グーグルのデータ蓄積とパーソナライズ

下記は2014年4月23日の朝日新聞朝刊の切り抜きですが、米グーグルの副社長が「将来はすべての言語、方言に対応できる音声認識システムを作る」と答えています。

2014年4月グーグル

「すべての言語・方言」に対応するとは、ずいぶんと大口を叩くものだな、と思いますが、日々私たちが入力する文字や発する言葉がその都度グーグルのコンピューターに蓄積されていっている、と思うとなんとなく複雑な心境です。

もはや紙の地図や時刻表を使う人はほとんどいないでしょうし、何十万円もする紙の百科事典を購入する人もいないでしょう。

今やネットで得られる様々な情報はすでに社会インフラのひとつとなっていて、私たちの生活に必要不可欠な道具となっていますが、便利さの裏に潜む不気味さのようなものも感じます。

検索エンジンが、過去の検索結果から、自分の好みや興味を判断し、結果を“操作”してくれる“パーソナライズ”もその不気味さの一つと言えます。

パーソナライズされた情報は、当然“偏った情報”になるわけですが、本人だけが気付かず、それが広く世の中一般に受け入れられていると錯覚する危険性もあるからです。

ところで、最近は、Google Translation Toolkit (グーグル翻訳者ツールキット)が、産業翻訳の分野でも使われ始めているそうです。プロの翻訳者がこの翻訳メモリの共有機能を使用することは、機密保持の観点から厳に慎んでほしいと思います。

一般社団法人日本翻訳連盟では、翻訳会社やプロの翻訳者がGoogle Translation Toolkit を使って、翻訳メモリの共有機能を使用することのないよう、会員各位に文書を発行して注意を促しています。

中国、ハイブリッド車に補助 現地生産1台に25万円

2014年4月19日 日経新聞朝刊

中国、ハイブリッド車に補助 現地生産1台に25万円 大気汚染対策 トヨタやホンダ、攻勢へ

中国政府は大気汚染対策の柱として、ハイブリッド車(HV)の購入に補助金を出す検討に入った。電気自動車(EV)など充電可能な環境車に限ってきた補助の対象を、通常のHVにも広げる。2015年にも実施する。世界最大の市場を持つ中国が環境対応車の本命にHVを位置づけることで、日本勢を含む世界メーカーの戦略に影響を与えそうだ。

2014年4月19日 日経2

中国が補助金検討 日本勢、HV現地化
トヨタ、基幹部品を開発 ホンダ、16年から完成車

中国政府がハイブリッド車(HV)に購入補助金を出す検討に入った。割高な価格がHV販売のネックになっていた日本勢には追い風だ。トヨタ自動車は2015年をめどにHVの基幹部品、ホンダが16年からHV車両の現地生産を計画しており、現地シフトによるコスト削減に今回の補助金が加わる。世界最大市場で欧米勢とのエコカー販売競争が激しくなりそうだ。

2014年4月19日 日経1

2014年4月19日 日経3

(以上で日経新聞の記事終わり)

私が1999年に初めて北京へ行った時、空港から一歩外へ出たとたん、あまりの空気の汚さにビックリ仰天したことを思い出します。排気ガスを吹き出す出すダンプカーの真後ろに立っている感じでした。

最近は、さらにひどくなっているとのことなので、国民からの苦情に中国政府もさすがに重い腰を上げざるを得なかったのでしょう。

中国上層部の人たちも、自分たちだけのために、きれいな「空気」を確保することはできないとやっと気がついたのでしょうか。

ハイブリッド車の技術に関しては、トヨタとホンダが世界でも一歩抜きん出た存在であることはもはや周知の事実です。

今後、中国人が息をするために、否が応でも日本車を買わざるを得ない、というほどに日本車メーカーにはがんばってもらいたいものです。

自動車産業は非常に裾野の広い産業です。特に日本においては莫大な影響力を持つ存在だということが、リーマンショックの時に露呈しました。

中国市場において日本車勢がシェアを伸ばし、現地生産も増えてくれば、雇用も確保され、さらに裾野の広い産業にも多大なる好影響を与えることになるでしょう。結果として日中両国の経済関係が非常に深まっていくことは必定です。

緊密な経済関係は、政治や文化面においても、間違いなく良好な影響を与えていくはずです。

かつて坂本龍馬は、「思想で人は動かせても組織は動かせない。組織を動かすものは“利”だ」と言ったそうです。

“利”とはつまり、現代で言う“経済”のことです。

龍馬は、幕府の圧力により、外国から武器が買えずに困っていた長州のために、薩摩を通じて英国の武器を購入できるよう仲立ちをしたそうです。

それに対し龍馬は、見返りに長州から薩摩へ“米”を送らせたそうです。薩摩はあまり米が豊富にとれないため、普段から“芋”ばかりを食べていた薩摩人は「イモ侍」と揶揄されていたからです。

そうやって始まった薩長の“貿易”により、顔を見ただけで殺し合いをはじめるほど憎しみあっていたあの薩長が同盟を結ぶことになります。

今後、日本と中国が強固な経済関係を築くことにより、良好な友好国となる日が来ることを願ってやみません。

小保方氏説明会見、識者に聞く

2014年4月10日(木) 朝日新聞朝刊より

2014年4月10日朝日

謎は何も解消されず
名古屋大教授・森郁恵

科学者として私たちが抱いていた疑問は何も明らかにされなかった。

一言でいえば「論点がずれている」。

切り張りをした画像について、2枚の画像がそれぞれ存在するので「改ざん」には当たらないと主張していたが、別々の画像を1枚にした時点で科学の世界では「ないものを作った」ことになる。

写真の取り違えについては、自分で気づいてネイチャーに訂正を出した際、今年2月に撮り直した写真を出したと言っていた。これも科学者の常識に反する。実験をした時期に撮った写真を提出すべきだ。

STAP細胞が本当にあるのかについて「ある」と断言し、「コツが必要」と説明しているのに、そのコツを聞かれたら「次の論文に支障があるので言えません」と言ったのも変だ。すでに出た論文の再現に必要な情報を「次の論文」のために明かさないということはありえない。 (後 略)

(以上で朝日新聞の記事終り)

昨日、小保方氏の記者会見が行われました。

そのため、昨夜のテレビニュースや今朝のラジオニュースも新聞もその話題で持ちきりでした。

この件につき、沢山の識者、専門家がインタビューを受けコメントを出していましたが、名古屋大学の森郁恵教授の解説が、最も明快でわかりやすかったので、上記にご紹介させていただきました。

下記はそれに対する私の感想です。

① 画像の切り貼りについて

森教授の指摘どおり「別々の画像を1枚にした時点で改ざんになる」という主張は当然でしょう。ましてやこれは「研究論文」なのですからなおさらです。

研究により、導き出された未知の事実とそこに至るまでの過程を、正確に報告するべきです。堂々と「改ざんではない」と主張する小保方氏の姿勢にやはり大いなる疑問を感じざるを得ません。

② 写真の取り違えについて

「研究論文の中の写真が違っていたから差し替えてください」と言って、ネイチャーに差し替えを頼んだそうですが、その新しく提出した写真が、今年2月に撮影したもの、つまり論文を提出した後に撮影したものというのは、一体どういうことでしょうか?

論文を作成するまでの段階の実験の際に撮った写真でなければ意味がありません。実際、その両者が撮影された環境は条件が異なっていたそうですから何をか言わんやです。

③ 「そのコツは言えません」

論文の検証のためにそのコツ、つまりSTAP細胞を作る具体的な手順を分かりやすく示してください、と言われているのに「できない」とは、これまた一体どういうことでしょうか?

すでに世の中に公開されている論文が事実であるかどうかの検証を求められている訳ですから、「次の論文に支障があるから言えません」では、「全てウソだから言えません」と思われてもしかたないでしょう。

以上、小保方氏の反論は、なんの説得力も持たない非論理的な説明でした。

涙で視聴者の情に訴える作戦であったとしか思えません。

STAP細胞の発見は、人類の歴史を変えるとまで言われた大発見だそうです。だから世界中が注目しています。

それなのに、そんなに重要な研究論文が、あまりにもずさんに作成され、提出されていたという事実に唖然とします。

やはり、一部で報道されているように、「異常な何か」があったのではないか?と勘繰りたくなるほど「異常な」事件と言えます。

「裁判になればこの事件の決着には時間がかかる」という報道もありますが、あっという間に急展開、なんてこともありそうな気もします。

「技術立国日本」

「日本人は勤勉で誠実」

「日本の技術者や職人さんはとても優秀」

そういうイメージを持っている外国の人々から落胆と失笑の声が聞こえてこないよう、日本にとって「良い」結末となるよう望んでいます。

アジアでM&A最高 日本企業、中堅も進出

2014年3月31日 日本経済新聞朝刊

日本企業によるアジア地域へのM&A(合併・買収)が一段と活発になっている。2013年度のM&A件数は前年度より25%増え、過去最高となる。株高や収益力回復を背景に成長市場を取り込む動きが大企業だけでなく、中堅企業にも広がっている。資本市場からリスクマネーを調達してM&Aなど攻めの投資に使う動きも鮮明だ。

2014年3月31日日経1

2014年3月31日日経2

(以上で日経新聞の記事終り)

この記事によると中国を除くアジア各国の企業をM&Aする日本企業の動きが活発になっているとのことです。

M&Aが発生すれば、当然、翻訳の需要も高まります。したがって日本の翻訳業界にとって、良い話であることは間違いありません。

ところで違う日の日経新聞にファーストリテイリングの柳井会長のインタビュー記事が載っていました。「ファーストリテイリングはアメリカでの売上を1兆円まで伸ばしたい。全世界での売り上げ目標は5兆円」とのことです。

そこで取材した記者が「M&Aをするのですか?」と聞くと次の答が返ってきました。

「5兆円の目標はオーガニック(自社の成長)だけでもいけるんじゃないかと思う」

この「オーガニック」という言葉使いがちょっとおもしろいなと思いました。

もともと「オーガニック」と言う言葉は「有機栽培」や「有機農法」から来ている用語ですが、そこから発生して、今ではWeb上での自然検索結果を表しています。

つまり有料のリスティング広告によって検索されたのではなく、そのサイト独自の力によって検索された、という意味で使われています。

その「オーガニック」をファストりの柳井会長は、「M&Aではなく自社独自の成長」という意味で使っています。

この意味での「オーガニック」を使ったのが柳井氏が初めてなのかどうかはわかりませんが、なかなか興味深い言葉使いであると感心しています。

まあ、なにはともあれ、日本企業は、もっともっとM&Aで世界中へ羽ばたいて行ってほしいものです。

同時に日本企業をM&Aしたいという世界からの誘いに対しても殻を閉じずに、積極的に受け入れ、日本経済全体が真に国際化されるよう願っています。

生保、日本流生かす営業 アジア潜在需要に的

2014年3月25日 日経新聞朝刊

日本の大手生命・損害保険会社がアジアの生保市場開拓を急ピッチに進めている。経済成長や中間層の拡大が見込まれるインドやインドネシアなどで、潜在需要の掘り起こしに照準を定める。各社は日本流で押したり、現地の慣習も採り入れたりして営業手法を確立し、成長市場での上位進出に挑む。

2014年3月25日日経1

2014年3月25日日経2

(以上で日経新聞の記事終り)

インド、タイ、ベトナム、シンガポール、マレーシア、インドネシアなどの新興アジア各国で、日本の生保各社が日本式スタイルで営業を強化しているそうです。

日本式スタイルの生保販売とは、「日生のおばちゃん」に代表されるような、中高年の女性が企業や家庭を歩き回って生保を売りまくるという、あのスタイルのことです。

戦後ながらくのあいだ日本では、「生命保険はおばちゃん達が売り歩くもの」というイメージが定着していましたが、欧米諸国では、やり手の男性セールスマンが生命保険を売る方が主流だと聞いています。

(もっともここ数十年の間にすっかり事情は変わってきていて、日本でも欧米同様、やり手の男性セールスマンが生保を売るケースがかなり増えてきているように感じますが・・・・)。

さて、以前、生保の業界関係者に「日本の生保販売員は、なぜあんなにおばちゃんが多いのか」と聞いたことがあります。

その話によると終戦後、戦争未亡人が大量に国中に溢れかえり、なんとかして彼女らの仕事を作ってあげなければならなくなったとのことでした。

そして、この生保販売員のアイディアを思いついたとのことです。能力とやる気にあふれるハングリーな女性たちにとって、歩合給のセールスレディーの仕事は一発逆転の狙える夢のある仕事だったのかもしれません。

ちょっと話は脱線しますが、これに関連してゴルフ場のキャディーさんの話を思い出しました。

日本ではキャディーさんは、「おばちゃん」の仕事となっていますが、欧米では通常キャディーなどいませんし、いてもたいていは男性です。なぜならば、重労働だからです。

「日本ではなぜあんな中高年の女性に重労働の仕事をさせるのか?」「そもそもキャディーなど必要ないではないか?」「これは女性虐待ではないのか?」と欧米の人たちは思うそうです。

しかし、業界関係者に話を聞くと、田舎にはなかなか仕事がないため、おばちゃん達が働ける場所を提供するという条件でゴルフ場の建設が許可され、地元の住民達にも受け入れられてきた、という事情があったようです。

さて、話をアジアでの生保販売に戻しますが、日本の文化や風習、それに日本人の考え方などは、やはり欧米よりもアジアでのほうが、受け入れやすいと私は感じています。

従って、日本式営業で日本の生保各社は今後アジアにおいてもっともっと販売額を伸ばしていけると思っています。

また、上記の「世界の生命保険料収入のシェア」のグラフを見ると2012年の「先進アジア」のシェアが「北米・オセアニア」や「西欧」に比べて非常に大きいのに驚きました。

「先進アジア」というのは、日本と韓国の2国だけですから、いかに日本人や韓国人が保険好きなのかがわかります。

これから大きく発展するアジア市場ですから、生保・損保各社のアジア向け翻訳も増えていくことは間違いないでしょう。

中国、大連の写真

本日の日経新聞に、中国の大連市が外資系企業の社会保険負担を軽減する、という旨の記事が出ていました。中国から逃げ出す日本企業を少しでも食い止めようとする政策の表れのようです。

さて、久々に大連の話題を新聞で見かけたので、昨年(2013年)4月に大連に出張した際に撮った写真のことを思い出しました。大連駅から30分ほど電車に乗って開発区へ行き、その後タクシーに乗って街なかを走りました。その時の写真を下記に掲載します。

大連駅前 右手奥に大連駅が見えます。大連駅前

建設中のビル 大連には建設中のビルがとてもたくさんあります。私の知っている限り、ここ2年間、そのほとんどが中断しています。ダンプカーなどの工事用車両もほとんど見かけたことがありません。

大連 建設中のビル

大連駅の自動販売機 朝になると多くの農民工の人たちが列を作って窓口の切符を買い求めていますが、一部自動販売機も使われているようです。

大連駅 切符の自動販売機

電車の切符

大連駅 切符

大連駅のホーム 電車内は日本よりも幅が広くゆったりしています。

大連駅のホーム

大連駅の路線図

大連駅の路線図

大連開発区 タクシーからみた光景 その1

大連開発区 その1

大連開発区 タクシーからみた光景 その2

大連開発区 その2

大連開発区 タクシーからみた光景 その3

大連開発区 その3

大連開発区 タクシーからみた光景 その4

大連開発区 その4

大連開発区 タクシーからみた光景 その5

大連開発区 その5

大連開発区 タクシーからみた光景 その6

大連開発区 その6

大連開発区 タクシーからみた光景 その7

大連開発区 その7

大連開発区 タクシーからみた光景 その8

大連開発区 その8

大連開発区 タクシーからみた光景 その9

大連開発区 その9

大連市、企業の年金負担軽く 撤退防ぐ

2014年3月7日 日本経済新聞朝刊

中国・大連市が外資の進出企業の社会保険負担を軽減する。年金に当たる養老保険の会社負担を、従業員給与の20%から最大16%に引き下げる。人件費の高騰と円安で進出企業の経営状況は苦しく、撤退が続出しかねないと危機感を強めた。

(以上で記事終り)

中国では日本企業の撤退が増えているため、「日本企業向けの撤退ビジネスが繁盛している」などという噂を最近聞いたことがあります。

大連は中国の中でもかなり親日的な地域であり、日本語学習者も多い大都市という理由により、多くの日本企業が工場やオフィスを構えています。

その大連においてさえ、外資企業(大連で一番多い外資企業は日本企業のはずです)の撤退を防ぐために、企業の年金負担を軽減するというのですから、中国からの日本企業撤退の実態がうかがえます。

中国からの撤退を考える第一の理由は、反日感情の高まりでしょうが、それ以外にも中国のバブル崩壊不安や成長率鈍化などがあげられます。

日本では中国の経済成長率が8%代から7%代に下落していること、あるいは7%代すら危ないとの見方で中国の経済はもうだめだみたいな意見も一部にあるようです。

しかし、今や中国は世界第2位の経済大国です。数年前に日本のGDPを追い越したかと思ったら、もう昨年(2013年)には日本のGDPの2倍弱になっています。

このいきなりの2倍弱の理由には、大幅な円安という原因もあるわけですが、それにしてもそれだけの経済大国が未だに7%台の成長率を維持していること自体がすごいことだと思います。

中国経済のバブル崩壊懸念や中国金融システムに関する諸問題も20年くらい前からずっとささやかれてきましたが、その都度それらの不安をはねのけて中国経済は発展を遂げてきました。

人件費高騰により、「世界の工場」としての機能は変化していくでしょうが、「世界の市場」としての機能はより増していくでしょう。

そう言った意味からも中国を抜きにして今後の世界経済や日本経済は決して語れないはずです。

ASEAN諸国(インドネシア、シンガポール、タイ、フィリピン、マレーシア、ブルネイ、ベトナム、ミャンマー、ラオス、カンボジア)の10ヶ国も大事ですが、日本経済にとっては、あい変らず中国も重要であり続けるでしょう。

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2013年4月、出張で大連へ行った時に撮った「大連駅」の写真

海外での日本語学習者数 9.1%増加(398万人)

国際交流基金が2012 年に行った調査によると、世界各地における日本語学習者数が398万人となり、3年前の2009年に比べて9.1%増加していることがわかりました。 ⇒ 詳しくはこちら

下記の表は国際交流基金が作成したものです。

2014年1月 海外での日本語学習者数

中国に105万人もの日本語学習者がいて、かつ3年前に比べて26.5%もその数が増えてきているということはやはり喜ばしいことです。

その理由は「中国において、日本のポップ・カルチャーへの関心を背景にした学習動機や将来の就職など経済的・実利的理由に支えられて大学を中心に学習者が伸びてきている」からとのことです。

「ポップカルチャー」とは「大衆が愛好する文化」なので、色々なものが考えられます。音楽、スポーツ、映画、テレビ番組、ゲーム、マンガ・アニメ、ファッション、飲食物、大衆小説等々・・・・・。

日本人がジャズやビートルズに心酔したり、野球に熱狂したり、アメリカの映画スターを崇拝したり、ディズニーに憧れたり、ジーンズを穿いたり、ハンバーガーにパクついたりしたように、日本の文化が海外へ浸透していけば、こんなにうれしいことはないのですが・・・。

恐らく今のところは、日本のマンガ・アニメやゲームがかなり影響を与えているのでしょう。日本の外務省のサイトの中に「ポップカルチャー外交」というページがあります。

その中に「アニメ文化大使」や「カワイイ大使」や「世界コスプレサミット」などの文字が躍るのを見ると、お堅い日本のお役所もずいぶんと「柔らかく」なったものだなと感心することしきりです。

柔道、カラオケ、寿司、マンガ、アニメ、ゲームだけでなく、和食文化やお弁当、ファッションなど様々な分野のモノや思想が日本から輸出されていくことを願ってやみません。

さて、上記の表の中の韓国ですが、日本語学習者数が減ってきているところが少し気になります。しかし、その理由を見ると・・・・・

「韓国では、高校における教育制度の変更が、日本語を含む外国語選択に影響を及ぼしたこと等により、学習者数が減少しました。」

とあるため、多少安心しました。

インドネシアでは、中国に次いで87万人もの人たちが日本語を学習し、タイ、ベトナム、マレーシア、フィリピンなどの東南アジア諸国でも日本語学習者の数が増えてきてます。また、オーストラリアやアメリカにも多くの日本語学習者がいると知ってうれしいです。

一方、日本人によるアジア言語の学習者数はどのくらいいるのでしょうか?

アジア言語全体の詳しい資料はないのですが、日本人の中国語学習者に限っていえば、200万人を超えているという説があります。

しかし、その中のどれだけの日本人が中国語をモノにするでしょうか?

中国では日本語を専攻した大学生のうち90%以上が、2年間で日本語検定1級の資格をとってしまうと複数の中国人から聞いたことがあります。

日本人で2年間で中国語検定1級を取れる人がはたして何%いるでしょうか?

今後の日本人に期待したいところです。

 

住んで、働いて、考えた 私の「ニッポン論」

COURRiER JAPON の最新号、2014年2月号(2013年12月発売)の記事から。

クーリエジャポン 2014年2月号

“COURRiER JAPON”は「世界1500メディアから記事を厳選」して日本語に翻訳し、出版している月刊誌ですが、その記事の中のひとつに、日本に住む外国人の考える「私のニッポン論」というリレー連載のコーナーがあります。

今回はファブリツィオ・グラッセりさんというイタリア人の「私のニッポン論」が載っていますが、興味深いのでご紹介させていただきます。

まず、ファブリツィオ・グラッセりさんの略歴です。

「1955年、イタリア・クレモーナ生まれ。ミラノ工科大学卒業。20年余り前から日本在住。イタリアの最も権威と伝統のある文化団体「ダンテ・アリギエーリ協会」東京支部会長、イタリア語学校イル・チェントロ校長。著書に『イタリアワインマル秘ファイル』など。」

グラッセりさんは1990年代初頭、日本のバブル経済が崩壊した直後に初めて旅行で日本に訪れます。その時の3週間余りの旅行で京都や渋谷を見て、すっかり日本の虜になったそうです。

その後、ある日本の建設会社と建築家として1年間働く契約を結び、東京に住み始めます。するとますます日本のバイタリティと人々の感性や行動様式を愛するようになり、永住を決意し、それ以来20年間日本に住んでいるとのことです。

以下は、彼の言葉です。まずは日本への褒め言葉から。

「日本について私が称賛したいのは、人々のモラルの高さと正直さです。また、私のような外国人を含めた他人への親切さも素晴らしい。都市はダイナミックで、文化的で、洗練されています。特に東京は、世界の工業国で最も先進的な街で、豊かな都市文化を生み出していると思います。」

次に日本への提言です。

「早急に改善したほうがよいのは、日本の教育です。(中略)平均的に見ると、日本の大学生は他国と比べて本当に勉強しません。これでは、とても海外の優秀な若者と競争することはできません。こんな状態を放置していては、今後さらにグローバル化が進む時代、日本の国力が低下していくことにもなるでしょう。若者を取り巻く教育環境を大きく変えることが必要です。」

「日本の若者たちにも、もっと広く高く、世界へ意識を向けてほしいと思います。彼らと接していて驚くのは、他国の同世代と比べて、留学や海外生活への意欲が乏しいこと。」

「日本人には間違いなく、非常に高い能力とポテンシャルがあります。世界に飛び込んで積極的に戦えば、必ず成果を出すことができます。ぜひ、それを実行してほしいのです。」

このグラッセりさんの言葉で思い出したのが、下の写真です。

ハーバード図書館

これはアメリカ、ハーバード大学図書館での朝4時の光景だそうです。

日本の大学生は勝てるでしょうか?

