2007.8.30 CNET Japan
検索エンジン業界大手、Googleの最高経営責任者(CEO)は、表現の自由を守るため、インターネットにおける検閲を非関税貿易障壁として認定するよう求めている。
(中略)
Googleで欧州における企業コミュニケーションと広報を担当するディレクター、Rachel Whetstone氏は、同社が中国で自主検閲を実施しながら、一方で言論の自由を促進することに矛盾はないとしている。
「現地の法律に従う必要があるため、中国ではリンクしないよう義務づけられている情報もある。これは言論の自由と相容れないわけではなく、矛盾もない。中国の発展を促す最良の方法は中国と関わりあうことであって、中国を遠ざけることではない。確かにわれわれは中国で情報を削除しているが、削除したことを明確に示している。これを行っている検索エンジンは中国ではわれわれだけだ。中国でサービスを行うことでより多くの情報を提供できるし、削除するのはほんの一部に過ぎない。1%を削除し、99%を提供している。こうした姿勢に異論がある人がいることは承知している」とWhetstone氏は話している。
(後略) ・・・・(記事の転載ここまで)
世界の検索エンジンマーケットで圧倒的なシェアを占めるGoogleが、中国でどのくらいのシェアを持っているかと言うと、下記のとおりです。
「シェアは最大手の地元企業Baiduが43.9%を握り、2位はYahoo! Chinaで21.1%。Googleは3位にとどまりシェアは13.2%となっている」(2006年6月23日のITmedia Newsの記事)
「Baidu」は、漢字で「百度」と書く、中国系企業ですが、シェアで圧倒的大差をつけられている「Google」に焦りでもあったのでしょうか。昨年あたり「Googleは中国政府と裏取引をしたのではないか?」と言う疑惑が持ち上がり、日本国内でも話題になりました。
私は昨年10月10日に「グーグル社長、村上憲朗氏のセミナー」を聞きに行ったのですが、その中で、中国政府とのやりとりに関する質問が出てきて、村上社長の回答は下記のようなものでした。
質問:「中国では中国政府がGoogleに圧力をかけ、中国政府に都合の悪い検索結果は表示させないようGoogleと裏取引をしたという噂が流れていますが、それは真実ですか?もし真実だとしたら一部の権力者の情報統制に加担するという姿勢はGoogleのポリシーに反するのではないですか?」
村上社長:「おっしゃるとおり、中国政府からの要請を受け入れていることは事実です。しかし、それは裏取引というようなものではありません。中国政府では“法〇功”や“天〇〇事件”などいくつかのテーマを違法と認識しているので、さきほどお話した4つのルールの第1番目、犯罪にかかわるサイトに該当すると判断せざるを得ないからです。はっきり言ってこれはGoogleにとって“苦渋の決断”でした。中国では通信の全てを管理しているのは政府なので、”Better than nothing”ということで中国での活動を開始しました。これは“世界中のあらゆる全ての情報を整理する”というGoogleのミッションに反するものであり、本来であればこのように情報を取捨選択するというような僭越な行為など一切やりたくないのですが、犯罪行為や反社会的な行為に加担するわけにはいかないので、ルールを決めてやむを得ず情報の取捨選択を行なっています。」
このときの村上社長の答弁も苦しかったのですが、今回の米国Googleのディレクター、Rachel Whetstone氏の答弁は、もっと苦しいですね。