カナダの団体もグーグルのダブルクリック買収に異議

2007.8.3 CNET Japan

Googleが計画している31億ドルでのDoubleClick買収に反対する新しい団体が出てきた。Canadian Internet Policy & Public Interest Clinic at the University of Ottawa(CIPPIC)という長い名称を持つ団体だ。

・・・・(記事の転載ここまで)

この問題については、今年の4月21日にもこのブログの中で言及していますが、その時は米国の消費者団体やマイクロソフトからの反対でした。今回はそれに加えて、カナダの団体も反対を表明した、ということです。

反対の要旨は、下記です。

「この合併により、Google-DoubleClick は前例のない影響力を持つことになり、この影響力を利用してオンライン広告価格を操作できるようになってしまう。広告主とウェブ発行者が電子商取引市場で露出を増やそうと思ったら、選択肢はほとんど残されておらず、Googleの広告プラットフォームを選択するしかなくなってしまう」

この”DoubleClick”と言う会社は、

インターネット広告配信・管理において世界中で業界標準となっている「DART」製品群を始め、

Eメールマーケティングソフトウェア、

モバイルマーケティングシステム、

ウェブサイト分析システム

を法人向けに提供している会社です。

”Google”のビジョンには、「言語を意識せずにインターネットを使えるようにする」というゴールが明記されており、人工知能分野や自動翻訳技術分野の専門家を多数集めて研究開発にまい進している(「ウェブ進化論」ちくま新書、梅田望夫著)

ということですから、”Google”は、”YouTube”買収で画像市場を守備範囲に加え、今度は”DoubleClick”買収で、電子商取引市場も巻き込み、そしてその次は、世界の「言語」を押さえ、世界ネット情報の完全制覇、という野望を実現させようとしているのでしょうか?

しかし、問題はやはり「言語」だと思いますが、”Google”がこの分野で、「次の一手」に何を打ってくるか、が楽しみです。

「ブルドック完勝」のウソ

2007.7.25 NBonline

ブルドックソースと米スティール・パートナーズとの買収防衛策を巡る法廷闘争で、東京地方裁判所と東京高等裁判所はブルドックの防衛策を容認した。「ブルドック、完勝」との見方が一般的だが、ニッポン放送の社外取締役としてライブドアとフジテレビジョンとの買収合戦にもかかわった久保利英明弁護士は「本当に勝ったのはスティールではないか」と指摘する。

・・・・(記事の転載ここまで)

この久保利弁護士の話の要旨は下記のとおりです。

(1)ブルドックがあの買収防衛策を発動したことで、スティールの持ち株比率は10%程度から3%弱に下がった。
  ↓
(2)しかし、スティールは予約権を約23億円という大金でブルドックに買い取ってもらうことになる。しかも、裁判所のお墨付きまでもらって堂々と胸を張って。
  ↓
(3)スティール側から見れば、総額約18億円の投資に対して、リターンが約23億円(儲けは5億円)。儲けたのは誰かと言えば、間違いなくスティール。
  ↓
(4)要するに、あの買収防衛策はブルドックがスティールに約23億円を支払うことによって、お帰りいただくための仕掛け。
  ↓
(5)こうした行為は企業による特定株主への“利益供与”と見ることができる。つまり総会屋に対する”利益供与”と同じ。

私の考えでは、「企業買収」には2つあって、一つは両社発展のための「前向きの買収」、もうひとつは、”売り抜け”や”たかり”を目的とした「脅しの買収」です。

本来「企業」は「株主」のものですが、同時に企業は「雇用の確保」と「税金を国家へ支払う」という重要な使命も持ちあわせています。したがって、雇用を確保し、税金を払える経営者であれば、その目の色が何色であろうと、資本の色が何色であろうと、一向にかまわないのです。

そのため今後増えるであろう「前向きの買収」に対しては、もっと日本企業は門戸を開かねばなりません。

一方、今回のブルドックのケースは、明らかに「脅しの買収」なので、対策としては、”したたかな”法による対抗手段を講じておかねばなりません。

一般に「ハゲタカファンド」と思われている、外資系ファンドのなかにも、日本の老舗旅館やバブルリゾートホテルを格安で買収し、みごとに再建させている例もあります。

2001年2月に負債3261億円で会社更生法が適用された宮崎県のシーガイアを格安で買収した、リップルウッドは、2007年3月期決算の営業利益を2億2200万円とし、93年の施設オープン以来初の営業黒字を達成しています。

世界一の中小企業(その1)

冷凍船の冷凍庫で世界のトップシェア、前川製作所

2007年7月、新潟県中越沖地震により日本の全自動車メーカー(12社)の生産ラインが一時操業停止となり、12万台もの減産が余儀なくされました。

新潟県に起きた地震により、日本全国の自動車工場がストップした理由は、新潟県柏崎市にメインの工場を持つリケン株式会社という中堅自動車部品メーカーがその部品を供給できなくなったからでした。

この”リケン”という会社は、同社のホームページによると、連結売上高、912億円、従業員数1,545人という立派な上場大企業です。しかし、売上規模で比べれば、トヨタ(24兆円)のわずか0.4%にも満たない小さな小さな存在です。

その小さな企業が、マンモス企業、トヨタの全28工場の操業を停止させてしまった訳は、ピストンリングのシェアで国内50%以上、全世界でも20%を占めているからでした。

ピストンリング
<ピストンリング (リケンのホームページより)>

このように技術立国日本を陰から支える、「世界一の中小企業」は日本にはまだまだ沢山あります。それらの「小さな巨大企業」や「小さな超優良企業」をこれからこのブログで順次取り上げていきたいと思います。

