2020年のオリンピック開催都市が「東京」に決定しました。
やはり自分が生きている間に日本で生のオリンピックを見ることができるというのは、とてもうれしいことです。ぜひとも、一つでも多くの競技場に足を運び、オリンピックの息吹を肌で感じたいものです。
私は、2002年日韓ワールドカップの時も、鹿島スタジアムまで足を運び、アルゼンチン対ナイジェリア戦を観戦しました。
そう思うと私は生涯で2度の冬季オリンピック(札幌、長野)と2度の夏季オリンピック(東京、東京)ならびに1度のサッカーワールドカップを自国で見れる(テレビも含めて)という結構ラッキーな人間ということになります。
ところで、東京五輪招致委員会が発表した数字によると、2013年から2020年までの8年間で日本に与える経済効果は約3兆円とのこと。
これは直接的な波及効果だけで、間接的なものまで含めると5兆円だ、いや10兆円だという威勢の良い声も聞こえてきます。
また、ある民間調査機関によれば、経済効果をもっと幅広くとらえれば、150兆円にもおよぶという話です。
その真偽のほどはともかくとして、少なくとも私たち翻訳業界にとって、良いことはあれ、悪いことはなにもないはずです。そういう意味からも2020年の東京オリンピックは実に歓迎すべきイベントということになります。
さて、今回のオリンピック招致活動において大変話題になったことのひとつに招致委員会が行った「プレゼンテーション」があります。
「非常に説得力があった。確実で安全な開催能力を訴える力があった」。国際オリンピック委員会(IOC)のジャック・ロゲ会長は、東京の勝因をこう評した(産経ニュース)。
こう伝えられるほど今回の日本人8人のプレゼンは素晴らしかったと言えます。
ラジオのニュースで聞いた話では、アメリカのプレゼンコンサルタントに数億円のお金を払い、事前に徹底的に訓練を積んだとのことです。
どおりで従来の日本人の特徴である「下を見ながら原稿を読む」という演説スタイルが完全に消え、微笑みながらまっすぐ前を見て、力強く訴えるというアメリカンスタイルが印象に残ったはずです。諸外国の人たちも日本人の変わりようには、かなり驚いたようです。
さすがに皇族である高円宮妃久子さまは、コンサルタントによる指導を受けていなかったのでしょうか、半分ほど原稿に目を落としながら演説をしていましが、それでも流ちょうなフランス語と英語で気品のあるスピーチを披露していました。
今回の成功により、日本にも遅ればせながら、「演説やプレゼンのやり方がいかに大事か」という認識がやっと浸透しはじめるという気がします。
いかに話す内容がすばらしくても、下を見ながら原稿を読んでいては、説得力も迫力もない、意図も伝わりにくい、ということに早く気がついてほしいものです。特に日本の政治家や指導者のみなさんには。