外国での日本語学習者数

2013年11月29日 日本経済新聞朝刊より

アジアで育て 日本語人材

日本と中国、韓国がアジアで自国語を話せる現地人材の育成を加速している。日本は経済の結びつきが強まるベトナムで、日本語指導から日系企業への就職まで一貫体制を整える。中国や韓国も教師派遣や語学学校の開設を進める。自国語から仕事の流儀まで理解できる人材は貴重なビジネスインフラだ。企業のアジア戦略で競争の焦点となりそうだ。 

日本語学習者 新聞記事

(以上で記事終り)

中国ではアジア諸国において中国語を話せる人材の育成に力を注ぎ、韓国でも同様に韓国語を話せる外国人育成に力を注いでいるようです。

日本でもベトナムなどのアジア諸国において日本語人材の育成に力を注いているようですが、若年人口の多いインドネシアでは、中国語や韓国語の学習者に押され、ビジネス人材の日本語学意欲は低迷気味とのことのようです。

さて、この記事のグラフを見ていて、ちょっと論点とは違うことが気になってしまいました。

それはずいぶん昔から私が指摘してきたことですが、マスコミによる「情報操作」の点です。

上記のグラフもなぜ棒グラフに中抜きを使うのでしょうか?しかも中抜きの上と下とでは、メモリの幅が違っています。違うスケールのグラフの上に棒グラフを並べ、間違った情報を感覚的に植え付けようとしているとしか思えません。

下にあるグラフは、同じ数字を使って私がエクセルで作り直したものです。このグラフだと日本語学習者の数は中国、インドネシア、韓国の3か国が圧倒的に多く、ベトナムにおける日本語学習者の数は圧倒的に少ないということが視覚的にとらえられます。

日本語学習者

これと同様の話題を2009年7月に書いた私のブログの中でも触れているのでご興味のある方はご覧いただければ幸いです。 ⇒ 「子供だましのトリック」

これらの「情報操作」によるグラフを見ていて、今盛んにマスコミが叩いている、レストランやデパートでの食物の「偽装問題」を思い出してしまいました。

ちょっと大げさに言えば、こういうグラフは、「マスコミによる偽装」と言えるのかもしれません(笑)。

東京五輪 日本代表、「狙い目」競技は?

あなたが7年後の東京オリンピックに選手として舞台に立つ可能性はあるのでしょうか?

下記の表は競技人口が比較的少なく普及段階にある五輪種目だそうです(日経ビジネス 2013年11月25日号より)。

2013年11月25日号 日経ビジネス

この中で「セーリング」の競技人口が1万人というのは、湘南に住む私の感覚からいくとちょっと少なすぎる気がします。根拠はありませんが、そんなに競技人口の少ないマイナースポーツという気がしないからです。

加えて「セーリング」で日本代表になるのはそう簡単ではない気がします。どの世界にもマニアックな人間というのはいるもので、「セーリング」の世界でもすごい人たちを何人か知っているからです。1996年のアトランタオリンピックでは、女子が銀メダル、2004年のアテネオリンピックでは、男子が銅メダルをとっています。

「セーリング」というオリンピック競技に関しては、やはり西欧諸国が圧倒的に強いわけですが、海洋国日本のセーリングレベルはそれほど低くはないと感じています。

ところで話は変わりますが、上記表の「女子7人制ラグビー」の競技人口2000人というのは笑えます。いや、笑ってはいけないのでしょうが、レスリングや柔道やテコンドーという女子の種目があるわけですから、当然女子ラグビーがあったっていいでしょう。でも正直言ってあまり見たいスポーツではありません(笑)。

個人的には、新体操やシンクロナイズドスイミングのように女子だけの競技をもっと増やして、男子との数のバランスをとってほしいものです。

さて、最後になりましたが「近代五種」の推定国内競技人口30人というのはやはり笑えます。日本の場合、この競技に出場できるかできないかの決め手はやはり「お金」でしょう。ロンドンオリンピック馬場馬術の日本代表は、当時71歳だった法華津寛選手でした。私もお金と時間があり余るほどあれば、この「近代五種」の日本代表に挑戦してみたいのですが・・・・・。まあ、ないから言うのでしょうね(笑)。

191万人が「123456」を使用

日経パソコン 2013年11月25日号の記事です。

米アドビシステムズから流出したパスワードの分析結果

米ストリクチャーコンサルティンググループ(SCG)は11月3日、米アドビシステムズから流出したパスワードの分析結果を公表。同社CEOのジェレミー・ゴスニー氏がTwitterで明らかにした。

アドビシステムズは10月3日、自社のサーバーが不正アクセスを受け、顧客情報やソフトウェアのソースコードなどが流出したと発表。少なくとも3800万件の顧客情報が流出したと説明していた。

2013d年11月22日 日経パソコン

(以上で記事終り)

現代社会はパスワードだらけなので、管理がとても大変です。

私も重要なパスワードだけで十数個持ち、ひとつひとつ記憶していますが、それとは別にさほど重要ではないものに関しては、5~6種類ほどのパスワードで使いまわしています。

しかし、何にどのパスワードを使ったかを覚えておくことは至難の業です。

下記は別の「パスワード流出事件」により分析された、パスワードの傾向です。

*******************************************

  • 長さは6文字と8文字が多い
  • 英大文字、英小文字、数字、記号のうち3つ以上を使っているのは4%程度
  • よく使われていたパスワード TOP10は以下の順序
    1. seinfeld
    2. password
    3. winner
    4. 123456
    5. purple
    6. sweeps
    7. contest
    8. princess
    9. maggie
    10. 9452

********************************************

やはり、「123456」と「password」の2つは使われていますね。

マイクロソフトでは「安全性の高いパスワードの作成」ということで下記のように説明しています。

  • 長さ: 可能な限り 8 文字以上で設定する。
  • 複雑さ: 文字、句読点、記号および数字を含める。
  • 変更: 強力なパスワードの効果を保つために、頻繁に変更する。
  • 多様性: すべてのアカウントで同じパスワードを使用しない。

詳細は、こちら

今のところ 「複雑にして自分が覚えやすいパスワードを多数持ち、かつ頻繁に変更する」という対抗策しかないようです。

上場企業、経常益42%増 円安や海外需要追い風

2013年11月16日 日本経済新聞

4~9月、製造業は全業種増益 非製造業は最高益に

上場企業の業績回復が鮮明だ。2013年4~9月期連結決算は全産業ベースの経常利益が前年同期比42%増えた。業種別では31業種中、製造業は17業種すべてが増益となった。円安や海外需要の回復を追い風に自動車や鉄鋼の伸びが目立つ。非製造業は空運など4業種が減益だったが、通信などの伸びで合計額では過去最高を更新した。

15日までに4~9月期決算発表を終えた3月期決算企業1495社(金融、電力、新興などを除く)を集計した。

製造業は自動車やスマートフォン(スマホ)関連の増益額が大きい。リーマン・ショック前の07年4~9月期に比べ8割の水準まで回復した。

2013年11月19日日経2

2013年11月19日日経3

2013年11月19日 日本経済新聞

最高益企業 金融危機後で最多 今期経常益 6社に1社
自動車・スマホ関連がけん引

上場企業の収益回復の裾野が広がっている。2014年3月期の連結経常利益が過去最高となる企業は266社と、08年秋の金融危機後では最多になる見通しだ。6社に1社が最高益となる。円安や堅調な内需を追い風に自動車やスマートフォン(スマホ)関連企業の収益力が一段と上向き、全体をけん引する。

3月期決算企業1647社(新興・金融・電力など除く)を対象に集計した。全体に占める最高益見通しの企業の比率は16%強。金融危機が本格化する前で、上場企業の経常利益が最高となった08年3月期(約25%)以来の水準だ。08年3月期の利益水準を上回る企業も827社と、全体の5割を超す。

2013年11月19日日経1

(以上で日経新聞の記事終り)


帝国データバンク 景気動向調査(全国)
– 2013年10月調査 –

景気DIは46.8、小規模企業が2カ月連続で過去最高を更新
~ 全国10地域中6地域が過去最高となり、景気上昇が地方経済にも浸透 ~
(調査対象2万2,766社、有効回答1万769社、回答率47.3%、調査開始2002年5月)

2013年11月19日 帝国DB

(以上で帝国データバンクの資料終り)

これらの統計によると「日本は好景気に沸いている」そして「好景気に向かっている」ということのようです。

また、翻訳業界と関わりの深い貿易額そのものも順調に増えつつあるようです。⇒ 財務省貿易統計(速報値)

やはり日本経済の基本は「モノ作り」、つまり「製造業」と言えるでしょう。

その「製造業」のなかでも特に日本経済全体に大きな影響力のある業界は「電気機器」と「自動車・部品」ではないでしょうか。

上記「上場企業の主要業種別連結業績動向」の表をご覧ください。

「製造業」全体の売上合計額のうち、「電気機器」と「自動車・部品」の売り上げだけで48.4%、つまり約半分を占めています。

思えば、リーマン・ショック後、特に落ち込みの激しかった業界は、日本の「電気機器」業界でした。

アメリカのサブプライムローン問題に端を発したアメリカのバブル崩壊は、深刻な金融危機(2008年9月のリーマン・ショック)を招き、その後すぐにヨーロッパ全土へと飛び火しました。

しかしながら当初日本では、この金融危機は楽に乗り越えられると報じられていました。なぜなら日本のほとんどの金融機関はアメリカのサブプライムローンと関係を持っていなかったからです。

しかし、実際フタをあけて見るとこのショックで一番ダメージを蒙った国が日本だったのです。

アメリカ、ヨーロッパ諸国、中国の経済政策が迅速にして的確であり、日本の政策だけが最悪だったという理由もあるでしょう。

しかし、それだけが原因ではなかったと私は考えています。

このリーマン・ショックにより、日本の「自動車・部品」業界と「電気機器」業界が、いかに海外市場に寄りかかっていたかが明白となりました。

さらに、「自動車・部品」業界に大きく寄りかかる「電気機器」業界の傷口は、深く大きいものとなったのです。

そのため欧米の消費市場が落ち込むとまっさきに日本の「電気機器」業界の業績が落ち込み、危機が一段落してみれば、結局日本の「電気機器」業界だけが圧倒的な「一人負け」の状態で世界経済から取り残されてしまったのです。

私は、日本の「電気機器」業界の完全復活なくして、日本経済に夜明けは来ないと確信しています。

世界のどこにも負けない、圧倒的に強い日本の「電気機器」業界の復活を願ってやみません。

優勝記念セール

プロ野球の「東北楽天ゴールデンイーグルス」が日本シリーズで優勝しましたが、この季節、いつも思う「素朴な疑問」があります。

優勝記念セール

(写真: 楽天の日本一を祝うセールでにぎわう百貨店 日本経済新聞より)

なんとも不思議な「優勝記念セール」という行事

私がこの「素朴な疑問」を最初に感じたのは20年ほど前のことだったでしょうか。

それは「福岡ダイエーホークス」が優勝を逃した時、福岡の街の様子を放映するテレビニュースを見た時のことでした。

地元のスーパーダイエーでは、店長はじめ多数の従業員たちが法被を着て、鉢巻を巻いて、テレビ画像の前で必死になって、ダイエーホークスを応援していました。しかし、結局ダイエーは試合に負けてしまいました。

そこでテレビのアナウンサーが店長めがけてインタビューを始めます。

アナウンサー: 「店長、残念でしたね」

店 長: 「とても悔しいです。優勝すれば、30%オフ、50%オフの優勝記念セールをやろうと準備していたのですが・・・。 非常に残念です。がっくりきました。」

目に涙をにじませて語る店長の様子を見て、私はふと「素朴な疑問」を感じたのです。

 なぜ、この店長は残念がっているのだろう?逆じゃないの?

ダイエーが優勝することによって、ファンの皆様が「ご祝儀」として、普段1,000円の商品を1,500円で買ってくれるから、「ぜひダイエー、優勝して」と願うならば話は分かります。

しかし、実際にはダイエーが優勝してしまったら30%引き、50%引きで商品を売らなければならないわけです。当然のこと、店長は「ダイエーが優勝しないように!」とお祈りするべきなのに、なぜ値引き販売したがるのでしょうか?

「値引き販売がそんなにうれしいなら、毎日30%引き、50%引きして売ればいいじゃない?」・・・こう考えるのがごく自然だと思います。

なぜ彼らは「優勝記念セール」という値引き販売をしたがるのか?

ズバリ、一言で言えば「儲かるから」です。

なぜ値引き販売して儲かるのか?

ズバリ、「不良在庫がさばけるから」です。

つまり、いくつかの目玉商品をエサにして、ふだん売れない商品も「勢い」で買わせてしまう。その最たるものが「お楽しみ袋」や「福袋」の類です。

「5万円相当の商品が5,000円で買えるお楽しみ袋!」と言っても、中身のほとんどは使えない不良在庫です。

「高級品をこんな安い値段で買った」という満足感に浸る客も、喜びはその一瞬だけで、結局は狭い家に新たなゴミの山が加わるだけの話です。

「高級品」であっても使わないモノは、結局ゴミ以外の何物でもないのです。

人は「群集心理」に陥ることにより、衝動的に興奮性が高まり、判断力や理性的思考が低下し、付和雷同しやすくなります。

「セール」は群集心理をたくみに利用した初歩的な金儲けの手段でしかありません。

悪いことは言いません。広い目、長い目で見れば、「セール」は結局損をするだけです。

決して「セール」には、近寄らないことです(笑)。

大学入試改革 「人物本位の選抜」って?

2013年11月1日 朝日新聞より

政府の教育再生実行会議は31日、大学入試改革に関する提言をまとめ、安倍晋三首相に提出した。大学入試センター試験を改編し、成績を点数でなく上位から下位まで何段階かにランク分けして表示。複数回実施も検討する。その上で、意欲や潜在能力がある学生を迎え入れるため、面接などによる人物本位の選抜に転換するよう大学側に求める内容だ。

 (以上で記事終り)

「面接などによる人物本位の選抜」って何でしょうか?

何万人もの受験生にわずかな時間の面接を行い、一体なにがわかるというのでしょうか?受験生にとっては、せっかく努力したのに面接官による当たりはずれで人生が決まってしまう、という不安が常につきまとうことでしょう。

そもそも「専門知識」を身に着けるべきはずの大学教育になぜ人柄や性格が求められるのでしょうか?

「ゆとり教育」の時と同様、日本人が大好きな「建前」だけでことを進めていけば、悪いものをより悪くするという単なる「教育改悪」に終わりかねません。

日本が今すぐにやるべき教育改革は、たった一つしかありません。

幼稚園から大学までの授業料の無償化

現在、OECD加盟30ヶ国のうち高校の授業料が無料の国は26ヶ国あり、大学の授業料が無料の国も14ヶ国あります。日本は高校、大学ともに有償であるばかりでなく、大学授業料などは飛びぬけて高い国となっています。 ⇒ 詳細はこちら

現在日本の大学4年間にかかる費用は、平均的に400数十万円から600数十万円で、医学部や薬学部等はさらにずっと高くなっています。

しかもそれに加えて日本の場合は、小学生も中学生も高校生も学校とは別に多額の授業料を払って「塾」や「予備校」に通わなければなりません。

大学に入っても資格をとるためには、さらに別途授業料を支払って「資格の予備校」へ通わなければ資格がとれません。

日本では家計に占める子供の教育費の割合が異常に高く、勤労世帯の平均可処分所得の半分以上を教育費が占めています。 ⇒ 文部科学省の統計資料より

しかし、日本が幼稚園から大学まで教育費を無償化するためには、一つの条件があります。

それは「学校で勉強を教える」ということです。

日本は世界でも珍しい「落第」のない国

下記のグラフは、“ OECD, PISA 2009 Database” の資料(クリックすれば大きくなります)ですが、世界各国において「小学校、中学校、高校で少なくとも1度以上、留年したことのある人の割合」です。 

留年国際比較

フランス、ルクセンブルグ、スペイン、ポルトガル、ベルギーでは3人に1人、オランダ、スイス、ドイツでは4人~5人に1人、アメリカでも15%ほどの人が留年、つまり「落第」を経験しているのです。

日本では小学校、中学校で「落第」などと言うと、「とんでもない!、うちの娘が嫁に行けなくなったら誰が責任とってくれるのか?」と先生や校長が親に詰め寄られて大問題となることでしょう。

日本においては「世間様からどう見られるか?」が一番重要なことなので「落第」などとんでもありません。そのため小学校、中学校、高校と「留年」することなくスルーし、大学も入ってしまいさえすればほとんどの生徒が卒業できる「システム」が確立されています。

なぜ日本には落第がないのでしょうか?

 日本の学校では勉強を教えない?

日本の学校では子供たちに満足な教育を授けません。

まず、1クラスに40名以上の生徒がいては、先生1人できめの細かい授業などできません。また授業時間数もあまりにも少なすぎます。

そして落第者を出さないようにするため、常に「できない子」のレベルに近づけて授業を進めます。「できる子」たちは学校が終わった後、勝手に「塾」へ行くので何の心配もありません。

授業についていけない子がいたら、「できない子」用の「学習塾」を勧めます。それでもついていけない場合には潔く諦めます。日本の親にとって一番大切なことは子供の「学力」ではなく「進級」と「卒業」だからです。

日本の小学校、中学校、高校は自動的に卒業できるシステムが出来上がっています。高校においても、もし学力が極端に不足して卒業が難しいという生徒がいたら、そのために用意された「必ず卒業証書を出してくれる公立高校」へ転校するよう勧められます。

しかし、子供をそれなりの大学まで進学させたいと考える親たちは、自分の子供を学習塾や予備校へ通わせます。「日本の学校では勉強を教えない」ということは、もはや日本の常識なので、親たちもなんの疑問ももたずに自分の子供を塾や予備校へ通わせます。

もし日本が幼稚園から大学まで教育費を無償化すれば、その分税金が高くなりますが、学校で勉強を教えることにより、塾や予備校という無駄な出費が大幅に家計から削られることになります。

これは少子化対策にも絶大な効果を発揮します。

「学校で勉強を教える」・・・これは世界の常識

学校で勉強を教える国では、塾も予備校も必要ありません。受験浪人もなければ、沢山の大学を受験するために発生する多額の受験料も必要ありません。

オランダの小学校では宿題もないそうです。勉強は学校だけで十分との考えだからです。学校で勉強を教えるので、当然「できる子」と「できない子」の差がでてきます。そのため「できない子」のために上級生が教えてあげたり、先生が時間をかけて勉強を教えたります。少人数クラスだからできるメリットでもあります。

しかし、それでもついていけない場合には、本人の意思があれば「留年」してもらい、本人が納得いくまでじっくりと勉強させます。そのため落ちこぼれは非常に少なく、教育格差も大きくはなりません。

長い間豊かな先進国として君臨し続けるオランダは、小国であるがゆえ、人材教育、つまり子供の教育に大変熱心な国としても有名です。またオランダは、ユニセフにより「世界一子供の幸せな国」として認定されているそうです。最後にそのオランダの小学校の教育システムに関する動画をご紹介して終りにします。

「留年する小学生 子ども幸福度世界一 オランダの秘密」 http://www.youtube.com/watch?v=O60VppJC45o

「教育先進国 オランダ 驚きの教育法 イエナプラン」  http://www.youtube.com/watch?v=nCi2kTh0nww

W杯の開催が迫るブラジル

世界1500メディアから記事を厳選し、日本語に翻訳して載せる、COURRiER JAPON という名の月刊誌(講談社)があります。

その 2013年12月号に「W杯の開催が迫るブラジルで犯罪と隣合わせの生活を体験した」という興味深い記事がありました。オリジナルは、 “The New York Review of Books” というアメリカの月刊誌です。

このアメリカ人記者が、ブラジルのサンパウロの高級繁華街でタクシーをつかまえ座席に座ると、突然10代後半の少年がタクシーに駆け寄って来て、彼の頭に銃を突きつけたそうです。

記者が少年にスマホを渡し、続いてお金を渡そうとした瞬間、まったく見知らぬ人がその少年を倒し殴り始めました。そしてその少年は相棒を連れてどこかへ逃げて行ったそうです。

助けてくれた人は警察でもなんでもなく、普通の一市民だったそうですが、被害がスマホだけで済んだのはむしろ幸運だったとのことです。

(記事): 「この国では誰でもそんな体験談を持っている。 (中略) ブラジルの都市部は、世界で最も危険な場所の一つだ。2010年には40,974人が殺されている。国連薬物犯罪事務所(UNODC)によると、殺人事件の人口10万人あたりの年間発生率は21人(注1)で、世界平均の6.9人(注1)をはるかに上回る。被害者(注2)の大半は男性で貧しく、15~30歳に集中している。リオデジャネイロのファベーラ(スラム街)では、平均余命が7年も短い」

注1: おそらく「21件」、「6.9件」の間違い(丸山)    注2: おそらく「加害者」の間違い(丸山)

よく聞く話ではありますが、ブラジルの都市部の治安は想像以上に悪いのかもしれません。

ブラジル1

(写真): ファベーラ(スラム街)を走る警察の特殊部隊を乗せたブルドーザー(COURRiER JAPON)

また、本日(2013年10月29日)の日経新聞朝刊にも「ブラジルW杯 募る不安 サッカー、来年6月開幕」という記事がありました。

(記事): 「サッカー・ワールドカップ(W杯)の開幕を来年6月に控えるブラジルで、開催準備の遅れや混乱に対する懸念が強まっている。競技場の建設が予定通りの日程で進んでいないほか、大会期間中の航空運賃や宿泊料金が高騰。政府は価格監視を強化するなどの対応に追われている。」

ブラジル4

(図): 西部クイアバのスタジアムはまだ建設中(10月8日)=ロイター

ギリシャでのアテネオリンピックや中国での北京オリンピック、そして南アフリカでのサッカーワールドカップなど、途上国開催のオリンピックやワールドカップの場合には、「会場準備の予定が大幅に遅れている」との不安が常につきまとっていました。

しかし、どの大会も問題なく開催されたので、恐らく今回のブラジルワールドカップも何事もなかったかのように問題なく終りを迎えることでしょう。そういえば数か月後に迫っている、ロシアのソチでの冬季オリンピックも会場建設の予定が大幅に遅れているとの報道が最近ありました。しかし、これもきっと最終的には何とかなるでしょう。

治安の問題にしても、ブラジルと肩を並べるほど治安の悪いあの南アフリカでさえ、結局なんとか乗り切ったのですから、これもなんとかなるでしょう。

余談ではありますが、日本と韓国の両国で開催された「FIFA 日韓ワールドカップ」のことを思い出しました。友人に頼んでプラチナチケットを買い求め、息子と二人で「アルゼンチン対ナイジェリア戦」を鹿島スタジアムまで観戦に行きました。

はるばるアルゼンチンから来た応援団も数百人ほどいて、ワールドカップならでは独特の雰囲気の中でスタジアムも盛り上がっていました。

しかし、超満員売り切れだったはずのスタジアムに500人ほどの無人の席がポッカリと開いていたのです。あとで知ったのですが、ヨーロッパのFIFA事務局の手違いで販売されない席が出てきてしまったとのことでした。鹿島スタジアム以外にも多くの会場で、同様の事態が起こり、実に残念なことでした。

FIFAやオリンピック委員会は「発展途上国は不安だ」と考えているようですが、ヨーロッパ人を中心とする組織委員会の人たちも相当アバウトなような気がするのですが・・・・。

「緻密で正確、期日厳守」という点に関して言えば、やはり日本人にかなう国はないと思います。2020年の東京オリンピック決定は正解でしたね!

