿易黒字が問題になるたびにテレビのニュース番組は、必ず港で船積みされる乗用車の映像を繰り返し背景に流します。
まるで「日本の貿易摩擦の元凶は自動車輸出」だと言わんばかりです。
これはデータの裏づけもなく、感覚で大衆をミスリードする日本のマスコミの象徴だと私は考えています。