2009年12月11日の日経新聞、「大機小機」の欄に興味深い解説が出ていました。
・「外需」とは「輸出マイナス輸入」のことであり、「外需」=「輸出」ではない。
・したがって輸出が増えて内需があまり増えない場合であっても(つまり輸出にリードされた成長であっても)、輸出と同じように輸入が増えれば、外需の寄与度はゼロとなり、一見「完全内需主導型の経済」となってしまう。
・日本の高度経済成長期(1956~1970年度)の平均経済成長率は9.6%であり、これを寄与度に分解すると、内需寄与度が9.9%、外需寄与度はマイナス0.2%だった。
・これだけで判断してしまうと、日本の高度成長は完全に内需主導型だったように見える。しかし、この期間、輸出は14.6%の高い伸び率だったが、輸入もまた15.4%もの高い伸びとなったからだ。
記事の要旨は以上です。
つまり上記から察するに、高度経済成長期の日本は、旺盛な輸出競争力で円を強くし、結果として実質的な輸入原材料の価格を引き下げ、一段と輸出競争力を強めていく。さらに輸出は個人や企業の所得を増やし内需を拡大させ、さらに円高は一般の輸入物価を引き下げ輸入を益々促進する。安い輸入物価は旺盛な国内消費を刺激し、内需をさらに増大させていく。こうやって輸出・輸入・内需の3者が同時に増加することで経済を拡大させていった。
確かに輸出・輸入・内需の3者を同時に引き上げていくバランスが大事なのでしょうが、やはりことの初めはとにかく「輸出」ということでしょう。輸出で外貨を稼がねば所得が増えず輸入ができないし、輸出で自国の通貨の価値を上げることにより、輸入物価を下げなければ消費に弾みがつかない・・・・ということでしょう。
基本的に豊かな国が豊かであるワケは、モノやサービスを外国へ売ることにより外貨を稼ぐか、外国から観光客を呼び込むことにより外貨を稼ぐかのどちらかでしょう。日本の場合、後者は難しいでしょうから結局のところ「ハイテク日本の輸出」、「ものづくり日本の輸出」に頼らざるを得ない、という従来どおりの当たり前の結論にたどり着いてしまいます。