 

電子レンジと植物

興味深いサイトを知ったのでご紹介しておきます。

電子レンジで加熱した水で水やりをすると植物はどうなるか?

同種類の観葉植物を2つの鉢に分け実験をします。

一つの鉢には、普通の火で沸騰させてからさました水で水やりをします。 もう一つの鉢には、電子レンジで沸騰させてからさました水で水やりをします。

そして9日後の様子を撮影した写真が下記の2枚です。

<初日の様子> どちらも元気な観葉植物です。

2013年10月23日電子レンジ1

<9日後の様子>  たった9日間で、電子レンジの水を与えた植物は、死んでしまいました。

2013年10月23日電子レンジ2

もっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。 ⇒  Microwaved Water – See What It Does To Plants

ということで、大変不気味な結果となっています。

「それみたことか、植物にこれだけの悪影響を与えるのだから、人間にも害がないわけがない・・・」 というのが、電子レンジ不要論者の方々の意見でしょう。

しかし、本当に電子レンジは、身体に悪いのでしょうか? 実際私自身がこの45年間、ほとんど毎日のように電子レンジを使い続けていますが、今のところ特に健康被害は受けていません。

「いずれそのうち影響が出てくるでしょう・・・」と言われても、もうすでに45年も経っているわけですから説得力がありません。

1947年にアメリカで世界初の電子レンジが販売されてからすでに66年が経ち、電子レンジの世界での累計販売台数は、おそらく数十億台を超えているでしょう。

電子レンジ利用者もまちがいなく累計で数十億人を軽く超えているはずです。

しかし特に電子レンジが原因とみられる健康被害の報告はでていないですから、電子レンジは植物には悪影響があっても、人間にはない、と言わざるを得ません。

同様に、放射線、遺伝子組み換え食品、食品添加物、農薬、化学肥料等々、健康被害があると言われている様々な物質に対しても、「冷静に正しく恐れる」という姿勢が大切だと思います。

たとえば、太陽光と皮膚ガンの関係についても同じことが言えるでしょう。

「オーストラリアで皮膚がんは、毎年新しく診断されるガンの80%以上を占めています。また、オーストラリアに住むと、3人に2人は皮膚がんにかかってしまうと言われています。これは南極オゾンホールの悲劇であるのですが、同時に、紫外線の恐ろしさを私たちに教えてくれる数字でもあります」・・・・・「オーストラリアにおける皮膚ガンの現状」 より

専門的な内容に関してはこちらをどうぞ・・・・「紫外線と皮膚がんの関係

皮膚ガンの最大の原因でもある「太陽光」は、最大の「発ガン性物質」でもあります。だからと言って子供たちを一日中陽の当たらない部屋で遊ばせでよいでしょうか?物事を一面からしかとらえずに判断するとそのような結果を招きます。

「冷静に正しく恐れる」ためには、正確な情報の公開がなによりも重要となるため、法律の整備はもちろんのことマスコミなどによる社会全体の雰囲気作りも必要となってくることでしょう。

カジノ市場 伸び盛り マカオ世界一、観光客呼び込む

2013年10月21日 日本経済新聞朝刊

カジノ市場がアジアで急拡大している。2008年にはマカオのカジノ収入が、本場・米国ラスベガスを抜き世界最大となった。2010年にはシンガポールにも巨大カジノ施設が誕生、人気となっている。背景にあるのが富裕層の台頭だ。アジア太平洋地域のカジノ収入は2015年に800億ドル近くに達し、米国を抜く。日本も2020年の東京五輪開催を控え、カジノを含むリゾート施設整備を進める動きがある。今後も観光客をひきつける武器として注目を集めそうだ。

2013年10月21日日経1

2013年10月21日日経4

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2013年10月21日日経3

(以上で記事終り)

私自身、ギャンブルは一切やらないのですが、「カジノ」という名のギャンブルがもたらす経済効果は想像以上に大きいようです。

ギャンプルが「社会の必要悪」である以上、国の管理のもと、きちんと運営するのであれば、「カジノ」がもたらす社会的影響もプラス面がマイナス面を上回ることでしょう。

特に観光業界においては、観光客の誘致など、間違いなくプラス面が大きいでしょう。

しかし、日本においてはそのプラス面やマイナス面を論じる前に、避けては通ることのできない日本ならではの「ある特殊な事情」があります。

日本には以下のように6つの「公営ギャンプル」があります。

・競馬
・競輪
・競艇
・オートレース
・スポーツ振興くじ(サッカーくじ、通称TOTO)
・宝くじ

しかし、実に不思議なことに日本には上記の「公営ギャンブル」をはるかに上回る巨大な「非公認公営ギャンブル」が存在します。

それが「パチンコ産業」なのです。

このパチンコ産業の問題について語りはじめたらとても長くなり、また大変センシティブな問題なためここでは触れないことにしますが、2点だけ指摘しておきたいと思います。

(1)WHO(世界保健機構)では、パチンコ依存症を「病気」と認定し、その精神疾患により「多重債務、人間関係の崩壊、失職、家庭崩壊」などの害を引き起こすとしている。

2009年の厚生労働省の調査によると、日本の成人男性の9.6%、女性の1.4%、全体で5.5%が「ギャンブル依存症」とされています。

これはアメリカの0.6%、マカオの1.78%などと比較しても極めて高い数値です。

したがって日本には、559万人(男483万人、女76万人)もの「ギャンブル依存症」の人がいるということになります。

この「ギャンブル依存症」の全てが「パチンコ依存症」だとは言いませんが、おそらく大部分はパチンコが原因でしょう。

なぜならば、

(2)世界のあらゆる国に「公営ギャンブル」が存在するが、「ギャンプル依存症」を避けるためにその施設は、必ず隔離された場所にある。

日本では、駅前や人通りの多い場所に必ずと言ってよいほどパチンコ屋があり、多数の子供たちや通勤通学の乗降客たちが毎日その前を通ります。

WHO(世界保健機構)も指摘しているように、ギャンブルは麻薬と同じで「依存症」となる危険性が非常に高いため、世界のどの国においてもギャンブル施設は必ず隔離された場所にあります。

かつて「東京のお台場と沖縄に公営カジノ場を作り、経済特区にして日本中、世界中から観光客を集める」という壮大な計画がありました。

500万人以上もの「ギャンブル依存症」の患者を生み出す「パチンコ屋」を街から一掃し、世界中から観光客を集め、経済を活性化させる一石二鳥の政策だと思うのですが、残念ながら、ことはそう簡単にはいかないようです。

信販にも暴力団情報 全銀協、みずほ問題受け

2013年10月17日 日本経済新聞朝刊より

全国銀行協会は自らが持つ反社会的勢力の情報を信販業界にも提供する方針だ。信販会社と銀行が提携ローンを実行する際などに、最初に審査をする信販会社が十分な情報に触れられるようにして、みずほ銀行のような不正取引が起こらないようにする。

(以上で記事終り)

みずほ銀行が系列の信販会社を通じて「暴力団」へ融資したことが大きな社会問題となりました。

なぜ日本にだけ「暴力団」が存在するのか?

日本ではわざわざご丁寧に「この組織は暴力団ですよ」と国が指定をしています。「暴力団」のライセンスを国が授与しているようなものです。

人を恐喝してお金をせびるのが彼らの仕事ですから、日本国公認の「指定暴力団」として、マスコミで大々的に宣伝までしてくれれば、「暴力団」関係者にとっては笑いがとまらないことでしょう。

あるアメリカ人に聞いてみたところ、アメリカのマフィアは当然のこと、表向きは「俺たちはビジネスマンだ」ということになっています。彼らは水面下で犯罪を犯しているわけですから、表だって「俺たちはマフィアだ」と公言するはずがありません。ましてや国がマフィアとして指定するようなことは理屈から言ってもあり得ないことです。

なぜ日本では「暴力団」を刑務所へ入れないのか?

「暴力団」ですから、叩けばいくらでもほこりが出てくるはずです。なにせ「暴力団」なのですから・・・・。

もし「明確な犯罪は犯していないから逮捕まではできない」ということであれば、また違う意味で大きな問題です。なぜなら罪もない人たちを「暴力団」とか「反社会的勢力」と呼び、差別すること自体、大変な名誉棄損であり、人権侵害ということになるからです。

タイトルは忘れましたが、子供のころ見たアラン・ドロン主演の古いフランス映画を思い出しました。

刑期を終え出所してきたアラン・ドロンが、愛する女性と出会い、必ず更生するという堅い決意とともに一生懸命真面目に働き始めます。やがて二人は結婚し、子宝にも恵まれ、質素ながらもとても幸せな家庭を築きます。

ところがそこに昔アラン・ドロンを捕まえた刑事がやってきます。その刑事は犯罪が起こるたびに彼を容疑者と疑い、彼の職場へ現れ、彼にも職場の人間にもいろいろと職務質問を行います。

職場の上司も同僚も怪訝に思い、気味悪がるのですが、やがて「どうやら彼は前科者らしい」という噂が職場中に広がります。そして職場の誰も口を聞いてくれなくなります。

もうそうなると彼もその会社にはいられず、結局転職せざるを得なくなります。

ただし、転職してからも誰よりも真面目に一生懸命働く彼は皆から信頼され順調に出世をしていきます。

しかし、しばらくするとまたあの刑事がやってくるのです。そして同じことが繰り返され、また転職せざるを得なくなります。

そのようなことが3回4回と繰り返され、やがて彼は、その刑事を殺すことを考え始めます。そして悲劇のうちに映画が終わるのです。「こんな理不尽なことがあってもいいのか?」と子供心に思ったものです。

今回の日本の「暴力団」のケースに当てはめて考えれば、まともな経済活動ができないように選択肢をとりあげ、結局犯罪でしか生き残っていけなくなるよう彼らを追いつめていくことが、はたして日本社会全体にとって良いことなのかどうかも考えさせられます。

 「反社会的勢力」を利用している人たちがいる?

確かに巷で噂されているようにそう思われてもしかたがないでしょう。国が認める「指定広域暴力団」が堂々と街なかに看板を掲げ、「暴力団」組員が昼間から平然と道を歩いている国が日本なのです。

ここでも「日本の常識は世界の非常識、世界の非常識は日本の常識」ということのようです。

国語の調査(その2)

引き続き、文化庁の「平成24年度 国語に関する世論調査 の結果の概要」の話題です。

「慣用句の言い方」 どちらの言い方を使うか?の問いに対して、

が辞書等で本来の言い方とされるもの、✖が本来の言い方ではないとされるもの)

◆「つっけんどんで相手を顧みる態度が見られないこと」を 

(ア)  取り付く島がない・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・47.8%

(イ) ✖ 取り付く暇がない・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・41.6%

【 私の感想 】

年齢別にみると興味深い結果が出ています。16歳~19歳と60歳以上、つまり十代の若者と60歳以上の年配者が(イ)の「取り付く暇がない」を使っている割合がわずかながら多いということです。20歳代では、(ア)が55.4%で(イ)が29.1%にもかかわらずです。ちょっとこれはミステリーですね。

ちなみに私は(ア)の「取り付く島がない」を使います。

◆「実力があって堂々としていること」を

(ア) ✖ 押しも押されぬ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・48.3%

(イ) ◯ 押しも押されもせぬ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・41.5%

【 私の感想 】

年齢別にみると、60歳以上を除く全ての年代で,本来の言い方ではない(ア)「押しも押されぬ」を使うと答えた人の割合が,本来の言い方である(イ)「押しも押されもせぬ」を上回っていました。

私も60歳未満ですが、(ア)の「押しも押されぬ」を使うと思います。

◆ 「物事の肝腎な点を確実に捉えること」を

(ア) ◯ 的を射る・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・52.4%

(イ) ✖ 的を得る・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・40.8%

【 私の感想 】

これも年齢別にみると大変興味深いです。16歳~19歳は、(ア)が73.0%、(イ)が18.9%、20歳代が(ア)が56.0%、(イ)が37.1%と「本来の使い方」の割合が非常い高いのに対し、その他の年齢は(ア)が上回っているものの、そこまで極端な差がついていません。

これは最近この手の「言葉の使い方」がマスコミ等で話題になり、それを学校の先生方がとりあげ、生徒たちに教えたため、若い子がたちが「本来の使い方」を選ぶようになったのではないでしょうか?

ちなみにこの「的を得る」も正解であると唱える人もいるようなので、なにが正解なのかはよくわかりません。これに関する詳細は⇒こちら

◆「いよいよというときに使う,とっておきの手段」を

(ア) ✖ 天下の宝刀・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・31.7%

(イ)  伝家の宝刀・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・54.6%

【 私の感想 】

これも年齢別にみると若い人の方が「本来の使い方」を使う率が高く、60歳以上が一番低くなっています。これもやはりマスコミから得た情報を先生や親が子供たちに教えた結果ということでしょう。

ちなみに私が中学校1年生の時、この「伝家の宝刀」という言葉をやたらと使うクラスメイトがいました。「奇妙な言葉を使うヤツだな」と思い、その意味を辞書を使って調べてみました。それ以来「伝家の宝刀」の意味を知っているので「天下の宝刀」にはやはり違和感があります。しかし、「天下の宝刀」という表現も悪くはないな、という気持ちも少しはあります(笑)。

◆「激しく怒ること」を

(ア) ✖ 怒り心頭に達する・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・67.1%

(イ)  怒り心頭に発する・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23.6%

【 私の感想 】

これは全年齢で(ア)の「怒り心頭に達する」が(イ)の「怒り心頭に発する」を大きく上回っています。正直言って、私も「怒り心頭に発する」には違和感があります。

いつも思うことですが、この「日本列島に住む日本民族の7割が正しいと感じる日本語」と「老人学者が正しいと主張する日本語」のいったいどちらが正しいのか?

言葉は時代とともに変わっていくものですから、多くの人が長年使ううちに「正しい」という基準は変わっていくものです。

「一所懸命」が「一生懸命」に変わっていったように・・・・

「波止場」が「港」へ変わっていったように・・・・

「停車場」が「駅」に変わっていったように・・・・

「ご尊顔を拝し奉り、恐悦至極に存じ奉る」が「お会いできて光栄です」に変わっていったように(笑)。

国語の調査(その1)

文化庁から、「平成24年度 国語に関する世論調査 の結果の概要」が発表されました。

なかでも「言葉の意味」がなかなか興味深い結果となっています。

それぞれの言葉に対し、「どちらが正しい意味か?」との質問に対する国民の回答結果です。

正解が、不正解が です。

◆ 役不足  例文: 彼には役不足の仕事だ 

(ア) ✖ 本人の力量に対して役目が重すぎること・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・51.0%

(イ)  本人の力量に対して役目が軽すぎること・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・41.6%

【 私の感想 】

年齢別の正解率を見てみると、50歳代の正解が38.1%、不正解が57.9%なのに対し、16歳~19歳は、正解率、不正解率ともに47.3%でした。なぜか50歳代だけが突出して不正解率が高く、つづいて60歳代も不正解率が高かったのです。16歳~19歳の正解率が一番良かったのは、受験生だからでしょうか?

私も50歳代ですが、実は(ア)の意味が正しいと思っていました。なんとなく「力不足」という言葉と混同しがちですが、よくよく考えてみると「力不足」⇒「力が足りない」、「役不足」⇒「役が足りない」ということで、一応理屈にはあっています。

でも実際、この「役不足」という言葉を自分で使ったことはありません。もし言うとしたら「彼にはもっと難しい(高度な)仕事がふさわしい」とでも言うでしょうか。

 流れに棹(さお)さす  例文: その発言は流れに棹さすものだ  

(ア) ✖ 傾向に逆らって,ある事柄の勢いを失わせるような行為をする・・59.4%

(イ)  傾向に乗って,ある事柄の勢いを増すような行為をする・・・・・・・・23.4%

【 私の感想 】

これは全年齢で不正解率が高かったようです。私も不正解でした。「流れに逆らう」という表現は一般的にもよく使われると思うので、それと混同するからでしょうか?

船の棹は、川底を棒で突いて、舟を進めていきます。棹を強く突けば突くだけ、早く進む事が出来るので、(イ)の意味になるのでしょう。

そう考えてみるとなるほどと思いますが、自分で棹をつかって舟を進めたことがないので、この表現も自分自身で使ったことがありません。もし言うとしたら「火に油を注ぐ」という表現を使うでしょうね。

◆ 気が置けない  例文: その人は気が置けない人ですね 

(ア)  相手に対して気配りや遠慮をしなくてよい・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・42.7%

(イ)  相手に対して気配りや遠慮をしなくてはならない・・・・・・・・・・・・・・47.6%

【 私の感想 】

これは私も知っていました。たしか高校の授業で習った気がしますが、ただその時も「なんとなく変な表現だな」と感じた記憶があります。この「気が置けない」は、「油断できない」という意味に受け取られがちですが、本来「気が置ける」とは「気を遣う」「遠慮される」という意味なので、その反対の「気が置けない」は「気遣いや遠慮の必要がない」という意味になるそうです。

やはりこの言葉も自分自身で使ったことはありません。もし言うとしたら「気を遣わずにすむ相手だから」みたいな言い方をするでしょうね。

 潮時  例文: そろそろ潮時だ 

(ア)  ちょうどいい時期・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・60.0%

(イ) ✖ ものごとの終わり・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・36.1%

【 私の感想 】

この言葉はよく耳にします。私自身も使った経験がありますし、もちろん意味も知っていました。「そろそろ潮時じゃないの?」みたいな言い方をしたと思います。

ただ、「そろそろ終わりにしてもいい時期じゃないの?」という時に使われることが多いと思うので、(イ)の意味ととらえた人が3分の1以上いたというのもうなずけます。

 噴飯もの 例文: 彼の発言は噴飯ものだ 

(ア)  ✖ 腹立たしくて仕方ないこと・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・49.0%

(イ)   おかしくてたまらないこと・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19.7%

【 私の感想 】

私自身この「噴飯もの」という言葉を使ったことはありませんが、聞いたことはあります。しかしそれが「おかしくてたまらないこと」の意味だとは知りませんでした。「噴飯」は、「ひどく腹を立てること」の意味がある「憤慨(ふんがい)」を連想させるから間違える人も多いのでしょうか?正解者が2割弱で、(ア)の意味ととらえた人も半数近くいたわけですから、これはかなりな難問と言えるかもしれません。

「あまりにもおかしくて、食べかけのご飯を噴き出してしまう」から来ているようですが、そう聞けば「なるほど」とうなずけます。

中国人客誘致、アジア激戦 観光消費10兆円奪い合い

2013年9月20日 日本経済新聞朝刊

韓国やタイ、日本などアジア各国で中国人観光客の誘致競争が激しくなっている。国連によると2012年に海外旅行した中国人は11年比2割増の8300万人、旅先での支出額は中国系クレジットカードの普及も後押しし4割増の10兆円を突破した。20年には2億人まで増えるとされ、官民挙げたマーケティング合戦に火花が散る。

2013年9月20日日経

(以上で記事終り)

中国の海外旅行客数は年間8,300万人、つまり日本の人口の3分の2もいるということですから本当に驚きです。人口13億を超える国ですから、全てにスケールが大きいですね。

中国人は外国へ移り住んでも「中華街」などの中国人コミュニティーを作り、地元社会に融合しながらもかたくなに中国文化を守り続けているという印象があります。

外国に住む中国人、つまり華僑と呼ばれる人達だけでも日本の人口に匹敵する1億2,000万人もいると何かで読んだことがあります。

年間8,300万人もの中国人観光客が世界を訪れて、さらに香港や台湾からの観光客もかなりいるでしょうから、今後は世界各地に中国語を話す人々がもっともっと増えていくことでしょう。

日本もその巨大な旅行客マーケットの受け入れに一生懸命のようですが、政治的な問題もあり、なかなか簡単にはいきそうにありません。

ところで、日本を訪れたことのある中国人観光客の感想文を読んでいたら、日本にかなりな好印象を持って帰って行った中国人も少なからずいるということがわかりました。下記のサイトです。興味のある方は読んでみてください。私は一気に最後まで読んでしまいました。↓

中国人観光客から見た日本

このような草の根での交流が日中両国間の無用な摩擦を減らす良いきっかけになっていってほしいと心から願っています。

世界のビール

今年7月、横浜ランドマークタワーに「世界のビール博物館」がオープンしました。

残念ながら、私はまだそこへは行ってないのですが、私が単にビール好きだからという理由により、ビールに関し思うところをこれから書いてみます。

ちなみにジェスコーポレーションは、ビール関係の翻訳を専門的に取り扱っている翻訳会社という訳ではありません(笑)。

さて、まずは最新の国別ビール消費量を調べてみました(キリンビールの「DATA BOOK 2012 」より)。

国別ビール消費量2011

世界で10番目に人口の多い日本が、第7位に入っています。これは、インド、インドネシア、パキスタンのような人口大国においては、経済的事情だけでなく、宗教的理由により、ビールを飲まない、あるいは好まないという事情もあるのでしょう。

それにしても当然のことながら世界最大の人口を誇る中国が、ビールの総消費量でも世界第一位となっています。

私が最初に中国のビールを飲んだのは、1999年の北京でした。国民的ビールである「青島」の生ビールをジョッキで飲んだのですが、大変においしく日本の生ビールとほとんど変わらないという感じを持ちました。

しかしその12年後の2011年に中国の大連で、青島をはじめ何種類かの中国ビールを飲んでみましたが、どの銘柄も非常に薄く、私にとってはビールの水割りでしかありませんでした。

確かアルコール度数も2%ちょっとだったと記憶しているのですが、現在日本で通信販売されている青島ビールはなぜか4.7%のアルコール度数となっています。

もしかしたら日本への輸出向けにアルコール度数を変えて販売しているのでしょうか?もし知っている方がいたら教えてください。

さて、下の写真は、私が去年(2012年)の12月に大連のLAWSONで撮った写真です。

一番搾りが7元(116円)でスーパードライが5.2元(86円)です。やはりいかに日本のビール税が高いかが分かります。ただ缶の容量が日本では350mlなのに対し、中国では330mlなのが面白いです。

そして不思議なのが、日本では徹底的に同価格で売られているライバルの両銘柄が中国ではこんなにも値段に差があるということです。日本人からするととても興味深いことですね。

ちなみに10年ほど前、私がアメリカのコロラド州でキリンビールの「一番搾り」を買った時は、日本で買う値段よりも、はるかに安いので驚いた記憶があります(詳細な金額は覚えていないのですが・・・)。

日本では、ビールの値段の半分は税金と言われている訳がわかります。

中国の日本ビール

それでは次に「一人当たりのビール消費量」を見てみましょう。

1人当たりビール消費量2011

1人当たりのビール消費量ではチェコが世界第一位という話は結構有名ですが、それにしてもチェコ人の消費量はダントツですね。日本人の3倍ですからすごいです。

チェコのビールはまだ飲んだことがないのですが、「世界のビール博物館」にはチェコのビールも8種類揃えているようですから、飲める機会が来る時を楽しみにしています。

さて、下の写真は、今年(2013年)5月に横浜の山下公園で開催された「ベルギービールウィークエンド2013」で撮った写真です。

「デュベル」アルコール度数8.5%、英語で言うと “Devil” つまり「悪魔」だそうで、コクがあって本当においしいビールでした。

写真には撮らなかったのですが、トラピスト・ビールの「ロシュフォール10」はアルコール度数11.3%で、甘みとコクのあるとても深い味わいの黒ビールでした。これは今までに経験したことのない衝撃的なうまさでした。

ベルギービール

さてさて、ビールの話をするとキリがないので、これ以上の話は次の機会に譲ることにします。

1964年と現在、日本経済の比較

2013年9月10日 日本経済新聞朝刊より

2013年9月10日日経

(以上で記事終り)

2020年のオリンピック開催都市が東京に決まったわけですが、1964年当時と現在の日本経済の規模を比較してみると、GDPで16.1倍、1人あたりのGDPでも12.4倍もの開きがあることがわかります。

それでは現在の日本の1人あたりGDPは、世界のどのあたりにあるのでしょうか?

