国内造船、受注減で悲鳴 円高で中韓に競り負け

2011年07月20日 日経新聞朝刊より

日本の造船業界が受注減に悩まされている。19日に日本船舶輸出組合が発表した6月の受注実績は15隻で前年同月比55%の減少。実数ベースでも過去最低の水準となった。7月も商談環境は厳しく、このままでは2013年にも一部造船所で建造予定船がなくなる見通し。国際競争に勝てる体質づくりが待ったなしの課題だ。
(以上、記事終わり)

2011.07.20 日経新聞

この記事によると、 

(1) 中国企業や韓国企業とのコスト競争で負けている。
(2) かつ、現在の日本の造船所の規模では顧客からの大量発注に応えられない。

よって、ご多分に漏れず、「資材費40%の削減」と「高付加価値船」の開発、つまり「省エネ船」の開発に活路を見出そうとしている、とのことです。

しかしそれだけでは(1)の対策にはなっても、(2)の解決策にはなりません。

この造船業界の問題は、日本の産業が抱える諸問題の縮図でもあると思います。

今こそ中長期的視野に立った「国家的戦略」がなんとしても必要です。ちょうど韓国が行なったように、ハブ空港やハブ港の建設。自動車業界や電機業界の統合再編など大胆な国家プロジェクトが必要でしょう。

日本中には大小様々な港がありますが、大型船が横付けできる港や大量のコンテナを取り扱える設備を持った巨大な港はほとんどありません。お隣の韓国では、小さい港を廃止し、釜山港ひとつに絞って巨大設備を建造中です。

また、日本は1995年の「阪神淡路大震災」のあと、港の復興を急いだのはよいのですが、「現状復帰」を急いだがために、大型タンカーが横付けできる巨大なハブ港を建造する千載一遇のチャンスを逃してしまいました。

韓国産業界の「選択と集中」はすさまじく、自動車業界は現代自動車、電機業界はサムスン電子とLG電子にすべて統合してしまいました。初めから小さな国内市場を捨て、世界のマーケットを視野に入れていたからです。

日本に2つも国際線の航空会社(JALとANA)が必要でしょうか?日本に10社以上の自動車メーカーが必要でしょうか?日本に数十社を超える電機メーカーが必要でしょうか?

日本政府も早く“21世紀”を見据えた産業ロードマップを作成してほしいものです。そこに日本の翻訳業界の未来もかかっていると言っても過言ではないでしょう。