まず初めに、東京都江東区に本社を持つ、前川製作所を取り上げます。

前川製作所は、「産業用冷凍庫の国内シェアが60~70%、冷凍船の冷凍庫では世界で80%のシェアを有しており、この分野のまぎれもない世界トップシェア企業である」(「世界を制した中小企業」黒崎誠著 講談社現代新書)

さらに「前川製作所が開発したスクリュー型小型コンプレッサーによって、漁船に冷凍設備を設置できるようになった。マグロやカツオを遠洋で捕り、その場で血抜きして瞬間冷凍すれば、鮮度をそのまま保つことができる」(同著)とあります。

海水氷
<鮮魚介類に合った塩分濃度・マイナス温度保持・浸透圧
で鮮度保持効果が期待出来ます (前川製作所のホームページより)>

そういえば昔は、サンマやサバの刺身など食べることができませんでした。漁獲後、時間が経つと人間の身体に有害な物質が発生するためだと聞いたことがあります。それが今では、どこの寿司屋へ行っても当たり前のようにサンマやサバの刺身をおいしく食べることができるようになりました。

「どこかの会社が新しい冷凍技術を開発したおかげで、昔食べられなかったものが今では簡単に、安く、安全に、食べられるようになった」と以前板前さんから聞いたことがあります。

その「どこかの会社」が「前川製作所」だったのですね。

その後同社は鮮魚だけでなく、食肉用の冷凍船にも進出し、現在では鮮魚と食肉を運搬する冷凍船に搭載されている冷凍庫の世界シェアのほぼ80%を前川製作所1社で占めている。

「当然、大手企業を含めた数多くのライバル企業が、虎視眈々と巻き返しをはかっているわけだが、なかなか思うようにいかない。その一番の理由はやはり同社のもつ抜群の技術力。ライバル企業も『大量の肉や魚を冷凍する大型冷凍船では、全体を均等に冷やすとか、年間を通じて温度の狂いがゼロに近い状態を保つといった高度な技術を求められるが、前川以外にこれができる企業はきわめて少ない』と言う」(前述の同著)

なるほど、海の上で冷凍庫が故障しても、すぐにメンテナンスに駆けつけることは難しいし、その間に冷凍の肉や魚が腐ってしまったら、その被害は甚大なものになるわけですから、やはり品質には非常に神経質になるのでしょうね。

「前川製作所のつくる冷凍庫の多くは注文生産。当然ながら、ユーザーによって、使用目的、容量、温度など、条件はすべて異なる。この要望を、同社の技術者たちがひとつひとつ聞いて、製品をつくりあげていく。このようにきめ細かい要望に応えられるのは、下請けに任せず、自分のところで作っているからだ。中にはこれまでの常識では無理なものもあり、他社が断ったものもある。前川製作所は、そんな注文にも、問題点を解決しながら応えてきた」

(中 略)

「もうひとつ、前川製作所のユニークな点は、優れた技術を持っている者ならば年齢にかかわらず登用するところにある。なにしろ同社には90歳を過ぎた現役研究者がいるのだ」(前述の同著)

なんだか翻訳会社の経営にも通じるところがありそうですね。
これからこのようにユニークな経営をする「小さな巨大企業」、「小さな超優良企業」をこのブログで毎回取り上げていきます。

(この項、次回へ続く)

研究開発、自動車3兆円・日経調査、環境技術に重点投資

2007.7.27 NIKKEI NET

日本経済新聞社が実施した「研究開発活動に関する調査」によると、主要企業264社が2007年度に計画する研究開発投資は前年度比6.37%増の11兆8409億円と8年連続の増額となった。

(中略)

業績回復が続く中で、激しくなるグローバル競争を勝ち抜くために資金を研究開発に重点的につぎ込む姿勢が鮮明になっている。

・・・・(記事の転載ここまで)

紙媒体の日本経済新聞の情報によると「TOP10」は下記のようになります。

1位 トヨタ自動車 9,400億円( 5.53%増)
2位 ホンダ    5,900億円( 6.92%増)
3位 ソニー    5,500億円( 1.11%増)
4位 日産自動車  4,900億円( 5.42%増)
5位 日立製作所  4,300億円( 4.24%増)
6位 東 芝    4,030億円( 2.28%増)
7位 キヤノン   3,600億円(16.77%増)
8位 NEC      3,400億円( 1.60%増)
9位 デンソー   3,050億円( 8.97%増)
10位 NTT      3,000億円(10.29%増)

10位のNTTを除けば、自動車・電機メーカーで占められています。ここでまた例によって「企業間格差」の問題がクローズアップされています。

「大企業と中小企業との格差がどんどん大きくなっていく」と一般には思われがちです。

しかし、「世界を制した中小企業、黒崎誠著、講談社現代新書」の中に下記の記述があります。

「『中小企業白書』が指摘するように、1960年以降、付加価値に占める中小企業のシェアは、35%前後で安定的に推移している。この40年間で、日本経済は実質国民生産で12倍、製造業出荷額で20倍になった。その間、中小企業の数は減っていない。大企業に駆逐されるどころか、存在感を強めている」

「世界一の中小企業」について、これからじっくりと研究を始めようと考えています。

新潟県中越沖地震 自動車生産、相次ぎ全面再開 トヨタなどきょうから

2007.7.25 FujiSankei Business i.

トヨタ自動車は24日、新潟県中越沖地震の影響で操業を停止していた工場を25日に全面再開することを明らかにした。被災した自動車部品大手リケンの柏崎工場が復旧し、安定的な部品調達が見込めると判断したため。スズキなども全面再開する。週内には全12メーカーで、一部の軽自動車工場を除く全工場で操業を再開できる見通しで、一連の“リケンショック”からの早期復旧が実現しそうだ。

・・・・(記事の転載ここまで)

地震により”リケン株式会社”が部品を供給できなくなり、日本の全自動車メーカー(12社)の生産ラインがストップしました。

今回の操業停止による減産台数は、全メーカー合計で12万台超にも達するそうですから、まさに驚きです。

この”リケン”という会社はいったいどんな会社なのでしょう?