昨年(2012年)の統計によると、現在日本の1人あたりGDPは、世界第13位にあり、第1位のルクセンブルクの43%の水準にあります。

そしてアジアにおいては、第10位のシンガポールに次いで第2位となっています。

それでは現在の日本の12.4分の1の水準にある国とはどこでしょうか?

107位のエルサルバドル(中南米)、108位の東ティモール(アジア)、109位のサモア(オセアニア)、110位のモンゴル(アジア)あたりが近いと言えます。

これらの国々の人たちには申し訳ないのですが、正直言って印象としては、明らかな「発展途上国」ですね。

1964年当時、そんな「発展途上国」であった日本が、オリンピックを開催して大成功させたわけですから、当時の日本人の熱狂ぶりが目に浮かびます。

そしてオリンピックでの成功が、その後の日本経済発展への大きな自信につながっていったという話もよく理解できます。

2020年の東京オリンピックでは、長期低迷する右肩下がりの日本経済を立て直し、失われつつある日本人の誇りやアイデンティティを取り戻すべく、日本復興への起爆剤となることを願ってやみません。

オリンピックとプレゼンテーション

2020年のオリンピック開催都市が「東京」に決定しました。

やはり自分が生きている間に日本で生のオリンピックを見ることができるというのは、とてもうれしいことです。ぜひとも、一つでも多くの競技場に足を運び、オリンピックの息吹を肌で感じたいものです。

私は、2002年日韓ワールドカップの時も、鹿島スタジアムまで足を運び、アルゼンチン対ナイジェリア戦を観戦しました。

そう思うと私は生涯で2度の冬季オリンピック(札幌、長野)と2度の夏季オリンピック(東京、東京)ならびに1度のサッカーワールドカップを自国で見れる(テレビも含めて)という結構ラッキーな人間ということになります。

2013年9月9 日経号外

ところで、東京五輪招致委員会が発表した数字によると、2013年から2020年までの8年間で日本に与える経済効果は約3兆円とのこと。

これは直接的な波及効果だけで、間接的なものまで含めると5兆円だ、いや10兆円だという威勢の良い声も聞こえてきます。

また、ある民間調査機関によれば、経済効果をもっと幅広くとらえれば、150兆円にもおよぶという話です。

その真偽のほどはともかくとして、少なくとも私たち翻訳業界にとって、良いことはあれ、悪いことはなにもないはずです。そういう意味からも2020年の東京オリンピックは実に歓迎すべきイベントということになります。

さて、今回のオリンピック招致活動において大変話題になったことのひとつに招致委員会が行った「プレゼンテーション」があります。

滝川クリステル

「非常に説得力があった。確実で安全な開催能力を訴える力があった」。国際オリンピック委員会(IOC)のジャック・ロゲ会長は、東京の勝因をこう評した(産経ニュース)。

こう伝えられるほど今回の日本人8人のプレゼンは素晴らしかったと言えます。

ラジオのニュースで聞いた話では、アメリカのプレゼンコンサルタントに数億円のお金を払い、事前に徹底的に訓練を積んだとのことです。

どおりで従来の日本人の特徴である「下を見ながら原稿を読む」という演説スタイルが完全に消え、微笑みながらまっすぐ前を見て、力強く訴えるというアメリカンスタイルが印象に残ったはずです。諸外国の人たちも日本人の変わりようには、かなり驚いたようです。

安倍首相

さすがに皇族である高円宮妃久子さまは、コンサルタントによる指導を受けていなかったのでしょうか、半分ほど原稿に目を落としながら演説をしていましが、それでも流ちょうなフランス語と英語で気品のあるスピーチを披露していました。

今回の成功により、日本にも遅ればせながら、「演説やプレゼンのやり方がいかに大事か」という認識がやっと浸透しはじめるという気がします。

いかに話す内容がすばらしくても、下を見ながら原稿を読んでいては、説得力も迫力もない、意図も伝わりにくい、ということに早く気がついてほしいものです。特に日本の政治家や指導者のみなさんには。

1964年の東京オリンピック

いよいよ2020年のオリンピック開催地が明後日、9月8日の朝に決まります。

56年ぶりに東京になるのか?

イスラム圏初、トルコのイスタンブールとなるのか?

それともヨーロッパ経済危機に揺れるスペイン、マドリッドとなるのか?

大変興味深いところです。

たまたま偶然ではありますが、1964年の東京オリンピック開会式の日(10月10日)はジェスコーポレーションの設立の日と重なり、その後長きにわたり「体育の日」として祝日となりました。

東京オリンピック

この年、私は小学校1年生(7歳)でしたが、粗末なモノクロテレビで興奮しながら見たいくつかの映像を覚えています。

東京オリンピックで日本人初の金メダルとなった重量挙げ金メダルの三宅義信選手には、なんだかわからないけどすごいことになってるんだな、という気持ちでながめていたのを覚えています。

三宅 義信

東洋の魔女と呼ばれた女子バレーが金メダルをとった時も興奮しました。ソ連女子の強烈なスパイクを「回転レシーブ」でとりまくる日本女子の姿に手に汗を握りながら応援した記憶があります。

東洋の魔女

日本人選手が大活躍した男子体操も興奮しながら見たのですが、当時日本でもかなり人気となったチェコスロバキアのチャスラフスカ選手(女子総合金メダル)のことも覚えています。今こうして当時の写真を見ていると昔の女子体操選手は、今に比べればずいぶんと女性らしい体型をしていたということがわかります。

チャスラフスカ

オランダのヘーシンクに敗れた日本柔道が、テレビで大騒ぎされていた時のことも覚えていますが、オリンピック最終日に行われた男子マラソンもとても記憶に残っています。

前回のローマオリンピックに続いて東京オリンピックでも金メダルをとったエチオピアの英雄アベベの余裕の走りは、子供心にも驚きを隠せませんでした。

しかし、私にとって東京オリンピックでの最大の興奮は、なんと言っても円谷幸吉選手の最後の1,000mでした。

国立競技場に2位で入ってきた円谷は 、後ろから迫り来るイギリスの選手ヒートリーを振り切ろうと必死になって走ります。しかし、ついにゴールのわずか200メートルほど手前で力つき、無残にも追い越されてしまいました。

子供にとってもなんともわかりやすい展開なので、強く記憶に残っていたのでしょう。

円谷幸吉

最後に東京オリンピックでのメダルTOP10を掲載しておきます。

大国、アメリカ、ソビエトに次いで日本の金メダル数は第3位だったのですね。そして敗戦国日本とドイツの躍進にも目を見張るものがあります。

国  名  金  銀  銅  合計
1  アメリカ合衆国 36 26 28 90
 2  ソビエト連邦 30 31 35 96
 3  日  本 16 5 8 29
 4 東西ドイツ 10 22 18 50
 5  イタリア 10 10 7 27
 6  ハンガリー 10 7 5 22
 7  ポーランド 7 6 10 23
 8  オーストラリア  6 2 10 18
 9  チェコスロバキア 5 6 3 14
 10 イギリス 4 12 2 18

その後、すっかりスポーツ後進国となってしまった日本ですが、経済だけでなく、スポーツの方も大いなる復活を期待しています。

 

農耕民族と狩猟民族(遊牧民)

日本人が好んで使う表現の中に「日本人は農耕民族だから」・・・・・・・・・・という言葉があります。

そこには「日本人は農耕民族だが、西洋人や中国人は狩猟民族である。あるいは遊牧民である」という意味が潜んでいます。

本当でしょうか?

いろいろ調べてみると、日本人が中国から輸入された農耕を開始したのは今から3,000年ほど前のことのようです。かなり拡大解釈してもせいぜい5,000年ほど前です。

一方、ごく最近の調査によってわかってきたことは、のちにヨーロッパ全土へと広がっていく中東での農耕の開始は今から15,000年ほど前です。

また、中国での農耕の開始も奇しくも同じ時期で、やはり15,000年ほど前であったということが最近の調査でわかってきました。

つまり、西洋や中国と比べた場合、日本の農耕の歴史は圧倒的に短いということがわかります。

落穂拾い

次に「歴史的に見て、日本では農民の割合が非常に高かった。だから日本人は農耕民族だ。」という説があります。

これは確かに正しくて、江戸時代や戦国時代の資料を調べると、(これも諸説がありますし、時期によっても違うのでしょうが)、全国民の84%から97%が百姓であったようです。

しかし、これは西洋や中国においてもまったく同様で、かつて国民の圧倒的大多数は農民だったのです。少なく見積もっても国民の8割~9割はまちがいなく百姓でした。

「いや、いや、西洋の農民はほとんどが遊牧民(放牧民)だから。」・・・・・・と主張する人がいます。

遊牧民(放牧民)とは一箇所に定住することなく、居住する場所を一年間を通じて何度か移動しながら、主に牧畜を行って生活する人たちのことです。

本当でしょうか?

「ギリシャ神話の羊飼い」や「アルプスの少女ハイジ」や「アメリカ西部劇のカウボーイ」の印象が強すぎて、西洋人はみな遊牧民だったようなイメージを持っている日本人が多いようですが、現実には羊飼いやカウボーイのような遊牧民(放牧民)は人数から言えば、圧倒的少数派です。

日本人がみな相撲取りとゲイシャでないように西洋人はみな羊飼いとカウボーイではありません(笑)。

なぜならば「穀物」は非常に栄養価の高い食物で、この穀物の定期的な確保、つまり「農耕」を確立させたことにより、人類は地球上の生態系の頂点に立ち、文明を発展させることができるようになったのです。

この辺のことに関しては、ジャレッド・ダイアモンド博士の「銃・病原菌・鉄(DVD)」に詳しく説明されていますので、興味のある方はぜひご覧になってください。

ところで、世界最大の漁業大国はどの国だかご存知でしょうか?

ご存知の通り、歴史的に見ても世界最大、最強にして圧倒的な漁業大国は日本です。

もし、「国民のほんの一部に放牧民がいるから西洋人は農耕民族ではない」とするならば、「日本人は世界最強の狩猟民族」となってしまいます(笑)。

つまり何を言いたいのかというと「農耕民族」「狩猟民族」「遊牧民」という区分け自体がナンセンスであり、実はなんの根拠もないということです。

世界の人口70億のうち、ほとんどは農耕民族であり、特に西洋人や中国人は日本人同様、筋金入りの農耕民族なのです。 晩鐘(ばんしょう)

このブログの開始にあたって

みなさん、こんにちは!

私はこのブログのほかにすでに4つのブログを書いているので、これで5つ目のブログを書くことになります。

「なぜそんなにいくつもブログを書くの?」

そんな声が聞こえてきそうですが、単に「仕事のため」という答に留めておきます(笑)。

ちなみに4つのブログのうちの3つを下記にご紹介させていただきます。

① 翻訳関連情報 ・・・ 各メディアの最新情報に翻訳会社の社長がコメント。「翻訳」という仕事を様々な角度から考えていきます。

② JES社長の 翻訳業界「徒然草」 ・・・ 技術翻訳会社 ジェスコーポレーション 社長が語る ”情報随筆”

③ 技術翻訳プロフェッショナル講座 「翻訳の真髄」 ・・・ 丸山藤男が生前遺した著書の中から抜粋したものをこのブログに連載していきます。今も生き続ける「翻訳の真髄」がこの中には満載されています。

(このブログを書いた直後、②と③を掲載しているDTIブログから突然、2013年12月17日をもってブログサービスを停止する旨、連絡がありました。そのため②と③に関しては「ジェスコーポレーション社長ブログ」や「技術翻訳ステーション」や「翻訳会社ジェスコーポレーション」の各サイトへ分散して過去データを移行し、閉鎖しました)

残りのひとつは、個人的なことをテキトーに書いているブログで、最近ほとんどアップデートしていないので、ここでは割愛させていただきます。

それにしても上記①と②の中身を考えるだけでかなり苦労しているのに、それに加えてもう一つブログを始めようとしているなんて「信じられない」って感じです。でも仕事ですから(笑)。

さて、このブログは上記の3つとは異なり、特に「翻訳」というジャンルにこだわることなく、リラックスして思いつくままに「何か」を記載していくつもりです。

少しでもいいので、できるだけ毎日「何か」を記載していきたいと思います。

また、できれば1つの記事に1つ以上の写真や画像を挿入したいと思っています。

本日の写真は、昨年高島屋の写真館へ行って撮ってもらった1枚ですが、思いのほか使う機会が少なくもったいないのでここで使わせていただきます。

それでは、みなさん、今後ともよろしくお願いいたします

丸山均ブログ用スモール版

イチロー、日米通算4000安打を達成

2013年8月22日 日本経済新聞

米大リーグ、ヤンキースのイチロー選手は21日、ブルージェイズ戦に「2番、右翼」で先発し、1回の第1打席で、相手の先発投手ディッキーから左前打を放ち、日米通算4000本安打を達成した。

(後 略)

2013年8月22日 イチロー

(以上で記事終り)

ニューヨークヤンキースのイチロー選手が、日米通算4,000本安打を達成しました。

今回はこの偉大なる記録達成を記念して、“人と文化の輸出”について思うところを述べさせていただきます。

1981年、学生時代の私がアメリカのカリフォルニアで1か月間ホームステイした時のことを思い出します。

GM(自動車)の工場、リーバイス(ジーンズや衣料)の本社、コントラ・コスト・タイムズ(新聞社)の編集室、その他、日本の宅急便のような宅配サービスの集配センターにも見学に連れて行ってもらいました。

そしてその時、どこへ行っても、多くのアメリカ人達から「日本は素晴らしい!」という賛辞をもらったのです。

「トヨタはすばらしい!」 「ホンダはすばらしい!」

「キヤノンはすばらしい!」 「ソニーはすばらしい!」

「日本の製品はどれも品質が素晴らしく、故障がほとんどない」

「車は信じられないくらい燃費が良い」

「ユーザーフレンドリーで使い勝手が抜群に良い」・・・・等々です。

どこへ行っても日本の製品を称賛してくれるので、悪い気はしないのですが、その時私は彼らに対し、いつも同じ質問を投げかけてみました。

「ところで、誰か日本人の名前を知っていますか?」

こう聞いてみると、とたんに誰もが考え込み、結局一人の名前も出てきませんでした。

当時、黒澤明監督の「影武者」という映画が、カンヌ映画祭でグランプリを取り、「世界のクロサワは世界中で絶賛されている」と日本では連日報道され、大騒ぎをしていました。

しかし、私が少なくとも数十人のアメリカ人に

「カゲムシャを知っていますか?」

「映画監督のクロサワを知っていますか?」

と聞いたところ誰も知りませんでした。

その後日本に帰国後、日本にいる英語ネイティブ(アメリカ人、カナダ人、イギリス人、オーストラリア人、ニュージーランド人)と知り合うたびに、同じ質問をしてみました。

「日本へ来る前に名前を知っていた日本人はいましたか?」

一人のアメリカ人が天皇ヒロヒトとA級戦犯トウジョーの名前を知っていただけで、答はいつも同じく「誰も知らない」でした。

戦後日本は、世界第2位の経済大国になったわけですが、作った“モノ”は評価されても、残念なことに海外で評価される“人”は驚くほど少なかったと言えるでしょう。

モノ作りや品質管理で高い評価を得ることは、それはそれで誇らしいことではありますが、いくらお金を稼いでも、人や文化を輸出できない国は外国から「尊敬」される国にはなれないと私は思っています。

しかし、ここにきて少しづつ変化が現れ始めました。

アメリカにおける野球やヨーロッパにおけるサッカーで日本人選手の活躍が目立ち始めただけでなく、ゲームソフトやマンガやアニメ、そして和食が俄然世界で注目を集め始めたからです。

文化が輸出されれば、必然的に“人”の名前も一緒について輸出されます。

すばらしい和食に感動し「いつの日か僕もこんな料理を作ってみたい」と思った人は、きっとその板前さんのことを心の底から尊敬するでしょう。

宮崎駿のアニメに感動し「いつの日か自分もこのような作品を作ってみたい」と夢見る少年の目に、宮崎駿は神として映るでしょう。

イチローが打ち立てた数々の記録を超えようと、世界中の人たちが挑戦するたびに、その偉大さを実感することになるはずです。

“人材”と“文化”を輸出し、世界から尊敬を集める“文化大国日本”の実現を私は夢見ています。その時日本は真に豊かな国となっていることでしょう。

穀物の世界生産が最高に 大豆や小麦、13年度8%増

2013年8月14日 日本経済新聞朝刊

大豆や小麦、トウモロコシといった穀物の世界生産量が2013年度は過去最高となる見込みだ。国際価格も大幅に下がっており、穀物需給の逼迫はひとまず緩和される。円安のあおりで値上がりが続く食用油や大豆製品、飼料などの国内価格も上昇が一服しそうだ。

米農務省の8月の需給予測によると、13年度の世界の穀物生産量は約24億3000万トンと前年比8%増える。三大穀物のトウモロコシと大豆、小麦の生産量はそろって最高を更新する。

(後 略)

2013年8月14日 日経12013年8月14日 日経2

(以上で記事終り)

「世界の人口が増加しても食糧危機はおこならい」という説をとなえる人がいます。

東京大学大学院農学生命科学研究科准教授の川島博之氏です(詳細はこちらをご覧ください)。

そのロジックをかいつまんでご説明すると以下のようになります。

グローバル化により、先進国が発展途上国に進出し、その結果として途上国の農村人口が都市部へ移動する。

近代化、農業の工業化(農業機械の導入、品種改良、化学肥料など)により農業生産性が飛躍的に向上する。

途上国都市部の人々の収入が増え、生活が豊かになると子供たちに高い教育を授けるようになる。

かつて先進国が歩んできたように子供への教育費がかさんでくると自然に子供の数が減っていき、人口増加にブレーキがかかる。

食料危機問題が解決されていく。

というロジックですが、ほかにも下記のようなことにふれています。

現在、全世界の人口増加率は1%強。しかし20世紀後半、全世界の人口増加率は2%程度もあったが、食糧危機は起こらなかった。なぜか?

一部アフリカなどでおこった食糧危機問題は、人口増大、環境問題、農業生産量の不足のどれでもなく、実は政治の混乱が原因だった。

というのが、川島氏のロジックとなります。

話は変わりますが、1993年に日本では、冷夏によりコメ不足おこりました。いわゆる「平成のコメ騒動」です。

このとき日本は急きょ外国からコメを輸入しました。

なかでもタイ政府などはせっかく良いコメを日本向けに選別して輸出してくれたにもかかわらず、日本人は「口に合わない」と言って、食べずに捨てたりしました。

そのため、大量にドブに捨てられたタイ米の映像がテレビのニュースに出て社会問題になったりもしました。

それにより思わぬとばっちりを受けた国があったのです。

世界最貧国でもあったバングラディッシュは、日本がコメを輸入したため、アジア諸国のコメ相場が突然上がり、ところてん式に一番安いコメを輸入していたバングラディッシュに深刻な飢饉をもたらしたということです。

さて、下記のような報道もあります。

「中国に食糧危機の影 急速な都市化、減る農民、輸入急増…」(産経ニュース)

中国に天変地異による飢饉でもおこれば、なにせ13億を超える人口の国ですから、周辺諸国へ与える影響はかなり大きいでしょう。

また、インドもしかりです。

食料問題は軍事やエネルギー問題と同様、非常に大きな国家の安全保障問題のひとつだと思います。

フランス人を虜にした「日本酒」の魅力 美食の国にSAKE ブームが到来!

