輸出力の低下鮮明 「リーマン後」通信機など15品目 価格競争力に円高直撃

2012.06.14 日本経済新聞朝刊

日本企業の輸出競争力の低下が鮮明になってきた。主要30品目の2011年の競争力指数は米リーマン・ショック前の2007年に比べ、通信機や医療品、コンピュータ類など15品目で下がった。特にテレビの苦戦が鮮明だ。新興国との価格競争が激しくなる中で、歴史的な円高に直面したことが響いた。

国際競争力係数と呼ぶ指標で2007年と2011年を比較した。輸出力が下がったのはほかにプラスチック、DVDなどの記録媒体、家電など。戦後の経済成長を支えた輸出力の低下が浮き彫りになり、国や企業は新たな成長モデルの構築が急務になっている。

2012.06.14 日経
(以上で記事終わり)

以下、記事の内容を簡単にまとめました。

<安定的に競争力を発揮>
・ 中国向けの輸出が拡大した工作機械や荷役機械など

<比較的堅調>
・ コンピューターの部品や音響・映像機器の部品

<07年よりは低いが、01年の水準は上回っている>
・ 自動車

<07年と比べると下がったものの、競争力はなお高い>
・ 建設・鉱山用機械

<主要30品目のうちリーマン前よりも輸出力が上がった>
・ 化学光学機器や電気計測機器など11品目

<07年とほぼ同水準>
・ゴム製品、金属製品など4品目

要するに70年代以降の日本経済をけん引してきた通信機やテレビの輸出競争力が大きく落ち込み、コンピュータ(含む周辺機器)、家電、医薬品の輸出競争力が長期低迷しているわけです。

なかでも21世紀のけん引役になると思われる医薬品も長期低迷していることはかなり問題でしょう。

しかし、この記事では「国や企業は新たな成長モデルの構築が急務」と言っておきながら、その後何も触れていません。

そこで2010年に閣議決定された政府の「新成長戦略~元気な日本復活のシナリオ~」の中から、その大項目だけをご紹介しておきます。

(1)グリーン・イノベーションによる環境・エネルギー大国戦略

(2)ライフ・イノベーションによる健康大国戦略

(3) アジア経済戦略

(4)観光立国・地域活性化戦略

(5)科学・技術・情報通信立国戦略

(6)雇用・人材戦略

(7)金融戦略

詳細は割愛しますが、この「新成長戦略」に書かれていること自体は素晴らしい内容だと思います。

またそのすべてが私たち翻訳業界の人間と深くかかわりあっている内容と言えるでしょう。

大震災と原発事故により頓挫していますが、なんとしてもこの「新成長戦略」を実現していってほしいと願っています。