TDB景気白書 2010年~2011年版より
帝国データバンクから毎年送られてくる「景気白書」の中から、日本の輸出依存度に関するデータをご紹介いたします。
このグラフは1980年から2009年までが、内閣府「国民経済計算」による実績データであり、2010年以降が帝国データバンクによる予測となっています。
私が翻訳業界に入ったのが今からちょうど30年前の1981年4月のことですから、このグラフは、私がこの業界で歩んできた道のりとほぼ同じ時期を示していることになります。
1985年9月のプラザ合意後におきたいわゆる「円高不況」ですが、それまで1ドル250円ほどだった円が1年後に160円、2年半後には120円にまで急騰しました。
当然この円高は、日本の輸出企業に大変深刻なダメージを与えました。今でも覚えているのは、大手新聞が特集した「このまま円高が進み、1ドル170円になると、日本の輸出関連中小企業の7割が倒産する」というまことしやかな記事でした。
実際輸出関連企業にとっては、とても深刻な不況ではありましたが、多くの日本企業はたくましく生き残り、やがて空前絶後の「バブル景気」を迎えることになります。
そしてその後1990年「バブルの崩壊」と2000年「ITバブルの崩壊」を迎え、2008年の「リーマン・ショック」で再び急速に落下します。
この「名目輸出金額」のグラフから3つのことがわかります。
(1)1980年から2003年までの24年間、かなり大きな景気のアップダウンがあったが、輸出はほぼなだらかに右肩上がりに推移している。
(2)2004年から2007年までの急上昇とその後2年間の急激な落ち込みをみると改めて、リーマン・ショックの激しさがよくわかる。
(3)帝国データバンクによる2010年以降の予測は、過去30年間と比べて、かなり急激な輸出増になっている。
この予測が的中するとなると、日本経済はいまだかつて経験したことのない爆発的な貿易増(輸出増は必然的に輸入も増やします)と高い輸出依存度を経験することになります。
これが日本の翻訳業界にとって良いことであっても悪いことであるはずがありません。