2013年7月25日 COURRiER JAPON  世界が見たNIPPON フランス・レクスプレス誌より

いまや有名シェフやグルメ評論家だけでなく、政治家も一般人も、フランス中が日本酒に夢中になっている。なかには、ワイン代わりに日本酒を注文する人もいるほどだ。

(中 略)

一方、パリのカルチェ・ラタンで居酒屋「遊鈴」を経営するユーリン・リも「日本酒は、フランス人を虜にするほどの力を持つアルコール」と断言する。

「これまで日本酒の試飲会を何度も開催していますが、初心者の反応はだいたい決まっていますね。最初は『喉が焼けそうだ』という恐怖に駆られるのですが、一度それを超えると繊細な味に引き込まれていくようなのです」

(中 略)

そしてなによりも驚くべきは、食事をしながら飲むには、ワインよりも日本酒の方が合うのである。これは寿司に限った話ではない。ソムリエのオリヴィエ・プシエも「ワインが向かない食材でも、日本酒ならマッチすることがある」と指摘する。

たとえば、卵や根菜、アスパラガスといった食材だ。これらはワインのタンニンとは合わないが、日本酒とは素晴らしくマッチする。パリ屈指の高級ホテル「ジョルジュ・サンク」のシェフを務めるエリック・ブリファールは、12の銘柄の日本酒をそろえ、よく冷やしたものをクリスタルのグラスで客にサーブしている。きのこ類や海藻バター付きマテガイ、カシスとミラベルのデザートといった料理には、ワインではなく敢えて日本酒を客に勧めているという。

そして客の反応はというと、日本酒と知らずに飲んだ彼らの多くは「素晴らしい白ワインだ!」と、感嘆の声を上げるのだそうだ。

2013年7月25日 日本酒フランス

(以上で記事終り)

以下は参考資料

2013年7月25日 日本酒

2013年7月25日 日本酒 2 

・・・・(以上で参考資料終わり)

世界各国で「日本食ブーム」がおきていることは事実のようですが、「日本酒」のほうもまた徐々に盛り上がりを見せ始めているようです。

その背景には、新鮮な日本酒を冷蔵保存しながら安価に輸送する技術が発達したことや「お酒」を冷蔵保存できる設備を整えた飲食店が海外にもでき始めたということもあるようです。

しかし、いずれにせよ日本の“食文化”のひとつである日本酒が海外で受け入れ始めているということは、一人の日本人としてとてもうれしいことです。

実際、私も蔵から飛行機で直送された高級日本酒のたるを割り、すぐに飲んだことがありますが、本当に高級な白ワインではないかと思える味でした。

ヨーロッパ旅行が好きな人たちに聞くと、日本人が認識している以上にヨーロッパ、とくにフランスなどでは日本のマンガ、アニメ、ゲームなどが深く浸透し、若者の間で大変な人気を呼んでいるそうです。

それと並んで寿司をはじめとする日本食ブームも大変なようです。

そのきっかけは80年代、90年代にヨーロッパで大騒ぎとなった、あの“狂牛病”にあるそうです。

牛肉好きの欧州人たちも一時期「牛」を食べることに恐れをなし、ヘルシーな魚を中心に食生活を変えていこうとしたら、日本食に行きついた、というわけです。

昔は海外の「寿司」は、ご飯の上にただ生の魚を乗せただけのかなりあやしげな「寿司」も多かったようですが、現在ではそれぞれの地域にローカライズされた、かなり美味しい寿司も出始めているようです。

ところで、日本に来たある英国人がクリスマスにケンタッキー・フライドチキンを買っていく、しかも行列しながら買っていく日本人を見て驚いていた話を思い出しました。

「なぜ、日本人はクリスマスというお祝いの日に安いチキン、しかもファーストフードのケンタッキーを買うの?」と聞かれました。

私も答に窮し「う~ん、ターキーと間違えて、代わりに安いチキンを食べているんじゃないのかな?」と適当に答えました。

すると彼は「それでは、ふつう日本人はお祝いの日には何を食べるの?」と聞いてきました。

少し考えたあと私は「寿司かなあ」と答えました。

すると、その英国人は再度「え~」と驚き、目を白黒させたのです。

「だって、寿司ってファーストフードでしょう?なんでお祝いの日にファーストフードを食べるの?」

この質問には、私も苦笑せざるをえませんでした。

「そーか、外国人にとって寿司とは、グルグル回っているものなんだ」と。

今や「回転寿司」は、日本の食文化として立派に世界に羽ばたいているようです。

寿司という食材や技法とともに、お皿を回転させる機械やシャリを握る機械なども、かなりの勢いで海外でも売れだしているそうです。

先日のテレビのニュースでは、ギョーザを皮に包む日本製の機械が海外で飛ぶように売れていると報道されていました。

ギョーザは中国で生まれたものですが、焼ギョウザは朝鮮半島を伝って来日し、日本で発達した日本の食文化と言ってもよいでしょう(現に横浜の中華街では昔、「ギョウザは朝鮮料理だから」と言ってメニューにありませんでした)。

いつの日か日本が「食文化輸出大国」になる日を願ってやみません。

日本人技術者流出の実態 最大の転職先はサムスン

日経ビジネス 2013年7月8日号より

日本の技術者が海外企業に転職、技術ノウハウが流出する問題が深刻になっている。最大の受け入れ先企業となっているのは韓国サムスングループ。
同グループの躍進を支えるのは、日本人技術者が培ってきた高度な技術だ。

サムスンの日本の特許出願に関わった日本人技術者485人を追跡し、彼らの出身企業を集計したのが下記の表。日本の名だたるエレクトロニクス企業の雄の名前が並んでいる。

2013年7月8日 日経ビジネス1

それぞれの技術者がどのような分野の出願に関わっているのか。これを調べるためFI記号(特許庁が付与している技術分類コード)を利用して、出身企業別に技術分野をまとめたのが下記の図。

2013年7月8日 日経ビジネス2

以下のことが読み取れる。

① 画像処理・通信技術は、三洋電気と富士通出身者が最多
② 光ディスク関連技術は、パナソニックと東芝出身者が最多
③ 有機EL関連技術は、NEC出身者がダントツ
④ 電池関連技術委は、パナソニックと日立技術者が最多
⑤ 半導体装置関連技術は、ルネサスエレクトロニクス出身者が最多

(以上で記事終り)

今から10年ほど前だったと思いますが、日本の技術者の技術が韓国や中国などアジア諸国へ流出している、という話をある事情通から聞いたことがあります。

話を要約すると下記のようになります。

「毎週金曜日の夜、成田と羽田の中国行きと韓国行きの飛行機の座席は満席だ。日本の技術者が1日10万円の報酬をもらって、中国や韓国の企業に技術指導に行くからだ」

「技術指導の後、月曜日の早朝に現地を発ち帰国するのだが、土日で20万円もらえるので、飛行機代とホテル代を支払っても採算がとれる」

「日本では冷遇されている技術者でも、向うへ行けば『先生』と呼ばれ、非常に大事にされるので、日本で働くよりずっと気持ちがいい」

「さらにサムスンは、世界中の超一流の技術系大学や大学院から新卒者を高待遇で一本釣りしている。日本からも東大、京大、東工大等の技術系大学院から新卒者を数十名単位で採用している。高給に加え、個室と十分な研究予算を提示するので優秀な若者がどんどん韓国へ移っている」

・・・・とまあ、こんな感じの話でしたが、結論は、

「日本の電機業界はこのままでは危ない。いずれサムスンにやられる」

この話を聞いたのが、だいたい今から10年ほど前でしたが、その時は正直、ここまで日本の電機業界が壊滅的状態に陥るとは予想できませんでしたし、サムスンがここまで台頭するとも予想できませんでした。

この日経ビジネスの記事を読むと、現場の技術者や新卒者のみならず、特許にかかわる研究所の社員などもかなり一本釣りされてサムスンへ転職していた状況が伺えます。

この話以外にも確か7~8年ほど前だったと思いますが、NHKの特集で中堅中小企業からも熟練した技能工の技術が東南アジアなどへ流出しているという実態が報道されていました。

「技術立国日本」と言われた戦後日本の誇るべき技術が、音を立てて崩れ落ち、「重要な技術」も「使い古された技術」も併せ飲みで周辺諸国へなだれ込んでいるという印象を受けます。

「使い古された技術」はともかく「重要な技術」の流出だけはなんとしても食い止めねばなりません。

そういった意味からも、日本は一刻も早くガラパゴス化した労働慣習を捨て、グローバル化した社会に生まれ変わっていく必要があるのかもしれません。

コメ問題にメスを

2013年6月26日 日経ビジネス 2013.6.24号より

本格的な構造改革を怠り、衰退が止まらない日本農業の象徴であるコメ。
TPP参加の有無にかかわらず、守り一辺倒の先に未来はない。
稲作も含め成長産業として再生するには、規制緩和などの政策や農業改革が急務だ。

(中 略)

韓国は米国、欧州連合(EU)などとのFTA(自由貿易協定)に備え総額10兆円規模の農業・農村対策を用意した。農家への直接支払いのほか高齢農家の経営移譲や農業からの撤退促進策などを盛り込み、生産性向上や規模拡大を後押ししている。

ノルウェーも日本では衰退産業とされる漁業で資源管理を計画的に行いつつ、小さな漁船を国が買い取ってスクラップ処理し、大きな船で効率的に魚を取る仕組みへと転換した。

今では世界第2位の水産輸出国に躍り出たノルウェー。水産業者の年収は国民平均の倍近くに達するほど成長産業に生まれ変わっている。

韓国やノルウェーに共通するのは民間の創意工夫に加え目先の損得勘定に左右されない政治の覚悟と国民の理解だ。

(後 略)

2013年6月26日 日経BP

・・・・(記事の転載ここまで)

今回の日経ビジネスでは「農協支配の終焉」と題し、農協の束縛から脱し、活路を海外へ求めている元気な日本の農業従事者の話がいくつも紹介されています。

海外への輸出である程度の成功を収めていながらも、今後ますますの発展を海外に求める農業従事者の話もあれば、農業に積極的にITを導入し、国際競争に勝てる商品を作り上げている企業などが紹介されています。

しかし、日本の農業においてどうしても避けて通れない話があります。それが“コメ”です。

この記事には「多くの農家が関わるコメに政府は手厚い保護政策を続ける。生産量を減らして米価を高くする生産調整(減反)と高関税を維持し、負担を消費者に回してきた。耕作者自らが農地を所有すべきという『耕作者主義』の原則も崩さず、農地への優遇税制や所有・利用規制を継続している」とあります。

そして、それを打開するためには、補助金を見直し、規制を大幅に緩和し、企業による競争原理を導入しなければならないとしています。

今から7~8年ほど前だったと思いますが、テレビのニュースの特集でノルウェーの漁業の話が取り上げられていました。

1980年代前半まで、かつての漁業大国ノルウェーは、漁業従事者の高齢化と後継者不足に悩み、漁業は衰退の一途をたどるばかりでした。

そこでノルウェー政府は1980年代に、古い小さな船を国が買い取り、大型船に入れ替え、かつ徹底的なIT化導入の政策を推し進めまていきました。

そのテレビのニュースによると、ノルウェーの漁船の中は超近代的で、若い船員各自にも個室が与えられ、各部屋にパソコンが完備されていました。

魚を探して網で捕獲し、獲れた魚を種類や大きさ毎に区分けし、港へ運ぶまでのすべてをコンピュータと機械が行うため、漁師さんは魚にはいっさい手を触れません。

漁師の年収は他の職業に比べて倍近い「高収入」であり、ITを駆使した「カッコいい」職業であるため、若者の漁師応募者が殺到し、今やノルウェーでは憧れの職業となっているとのことでした。

同じことを日本の第一次産業(農業、漁業、林業)においてもできないわけはありません。

「小麦」を世界一輸入している国イタリアは、世界一パスタを輸出し、小麦の国内生産量もどんどん増えているそうです。

一方で規制ずくめで輸入を制限している日本のコメは生産量が減るばかりです。

日本の技術で世界に誇れる日本の食文化や食料加工品を海外へどんどん輸出して、世界一の農業輸出大国になってもらいたいものです。

あの小さな国オランダが世界第2位の農業輸出国であるわけですから、できないわけはありません。

日本、サッカーW杯ブラジル大会 出場決定!

サッカー日本代表が、ワールドカップブラジル大会への出場権獲得を世界に先駆けて決めてくれました。

これはサッカーファンの私としてはとてもうれしいことですが、さて、この出場権獲得が今後の日本経済にどのくらいの経済波及効果をもたらしてくれるのでしょうか?

ネット上で見つけてきた数字を下記に列挙してみます。

過去のサッカーワールドカップが日本経済に与えた経済効果
(数字は電通総研消費者研究センターによる推計値)

1998年 フランス大会 不明

2002年 日韓大会  約2兆円

2006年 ドイツ大会 約3,000億円

2010年 南アフリカ大会 約3,000億円

2014年 ブラジル大会 ????

2013年6月6日 W杯 出場決定

ちなみに、W杯ブラジル大会が開催国であるブラジルに与える経済波及効果は、約7兆1,350億円(ブラジルの民間経済研究機関調べ)だそうです。。

推計値とは言え、7兆1,350億円とはスゴイですね!

さて、このW杯ブラジル大会が日本経済や私たち翻訳業界に与える影響はどうなのでしょうか?

まずは日本経済全体に与える影響ですが、ドイツ大会や南アフリカ大会同様に3,000億円程度という数字が予想されます。

しかし、たとえ3,000億円であっても、昨年(2012年)の日本の実質GDPが約520兆円ですから、GDPの0.06%にも満たない数字はそれほど大きいとは言えないでしょう。

次に外国で開催されるワールドカップが日本の翻訳業界に会える影響はどうでしょうか?

ワールドカップの現場に通訳を送り込んでいる会社や広告関係の仕事が多い翻訳会社にとっては、瞬間的なミニバブルがやってきそうです。

しかし、日本の翻訳業界全体を支えている産業翻訳の分量から考えれば、その影響力はやはり限定的と言わざるを得ません。

つまりワールドカップは派手な話題を振りまきますが、残念ながら日本経済や翻訳業界全体に与える影響はそう大きくないと思われます。

ただ、景気の「気」は気分の「気」でもありますから、サッカー日本代表には決勝トーナメントに進出し、そこで勝ち進み、日本人の気持ちを大いに前向きにさせてほしいと願っています。

世界大学ランキング 「翻訳授業」時代遅れ

2013.5.30 日本経済新聞 朝刊

世界の大学ランキングには様々なものがあるが、総じて日本の大学の評価は芳しくない。英タイムズ紙から発したタイムズ・ハイアー・エデュケーションによると、上位100位に入るのは27位の東京大学と54位の京都大学だけ。次にランクされる東京工業大学は128位だ。

ひとつには言葉の問題が大きい。上位の顔ぶれを見ると、米国や英国、カナダなど英語圏の大学が圧倒的に多い。中国の北京大学や清華大学の順位は日本とほぼ同じだ。世界の共通言語として、英語で学んだ方が研究や就職活動などに有利というわけだ。

実はこの20年間に世界に広がったインターネットがその流れを加速した。植民地時代から教育やビジネスに英語を使う香港やシンガポールなどは、ネット上の英語文献情報をいち早く吸収、IT革命を先取りした。そうした理由から大学の評価も高い。

さらに高速通信網の普及で「MOOCS」など世界中どこからでも受講できるネット上の大規模授業が広がれば、こうした大学格差はもっと大きくなるに違いない。

日本の大学教員はこれまで欧米の先進的な知識や技術を日本語に訳して伝えることで仕事が成り立ってきた面がある。しかしネット時代にはそうした「翻訳授業」はもはや意味をなさなくなるだろう。

2013年5月30日 日経新聞

(以上で記事終り)

上記の日経新聞がとりあげた「英タイムズのタイムズ・ハイアー・エデュケーション」とは別のランキングも見てみましょう。

「QS 世界大学ランキング2012-2013発表!初の1位にマサチューセッツ工科大、一覧も」

大学の顔ぶれはほぼ変わらない感じですが、1位から30位までの大学を見てみると、下記以外はすべて英語圏(米国、英国、カナダ、オーストラリア)の大学となっています。

13位 スイスの大学

23位 香港の大学

25位 シンガポールの大学

29位 スイスの大学

30位 東京大学

しかし、香港とシンガポールは、英語が公用語となっている「英語圏」の一つなので、事実上英語圏以外の大学はスイスが2校、日本が1校だけとなっています。

世界大学ランキングの ランクを決める基準については、「研究者からの評価/教員一人当たりの論文引用数/留学生比率/教員一人当たりの論文引用数」 などを総合的に評価したものだそうなので、やはり「言語」つまり「英語」を使用するかしないかはとても大きな要因となるわけです。

この「大学ランキング」は数ある指標のなかのひとつにすぎないわけですが、製造技術、科学技術、研究開発力だけで発展してきた戦後の日本にとっては、たいへん重みのある指標と言えるのではないでしょうか。

20世紀までは、日本人は英語など知らなくても何不自由なく暮らすことができました。しかし、21世紀はそうはいかないでしょう。

まさに「英語」という名の「黒船」が、日本に開国を迫っているのです。

RCEPとTPP

RCEP(Regional Comprehensive Economic Partnershipの略、アールセップ)は、日中韓印豪NZの6カ国がASEANと持つ5つのFTAを束ねる広域的な包括的経済連携構想であり、2011年11月にASEANが提唱しました。その後、16カ国による議論を経て、2012年11月のASEAN関連首脳会合において正式に交渉が立上げられました。

RCEPが実現すれば、人口約34億人(世界の約半分)、GDP約20兆ドル(世界全体の約3割)、貿易総額10兆ドル(世界全体の約3割)を占める広域経済圏が出現します。

(以上、経済産業省のサイト「東アジア経済統合に向けて」より)

RCEP対象メンバーのGDPシェア
2013年5月7日RCEP1

RCEPとTPPの概況
2013年5月7日RCEP2

(以上、富士通総研のサイト「RCEP vs TPP」より)

2013年5月7日RCEP3

(以上、日本経済新聞のサイト「TPPの恩恵、日本が最大(経済教室) ピーター・ペトリ教授 マイケル・プラマ教授 GDP、2%押し上げ 影響力行使へ早期決断を」より)

 

近頃、下記のような貿易に関する協定の話題がマスコミを騒がしています。

・ RCEP (地域包括経済連携:Regional Comprehensive Economic Partnership)

・ TPP (環太平洋連携協定: Trans-Pacific Partnership)

・ FTA (自由貿易協定: Free Trade Agreement)

このうちFTAについては、2国間における貿易協定のことなので、当事者通しの交渉力がキーを握ると言えるでしょうが、RCEPとTPPに関しては、各国における様々な思わくが複雑に絡み合うことが予想されます。

上記「RCEPとTPPの概況」によれば、現状ではRCEPのGDPシェアが28.4%に対し、TPPのほうは、38.2%となっています。

しかし、2011年~2015年のGDP伸び率は、TPPの4.2%に対し、RCEPのほうは7.1%となっています。

もしこの予想が正しく、かつ同じペースで両陣営が伸びていくとしたら、早晩RCEPのGDPがTPPを追い越すことになります。

また、上記の表で主導国は、TPPは米国、RCEPはASEANとなっていますが、RCEPの主導国がASEANから中国へと移っていくことは間違いありません。

つまり、TPPは米国主導、RCEPは中国主導で、その両方に加入する“経済大国”日本が“キャスティング・ボート”を握ることになるのです。

このグローバル化の進む世界で、もはや日本だけが“鎖国”状態で生き残っていけるはずはありません。

RCEPもTPPも必ず実行に移され、否が応にも清も濁も併せ呑みながら急速に発展していくことは間違いないでしょう。

そして、日本の翻訳業界の出番が増えていくことになります。

かつての米ソ冷戦の陰で“漁夫の利”を得ながら、しっかりと経済成長を遂げた“したたかな国”日本の再来を静かに待ち望んでいます。

中国景気、減速の影 上海モーターショー 来場者の6割、日本車「買わない」

2013年5月2日 日本経済新聞 朝刊

産業素材の取引価格や企業業績が、中国景気の「変調」を映し始めた。建設資材やプラスチック原料などの価格が軒並み下落し、中国事業の比重が高い企業の業績も振るわない。中国での需要減少や過剰在庫が影響しているとみられる。政府が公表する経済統計が示すよりも、中国景気は減速している可能性がある。

1日発表された4月の中国の製造業購買担当者景気指数(PMI)は景気判断の分かれ目である50を7カ月連続で上回った。数値は前月よりやや低下しており、中国景気は「緩やかな改善を続けている」と読める。

もっとも米ヘッジファンドの有力運用者であるジム・チェイノス氏は「中国の統計は額面通りに受け取ることができない」と話す。日米欧と違って、中国の統計は人為的に操作されているとの疑いが付きまとう。PMIをまとめたのも中国政府公認の業界団体。チェイノス氏は「中国の経済成長は鈍っている」と弱気な見方を示す。

(後 略)

2013年5月2日 日経新聞

(以上で日経新聞の記事終り)

2013年4月29日-5月6日合併号 日経ビジネス

上海モーターショー
来場者の6割、日本車「買わない」

4月20日開幕の上海国際自動車ショーに、日本車各社は復活をかけた。だが、来場者200人に聞いたところ、66割強が日本車を買わないと回答。反日だけではない、商品力や経営戦略に潜む課題が浮かび上がった。

2013年5月2日 日経ビジネス

(中 略)

「絶対に買わない。俺は日本が嫌いだ。あんたは日本の記者?」。最初に尋ねた40代の男性は強い口調でこう聞き返してきた。買わない理由に「日本が嫌い(好きじゃない)と挙げた人は34%。「昨年の9月以降は買いづらくなった」とこぼす30代の男性など、「人から非難されそう」という声も22%あった。

日中関係悪化の影響は依然として、日本車の販売に影を落としている。

質問を重ねると、買わない理由はそればかりではないことも見えてきた。

日本車は安全じゃない?

「安全じゃないから買わない」。20代カップルの答に耳を疑った。詳しく聞くと「鋼板が薄いでしょ。ペラペラで、ぶつかったらつぶれちゃう」と身振り手振りを交え、説明してくれた。薄くて柔軟な鋼板は日本の自動車、鉄鋼大手による軽量化の努力の賜物だ。

車体がへこむことで衝撃を吸収し、人命を守る設計思想がある。だが、ドイツや米国の車と比べて安全性で劣ると、多くの中国人は考えている。

このカップルの回答も含め「商品力が低い」という声は買わない人の38%で「日本が嫌い」より多かった。

(後 略)

・・・・(以上で記事の転載終わり)

まず、「中国経済、減速の影」の話ですが、過去20年くらいの間に「中国経済は破〇する」「中国バブルは崩〇する」「中国共〇党は消滅する」とどれだけ言われ続けてきたことでしょうか。

現実にはそれらの噂はすべて杞憂に終わりました。

「そしてこんどこそ!」と今言われていますが、はたしてどうなのでしょうか?

中国経済が減速、あるいは崩壊して、日本経済や日本の翻訳業界に良いことは一つもありません。ここはひとつ中国政府になんとかふんばってもらい、ソフトランディングしてほしいと願うほかありません。

次に「上海モーターショー」でのアンケート記事の話です。

日本車を買わない理由のトップが「商品力が低い(安全性が不安、ドイツ車のほうがカッコいい)」で「日本が嫌い」を上回っているとは驚きです。

きっと日本を嫌っている人たちが、まことしやかに日本車に対するネガティブな噂を広めていったのでしょう。

しかし、逆に考えれば日本の自動車メーカーにとっては良いことかもしれません。

感情的に「嫌い」なものを「好き」に変えさせるのは時間がかかりますが、事実でない情報を論理的に説明し、真実を理解させるほうがずっと楽だと思えるからです。

今後、日本の自動車メーカーにとって、中国市場における広告戦略の重要性がより増してくるというわけで、方向性がはっきりしたという点ではむしろ歓迎すべき結果だったのかもしれません。

また、今日の日経に「中国、日欧並み燃費規制」「乗用車の平均燃費性能を現行比で5割改善」「2020年までに環境軸に業界再編も」という別の記事が載っています。

報道によると新基準は相当厳しいものなので、中国を含めた世界の自動車メーカー各社は大きな変化を迫られ、ハイブリッド車など新しい技術を積極投入しなければ販売量を保てなくなるでしょう。

中国の新車販売台数は日本の4倍の規模で世界最大ですから、日本の自動車メーカーにとってもこれは朗報と言えるでしょう。

もちろんこれが日本の翻訳業界にとっても朗報であることは言うまでもありません。

電機、かすむ「貿易黒字」 スマホ輸入増、生産移転も影響 携帯赤字1兆円

2013年4月4日 日本経済誌新聞朝刊

日本の輸出を支えてきた電機産業の「貿易黒字」が急速に縮小している。1991年に9兆円を超えていた貿易黒字は2012年には16分の1以下になった。

携帯電話では輸出額から輸入額を引いた「貿易赤字」が初めて1兆円を超えた。海外製スマートフォン(スマホ)の人気に加え、日本メーカーの海外への生産移転が加速したためだ。

(中 略)

日本メーカーもコスト削減のため海外への生産移転を進めており、これが輸入超過に拍車をかけている面もある。

すでに日本メーカーが国内で販売する携帯電話の5割近くがアジアでの生産とみられる。ソニーは今年3月末に岐阜県美濃加茂市の工場を閉鎖して携帯電話の国内生産から撤退した。

テレビやパソコンも貿易赤字が続く。電子情報技術産業協会(JEITA)によると、薄型テレビなど「カラーテレビ受像機」は08年以降、5年連続で輸入超過。

パソコンを中心とする「電子計算機本体」は12年の貿易赤字が8983億円に上った。

(中 略)

日本勢が高い輸出競争力を維持してきた電子部品にも陰りがみえる。昨年までの超円高で価格競争力が低下したのを受け、徐々に海外生産比率が高まっている。12年の「電子部品・デバイス」の貿易黒字額は3兆1383億円と11年比で13%減少しており、12年の黒字額は過去5年で最小になった。

一方、電機とともに日本の輸出産業の両輪だった自動車は依然として輸出競争力を保っている。財務省の貿易統計によれば、12年の「自動車」(トラクターや特殊車両なども含む)と「自動車の部分品」の輸出額は合計で約12兆4000億円となり、輸入額(約1兆4600億円)の約8.5倍にのぼる。貿易黒字は11兆円近くあり、電機とは対照的だ。

(後 略)

2013年4月4日 日経1

2013年4月4日 日経2

戦後の日本経済の発展を支えてきた2大産業であり、世界に冠たる経済大国日本の象徴でもあった電機産業と自動車産業。

この2大産業の明暗がはっきりと数字で表れています。

下記は1991年と2012年の「貿易黒字」の比較です。

<電機産業>   9兆2,000億円 ⇒ 6,000億円(16分の1以下に減少)

<自動車産業>  (資料なし)  ⇒ 11兆円(輸出は輸入の8.5倍)

この記事の中では、1991年当時の自動車産業の貿易黒字額には触れていないため比較はできませんが、強かった日本の自動車産業がより強くなっていることは容易に想像できます。

それにしても「ジャパンアズNo.1」と呼ばれた1980年代後半、米国の工場労働者たちが、日本製品の不買運動を全米に訴え、東芝のラジカセをハンマーでたたき割る、という映像がテレビのニュースに流されたのがウソのようです。

あの当時、日本の電気製品も電子部品も世界を席巻し、コンピューターでさえも米国の地位を大いに脅かす存在になっていたのです。

それなのになぜ自動車業界と電機業界にここまで差がついてしまったのでしょうか?

