日本は「貿易立国」・・・・・・・・これは「日本の常識」と、考えている人は多いのではないでしょうか?
下記の表を見てください。諸外国に比べると、”日本経済は輸出に依存していない”ことがよく分かります。
この表には出ていませんが、世界貿易機関(WTO)や国際通貨基金(IMF)の2006年データで、G7(先進7ヶ国、日本、米国、英国、フランス、イタリア、カナダ、ドイツ)の輸出依存度の平均値を調べてみると”22%”となりました。日本は14.8%で7ヶ国中6番目で、日本を下回る国は、米国しかありません。
”自給自足できる大国”の米国はともかくとして、日本の輸出依存度はかなり低く、とても「貿易立国」などと呼べる状況ではないことがわかります。
それでは、昔の日本はどうだったのでしょうか?
下のグラフを見てください。近年日本の輸出依存度が急激に高まってきているのがわかりますが、それでも1985年9月のプラザ合意直前の水準、15.1%のレベルにやっと戻っただけ、ということが分かります。
つまり、プラザ合意による急激な円高により、日本の輸出依存度も急降下しましたが、その後の世界経済の成長と日本経済の停滞(デフレ)により、実効レートで考えた場合、”円は安く”なっていて、プラザ合意の頃とほぼ同水準になっている、とも考えられます。
長らく翻訳業界にいる方々は、このグラフを見て感じることはありませんか?
日本の輸出依存度が10%前後の時代は、英文和訳(英日翻訳)の時代、それを大きく上回るときは、逆に和文英訳(日英翻訳)の時代と言えるのではないでしょうか?
もうひとつ、貴重なデータがあります。
【2006年、日本の地域別輸出先】
米国向け・・・・・・22%
中国向け・・・・・・14%
新興工業経済地域(NIES)向け・・・・・23%
東南アジア諸国連合(ASEAN)向け・・・・・12%
【1985年、日本の地域別輸出先】
米国向け・・・・・・37%
中国向け・・・・・・ 7%
つまり、いよいよ本格的に”英語+アジア各国語”の時代が始まった、と言えるでしょう。