2009年11月14日、日本経済新聞の朝刊から。
(以上で記事終り)
今回の世界同時不況で一番ダメージを被った国は、米国でもなく、欧州でもなく、BRICsでもなく、まさに日本でした。
その日本のなかで圧倒的なダメージを被った産業は「製造業」でした(もっとも儲け頭の製造業の業績悪化に引っ張られて「金融業」も悪化しましたが、それでも製造業ほど悪くはありません)。
しかし、製造業の内訳をよく見てみるとその全てが悪いわけではありません。突出して悪い業種があるのです。
その第一が「電気機器業界」、第二が「自動車・部品業界」、第三位が「鉄鋼業界」です。特に「電気機業界」の悪さは、他と比較しても目を覆わんばかりです。
つまり日本の「電気機器業界」は、世界で最もダメージを被った産業だと言えます。
アメリカのバブル個人消費を当てにした、北米輸出に偏りすぎた企業方針の“つけ”が一挙に噴出したと言わざるを得ないでしょう。
来年3月期の決算予想では、他の産業が増益あるいは黒字転換を果たす中、「電気機器業界」だけは依然、巨額の赤字決算となる見通しです。
韓国企業等、他の新興国企業の追い上げも激しいため、今後も苦戦は避けられません。
欧州や韓国や台湾の企業に比べて日本は技術では決して負けてはいません。むしろ優秀な技術者の質と量では他国を凌駕しているはずです。それなのになぜ負けるのか?日本が今負けているのは、経営者の戦略だけでしょう。
今こそ再び日本の電機業界に“技術立国日本”の灯を点す、戦略的経営者の出現を強く望んでやみません。