ホームページによると、連結売上高、912億円、従業員数1,545人という立派な上場大企業です。しかし、売上規模で比べれば、トヨタ(24兆円)のわずか0.4%にも満たない蟻んこ(失礼!)のような存在です。

その小さな企業が、マンモス企業、トヨタの全28工場の操業を停止させてしまったわけですからそのわけを知りたくなります。

”リケン”は、ピストンリングの国内シェアで50%以上、全世界でも20%を占めているそうです。

エンジンの”ピストン”を締める金属の”リング”、まさに指輪のような形をした、単純な金属の”わっか”にしか見えないのですが、この中にはきっと、素人にはわからない重要な技術が隠されているのでしょう。

そして”リケン”のピストンリングには、決定的に他社と差別化された高度な技術が潜んでいるのでしょう。

このように、日本には隠れた「超優良企業」がたくさんあります。特に一般には無名の中小企業の中に、驚くべき超優良企業があったりします。

まさに「なりは小さくとも百獣の王」と言う訳で、このような優秀な企業や技術者たちが、技術立国日本の技術を陰から支えているわけです。

今回の新潟県中越沖地震は不幸な天災ではありましたが、そのおかげで改めて、「企業にとっては技術力が命」を再認識することができました。

対日輸出、99・8%が「合格」 中国検疫総局長、食品安全を強調

2007.7.21 FujiSankei Business i.

中国国家品質監督検査検疫総局の李長江局長は20日、中国の輸出食品の安全性に関して記者会見し、日本、欧州連合(EU)向け食品の安全検査合格率が99・8%などと数字を挙げ、「中国製食品の合格率、品質は不断に高まっている」と強調した。

・・・・(記事の転載ここまで)

”ダンボール入り肉まん”が”ねつ造報道”だったかどうかはともかくとしても、あの事件がきっかけとなって、今輸入食品の安全性が問われています。

実は輸入食品だけでなく、日本の”食”そのものが”怪しい”と、もう数十年も前から、さまざまな消費者団体は訴え続けているのです。

既にあの「偽装肉加工販売のミートホープ社」が「24年前から不正な表示や販売をしていた」と認めていますが、それはほんの氷山の一角に過ぎないでしょう。不二家も雪印も加ト吉も・・・・。

しかし、国内業者の話はひとまずさておいて、ここでは今話題になっている「輸入食品」の問題を考えてみます。

1.日本の食糧自給率林水産省のホームページより)
●穀物自給率
1960年 82% → 2004年 28%

●カロリーベースの総合食料自給率
1960年 79% → 2004年 40%

●品目別自給率
・米   1960年 102% → 2004年 95%
・いも類 1960年 100% → 2004年 83%
・大豆  1960年 28% → 2004年 3%
・野菜  1960年 100% → 2004年 80%
・果実  1960年 100% → 2004年 39%
・肉類  1960年 93% → 2004年 55%
・鶏卵  1960年 101% → 2004年 95%
・魚介類 1960年 110% → 2004年 60%

2. 輸入食品は安全なの?輸入食品を考えるより)
・ジャガイモの芽止め剤は1000倍に規制緩和された。不安の残る放射処理(コバルト60など)のものも出回り、後から調べようもない。

・アメリカでは牛肉へも放射線処理が許可。

・穀物などは防虫剤(レルダンなど)を直接ふり混ぜ、輸送され出荷され、そのまま加工食品(豆腐、納豆、味噌、醤油、パンなど)に使われてゆく。

・果物類はポストハーベスト(殺菌剤、防カビ剤)の王様! 真っ黄色でヘタだけは真っ青なレモンや、柑橘類にはOPP、TBZ、DP、イマザリル、2-4Dなどなど…

・ヘタを青く保つためだけに2-4D(枯葉剤)が使われている。

・リンゴ、ダークチェリーなども… 殺菌剤や防カビ剤のプールにつけられ、農薬のシャワーを浴び、しつこくポストハーベストされた上に、殺菌剤や防カビ剤入りのワックスをかけて、簡単には落ちないようにして出荷される…

・バナナも、ポストハーベストされ、輸送されてきたものをさらに青酸ガスで燻蒸し、倉庫で保存。追熟のためもう一度燻蒸して出荷される。

以上が「農林水産省」と「市民グループ」からの情報です。

肉類、酪農食品(牛乳、卵、乳製品等)は、想像より自給率が高いのですが、実は家畜に与える飼料のほとんどは輸入に頼っています。つまり輸入をストップされたら日本の酪農業の大部分は壊滅します。

以前私はいつも不思議に思っていたのですが、大豆の97%は輸入なのに、なぜかスーパーへ行くとほとんど全ての豆腐や納豆は「国産大豆使用」と表示されていました。

これも農林水産省が2006年6月27日に発表した「豆腐・納豆の原料大豆原産地表示に関するガイドライン」により、事態も少しずつ変化してきているようです。

しかし、朝日新聞の報道によると、日本の黒毛豚を外国で育て「国産黒毛豚」と表示したり、外国から輸入した豚を日本の養豚業者で数ヶ月間育て「国産黒毛豚」と表示している例があるそうです。