自動車のほうが部品点数が圧倒的に多く、すそ野の広い産業であるため、新興国が追いついてくるまでにまだ時間がかかる、ということでしょうか。

いずれにせよ新興国が日本の自動車産業に追いついてくる日もそう遠くはないでしょう。

とにかく日本は早く成長戦略をうちたて、次の主力商品にターゲットを絞らなければなりません。

1981年に就任した米国レーガン大統領の掲げた、自由主義経済政策、レーガノミクスの主力は、「規制緩和」と「ソフトウェア重視」でした。

それにより、大きく米国の産業構造を転換させたのです。強い米国経済の復活は、まさに競争社会の実現とハードからソフトへの転換から始まったと言えるしょう。

「産業の発展」のために不可欠なもの

「イノベーション」
そのために不可欠なもの

「競争」
そのために不可欠なもの

「規制緩和」
そのために不可欠なもの

「政治と行政の構造改革」

強い電機業界の復活、貿易黒字の復活、日本経済の復活、のために、大いにアベノミクスに期待をしています。

増やせ訪日外国人

2013年4月2日 日本経済新聞朝刊

アジアから日本を訪れる人の数が回復している。2012年の訪日アジア人の数は、東日本大震災で落ち込んだ2011年より35%増の640万人で、2010年と比べ2%減の水準にまで戻った。

円安が進み、1~2月は韓国を中心にさらに訪日客が増えている。外国人全体では2012年は前年比35%増の837万人で、今年は1000万人を目指す。

ただ世界に比べると、日本を訪れる外国人の数は39位(2011年)と見劣りする。さらに訪日客を増やすには、英語を使える場所を増やすなどの努力が必要だ。

2013年4月2日 日経1

2013年4月2日 日経2

(以上で記事終り)

韓国をはじめとするアジア諸国からの訪日客の数が増えてきているのは実に良いことです。

日本政府観光局 (JNTO) の最新データによると直近の訪日外国人客数は下記のようになっています。

2013年1月~2月
訪日外客数

(JNTO推計値)
国・地域 2013年1月~2月
対前年比
(%)
総 数 1,398,200 13.4
韓 国 468,900 36.9
中 国 153,400 -30.6
台 湾 261,600 23.3
香 港 87,700 13.6
タ イ 36,000 31.1
シンガポール 17,200 2.9
マレーシア 18.600 14.3
インドネシア 11,600 19.4
フィリピン 12,500 9.7
ベトナム 9,300 29.2
インド 11,200 6.7
豪 州 53,000 32.0
米 国 96,700 4.9
カナダ 20,600 4.6
英 国 24,600 -1.6
フランス 16,700 7.5
ドイツ 14,500 3.1
ロシア 6,900 16.0
その他 77,200 13.6

これだけ外国からの訪問客数が増えているにもかかわらず、中国だけが激減している理由は、もちろん例の尖閣問題でしょうが、残念なことです。

前駐中国大使の丹羽宇一郎氏が、「日経トップリーダー」2013年4月号のインタビューのなかで次のように答えています。

「中国が日本に対して強気な言動に出ているのは、国内向けのパフォーマンスです。本音は仲良くしたい。中国経済の中心は貿易で、日本を含めた関係国すべてとうまくやっていく必要があるからです。ケンカしたってひとつもいいことがないことは分かっている。

ただ、メンツがあって、なかなか相手に頭を下げようとしない。それは日本も同じです。こうして、悪い状態が固定化されて、お互いが口をきく機会を失ってしまうのは怖いですね。

5月にも韓国で日中韓首脳会談が行われる予定です。その時が関係改善の好機と見ています。」

まさにその通りだと思います。

かつてあれだけ冷え切っていた日本と韓国の関係も、深い経済交流や文化交流を通じて徐々に雪解けし、今ではかなり良好な関係が築かれつつあると感じます。

対韓国にしても、対中国にしても、領土問題の完全なる解決は難しいでしょうが、経済と文化の交流を通じてより密接な、より良好な関係を築いていくことは十分可能でしょう。

最後になりますが、老大国ヨーロッパがいまだに豊かな生活を享受できている理由のひとつに「観光産業」があげられると思います。

ヨーロッパの人々は「過去の優れた資産を大切にする」という意識を常に持ち続けているため、いまだに「過去」が光を放ち続けているのだと思います。

その根底には、ヨーロッパの人々の意識の中に、歴史を重視し、良いものを作って長く使う、という思いが満ち溢れているからではないでしょうか。

日本人ももう少し歴史を大切にし、良いものを作って長く使う、というヨーロッパ流の意識を持って、「観光大国日本」の実現に一歩でも半歩でも近づいていってほしいものです。

グローバル化の流れは変わらない

2013年4月1日号 日経ビジネス特別編集版「イノベーションへの挑戦」より

(前略)

仮にデフレが解消されても日本企業によるグローバル化の流れは変わらないだろう。

経営者が注目する2つ目の大きな経営環境の変化である「人口減少・少子高齢化」によって国内市場が長期的に縮小していく傾向にあるからだ。

2030年、日本の人口は2005年に比べて1,067万人減って1億1,661万人になると推計されている。国内市場だけを相手にしていると、お客の数は年々減っていき、ヒット商品や画期的なサービスを開発するか、単価を上げない限り売り上げは増えるどころか維持すら難しくなる。

人口を増やすには、子供を産みやすい環境を整えたり、規制を緩和して多くの移民を受け入れたりしなければならないが、そう簡単ではない。そして10年20年と時間を要することになる。

従って、高度成長している、アジアを中心とする新興国に収益を求める動きはさらに加速するとみられる。しかし、モノ作り立国である日本にとって大きな問題だった「生産の空洞化」に歯止めがかかる可能性が出てきた。

円高が続いていた昨年までの状況では、製造業の多くが生産拠点の海外移転に踏み切った。2011年秋に上場企業の経営者に実施したアンケートでは、2010年度の営業利益が2006年度に比べて増えた企業41社の海外生産比率(平均)は22.4%だったが、3年後は25.2%、5年後は28.3%に高まるという結果を得た(「21世紀を勝ち抜く決め手グローバル人材マネジメント」(日経BP社)より引用)。

2年以上連続増益の企業31社で見ると、海岸生産比率は27.8%から3年後に29.4%、5年後に33.6%と、超円高を避けて海外生産を増やす傾向が明確だった。減収企業を見てもその傾向は変わらなかった。ただし、昨年暮れから続いている円安が定着することになれば、生産拠点の海外移転は一段落する可能性もある。

(後略)
2013年4月1日 日経ビジネス
(以上で日経ビジネスの記事終り)

未だかつて世界中のどの国も経験したことのないスピードで超高齢化社会を迎える日本は当然「課題山積」となるでしょう。

しかし、悪いことばかりではありません。

世界に先駆けて貴重な経験を積むことができる日本は、「超高齢化社会」に適合した画期的なモノやサービスを発明、発見できる壮大な実験場ともなりうるはずです。

まさにそこにイノベーションの芽があるというわけです。

世界があっと驚くような画期的なモノやサービスの創造により、輸出が増大し、再び日本が「ジャパンアズNo.1」の座を獲得するという日を迎えたいものです。

それは単なる夢物語ではなく、実現性の高い目標であると信じています。

中小も脱・中国依存 製造業、ミャンマーやカンボジアにも拠点 立地分散で人件費抑制

2013.3.18 日経新聞

中小製造業がアジアの生産拠点を分散させる動きが広がってきた。主要進出先の中国で人件費が上昇。コスト競争力維持に向けミャンマー、カンボジアなどへの立地を探り始めた。繊維など労働集約型産業だけでなく、機械メーカーが技術流出防止の観点から拠点分散をめざす例もある。体力が乏しい中小にとって「次」の進出先選定の重要度が高まっている。

(後略)

2013年3月18日日経1

世界の製造業、それでも中国へ 巨大市場なお魅力

経済規模の拡大で権勢を増す中国。世界の企業家はその存在を無視できないようだ。国際会計事務所のデロイトやKPMGが企業関係者を対象にした最近の調査でも「中国重要」のシグナルが発せられた。沖縄県・尖閣諸島問題で、反日リスクに身構える日本勢。「脱・中国」だけでは世界最大市場をみすみす逃すことになりかねない。

デロイトと米競争力委員会が年明けに公表した「世界製造業競争力指数」。世界のグローバル企業の552人の経営者に製造インフラとしての各国・地域の競争力を評価してもらい、指数化した。1位はやはりと言うべきか、今なお「世界の工場」である中国だった。

注目すべきは、5年後の予想。日本では人件費の上昇や従業員の権利意識の高まりなどで、製造業の進出先として必ずしも有望でないという見方もある。それでも今回の調査では、中国が5年後も引き続き競争力1位の座を守るとの結果が出た。

(後略)

2013年3月18日日経2
(以上で記事は終わり)

上記2つは同じ日経新聞の記事ですが、並べて読んでみるとなかなか興味深いです。

3月18日の記事では「日本の中小製造業は、中国の人件費上昇や技術流出の懸念や反日感情のリスクなどの観点から、他のアジア新興国への工場移転を検討し始めた」という内容となっています。

一方、2月7日の記事は「米国の調査機関によると5年後の世界各国製造業の競争力は依然中国が首位を保つだろう。なぜならば世界の企業家が中国に熱視線を注ぐのはそこに市場があるからだ。KPMGは18年までに、BRICsの新車販売台数が世界全体の半分近くを占めると予測する。『売れる市場でモノを作る』。製造業の鉄則を踏まえれば、対中投資を積極化するのは当然の判断だ」とあります。

反日や中国経済の成長率鈍化で、対中投資戦略を見直すのは企業としては当然でしょうが、日本勢にとってはライバルの海外企業が今も中国を重点投資先として見ている事実を軽視することはできないでしょう。

最後に、今回の論点とはちょっとずれますが、記事の中に「日本貿易振興機構(ジェトロ)によれば、中国内陸部の武漢(湖北省)の一般工員の賃金は月333ドル(約3万円)。月3千ドル弱の米国、月4千ドル近い日本を大幅に下回る」とあります。

経済超大国米国の工場労働者の賃金よりも日本のそれは3割も高いなんて、日本の賃金体系はいったいどうなっているのでしょうか?シャープが倒産の危機に追いやられているワケもわかるような気がします。

機械受注4カ月ぶりマイナス

2013.3.12 日本経済新聞朝刊

機械受注4カ月ぶりマイナス、設備投資回復に遅れ 基調判断は据え置き 輸出持ち直しカギ

設備投資の回復が鈍い。内閣府が11日発表した1月の機械受注統計は、民間設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需(季節調整値)」は4カ月ぶりに前月を下回った。投資が本格的な回復軌道に乗るには輸出の持ち直しがカギを握りそうだ。

(中略)

設備投資のけん引役となる輸出が持ち直す公算も大きい。米中景気が緩やかに回復しているほか、円高修正で輸出企業の価格競争力が改善しているためだ。「今年4~6月期以降、輸出回復とともに設備投資の持ち直しが明確になる」(野村証券の木下智夫チーフエコノミスト)との見通しが多い。

(後略)

2013年3月12日 日経

(以上で記事終り)

以下のグラフは、財務省貿易統計の数字を使って、私がエクセルでグラフにしたものですが、日本の貿易(輸出・輸入)総額のグラフと民間設備投資・機械受注のグラフが似ていることが興味深いです。

2013年3月12日 貿易統計

特に輸出額はリーマン・ショック前の8割の水準にも満たないという点で、民間設備投資や機械受注の動きと酷似しています。

日本の工作機械、産業用ロボット、電子部品などの多くは、世界で高いシェアを占めているものも多く、海外の工場のなかでも代替の利かない重要な役割を果たしているケースが多いのです。

したがって、海外からの機械受注が増えれば、海外の工場での増産が始まり、日本の電子部品の需要も高まり、輸出が増え、それにつられて輸入も増え、景気が刺激され、設備投資も活発化していく・・・・・・というシナリオが描けるのではないでしょうか。

この記事にあるように、今後の日本の輸出の持ち直しがカギとなっていくでしょう。

輸出が活発化するということは、当然日本の翻訳業界にも朗報となることは言うまでもありません。

尖閣で中国が負った「深い傷」

2013.3.11 日経ビジネス 2013年3月11日号

外資の対中投資は減少が続く。人件費高騰に日本企業の投資減が追い打ちをかけた。日本製品ブランドへの消費者意識も回復は鈍く、投資を増やせる状況にはなっていない。中国が対日強硬姿勢を今後も続ければ、経済成長へ与える痛手は深刻になるだろう。

(中略)

四半期ベースの外資による対中直接投資は2011年第4四半期から5期連続で前年同月を下回った。中国商務省が2月20日に発表した今年1月も前年同月比7.3%減。このままでは6四半期連続マイナスとなる可能性は高い。

大きな要因は人件費の上昇だ。農村部の安価で豊富な労働力を沿岸部の工場に集め、「世界の工場」として発展してきた。しかし、平均賃金は過去10年間で4倍以上になり、労働集約型製造業の採算は合わなくなった。独アディダスなどが工場閉鎖を決定。米アップルは米国への投資回帰を表明した。

それに追い打ちをかけたのが、昨秋まで外資投資を下支えし、増え続けてきた日本企業の投資減速だ。昨年9月に各地に広がり暴徒化した反日デモと、日本製品への不買運動が原因であることは言うまでもない。

今でも日本企業誘致を地元発展の牽引役にしたいと考え、誘致活動を続ける中国の年も多いが、デモ以降は日本企業が慎重になり、」投資減に歯止めが利かない。

日本企業の対中投資は今年1月、前年同月比2割減となり、外資全体の対中投資の減少を大きく上回った。今後さらに減るとの見方がある。

(後略)

2013年3月11日 日経ビジネス

(以上で記事終り)

日本から中国への直接投資が減少している理由には、上記に記載されている尖閣問題や中国の人件費上昇のほかにもいくつかあるようです。

急速に経済発展を遂げている東南アジア諸国は、外資への優遇政策をおこなっていますが、中国より低い人件費を武器に、日本を含む外国企業の誘致を強力に推し進めています。

特に中国・アセアン自由貿易協定(FTA)の締結により、2015年に中国とアセアン10か国との間で関税が撤廃されるようになります。

これにより、アセアン諸国が中国市場に商品を販売するする際のコストを大幅に引き下げることなるため、日本企業にとってはアセアン諸国での生産比率を高める大いなる動機づけとなります。

また、安倍内閣が円安政策を実施していることで、日本企業の対中投資コストが一段と上昇したということも原因のひとつでしょう。

しかし一方で、日本の対中投資減少が中国に大きな影響を与えることはないだろうとみる専門家もいるようです。

なぜならば、2012年の日本の対中投資額は73億ドルで、中国の国内総生産(GDP)の1,000分の1にも満たないからというのです。

さてさて、日経ビジネスが言うように「日本の直接投資が諸外国からの中国直接投資を下支え」しているので、日本が及び腰になればその影響は小さくない、のでしょうか?

それとも今や中国経済全体に占める日本からの直接投資額など取るに足りない額なのでしょうか?

私としては、前者であることを願ってやみません。

「アベノミクス」の影響が韓国を直撃! ソウルの繁華街から悲鳴が聞こえる

2013.2.25 COURRiER JAPON (2013年4月号)

昨年秋以降、急速に進行している円安ウォン高が韓国経済を苦しめている。日本からの観光客を頼りにしていた店は、その打撃の大きさに頭を悩ませている。

(中 略)

チェ・スクヒ(45)は1998年のオープン当初からここで商売をしている。彼女は「こんなに客が少ないのは初めてです。店の家賃を払えずにやめていく人もいる」と話す。

東大門で日本人観光客がよく訪れる名所の一つ「クイック・マッサージ」も閑散としていた。社長のパク・ヨンギル(65)はこう漏らす。

「2005年から値段は変わらないのに、最近は『高い』といって帰ってしまう人が少なくないんです。以前は朝の4時まで客が途絶えなかったのに・・・・・」

お店で使う金額も激減

円安の影響で日本人観光客が急減したため、彼らが主な客だった国内の主要商業エリアは大打撃を受けている。韓国観光会社によると、昨年9月に約30万人だった日本人の入国者数は、12月には約22万人にまで急激に落ち込んだ。

免税店やデパートなどは中国人観光客で売り上げを埋め合わせることができるが、日本人観光客に頼ってきた明洞、東大門、仁寺洞といったエリアの土産物産屋や化粧品店などは、店を畳もうかと悩むほどだという。

(後 略)

2013年2月25日 クーリエジャポン

(以上で記事終り)

韓国はアメリカとFTA(自由貿易協定)を結んでいるので、日本のメーカーがアメリカで作った製品をウォン高に乗じてアメリカから韓国へ輸出するという隠し技ができるかもしれません。これは韓国の自動車、鉄鋼、造船などの製造業にとって脅威であることはまちがいないでしょう。

しかし、日本の製造業は今の円安傾向が続いているうちに本当の意味での国際競争力をつけていかねばなりません。サムスンのような真の実力を持つ企業は今回のウォン高という逆風の中においても、まだまだ絶大なる競争力を保持しているからです。

また、今回のウォン安により韓国経済そのものが減速してしまうと日本経済も少なからず打撃をこうむる可能性があります。日本にとって韓国は第3位、韓国にとって日本は第2位の貿易相手国だからです。

しかも、日本は多額の貿易黒字を韓国から稼いでいます。日本からは多額の機械などの資本財や、IT関連の部品などの中間品が韓国に主に輸出されているのです。したがって、韓国経済が減速すると、日本から韓国への輸出が減少するという懸念もでてきます。

とにかく日本の製造業、特に電機メーカーは、今回の「円安」というアドバンテージをもらっている間に、アメリカのアップルや韓国のサムスンに負けないような、「実力」をつけていってもらいたいものです。

強い日本の電機メーカー復活に大いに期待しています。

特許黒字1兆円に迫る 昨年最高2割増 海外子会社からの収入大半 「知財立国」なお途上

2013年2月20日 日本経済新聞

日本が特許や著作権など「知的財産」を活用して、海外からお金をどれだけ稼いでいるかを示す「特許収支」の黒字額が2012年に約9528億円に達し、過去最高額を更新した。これまで過去最高だった前年を2割上回った。ただ黒字の大半は日本企業が海外子会社から受け取る特許料など社内取引が占めており、知財で黒字を稼ぐ「知財立国」の実現にはなお課題が多い。

特許収支は特許や商標、著作権を含む知財の使用料について、海外から受け取った額と海外に支払った額の差を示す。日本は02年まで支払い超過で赤字が続いていたが、03年に初めて黒字に転換。その後は一貫して黒字が続いている。

2013.2.20 特許4

中国勢が躍進

最近では中国の特許戦略が活発になっている。世界知的所有権機関(WIPO)によると、11年の国際出願件数の企業別ランキングで、中国の通信機器大手ZTE(中興通訊)が前年トップだったパナソニックを抜き、初の1位を獲得。3位にも華為技術が入るなど中国勢の躍進が目立つ。日本の「技術立国」としての地位を脅かしている。

日本貿易会の予測によると、13年度の貿易収支も12年度に続き、過去最大の赤字水準圏にとどまる見通し。日本はアジアなどの成長を取り込む戦略が必要だ。海外からの投資収益を拡大して国内に還流させることと並び、特許や著作権など「アタマ」を使って海外で稼ぐ力をつけることが、日本経済の成長力維持にとって重要課題になる。

(以上で日経新聞の記事終り)

下記のグラフは、「特許行政年次報告書 2012年版」からの引用となります。
確かに中国企業の躍進ぶりが目立ちます。

2013.2.20 特許1

さらに「五大特許庁における特許出願件数の推移」のグラフ(特許行政年次報告書 2012年版からの引用)が下記です。

2005年まで世界一の特許出願大国であった日本は、2006年にアメリカに抜かれ、2010年からは世界第3位に落ちたのに対し、中国は、2010年に日本を抜き、さらに2011年には米国を上回り、世界最大の特許出願大国に躍り出ました。知的財産の分野でも中国が大国化していると言えます。

2013.2.20 特許3

日本は復活できるか

2013年2月19日 日本経済新聞朝刊

日本製家電をハンマーで壊す人々の姿をご記憶だろうか。中国の話ではない。1980年代後半の米国での出来事だ。背景には台頭する日本への脅威論があった。

当時の米国は輸出攻勢をかける日本を円高で封じ込める戦略に出た。プラザ合意のあった85年と比べて円は一時対ドルで3倍に上昇。海外と比較した賃金(ドル換算)も3倍になり、日本企業は一気に競争力を失った。

聖域なきコスト削減を迫られ、開発案件の中止などイノベーションの種を諦める事例も相次いだ。円高は次世代製品を生む余力や文化まで奪い去り、コスト競争力の低下より深刻な事態を引き起こした。たかが為替、されど為替である。

だが日本を締めつけてきた円高の桎梏(しっこく)がはずれようとしている。アベノミクスのアナウンス効果だ。徹底した金融緩和を宣言して市場の期待に働きかけ、マネーの流れを変える政策は的を射ている。ヒト、モノ、カネ、情報が世界を駆け巡るグローバル資本主義では市場とマネー、企業を味方にできるかどうかがカギを握る。

