2010.7.13 日本経済新聞
日産自動車は12日、日立製作所から調達しているエンジン部品の入荷が遅れているため、国内4つの完成車工場で14日から3日間、操業を停止することを決めた。減産台数は約1万5,000台。日立はエンジン部品に欠かせない半導体の調達が不足した、と説明している。日産の4工場は来週から操業を再開するが、「8月半ば以降の半導体の調達は交渉中」(日立)としており、影響が拡大する可能性もある。
2010.7.13 朝日新聞
日立がECU用のICを1社だけに発注していたのは、特注品は調達先を絞った方がコストが安くなるため。こうした手法は自動車や電機業界で使われている。
(以上で記事おわり)
半導体メーカー ⇒ 日立製作所 ⇒ 日産自動車、という納入図式になっているようですが、日立製作所に半導体部品を納めている海外の半導体メーカーが、「一方的な通告による納期遅れ」をおこしたために、エンジン内の基幹部品である「エンジン制御ユニット(ECU)」を日産自動車に納品できなくなり、結局日産の4工場の操業ラインが突然ストップするという異常事態にまで発展してしまいました。
背景には現在の世界的な半導体の品不足という需給バランスの崩れがあるようですが、実際それだけでもなさそうです。
つまり「集中購買」の弊害が表面化したともいえます。「集中購買」とは、たとえば5社の下請けメーカーへ発注していた部品を、下位3社を切り捨て、上位の2社だけに集中的に発注することにより、納入コストを20%下げさせる、というようなやり方を言います。
近年の流行とも言える手法ですが、今回の日立製作所のケースで言うと、コストカットを究極まで追求したため、結局1社のICメーカーに絞りこまざるを得ず、このような非常事態を招いてしまったとも言えるでしょう。
しかしこのような動きは、部品メーカーのみならず、わが翻訳業界にも少なからず影響を与えています。「御社だけに集中的に翻訳を発注するから、何%コストを下げて欲しい・・・・・・」。
しかし、装置産業の場合は「1万個作ると1個あたりのコストは100万円だが、10万個作れば50万円になる」というような図式もあり得るでしょうが、翻訳業は装置産業ではないので、ある一定ラインを超えると量が増えることによりコストも増大する、ということに早く気がついて欲しいものです。