「国産」の定義をはっきりさせないと、日本の”種”の大豆を中国で栽培し、「国産大豆」と表示しかねません。

運悪く(われわれにとっては運良く)ミートホープや不二家や雪印が槍玉にあげられましたが、これが氷山の一角である以上、少なくとも日本国民は「食の安全に関する真実」を知る権利があるでしょう。

やはりここでもインターネットの情報が決定的に重要な役割を果たし、世の中を変えていくはずです。

ホンダをエネルギー会社に

2007.7.19 日本経済新聞

日経新聞1面に興味深い特集記事が出ています。

「塗り替わる産業地図 ホンダをエネルギー会社に」というタイトルですが、以下が要旨です。

ホンダが二輪車工場の一角で、まもなく”場違い”な太陽電池の量産を始める。

太陽電池で得た電気で水を分解し、発生した水素で燃料電池車を走らせる。家庭が超小型の水素ステーションになり、ガソリンスタンドも送電線もない、新交通システムを生みだそうとしているためだ。

日米欧は2050年に温暖化ガス排出量を半分以下にする検討に入った。世界のあちらこちらで若い起業家がグローバル競争に挑んでいる。

Qセルズ(旧東ドイツ)は太陽電池の生産で瞬く間に京セラを抜き、世界首位のシャープに迫っている。今年6月には東京に事務所を開いた。

サンテック・パワー(中国)も太陽電池で世界第4位に躍進し、創業からわずか5年で米株式市場に上場した。

風力発電で世界第5位のスズロンエナジー(インド)は、相次ぐ買収でのし上がる姿から「エネルギー業界のミタル」と呼ばれている。

かつては世界の太陽電池生産の5割強を誇った日本企業のシェアは、現在では3割に落ちてしまった。

技術の目配りや投資判断を誤れば、異業種や新興企業にたちまち足元をすくわれてしまう。

21世紀を貫くであろう環境革命。日本企業にIT革命で経験したような停滞は許されない。

以上で要旨は終わりです。

21世紀もきっとIT革命は継続されていくでしょうが、日本企業や日本人が「革命疲れ」をおこしている間に、新興国では新たな「革命」が起こり、さらにそこに「環境革命」が加わっていく、と言うことでしょうか。

18世紀から19世紀にかけて西ヨーロッパで起きた「産業革命」の後始末を、21世紀の世界が「環境革命」によって尻拭いしようとしているわけです。

いずれにせよ、21世紀の翻訳業界にとって、この「IT」と「環境」が重要なキーワードになることだけは間違いないでしょう。

米ダウ・ジョーンズ取締役会、ニューズの買収提案を承認

2007.7.18 NIKKEI NET

米新聞大手のダウ・ジョーンズ(DJ)は米東部時間17日夕(日本時間18日午前)にニューヨークで取締役会を開き、米メディア大手のニューズ・コーポレーションによる買収提案を受け入れることを決めた。今後の焦点はDJ株の議決権64%を保有するオーナー一族の判断に移る。

・・・・(記事の転載ここまで)

ダウ・ジョーンズ社はあの有名な経済紙、ウォール・ストリート・ジャーナルを発行するアメリカの大手新聞社ですが、この件については、日本経済新聞が紙媒体の方で詳しく取り上げています。

「ウォール・ストリート・ジャーナルは単一の新聞としては発行部数で”USAトゥデー”に次ぐ米国二位。正確・公正な報道にも定評がある。ただ、インターネットメディアに広告収入を奪われ、今やダウ・ジョーンズ株はピーク時の半値以下」

「今回の合意はダウ・ジョーンズ社がメディア再編に背を向けては生き残れないとの覚悟を決めたことを示している」

私が2006年9月11日のブログでとりあげた、近未来のメディア業界を予想する“EPIC2014” の中で紹介したビデオムービー、“EPIC2014”の話がますます現実味を帯びてきています。

もちろんこの“EPIC2014”の中に出てくる、GoogleとAmazon.comの合併企業”Googlezon”は架空の企業ですが、問題は合併云々ではなく、“EPIC(進化型パーソナライズ情報構築網)”の方にあります。

いずれにせよ、今後”情報の伝達方法”や”情報の検索方法”や”情報の選別方法”が激しく変化していくことは、容易に想像できます。

しかし、一番重要である情報の中身、つまり”コンテンツ”は、人間にしか作れないものです。

ジャーナリズムの世界で言えば、取材して記事を書くのは”人間”であり、”人間にしかできない仕事”ですから、世の中がどう変わっても”人間にしかできない仕事”をしている人たちにとっては、仕事の根本に揺らぎはない、と言えるでしょう。それは翻訳業界においても同じです。

静岡発、日本文学を世界に ~第6回世界翻訳コンクール受賞者発表~

2007.7.13 静岡県東京事務所

静岡県では、わが国の優れた文学を世界の人々に紹介し親しんでもらうとともに、日本文化の発信、翻訳者の育成、国際相互理解を進める「しずおか世界翻訳コンクール」という地方自治体レベルとしては極めてユニークな取組を行っています。

・・・・(記事の転載ここまで)

この静岡県が主催する「世界翻訳コンクール」のポスターと応募要綱は、弊社にも送られてくるので、いつも玄関近くの一番目立つ箇所に掲示しています。

日本の文化を海外に理解してもらうためには「翻訳」は重要な役割を果たしている、だから「翻訳」はとっても重要だ・・・・・。多くの公的機関はこういう発言をするのですが、いかんせん「実行力」が伴いません。

日本政府でもなく、東京都でもなく、一地方自治体である静岡県がこの「世界翻訳コンクール」を主催しているところが「スゴイ」と思います。「文化輸出」や「翻訳」の重要性を認識し、具体的に実行している点が素晴らしく、あたらめて静岡県知事はじめ、関係者の方々の見識の深さと実行力に敬意を表します。