もう一つ、今回の円高修正に米国が異議を唱えないことがポイントだ。背景に日本の地政学的位置づけの変化があろう。

冷戦時代、旧ソ連の脅威に対抗する上で日本の安定と繁栄は米国にとって不可欠だった。ところがソ連崩壊で日本の重要性は低下し、むしろ経済的脅威に変わった。

91年のソ連崩壊後、日本のバブル崩壊が加速したのも偶然ではあるまい。失われた20年はそうした国際力学の狭間で生まれたともいえる。

だが中国という新たな脅威が登場した今、米国は日本と手を携えようとしている。事実上の円安容認はその表れだ。環太平洋経済連携協定(TPP)の大切さはそうした脈絡からも説明できる。国内総生産の1%にとどまる農業保護のためにTPP不参加を唱えるのは大局観を欠いている。

日本は3つの過剰、需給ギャップなど複合要因でデフレに陥ったが、賃下げ、設備償却、不良債権処理に耐えて多くを解決した。残った円高が是正されれば経済全体がうまく回り出すはずだ。

我々はこの20年を無駄に過ごしたのではない。復活の条件を辛抱強く整えてきたのだ。地政学上の順風も加わり日本は歴史的な大転換点に立った可能性がある。

(以上で記事終わり)

私が今までにこのブログや他のブログの中で再三とりあげてきた「円高」の問題と、日本の「地政学上」の問題がこの記事でとりあげられています。

冷戦時代、ソビエトとアメリカの間に立って“漁夫の利”を得た日本ですが、今回は皮肉なことに隣国である「中国という新たな脅威」が日本に有利に働くというわけです。

この記事にあるように日本経済を不振に陥らせた原因の調整は改善され、最後に残されていた「円高」というファクターも改善されつつあり、さらにそこに「地政学上の順風が加わり、日本は歴史的大転換点に立った可能性がある」のでしょうか。

私はこの記事の内容にさらにもう2つ加えたく思います。

アメリカの“シェールガス革命”が化石燃料高騰に頭を悩ましている日本経済に追い風をもたらし、それに加えて、“メタンハイドレート”の実用化に目途がたてば、21世紀は日本の世紀と言えるほどの“黄金の時代”を迎えることになるでしょう。

そんな夢のような話が実現する可能性も決して小さくはないと信じています。

2013年3月期の経常損益改善額 トヨタ・ホンダで1兆円

2013年2月16日 日本経済新聞朝刊

2013年3月期の経常損益(米国会計基準などは税引き前損益)見通しの改善額をみると、トヨタ自動車など為替相場の円安で輸出採算が改善する自動車メーカーが上位に並んだ。ソフトバンクや東海旅客鉄道(JR東海)なども堅調な内需を背景に利益を伸ばす。為替相場の円高修正を受け、為替差益の計上による損益改善も目立っている。

トヨタの改善額は8571億円と突出している。12年4~9月期決算発表時点では年間で1100億円の減益要因だった為替が300億円の増益要因に転じる。原価低減も利益を底上げする。ホンダも改善幅が2575億円と、2社だけで改善額は合計1兆1000億円を超す。

自動車ではほかに、富士重工業が00年3月期以来の過去最高益更新となる。米国での販売増に加え「コストと品質を管理する経営が実を結びつつある」(高橋充・最高財務責任者)という。マツダも黒字転換するなど損益改善が進んでいる。

リストラを進める企業の収益改善も目立つ。パネル合弁会社の解消など不振のテレビ事業の赤字縮小が進むソニーは資産売却益の計上もあり税引き前損益が黒字転換。リコーも「構造改革が進み円安も収益を押し上げる」(三浦善司副社長)効果で黒字転換を見込む。

(後 略)

2013年2月17日上場企業業績

(以上で記事終わり)

円安が日本の製造業に与える影響に明暗が出ているようです。

「電気機器」や「自動車・部品」などの輸出の比重の高い産業は、経常損益を大幅に改善しつつある一方、同じ製造業でも資源を輸入し、国内で加工販売する装置産業の場合は円高がマイナスに働いているようです。

超円高というあまりにも過重な手かせ足かせをはめられて苦戦一方であったかつての「日本経済の顔」、電機・自動車産業の復活を強く望んでいます。

それにしても「電気機器」と「自動車・部品」という2つの業種だけで、製造業全体の売上の約半分(48%)を占めているという事実には改めて驚かされます。

やはり日本経済復活のキーはこの2業種にかかっていると言っても過言ではないでしょう。

ただちょっと気がかりこともあります。

日本の輸出先にアジア諸国が増えたということもあるのかもしれませんが、今や日本の輸出の4割が円建てという統計結果が出ているそうです。

「円建て」であれば円安になればなるほど売る側に不利になるからです。いずれにしても急激な為替の変動は経済活動にとってあまり好ましいことではありません。

今後数年かけてゆるやかに円安に向かい、1ドル120円くらいで安定してくれれば一番好ましいような気がするのですがいかがでしょうか。

その根拠は、円が1ドル120円だった2001年から2008年にかけて、日本の貿易額が急増していったからです。

日本の電機・自動車産業が復活してどんどん輸出額を伸ばし、アメリカのシェールガス・シェールオイルを安く輸入し、貿易黒字をたっぷりためこんで国内産業に投資する・・・・。

そのうちにメタンハイドレートの目処がたち日本が資源大国となっていく・・・・。

こんな夢のようなシナリオをぜひとも実現していってもらいたいものです。

G7、為替レート目標にせず 緊急共同声明

2013.2.13 日本経済新聞朝刊

主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁は12日、緊急共同声明を発表した。各国の財政・金融政策は「国内目的の達成に向けられており、為替レートを目標にはしないことを再確認する」と初めて明記。安倍政権発足後に進んだ円安を事実上、容認した。

G7が緊急共同声明をまとめたのは、15~16日にモスクワで開く20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議を前に、先進国として統一見解を示す狙いがある。麻生太郎副総理・財務・金融相は12日、記者団に「デフレ不況対策のためにとってきた政策が為替相場に使っていないと、各国から正式に認識された」と述べた。

(以上で記事終わり)

為替が円安に向かえば、輸出関連企業(自動車・電機・精密機器など)の業績に有利に働くため、日本の翻訳業界にとってもプラス面が多いはずです。

下のふたつのグラフを見ると円が1ドル120円前後で安定していた2000年から2008年の間に急激に貿易額が増加している様子がわかります。

しかし、2008年におきたリーマン・ショックを契機に円は行き過ぎた円高へ向かい、それにより日本の貿易総額は急激に落ち込み、景気に暗い影を落とすことになります。

為替相場を決めるのは市場なわけですが、このグラフを見る限りにおいては、日本にとって円は1ドル120円前後が一番好ましい額のような気がします。

1ドル120円前後に落ち着き、再び日本の貿易額がどんどん増えていくことを願っています。

為替レートの推移(1980~2013年) - 世界経済のネタ帳

2013年2月13 日本の貿易総額

コンクリートから人へ

2013年2月6日 日本経済新聞夕刊

マクロ経済学の教科書に出てくる議論に均衡財政乗数がある。例えば、1万円の増税を行い、その金額を公共投資に使うと、1万円分だけ国民所得が拡大するというものである。逆に1万円の公共投資を削減し、その分を国民に直接給付すれば、国民所得は1万円減る。貯蓄に回る分が多い直接給付に比べ、公共投資は実際に使われる分、乗数効果は1以下にはならない。

通常、国民所得が縮小する政策を行うことはあり得ない。だが民主党政権は2009年に「コンクリートから人へ」のスローガンのもと公共投資を縮小し、その分を子ども手当や農業への所得補償に回す歴史的実験を行った。

こうした一連の政策を国民は強く支持した。当時の空気は「公共投資は悪」というもの。公共投資には無駄が多く、効果も低下しているとの意識が圧倒的だった。一方、国民のあいだに格差への意識が強まり、政府の役割は直接国民に給付する分配政策にあるとした生活者重視の姿勢を、国民は強く支持した。

ただし、当時、ある海外投資家から質問されたのが先の均衡財政乗数議論だ。日本は意図的に国民所得を引き下げる政策を行うことに疑問を感じないのかとの指摘だ。成長を無視した環境にある国の企業の株式は買えないと言われたことを改めて思い出す。

1990年代以降のバブル経済崩壊後も、国内の株式相場は欧米市場と連動して動いてきた。しかし09年9月以降の政権交代の時期に、その連動は断絶する。すなわち、欧米の株式相場はその後回復に向かったが、日本株はほとんど上昇しない状態が続いた。さながら日本株の「失われた3年」であった。

昨年の11月から日本株が上昇基調にあるのは、失われた3年の呪縛が解かれ欧米株式との連動に戻ったことを意味する。だが過去3年のギャップはあまりに大きい。今の状態を先の海外投資家はどう評価するか聞いてみたい。

(記事終わり)

上記は日経新聞夕刊の5面に出ていた小さな囲み記事でしたが、思わず熟読してしまいました。

リーマンショック後、なぜ日本経済だけが立ち直れなかったのか?

なぜ、日本の株式市場だけが落ちたまま浮上してこれなかったのか?

米国のサブプライムローンで大打撃を蒙ったのは、欧米の金融機関であり、日本の金融機関はほぼ無傷に近かったにもかかわらず、なぜ日本経済だけが極度の不振に陥ったのか?

答のひとつがこの記事の中にあるのかもしれません。

この説に反論する学者もいるでしょうが、上記の説明にあるように、日本の株式市場は、1990年のバブル崩壊以降、常に欧米の株式市場と連動していました。

しかし、政権交代以降断絶し、欧米をはじめとする世界中の株式市場が回復したにもかかわらず、日本株だけが極端な低迷を続けたという事実を鑑みれば、この説にはかなりな説得力があります。

世界中の投資家たちが、日本政府の奇妙な政策に「NO!」をつきつけたからなのでしょう。

日本の民主党の行った「歴史的大実験」は失敗に終わったということは間違いないようですが、これから自民党が行おうとしている「デフレ下におけるインフレターゲット」も人類初の「歴史的大実験」となるはずです。

成功すれば「アベノミクス」は世界の歴史の教科書にのるような偉業としてたたえられるでしょうが、もし失敗したらハイパーインフレという恐ろしい事態もありえます。

とにかく、今後の日本経済に一番必要な「成長戦略」をまずはしっかり策定し、着実に実行していってほしいものです。

勃興する「VIP」3国

2013年1月16日 日本経済新聞朝刊

安倍晋三首相が16日から東南アジア諸国連合(ASEAN)を歴訪する。就任後初の外遊先としてASEANを選んだのは、日本にとって経済と政治の両面で重要性が増しているためだ。台頭する東南アジアの実力を点検する。

財政の健全化が進む東南アジアの力の源泉は、6億人に達する人口規模と、堅調な経済成長に支えられた購買力の拡大だ。

東南アジア主要5カ国で年間の家計可処分所得が15,000ドル以上の中間所得層・富裕層の人口は2009年時点で約5,000万人。このうち企業誘致などで先行したタイやマレーシアが6割を占めるが、ここに来てベトナム、インドネシア、フィリピンの頭文字を取った「VIP」で所得が急拡大している。

日本貿易振興機構によると「VIP」では20年までの10年間で中間所得層・富裕層が約7倍に膨張。「一億総中流」を達成した1960年代の日本の人口に相当する1億人の購買層が新たに誕生する計算だ。同5,000~15,000ドル未満の中間層予備軍も1億人増え、2億2千万人に達する。

この3カ国は人口構成が若いという特徴がある。65歳以上の人口は5%前後で高齢化とは当面無縁。逆に14歳以下は2~3割を占める。これが域外企業の投資を呼び寄せる要因の一つになっている。

欧米の景気が停滞する中、ASEAN加盟10カ国の国内総生産(GDP)は昨年、5%台の実質成長率を確保したもよう。個人消費を軸とする国内需要の拡大で、域外の経済情勢の変化への耐性はさらに高まりそうだ。

2013年1月16日 日経新聞

(以上で記事終わり)

一時期、NIES (newly industrializing economies 新興工業経済地域) という言葉がもてはやされました。

輸出産業を軸として急速に工業化を遂げ、高い経済成長率を達成している諸国・地域のことですが、具体的には、韓国・台湾・シンガポール・ギリシア・メキシコなどです。

1988年のサミットあたりから使用されたようですが、現在ではあまり使用されていません。

なぜなら各々の国の存在感があまりにも強まってきたからでしょう。

シンガポールは、2007年に一人当たりの名目GDPで日本を追い越し、最近では日本と抜き抜かれずのデッドヒートを繰り広げています。

韓国のサムスンは、1社で日本の電機業界の大半を壊滅の危機に追い込むまでに成長し、現代自動車も今後日本の自動車業界にかなりの脅威となってくるでしょう。

台湾の電機メーカーは、日本の大手電機メーカーを買収する、しないと騒がれるまでに存在感を強めてきています。

また、今や世界経済を語るとき、BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)の動向を抜きに語れないほど、BRICs諸国は決定的な影響力を持ち始めています。

つい最近まで「発展途上国」の一部にすぎないと思われていた「新興国」が、急速に日本に対する影響力を強めています。

上記の記事にあるVIP3国も現在の生産国としての存在から、消費国としての存在に変化していくことでしょう。

つまり、いつまでも安い人件費を求めて進出する「生産現場」としてばかり見るのではなく「お客様国」として認識する必要があるということです。

当然、今後はグローバルマーケットでの「ライバル国」にもなりうるわけです。

「安い人件費の国で作ったモノを仕入れて、裕福な先進国へ売って儲ける」という20世紀型ビジネスモデルが通用しなくなる時代がすでに始まっているのかもしれません。

円安は経済再生への必須条件

2012.12.13 日本経済新聞朝刊 「大機小機」より

格付け会社フィッチ・レーティングスがソニーとパナソニックの格付けを投資不適格水準に引き下げた。我が国株式市場のブルーチップ(優良銘柄)を代表する企業であった両社がここまで追い詰められていたことは衝撃的である。

この2社に限らず製造業の競争力は大きく落ち込んでいる。超円高、エネルギーコストの上昇、高い法人税、環太平洋経済連携協定(TPP)参加交渉の遅れなど製造業への逆風が続いた。政府の対策が遅れた面も否めない。

中国リスクも抱える製造業が苦境から抜け出す鍵は東南アジア諸国連合(ASEAN)市場であろう。中でも、ベトナム、インドネシア、フィリピンの3カ国を合わせた総人口は4億人を超えており、1人当たり名目GDP(国内総生産)も急速に伸びている。近い将来に中間所得層の爆発的増加で、この地域に巨大な消費市場が生まれることが予想される。人々の親日感情と日本製品への信頼が高いとされることも魅力である。

しかし、現状は韓国製品がASEAN市場全体を席巻している。韓国製品の強さを支える要因のひとつが通貨安だ。足元ではやや修正されているが、通貨安政策もありウォンは昨年の最安値時には対円で4年前の半値近くまで下落した。長期に及ぶ円高は日本製造業の努力の限界を超えており、このままではASEAN市場での機会も失われるであろう。

世界市場でも日本製品の劣勢が続いており、輸出の減少で今年度上半期(4~9月)の貿易収支の赤字は、半期ベースでは過去最大となった。経常収支も9月に31年ぶりの赤字を記録しており、日本経済の南欧化リスクを指摘する声もある。

1980年代に貿易収支と財政収支の「双子の赤字」に苦しんだ米国は85年9月、先進5カ国が協調してドル安を進める「プラザ合意」の締結で、対円ではドルの価値を半減させて米国経済の再生に道筋をつけた。世界にとっても悪夢であろう日本の南欧化を防ぐため、政府は欧米に円安政策への理解を求め、金融市場には円安への強い意志を示すべきである。

金融緩和のほか、シンガポールのように通貨の誘導目標を定めることなども有効手段となろう。円安はデフレ解消や日本経済再生の必須条件だろう。

(記事の引用はここで終わり)

下記に「円の対ドル・対ユーロ為替レートの長期推移」のグラフを掲載します。

バブル崩壊後の日本経済の低迷とアメリカ経済の伸長を考えたとき、いまだ日本の円が1ドル80円近辺にあるのはなせなのか理解に苦しみます。

理由の一つに日米の貿易収支の違いがあげられるようです。

貿易赤字が慢性化しているアメリカは、ドルを売り、外貨を買うため「ドル安」の圧力が常にかかります。

それに対し日本は戦後の長きにわたり、貿易で巨額の黒字を稼いできました。

しかしその構造が今、急激に変わろうとしてきています。

アメリカの「シェールガス革命」により、アメリカのエネルギー輸出が2035年までに輸入を上回り、純輸出国になる、との観測が出されているからです。

アメリカの貿易赤字の半分を占めるエネルギー資源が輸入国から輸出国へ変わるというのですから大変なことです。

現在、国際競争力を急激に失いつつある日本の製造業は、円高によりさらに打撃を受け、日本は第2次オイル・ショック以来という31年ぶりの貿易赤字に転落しました。

上記の日経の記事に

「1980年代に貿易収支と財政収支の『双子の赤字』に苦しんだ米国は85年9月、先進5カ国が協調してドル安を進める『プラザ合意』の締結で、対円ではドルの価値を半減させて米国経済の再生に道筋をつけた。」

とあります。

アメリカの「シェールガス革命」に加え、日本政府の「円安政策」により、日本の製造業が再び世界市場で大活躍する日を楽しみにしています。

円の対ドル為替レートの長期推移

OECD  2060年までの長期経済成長見通し

今後50年で世界経済のパワーバランスは劇的に変わる

最新のOECD報告書によると、今後50年、躍進を遂げる新興経済が世界のGDPの大部分を占めることとなり、世界経済のパワーバランスは劇的に変わることが予測されます。

これまで私たちが慣れ親しんだパターンとは異なる長期的経済成長を辿ることで、各国経済の世界に占める割合は大きく変化することになります。現在トップに君臨する米国は、早くて2016年にも中国に追い超され、いずれはインドにも追い越されるでしょう。さらに中国とインドを合わせれば、まもなくG7全体の経済力をも追い超し、2060年にはOECD加盟国全体を追い越すことが予測できます。急速な高齢化が進むユーロ圏や日本といった現在の経済大国は、若年層が人口を占める新興経済のインドネシアやブラジルのGDPに圧倒されることになります。

⇒ OECD東京センターのサイトより
(以上で引用は終わり)

「世界経済のネタ帳」のデータを元に、世界の主要国と日本の名目GDPの推移 を比較してみました。

まずはGDP世界第2位の中国との比較ですが、2005年あたりから急激にGDPを伸ばし、あっという間に日本を追い越してしまった様子がグラフで見るとよくわかります。

名目GDP(USドル)の推移(1980~2012年) - 世界経済のネタ帳

次にGDP世界第1位のアメリカとの比較はどうかというと日本の「失われた15年」の間にますます差が拡大していった様子がグラフだとよくわかります。

名目GDP(USドル)の推移(1980~2012年) - 世界経済のネタ帳

それでは、GDP世界第4位のドイツや同じく第5位のフランスはどうかというと、確かに「失われた15年」の間に差が縮まったようですが、再度開いていき依然日本とは差があることがわかります。他のヨーロッパ先進国もこれと大差ありません。

名目GDP(USドル)の推移(1980~2012年) - 世界経済のネタ帳

名目GDP(USドル)の推移(1980~2012年) - 世界経済のネタ帳

中国を除くBRICs諸国はどうでしょうか?
確かに伸び盛りであることはわかりますが、依然日本とは差があることがわかります。

GDP世界第6位のブラジル

名目GDP(USドル)の推移(1980~2012年) - 世界経済のネタ帳

GDP世界第9位のロシア

名目GDP(USドル)の推移(1980~2012年) - 世界経済のネタ帳

GDP世界第10位のインド

名目GDP(USドル)の推移(1980~2012年) - 世界経済のネタ帳

最後に現在日本の電機業界を窮地においやっているサムスン電子やトヨタ・ホンダを急追する現代自動車の国、韓国はどうでしょうか?

意外なことに日本とはまだまだ差があることがよくわかります。

GDP世界第15位の韓国

名目GDP(USドル)の推移(1980~2012年) - 世界経済のネタ帳

OECDのレポートでは、世界における日本の名目GDPのシェアは、2011年が7%、2030年が4%、2060年が3%とどんどん落ちていくと予想しています。

しかし上記のグラフを見た限りでは、押しも押されぬ超大国アメリカと現在伸び盛りの人口超大国中国を除けば、まだまだ日本に余力は残されていると感じます。

国民一人あたりのGDPを伸ばすべく、国全体の具体的成長戦略を定めさえすれば、まだまだ日本は捨てたものじゃないと思います。

日本人は、決められた道をまっしぐらに進む生真面目集団が多いので、落ちる時も早いのですが、正しい方向性さえ定まれば、回復するときもきっと早いと信じているからです。

世界経済の減速と日中関係悪化が日本の翻訳業界へ与える影響

2012年10月9日 日経新聞夕刊

IMFのブランシャール経済顧問は9日の記者会見で「世界経済は回復を続けているが回復力は弱まっている」と述べ、先行きに懸念を表明した。減速の要因としては「財政再建が需要を減らしているほか、欧州を中心に金融システムが不安定だ」と指摘した。

IMFが世界経済の見方を厳しくした理由は欧州危機だ。欧州では「低成長が銀行経営の悪化を招き、融資の基準が厳しくなっている」(ブランシャール氏)。イタリアとスペインは12~13年がともにマイナス成長で、ドイツも13年の成長率を大きく引き下げた。

けん引役だった新興国の高成長も息切れしている。12年の中国の成長率は7.8%と、7月よりも0.2ポイント下げた。中国政府が雇用を確保するために必要としてきた8%を割り込むとみて、同国経済に懸念を強めている。新興・途上国全体では12年に5.3%と、11年の6.2%と比べると減速する。先進国の需要減が新興国に波及しており、インドやブラジルは大きく下方修正した。

先進国では米国について、底堅い個人消費や株価の上昇などを背景に12年の成長率をわずかながら上方修正した。ただ、減税の失効や歳出削減が始まる年明けの「財政の崖」をめぐり、「危険性を取り除かなければ、米経済は再び後退局面に入り、世界に悪影響を及ぼす可能性がある」との懸念を示した。輸出がさえない日本も、12年の成長率は2.2%と、7月から0.2ポイントの下方修正になった。

IMFは13年について見通しを下方修正したが、各国経済が緩やかに回復するとの道筋を描いている。

2012.10.09 日経

(以上で日経新聞の記事終わり)

下記のグラフは、環日本海経済交流センターのサイトからの引用
http://www.near21.jp/kan/data/trade/trade2/jcnew.htm

2011年対中貿易構成比

・・・・(記事の転載ここまで)

世界経済の減速懸念に加え、日本の場合は「尖閣問題」による日中関係の悪化があるため、景気の先行きにますます不安が募ります。

日本にとって輸出も輸入も最大の貿易相手国である中国との関係悪化が長引けば、日本の翻訳業界にも深刻な打撃をあたえかねません。

なぜならば「うちの会社は中国語の翻訳は取り扱っていないから関係ない」と単純に言い切れない事情があるからです。

上のグラフのうち、日本が中国から輸入している品目に注目してみてください。

① 電気機器(通信機、音響映像機器、重電機器、半導体等電子部品など)

② 一般機械(コンピューターおよび周辺機器など)

③ 原料別製品(金属製品、織物用糸・繊維製品、鉄鋼、非鉄金属など)

④ 食糧品(魚介類、肉類、野菜など)

⑤ 化学製品(有機化合物、医薬品)

⑥ その他(衣類・衣類付属品、科学光学機器、家具、バッグ類など)

どうでしょうか?

