2009.2.23 日本経済新聞
上記新聞の切り抜きの中のグラフは、「前期末自己資本に対する今期予想赤字の比率」を表しています。そこで「2008年12月末の自己資本に対する今期予想赤字の比率」を下記に表にしてまとめてみました。
日立 | 41% |
NEC | 36% |
東芝 | 42% |
三菱自 | 25% |
パナソニック | 11% |
シャープ | 9% |
日産自 | 9% |
富士通 | 6% |
ソニー | 5% |
トヨタ | 3% |
マツダ | 2% |
日立、NEC,東芝の赤字比率の高さに愕然とします。特にこの3社は半導体を多く取り扱っているため、他の電機メーカーに比べて極端に業績が悪くなっています。
自己資本の減少は経営の足かせとなり、特に資金調達コストを割高にします。たとえば、東芝が今期計上している構造改革(リストラ)費用が150億円なのに対し、パナソニックは3,450億円を計上しています。
余裕のあるパナソニックが思い切った「リストラ」を行えるのに対し、東芝はお金がないため、思い切った手を打てません。そのぶん対応が後手後手に回る可能性があります。
1990年のバブル崩壊後、日本の銀行が不良債権の実態額をなかなか公表しなかったのは、恐ろしくて公表できなかったからでした。当時一番健全経営をしていると言われていた三菱銀行は、いち早く不良債権額を公表し、他行に先駆け一番最初にウミを出し切ってしまいました。公表しても「信用不安」に陥る心配がないと自信を持っていたからです。
それに比べて、今回の日立、NEC,東芝の三社はどうでしょうか?大変心配です。
自己資本がマイナスになれば債務超過となり、保有資産を全て売却しても負債が残ってしまう状態で、企業の存続そのものが危うくなってしまいます。
今の状態があと1年も続けば、上記の3社は本当に債務超過に陥りかねません。まさにアメリカ自動車産業ビッグスリーの二の舞となります。
日立やNECや東芝が倒産の危機にさらされるなど、ちょっと前の日本人には想像も出来ませんでした。
しかし、原子力発電という21世紀に最も有望な重電部門を持つ日立、東芝と違い、重電部門を持たないNECの次の戦略商品はいったい何なのでしょうか?
一時期,新卒就職人気ランキングで理科系大学生からの人気No.1の座をソニーと争っていたNECのことですから、若き優秀なエンジニア達が、世間を驚かすような何かをやってくれると期待しています。
10年後に過去を振り帰ったとき、2009年はわれわれ技術翻訳業界にも非常に重要な分岐点となる年になっているはずです。