「日本製品」を誉める外国人は多いですが、残念ながら「日本人」を誉める外国人にはほとんど出会ったことがありません。なぜなら日本人の名前すらも知らないからです。

いくらお金を稼いでも尊敬される国民にはなれません。文化を輸出できる国民になれば、おのずと外国の人々から注目が集まり、やがてその「関心」が「あこがれ」となり「尊敬」へと芽生えていきます。そしてその文化的交流が、意味のない争いや戦争を回避する最大の解決策になると信じています。

ちょっと大仰な話になってしまいましたが、改めて静岡県の「世界翻訳コンクール」関係者の皆様に敬意を表します。

それにしても今回のコンクール、応募点数が、英語部門:79 フランス語部門:39 中国語部門:119 合計:237 ということで、全体の過半数を中国語が占めている、という点は、やはり時代を反映していますね。

森トラスト、アイピーモバイル株を米通信企業に売却

2007.7.13 ケータイWatch

森トラストは、携帯電話事業への新規参入を計画しているアイピーモバイルの株式を米国の通信企業NextWave Wirelessに売却すると発表した。

・・・・(記事の転載ここまで)

昨日話題にした「iフォン」に続き、再びケータイ業界の話題です。

この買収が成功すれば、日本の携帯市場から昨年撤退した英ボーダフォングループ以来となる外資の参入となります。

ちなみに「この買収が成功すれば、」と書いたのは、「契約締結から2カ月間、NextWave Wirelessが森トラストに対して同じ条件で反対売買できるオプションが付帯している」ためです。

80年代以降、日本のコンピュータ・通信・半導体の技術は常に世界のトップクラスを走り、かつソニーのウォークマンに代表されるように、機器の最小化や最軽化の技術では常に他国を圧倒してきました。

特に家電品や音響機器では世界を席巻し、液晶パネルやデジタルカメラの技術でも常に世界をリードしてきました・・・・・・・。

なのにです。世界市場における日本メーカーのケータイのシェアは、ソニーエリクソンの8.5%を除けば、わずか数%にとどまります。あまりにもさびしい話です。

せっかく素晴らしい技術を持ちながら、独自の技術にこだわりすぎて、世界標準から村八分にされた、あのビデオデッキの「ベータマックス」やマイクロソフトのMS-DOSに叩きのめされた「マッキントッシュ」が思い出されます。

マーケティングを無視して、自らの技術に陶酔して自滅した企業の過去の教訓が生かされていないのは実に残念です。

これから何とか起死回生の逆転ホームランを打ってもらいたいものです。「マッキントッシュ」で失敗したアップルが「iPod」と「iフォン」で逆転満塁ホームランをかっ飛ばしたように。

「無料翻訳ソフト」の実力くらべ (第6回)

関係代名詞、関係副詞 (英文和訳)

前回和文英訳で使用した同じ文章を英文和訳してみます。原文の英語は人間が翻訳したもので、ネイティブのチェック済みです。

● 原 文 ●
1. Right now he’s going out with a girl who’s a former Miss California.
2. A woman whose husband is a well-known doctor was killed by someone yesterday.
3. The woman I’m working with is very difficult to get along with.
4. McDonald’s is an American fast-food chain whose popularity has spread all over the world.
5. The neighborhood bank whose business started to drop off is now offering special services to attract new customers.
6. This is the last product I’d have expected to sell like crazy.
7. All you’ve got to do is read from Page 10 to Page 20.
8. This is the bank where one of my uncles used to work as branch manager.
9. See to it that everything is ready by the time he gets here.
10. The reason why I chose to study American studies was because I knew that a good knowledge of America was mandatory for studying English through and though.

【エキサイト翻訳】
1. たった今、彼は前のカリフォルニアさんである少女と外に出ています。
2. 夫が周知の医師である女性は昨日、だれかによって殺されました。
3. 私が働いている女性はやっていくのが非常に難しいです。
4. マクドナルドは人気が世界中で広まったアメリカのファーストフードのチェーン店です。
5. ビジネスが落ち始めた近所銀行は、現在、新しいお客を引き付けるために特殊業務を提供しています。
6. これは私がすごい勢いで売れると予想させる最後の製品です。
7. あなたがしなければならないことは10ページ?20ページまで読まれます。
8. これは私のおじのひとりが以前は支店長としてよく働いていた銀行です。
9. 彼がここに到着する時までにすべてが準備ができているように気をつけます。
10. もっともそして、私がアメリカ研究を研究するのを選んだ理由が私が、アメリカに関する良い知識が英語を勉強するのにおいて突き抜けた状態で義務的であることを知っていたからである。

【Yahoo! 翻訳】
1. たった今、彼は元カリフォルニア嬢である女の子とつきあっています。
2. 夫が有名な医者である女性は、昨日、誰かに殺されました。
3. 私が働いている女性は、やっていくのが非常に難しいです。
4. マクドナルドは、人気が世界中を広げたアメリカのファーストフードチェーンです。
5. 企業が落ち始めた近所バンクは、現在、新しい顧客を引きつけるために、特別なサービスを提供しています。
6. これは、私がすごい勢いで売ると思っていた最後の製品です。
7. あなたがしなければならないすべては、10ページから20ページまで読まれます。
8. これは、私のおじのうちの1人が支店長として働いたものである銀行です。
9. 彼がここに着く頃には、すべてが準備ができているようにしてください。
10. 私がアメリカの学科を勉強するほうを選んだ理由は、私がアメリカについての十分な知識が終わりまで英語を勉強するために、そして、しかし義務的であるということを知っていたからでした。