戦後長い間続いていた、「発展途上国から天然資源を輸入し、日本国内で加工した製品を輸出して儲ける」という貿易構造とまったく異なることに気がつきます。

ここ数十年の間、日本の製造業は安い人件費を求めて中国に進出し、工場を建て製品ないしは半製品を中国で製造して日本へ輸出していたのです。

中国から日本への輸出品(日本からみれば輸入品)は、日本国内で消費されるばかりでなく、さらに加工され日本から海外へ再度輸出されるケースも多いわけです。

中国からの部品や半製品の輸入が滞れば日本の製造業への影響は測り知れないものがあります。

「世界の工場」中国で安く生産された部品や半製品を輸入し、自国内で加工して世界市場へ売りに出すグローバル化の時代に、日本だけが自国内だけで全てを製造するなどあり得ないからです。

日本の場合、輸出額が減れば経済力が落ち、早晩輸入額も減り国の経済全体に多大なる影響を与えます。

1982年に3か月間にわたり続いたイギリスとアルゼンチンの戦争「フォーランド紛争」は、イギリスによる空爆とアルゼンチン大統領及び陸軍総司令官の失脚により一応の決着をみました。

しかし今回の「尖閣問題」で日中間に武力衝突でも起これば、対立はますます悪化するだけで、解決するなど決してありえないでしょう。

日中関係がこじれれば、両国経済にとって甚大な被害がでるばかりでなく、「漁夫の利」を得る欧米企業や韓国企業がほくそ笑むだけです。

現に今回の問題で中国国内における日本車の販売台数は急減し、ドイツ車や韓国車が大幅に売り上げを伸ばしているそうです。

日本は、過去2回のオイルショックを圧倒的な省エネ技術の開発により乗り越えてきました。今回も技術力と研究開発力で乗り越えて行ってほしいと願っていますが、やはりそれだけでは少し心もとない、正直言って心配です。

やはりここは米国を動かし政治決着をつけてもらう以外に方法はないでしょう。もちろん日本はそれなりに米国に対し「代償」を支払わねばなりません。

3年前鳩山首相が “Trust me” と発言して以来こじれてしまった日米関係を一刻も早く修復し、アメリカ主導による日中間の関係回復へ向け早く動き出してもらいたいものです。

食糧非常事態宣言 爆食と凶作の時代を生き抜く

日経ビジネス 2012年8月27日号 特集記事からの抜粋

国家の根幹、それは食にある。
今、日本の食を取り巻く環境には加速度的な変化が訪れている。
隣国では質と量をともなった「爆食」がその勢いを増し、
異常気象に見舞われた生産地からは悲鳴があがる
この危機が、海外からの穀物輸入に依存し、自給率が低迷しながらも、
不作為を繰り返してきた日本という国家の根幹を揺るがそうとしている。
企業が着手し始めた調達体制の見直し、国内農業の抜本改革―。
世界に開かれた変革を躊躇すれば、この国は生き残れない。

2012年8月27日日経BP3

今年2月16日、ある人物が大地を踏んだ。男の名は習近平氏。この秋、中国の次期国家主席に就任する現・国家副主席である。
習副主席はこの地で生産された大豆862トン、金額にして43億ドル(約3400億円弱)相当量を中国に輸入する契約を結んだ。その規模は穀物輸入大国である日本が、年間に調達する大豆の3年分に相当する。

2012年8月28日日経BP2

世界では食糧不足に端を発する暴動、社会情勢不安が後を絶たない。2010年後半のロシア、ウクライナの小麦禁輸は、中近東を直撃し、食糧価格の高騰が「アラブの春」の引き金となった。世界は食糧を巡る覇権争いの時代に突入しようとしている。

2012年8月28日日経BP

・・・・(記事の転載ここまで)

食糧問題に関しては、「ネットワーク地球村」の中の「5分でわかる食糧問題」にわかりやすく書かれていますが、その要旨を下記にまとめてみました。

世界で年間1500万人以上の人が「飢餓」で死んでいる。

世界中の食べ物は足りないのか?

いいえ、穀物は世界中の人が生きていくのに必要な量のおよそ2倍生産されている。

それではなぜ?

牛肉1キロ作るために穀物8キロ、豚肉1キロ作るために穀物4キロ、鶏肉1キロ作るために穀物2キロを消費している。

結果として、世界の 2割足らずの先進国の人間が世界の穀物の半分以上を消費している。

戦後の日本は戦前と比べ肉や卵を食べる量は10倍になり、家畜のえさ用のトウモロコシや大豆98%を輸入している。

世界で取れるマグロのおよそ半分が日本で消費されている。マグロの漁獲を減らさない限り、 20年後には、絶滅するといわれている。

日本の食品の約7割は、世界から輸入したもの。日本人は、その3分の1(1940万トン)を食べずに捨てている。

食糧の廃棄率では世界一の消費大国アメリカを上回り、廃棄量は世界の食料援助総量740万トンをはるかに上回っている。

日本の家庭からでる残飯の総額は、日本全体で年間11兆円。

これは日本の農水産業の生産額とほぼ同額。

さらにその処理費用で、2兆円が使われている。

日本は食糧の 7割以上を輸入する世界一の残飯大国。

では、どうすればよいか?

・まず食べる量を (例えば一割)減らしましょう
・無駄な買い物、肉食、食べ残しを減らしましょう
・国産品、無農薬の農作物を選びましょう
・輸入品や季節はずれの食品 (ハウスの果物、野菜など)はさけましょう

(以上で要約終り)

私は、ジャレド・ダイヤモンド博士の『銃・病原菌・鉄』というDVD(ナショナルジオグラフィック)を持っています。

これは、人類の歴史をひもときながら、「世界に格差が生まれた原因」を追究する3枚組のDVDです。

「なぜ人間は他の動物よりも繁栄することができたのか?」

「なぜ地球上には、地域により大きな文明の格差が生まれたのか?」

なんとその答えの第一は「穀物」だと言うのです。

1万年前から1万5000年前、中近東では小麦の栽培が始まる。同じころアジアでは米の栽培が始まる。農耕民族の始まり。

栄養価の高い穀物を栽培することにより、生活に余裕が生まれ、空いた時間に研究することができるようになり、銅や鉄が開発される。

農業の効率化のために牛や馬などの家畜を飼うようになり、やがて豚やヤギ、ヒツジ、鶏などの家畜を飼い始めて食糧にするようになり、さらに余裕が生まれてくる。

したがって、人類の文明の格差を生んだ原因は、地域の気候によるところが大である。

というものです。

やはり、穀物を制する者は世界を制するのです。

いつか必ず人類は「飢餓」の時代を迎えるでしょうが、その時期をできるかぎり遅らせるようにこれから知恵を絞らねばなりません。

特に日本にとってはとても深刻な問題といえます。

日本輸出に追い風 最後の大国 ロシア今日WTO加盟

2012年8月22日 日本経済新聞朝刊

ロシアが22日、156番目の加盟国として世界貿易機関(WTO)に加わる。「最後の大国」といわれたロシアの加盟で、WTO加盟国・地域の貿易額は世界全体の98%に達する。ロシアは工業製品の平均関税率を約9%から約6%に引き下げるとともに、市場開放や外資呼び込みに力を入れる。日本企業による自動車などの輸出にも弾みがつくことになる。

2012.08.22日経

ロシアの世界貿易機関(WTO)加盟により、日ロ間の貿易は拡大に一段と拍車がかかりそうだ。関税が下がれば日本からの主力輸出品である自動車の輸出に追い風が吹くほか、知的財産の保護といったルールの共通化も対ロシア投資を考える企業にとってメリットは大きい。

原油などの資源高をテコにロシアが高い経済成長を遂げたのに伴い、日本からロシアへの輸出額は10年間で16倍に急増した。2001年当時は日本にとって44位(7.2億ドル)の輸出先にすぎなかったロシアは11年には15位(118億ドル)まで浮上。輸出増の最大のけん引役は自動車だ。ピークの08年は日本から中古車を含めて98万台を輸出した。

9月上旬にアジア太平洋経済協力会議(APEC)の首脳会議が開かれるウラジオストクでは、右ハンドルの日本車が多く走っている。WTO加盟で新車に対する関税は現在の30%から25%に低下。さらに今後7年間で15%まで下がり、日本からの車の輸出は300万台規模まで膨らむとの見方もある。

ロシアへの投資の追い風にもなる。これまでは不透明な法律の運用などを理由に、ロシアでの投資に二の足を踏む日本企業も多かった。WTO加盟後はロシアが不公正な競争環境を放置すれば他の加盟国から提訴される。「同じ土俵にロシアを立たせることができるのが実質的な最大のメリット」(経済産業省幹部)という。

(以上で記事終わり)

中国がWTOに加盟したのが2001年の12月ですから約10年が経ちます。「国際貿易投資研究所」の資料によると2000年から2010年の10年間で中国のGDPは5倍になっています。

中国がその間、これだけ急成長したという理由は決して一つではないでしょうが、WTOの加盟により貿易相手国が安心して取引できるようになったという点も見逃せないでしょう。

その点次なるはロシアということでしょうか。

それにしても、かつてアメリカと軍拡競争を繰り広げ、宇宙開発でも競い合ったあの大国ロシアのGDPが、あまりにも小さかったこと自体が逆に驚きです。

こんな国がなぜあんにたくさんの核兵器を開発し保有できたのか?

なぜ、宇宙にロケットを飛ばすことができたのか?

とても不思議です。

第2次世界大戦が終わった時にナチスドイツが持っていた、核技術、ロケットエンジン技術、医薬技術(ユダヤ人殺りくによる大量の人体実験データを保有)を米ソが分け合ったため、その後の米ソの科学技術が急速に発達したという説もあります。

そのため戦後の米ソのジェット機の姿かたちは酷似していたと言うのです。

まあ、話は脱線してしまいましたが、今後ロシア経済が急成長する条件は十分整っているので、日本とロシア間の貿易の行方からも決して目が離せません。

世界各国のGDP2010年

翻訳アプリ精度比較調査(言語別)

MMD研究所が行った翻訳アプリ精度比較調査の結果を見てみました。

「海外旅行」、「ビジネス」、「緊急時」の3つのシーンで

日本語⇒外国語 「翻訳の精度」
外国語⇒日本語 「日本語の識別」
日本語⇒外国語 「音声の聞き取りやすさ」
外国語⇒日本語 「テキスト変換の正確さ」

の4つの項目の評価点を以下の採点方法で評価したものです。

【採点方法】
3つの言語、3つの利用シーン、10個の文章を3名の通訳者によって、0~3点の4段階評価にて採点。

文章読み上げの際、2回読み上げても文章を認識しない場合は、0点とした。
それぞれのシーン、調査項目のアプリ別平均値を記入。

0点 読み上げた言語が理解されない。
1点 読み上げた言語は理解されるが、翻訳内容がまったく合わず、意味が通じない。
2点 読み上げた言語が理解され、翻訳内容に不自然な部分はあるが、意味が通じる。
3点 読み上げた言語が理解され、翻訳内容に不自然な部分がなく、意味が通じる。

2点以上が「意味が通じる」わけですから、平均点が2点以上の項目をみてみると、英語の場合 Voice Tra の海外旅行の英日翻訳が2.47点で評価が高くなっています。

逆に言うとそれ以外の分野では英語の翻訳はほとんど使えないという結果となっています。

また、中国語や韓国語に関して言えば、英語よりもかなり使える分野が広くなっています。

とは言っても、定型文の翻訳のみですから今のところは「ないよりはずっとまし」という程度でしょうが。

翻訳アプリ制度比較

音楽や広告、海外からの配信に消費税 14年度にも 財務省、国内勢と公平に

2012年6月29日 日本経済新聞朝刊

財務省は海外から電子書籍や音楽、広告などを日本向けに配信するサービスに消費税を課す方針を固めた。消費増税関連法案が国会で成立すると2014年4月から消費税率が8%に上がることから、早ければ同時に実施する。ネット取引課税について国内企業と海外企業の格差が解消に向かうが、海外勢にどうやって確実に納税させるかが課題となる。

(中 略)

国境をまたぐ取引の場合、どこでサービスが提供されたかの判定は難しい。航空機の国際便運賃は免税とされ、事実上、消費税はかかっていない。海外企業による音楽ダウンロードを日本で利用する場合も、日本の消費税はかかっていない。

だが海外事業者が事実上、優遇される仕組みを放置すれば、日本企業は拠点を海外に移すといった対応を迫られる。コスト競争力への不安から、海外にも課税の網を広げるべきだとの要望は産業界から強まっている。

実際に効果があがる枠組みを作れるかどうかは不透明な面もある。欧州連合(EU)はサービスを提供する事業者に対して各国に登録させ、納税させる仕組みを作っているが、きちんと機能しているかどうかの検証は難しい。課税のための情報交換なども特定国との協力にとどまれば、企業が別の国に事務所を移して課税逃れをする「いたちごっこ」になる可能性もある。

2012.06.29 日経

(以上で記事終わり)

消費税法ができた1989年には、このような「インターネットによる電子商取引」など、とうてい想像もできなかったことでしょう。

法律というものは常に世の中の動きに遅れて、止むを得ずかつ突然にして動き始めるものです。

『文芸春秋』の2012年5月号に、「税金を払っていない大企業リスト―隠された大企業優遇税制のカラクリ」という論文が掲載されています。元国税庁職員で、中央大学の富岡幸雄名誉教授が書いているものです。

税金を払っていない大企業

上記は法人税を「節税」している例ですが、今後消費税率が上がれば、海外の関連企業を使って、ありとあらゆる税逃れが行われるでしょう。結局「いたちごっこ」が続くのでしょうが・・・・・。

20数年前の話ですが、ある税務署職員から聞いた話を思い出しました。

当時東南アジアをはじめとする世界各国の途上国の税務官が日本の税務署に研修に来ていたそうです。

その中の一人、ある東南アジアの税務署員Aさんと日本の税務署職員Bさんの間のやり取りです。

Aさん:「あそこに並んでいる長蛇の列は一体なんですか?」

Bさん:「日本では毎年3月15日が確定申告の締切の時期なんです。その申告のために窓口に並んでいる人たちの列ですよ」

Aさん:「え!・・・と言うことは、あの人たちは税金を払うために長時間並んで待っているのですか?」

Bさん:「そうですが、それが何か?」

Aさん:「信じられない!私たちの国では、税金を払えと言っても誰も払わず皆雲の子散らすように逃げ回るので、それを捕まえるのが大変なんです。それなのに、日本人は税金を払うためにわざわざ何時間も並んで待っている。んー、信じられない。これが日本の強さなのですね」

世界で戦うためには相当な「したたかさ」も必要でしょうが、この日本人固有の生真面目さも忘れずにいてほしいものです。

シェール革命、エクソンCEOの告白(NY特急便)

2012.06.28 日経電子版

「正直に言おう。我々は完全に過小評価していた」。27日朝、ニューヨーク。「北米の新たなエネルギー・パラダイム」と題した講演の冒頭、米石油最大手エクソンモービルのレックス・ティラーソン最高経営責任者(CEO)はこう打ち明けた。

情報量や分析力では誰にも負けないはずの業界の盟主が「過小評価」していたものとは何か。頁岩(けつがん=シェール)と呼ばれる地中深くの岩盤層に閉じ込められた天然ガスや石油の潜在的な価値と、それを回収する技術の進歩だ。

「北米のシェールの可能性は認識していた。だが、そこからガスや石油を回収する技術がこれほど効果的で、しかもこれほど素早く普及するとは思っていなかった」。「水圧破砕」と「水平掘削」という手法を組み合わせた採掘技術を編み出したのは、米エネルギー業界以外では、ほぼ無名の独立系開発会社だった。

(以上で記事終わり)

2012.06.28 シェールガス
アメリカの天然ガス生産量の推移、実績と予測
出典:Annual Energy Outlook 2011 (縦軸:兆立方フィート、20兆立方フィート=5663億立方メートル)USエネルギー省エネルギー情報局 (DOE/EIA)のエネルギー見通し年鑑2011年版

・・・・(記事の転載ここまで)

「シェールガス」のみならず、「シェールオイル」の大増産が米国内での原油価格を下落させているようです。

また、「シェールガス」の増産が化学系肥料などの値下がりを促し、トウモロコシなどの生産コストを低減させる要因になってきているようです。

現に一部米国内では、「シェールガス効果」により電気料金が大幅に下げられた地域も出始めています。

この「シェールガス革命」は今後の世界経済に大きな影響を与えるでしょう。

天然資源をほとんど持たない国、日本はかつて石油や鉄鉱石を求めて中国や米国相手に戦争を始めました。

逆に戦後の日本は「無資源国」の立場を活用し、デメリットをメリットに変え、経済を大躍進させました。

つまり、なまじっか資源産業を持つ欧米諸国は、自国のエネルギー産業を保護するため、否応なしにコストの高い自国の資源を使わざるを得ませんでした。

その点ほとんど天然資源を持たない日本は、なんの迷いもなく、世界で一番安い天然資源(原油、天然ガス、鉄鉱石、ウラン、ボーキサイト、天然ゴム等々)を買い求め、国際競争力を高めていったのです。

話は少しずれますが、19世紀、中国は豊かな天然資源に恵まれていたため、欧米列強からすればよだれがでるような国でした。

それに反して日本は、コメとミカンしかとれず、天然資源を持たないため、欧米列強からみれば、なんの魅力もない国でした。そこで「ジャパンン・パッシング」して(日本を通り越して)中国を植民地にし、よってたかって食い物にしたのです。

つまり19世紀においても、戦後においても「無資源国、日本」は、資源がないから得をしたのです。

今度もうまくいくでしょうか?

かつてない勢いで新興国経済が発展し、爆発的に増え続ける世界の人口を考えると、「資源がないから得をする」などということはもうないでしょう。

日本は、「省エネ技術」や「再生可能エネルギー」の分野で地道に研究し、実績をあげ、エネルギーバブルでタガの緩んだ諸外国との差別化をしっかり図っていくことが大切だと私は考えます。

輸出力の低下鮮明 「リーマン後」通信機など15品目 価格競争力に円高直撃

2012.06.14 日本経済新聞朝刊

日本企業の輸出競争力の低下が鮮明になってきた。主要30品目の2011年の競争力指数は米リーマン・ショック前の2007年に比べ、通信機や医療品、コンピュータ類など15品目で下がった。特にテレビの苦戦が鮮明だ。新興国との価格競争が激しくなる中で、歴史的な円高に直面したことが響いた。

国際競争力係数と呼ぶ指標で2007年と2011年を比較した。輸出力が下がったのはほかにプラスチック、DVDなどの記録媒体、家電など。戦後の経済成長を支えた輸出力の低下が浮き彫りになり、国や企業は新たな成長モデルの構築が急務になっている。

2012.06.14 日経
(以上で記事終わり)

以下、記事の内容を簡単にまとめました。

<安定的に競争力を発揮>
・ 中国向けの輸出が拡大した工作機械や荷役機械など

<比較的堅調>
・ コンピューターの部品や音響・映像機器の部品

<07年よりは低いが、01年の水準は上回っている>
・ 自動車

<07年と比べると下がったものの、競争力はなお高い>
・ 建設・鉱山用機械

<主要30品目のうちリーマン前よりも輸出力が上がった>
・ 化学光学機器や電気計測機器など11品目

<07年とほぼ同水準>
・ゴム製品、金属製品など4品目

要するに70年代以降の日本経済をけん引してきた通信機やテレビの輸出競争力が大きく落ち込み、コンピュータ(含む周辺機器)、家電、医薬品の輸出競争力が長期低迷しているわけです。

なかでも21世紀のけん引役になると思われる医薬品も長期低迷していることはかなり問題でしょう。

しかし、この記事では「国や企業は新たな成長モデルの構築が急務」と言っておきながら、その後何も触れていません。

そこで2010年に閣議決定された政府の「新成長戦略~元気な日本復活のシナリオ~」の中から、その大項目だけをご紹介しておきます。

(1)グリーン・イノベーションによる環境・エネルギー大国戦略

(2)ライフ・イノベーションによる健康大国戦略

(3) アジア経済戦略

(4)観光立国・地域活性化戦略

(5)科学・技術・情報通信立国戦略

(6)雇用・人材戦略

(7)金融戦略

詳細は割愛しますが、この「新成長戦略」に書かれていること自体は素晴らしい内容だと思います。

またそのすべてが私たち翻訳業界の人間と深くかかわりあっている内容と言えるでしょう。

大震災と原発事故により頓挫していますが、なんとしてもこの「新成長戦略」を実現していってほしいと願っています。

ソニー株、32年ぶり1000円割れ ソニー株が示すもの

2012.6.5 日本経済新聞朝刊

4日の東京株式市場でソニー株が1980年以来、32年ぶりの1000円割れ(過去の株式分割を考慮)となった。国際優良株として東京株式市場をけん引した面影は薄れ、一時は5割を超えた外国人持ち株比率も30%台半ばに低下した。ソニー株の歴史的安値は、日本株の低迷が欧州不安などによる単なる「リスクオフ」だけでは説明できないことを示す。

2012.6.5 日経
(以上で記事終わり)

この「ソニー株32年ぶりの1000円割れ」は、日本経済が再び大きな変化を迎える前兆なのでしょうか。

戦後の日本経済は、石炭、繊維、鉄鋼、造船、セメント、海運などの重厚長大産業が主役でした。

その後、自動車、電機、半導体、ITなどのハイテク産業へと主役交代する中、新興国の勃興需要により、日本の重厚長大産業も再び息を吹き返し始めます。

しかしその代りに、日本のハイテク産業は、今世紀に入り急速に新興国に追い上げられ、今や大変な窮地に陥っています。

もう日本のハイテク産業はダメなのでしょうか?

ハイテク産業だから、「奇想天外な発明ができなければダメだ」と思いがちですが、意外とそうでもなさそうです。

たとえば「掃除機」や「扇風機」・・・

そんな「ローテク製品は新興国に作らせておけばいい」と考えがちです。

しかし、英国のダイソンは、吸引力の衰えない「掃除機」や羽のない「扇風機」を開発して世界中で大ヒットしています。

米国のアイロボット社は、人口知能を使ったお掃除ロボット「ルンバ」で同じく世界中で大ヒットしています。

「ダイソン」も「ルンバ」も私の家で大活躍していますが、「なぜこれが日本製品でなかったのだろう」といつも残念でなりません。

新時代の産業というと、すぐにエネルギーや環境技術、医薬や福祉と考えがちですが、世界的大ヒットの芽は身近なところに潜んでいるのかもしれません。

かつて外国人に「だれか日本の有名人の名前を知っていますか?」と聞いても、ほとんどの人が誰の名前も知りませんでした。

しかし、“織田信長”も“坂本竜馬”も“総理大臣の名前”も知らなくても、「“SONY”や“Canon”や“TOYOTA”は素晴らしい」と口をそろえて讃えていたものです。

日本人は“個”よりも“全体”を重んじる国民性だからなのかもしれません。

世界を席巻した“SONY”も“Panasonic”も“Canon”も“TOYOTA”も“Honda”も、世界で活躍する日本の企業は、どれもが日本人ひとりひとりの誇りであったはずです。

強い日本企業の復活を願ってやみません。