2010.9.24 日本経済新聞
大手製造業が海外生産比率を一段と引き上げる。トヨタ自動車や日産自動車の海外生産比率は通年で過去最高に達する見通し。電子部品や精密機器も海外生産が拡大する。2010年4~9月期の実績為替レートは主要輸出企業の平均で前年同期比7円前後の円高・ドル安になるとみられる。海外生産拡大は円高対応力を強めるが、生産能力全体が増えない中での海外拡充は国内の空洞化につながる懸念もある。
(以上で日経の記事終わり)
<日経新聞朝刊より>
円高の影響に関するジェトロ・メンバーズ緊急アンケート結果概要
2010年9月17日 日本貿易振興機構 海外調査部
●円高による海外部門の業績への影響(業種別)●
* 現在の円高が今後(半年から1年程度)続くことによる、海外部門(輸出含む)の業績の影響については、4分の3の企業が業績が悪化すると回答し、4割超が業績は「大いに悪化する」との回答であった。
* 業種別には、製造業の約85%、非製造業は6割程度が業績悪化を見込んであり、非製造業では3割近くが業績への影響は無いとの回答であった。
●円高による海外部門の業績への影響(業種別詳細)●
*業種を詳細にみると、特に機械類(「一般機械」、「電気機械」、「情報通信機械器具/電子部品・デバイス」、「自動車/自動車部品/その他輸送機器」、「精密機械」)で悪影響が大きくなると見込まれ、いずれも8割以上の企業が業績の悪化を見込んでいる。これに対し、非製造業への影響は相対的に限られると見込まれる。
(以上でJETROの記事は終り)
このブログの中で何度も指摘してきましたが、日本製造業の海外脱出と国内産業の空洞化の問題が今後さらに強まりそうです。
今回の急激な円高が日本製造業を海外脱出させる直接的な原因となっていることは間違いありませんが、もちろん原因はそれだけではありません。「日本製造業の派遣社員切りに対するヒステリックな社会的批判」や「諸外国に比べかなり高率の法人税」に嫌気がさしていたところへ、今回の円高がとどめを刺したというところでしょう。
まあ、いずれしてもこれも時間の問題ではありました。なぜならグローバル化が進めば、製品売却先の国に工場を建て、現地人を雇用し、納税し、「売って儲けているだけ」という批判を少しでもかわさなければならないからです。
ただし、翻訳業界にとって気になるのは、工場の移転よりも「開発や設計の海外移転」のほうですが、これも今や着々と途上国へと移転が進んでいるようです。ITソフトウェアの世界では十数年間から途上国でのオフショア開発が盛んに行われてきましたが、これが今後は製造業一般にまで広がっていくのかどうかが気になるところです。