【翻訳@nifty】
1. 今ちょうど、彼は、旧ミス・カリフォルニアである少女と外出します。
2. その夫が有名な医者である女性は昨日、誰かによって殺されました。
3. 私が一緒に働いている女性は進行するのが非常に難しい。
4. マクドナルドは、その人気が世界中で広がったAmericanファースト・フード・チェーンです。
5. そのビジネスが減衰し始めた近隣銀行は、新しい顧客を引きつけるために今特殊業務を提示しています。
6. これは私が売ることを期待していたであろう最後の製品です、のように、正気でない
7. 行わなければならないオールは10ページから20ページまで読まれます。
8. これは、私のおじのうちの1人がかつては支社長として働いた銀行です。
9. すべてが、彼がここに着く時までに準備ができているように必ずしてください。
10. IがAmerican研究を勉強することに決めた理由は、アメリカについてのよい知識が英語の勉強には義務的なことをIが知っていたからでした、によって、そして、が。

【Google 言語ツール】
1. 今彼は前のさんであるカリフォルニア女の子と出かけている。
2. 夫が有名な医者である女性は誰かによって昨日殺された。
3. 私がと働かせている女性はうまくやり非常ににくい。
4. マクドナルドは人気が世界中で広がったアメリカのファーストフードのチェーン店である。
5. 新しい顧客を引き付けるために落ち始められるビジネス今福祉業務を提供している近隣銀行。
6. これは私が狂気のように販売すると期待しよう最後のプロダクトである。
7. あなたがするなるのは読まれたページから20ページからだけである10。
8. これは私の叔父さんの1つが支店長として働くのに使用した銀行である。
9. 彼がここに着くまでにすべてが準備ができていることをそれに見なさい。
10. 私がアメリカの調査をなぜ調査することを選んだか理由はアメリカのよい知識は英語をそしてしかし調査するために必須だったことを私が知っていたのであった。

【OCN 翻訳ツール】
1. ちょうど今、彼は、以前のカリフォルニアさんである女の子と外出します。
2. 夫が有名な医師である女性は、昨日誰かに殺されました。
3. 私が働かせている と 非常にうまくやっていきづらい 女性。
4. マクドナルドは、人気が世界中で広がったアメリカファーストフードチェーンです。
5. ビジネスのため降り始めた付近銀行は、新しい顧客を引き付けるために、現在特別なサービスを提供しています。
6. これは、私が、クレージーなので、似ていて売ることを予定したであろう最後の製品です。
7. させたすべては、読まれた10ページからページまで20です。
8. これは、私のおじのうちの1人が支店長として働いたものであった銀行です。
9. 彼がここに到着する時間までにすべてが用意できるように取り計らってください。
10. 私がアメリカのよい知識が義務的であると知っていたので、私が、アメリカ研究を勉強することを選んだ理由が通る英語を勉強するようにであったことおよびけれども。

*人間による翻訳*
1. 今彼は元ミスカリフォルニアの女性と交際しています。
2. 夫が有名な医者である女性がきのう誰かに殺された。
3. 私が一緒に働いている女性は、仲良くやってゆくのにむずかしい人なんです。
4. マクドナルドは人気が世界中に広がっているアメリカのファーストフード・チェーンです。
5. 営業成績が落ち始めた近所の銀行が、新しいお客をひきつけるために特別サービスをしている。
6. これが飛ぶように売れるとは私は夢にも思わなかった。
7. あなたはこの本を10頁から20頁まで、読みさえすればよいのです。
8. これは私のおじさんの一人が、元支店長として働いていた銀行です。
9. 彼がここへ来るときまでに、全部準備ができているようにしてください。
10. 私がアメリカ研究を選んだ理由は、アメリカをよく知ることが英語を徹底的に勉強するのに不可欠であることを知っていたからです。

今回の「勝手ランキング」です。

1位 【Yahoo! 翻訳】
2位 【翻訳@nifty】
3位 【エキサイト翻訳】
4位 【OCN 翻訳ツール】
5位 【Google 言語ツール】

携帯業界壊す黒船「iフォン」

2007.7.11 NBonline

アップルは今年中に欧州で、2008年にアジアでiフォンを発売する予定で、「2008年に世界で1000万台」と意欲的な販売目標を掲げている。全米での熱狂ぶりと、iPodが国内の携帯音楽プレーヤーでシェア5割近いことを考えると、日本でもiフォンが爆発的に売れる可能性は高い。ところが、iフォンは日本の携帯電話業界にとって、ビジネスモデルを大きく揺るがす「黒船」でもある。

・・・・(記事の転載ここまで)

どこが「黒船」なのでしょうか?

現在の日本のビジネスモデルでは、各メーカーが携帯電話会社(ドコモ、KDDI、ソフトバンク)へケータイ端末を納入し、その金額を受け取って、そこで全てが終了します。

つまり、ケータイ端末製造メーカーにとって、「納入したケータイ1台につきいくら」が大事なだけで、その後そのケータイ端末を使って、利用者がいくら電話料金やパケット通信料を支払ったか、などはどうでもよいことなのです。

しかし、「iフォン」は違います。「iフォン」は音声通信とデータ通信がセットになった独自の定額制料金プランを採用しているからです。

日本企業にとって、もはや「iフォン」は無視できない存在となっているため、「iフォン」の上陸により、きっと日本のケータイビジネスモデルが根底から覆されることになるでしょう。

私自身、数年前から「iPod」を愛用していて、今や手放すことができません。かつ最近は「SonicStage」からダウンロードしたデータや音楽を「ソニエリ」のケータイで聞いています。

同時に「お財布ケータイ」機能も使っているため、今後もし「iPod」と「ケータイ」を結合して「iフォン」ひとつにした時、「落としたらどうしよう」と今から心配しています。

語学ビジネス市場は縮小傾向に -矢野経済研究所

2007.7.10 英語教育ニュース

矢野経済研究所(東京都中野区、水越孝社長)が7月5日に発表した「語学ビジネス市場に関する調査結果2007 」によれば、2006年度の語学ビジネス市場(語学スクール、学習教材)は対前年比1.7%減の5,542億5,500万円、周辺ビジネス(語学試験市場、留学斡旋市場、通訳・翻訳ビジネス市場)を含めると、対前年比0.1%減の8,126億5,500万円となっている。

・・・・(記事の転載ここまで)

矢野経済研究所のプレスリリースによると、今回の調査対象となった業種は下記のとおり。

外国語学校、出版社、電子辞書メーカー、PCソフトメーカー、e-learning事業者、通信教育事業者、語学学習教材販売事業者、資格試験運営団体、留学斡旋業者、通訳・翻訳ビジネス事業者 等 約200社

そして、上記を2つのカテゴリーに分類しています。

1. 語学ビジネス
外国語学校、出版社、電子辞書メーカー、PCソフトメーカー、e-learning事業者、通信教育事業者、語学学習教材販売事業者

2. 周辺ビジネス
資格試験運営団体、留学斡旋業者、通訳・翻訳ビジネス事業者

そして、各々の市場規模を下記のようにとらえています。

「語学ビジネス」の市場規模を5,542億5,500万円

「周辺ビジネス」の市場規模を2,584億円

上記のような資料を根拠として、「日本の翻訳市場規模は2,000億円」という声が出てきているのでしょうか?統計の精度や信憑性については判断ができませんが、「語学ビジネス」と「周辺ビジネス」の両方を合わせたサンプル社数が約200と言うのは、どうなんでしょうか。うち、翻訳会社は何社入っていたのでしょうか。「語学」や「学習」ビジネスに比べて「翻訳」ビジネスは捕らえにくい職種であるだけに、統計を取るほうも非常に難しいだろう、とは想像できます。

この記事を読み「翻訳ビジネス市場の規模」を詳細かつ納得できるよう調査したら、きっと莫大な費用がかかってしまうのだろうな、と改めて感じます。

外国人の株式売買シェア、最高の58.8%・1-6月

2007.7.7 NIKKEI NET

国内の主要株式市場で2007年上期(1―6月)の外国人投資家の売買シェアが58.8%と前年同期に比べて7.3ポイント増え、半期ベースで過去最高を更新した。世界的な株高で投資余力の増した海外勢の資金が日本の株式市場でも一段と存在感を増している。

・・・・(記事の転載ここまで)

日本のバブルが絶頂だった1989年、三菱地所がニューヨークのロックフェラーセンタービルを2,000億円で買収した時は、アメリカ国民の反感を買い、アメリカで日本脅威論が広まるきっかけとなりました。

私はその当時、そのニュースを知ったアメリカ人から「日本人は月へ行け!」と指を指されたことを鮮明に覚えています。

しかし、その後の米国の不動産不況でロックフェラーセンタービルは莫大な赤字を出すことになり、運営会社は破産。三菱地所は莫大な損失を出して、泣く泣くビルを手放しました。

1990 年11 月には、松下電器が、アメリカの映画・エンタテイメント大手MCA を61 億ドル(約7800 億円)で買収。

アメリカでは、デトロイト(自動車)、ハリウッド(映画)、メジャー・リーグ(野球)の3 分野で、外国企業が買収することはタブーとされてきただけに、松下電器のMCA買収劇は、「日本がアメリカの魂を買った」と、センセーショナルにとりあげられました。

しかしその4年後、松下電器は大損失を抱えながら、MCAをカナダの会社へ売却することになります。

これ以外にもバブル期の日本企業は、オーストラリアのゴールドコーストやハワイのワイキキ等、外国不動産を大量に買いあさり、目も当てられないほどの損失を抱えて倒産しています。

日本の大手銀行の元役員だった方の話によると、買った後に現地の法律を変えられたことも、倒産の引き金になった大きな原因の一つと聞いています。

「日本人は金儲けはうまいが、金使いが下手な恰好のカモ」と外国人から揶揄される所以です。

今、世界は空前絶後の「人類史上最大の好景気」を迎えています。

IMF(国際通貨基金)の2007年4月の統計によると、
世界全体の経済成長率は、

2006年は、5.4%(実 績)
2007年は、4.9%(見通し)
2008年は、4.9%(見通し)

今こそ日本は、過去の失敗の教訓を生かして、バブルで失ったお金を ”したたかに取り戻して欲しい” ものです。

韓国、輸出が17カ月連続2けた増加…対日貿易は赤字増える

2007.7.3 中央日報

(韓国の)輸出が17カ月連続で2けた増加率を記録し、月間基準で過去最高を更新した。ウォン高や原資材価格の高騰にもかかわらず、輸出がこのように増加しているのは、オイルダラーの影響で造船・プラント・鉄鋼の輸出が急増しているためと分析された。 一方、対日本輸出は円安の影響で停滞している。

・・・・(記事の転載ここまで)

韓国の輸出が好調のようです。輸出先は米国や欧州の先進国よりもASEANやBRICsなどの新興国向けが好調で、船舶、鉄鋼、一般機械、石油化学などの主力品目の善戦が原因のようです。

しかし、一方で上半期の対日貿易赤字は143億9,000万ドル(前年同期比14.4%増)と急増しています。

特に、韓国の輸出が増えるにつれて、日本から輸入される日本製精密機器や光学機器の量が増加し、せっかくの貿易黒字を帳消しにしている、とのことです。

そういえば、数年前あるジャーナリストが、「韓国の某半導体製造メーカーの工場を視察に行ったら、広大な工場の中に設置された半導体製造装置の全てが日本製だった」と驚いていました。

また、世界中の工場で使われている工作用ロボットの大半は日本製であり、さらに工作機械の心臓部である数値制御装置の大半も日本製です。

日本製精密機器、電子部品がなければ、世界の大半の工場は稼動できない、と言っても過言ではありません。また、米国製飛行機の重要パーツの多くが日本製なので、日本メーカーが輸出をやめると、米国の飛行機は飛べなくなる、とも聞いたことがあります。

一見目立たない生産財や電子部品が、貿易立国日本の輸出を支えています。同じく目立たない技術翻訳業界がその裏で一緒に支えている、ということは今更言うまでもありません。

海賊版DVDに独自字幕、翻訳者特定へ…大阪府警

2007.6.27 YOMIURI ONLINE

大阪・日本橋の路上で4月、元暴力団組員や少年らが海賊版DVDを販売していた事件で、大阪府警が押収した外国映画の海賊版DVD15作品中、6作品に正規のものとは異なる日本語字幕が付けられていたことがわかった。

(中 略)

府警や日本国際映画著作権協会(東京)によると、海賊版の翻訳者のペンネームは、英語作品でこれまでに十数人分が確認されている。中には「正規の翻訳よりわかりやすい」「会話にリズム感がある」などとインターネット上で人気を呼ぶ者もおり、正規のDVD発売後も売り上げを伸ばし続ける例があるという。

・・・・(記事の転載ここまで)

暴力団から「おこずかい」をもらってまでも、「翻訳の仕事をしたい」、と考える人たちがいるようです。困ったものです。確信犯はともかく、自分が「犯罪行為」をしている、という自覚もなくやっている人もいるかもしれませんが、「著作権法違反ほう助容疑」になりますから、この犯罪に加担している人たちには、早く目覚めて欲しいものです。

力を誇示したい、字幕翻訳を楽しみたい、実力を試してみたい、という字幕翻訳者予備軍の人たちには、「字幕.in」がお勧めです。特に今は、あの戸田奈津子氏が審査委員長を務める「字幕翻訳コンクール」が開催されています。賞品、賞金も出るようですから、このようなところで是非「実力」を発揮して欲しいものです。

東芝がアメリカの原発受注、総事業費6000億円

2007.6.27 NIKKEI NET

東芝が米電力大手NRGエナジーから原子力発電所を受注することが内定した。同原発は日立製作所・米ゼネラル・エレクトリック(GE)連合が優勢だったが、日本での安定した実績などを訴えた東芝が逆転した。

・・・・(記事の転載ここまで)

今年の3月20日に、このブログの中で書いた、「巨大な原発プラントを建設できるメーカーは世界に、日立、東芝、三菱重工という日本の3社くらいしか存在しない」という業界関係者の話を裏づける結果が続々と出始めています。

1979年のアメリカ、スリーマイル島の原発事故と1986年のウクライナ、チェルノブイリの原発事故以降、世界中で原発に対する猛烈な反対運動が起こりました。それ以後、日本とフランスを除けば、新規の原発建設は先進国では、ほとんど行われていません。

「これからの世の中は原子力の時代」と聞いて、一生懸命原子力分野の勉強をしてきた学生や研究者たちにとって、突如冬の時代が訪れたわけです。アメリカやヨーロッパでも原発関係の技術者の数はどんどん減っていき、相当数が他分野へ移行したと聞いています。

ところがまたまた時代が変わり、近頃の原油高にCO2排出規制の問題も加わり、原発が再び脚光を浴びています。

2003年の東京電力の試算によると、

1キロワット時の発電コストは、
石炭火力 7.2円
LNG火力  7.0円
石油火力 12.2円
水力  10.6円
原子力  7.3円

つまり、コスト的にみれば、原発は石炭やLNGと大差なく、石油や水力よりもずっと安い費用で発電できることがわかります。 また、

1キロワット発電時のCO2排出量は、
石炭火力  887グラム
石油火力  742グラム
LNG火力   478グラム
原子力  0グラム

この流れに乗って、近頃アメリカで30年ぶりに原発を新規建設することに決まりました。一説によると60兆円もの膨大な予算を原発建設に費やす計画だそうです。

これからは日本の原発関係、プラント輸出関係の会社は狙い目です。当然、それらに付随する翻訳関係の仕事も急増することでしょう。

生産年齢人口の減少、日本が世界最速・OECD分析

2007.6.26 NIKKEI NET

経済協力開発機構(OECD)は25日、世界の労働力移動などを分析した2007年版の「国際移住アウトルック」を発表した。

・・・・(記事の転載ここまで)

日本の人口がこれから減少に転じて行くことはすでに広く知られていますが、中国やアメリカの人口が急増していることはあまり知られていません。

下記のデータは総務省・統計局のデータを私が編集したものですが、中国の人口は、過去11年間でなんと1億1,240万人も増えています。まさに日本の人口と同じ数が、たった11年間で増殖しています。

さらに「一人っ子政策」による抑圧や罰金刑により、戸籍に載っていない中国人が1億人はいる、との噂も絶えません。1億人という数の信憑性はともかくとしても、相当数いることはまず間違いないでしょう。

中国人口推移(単位:100万人)

1995年 1,211.2
2000年 1,267.4
2001年 1,276.3
2002年 1,284.5
2003年 1,292.3
2004年 1,299.9
2005年 1,315.8
2006年 1,323.6

さて、アメリカですが、同じく過去11年間で3,800万人も増えています。先進国のなかでは、突出した増殖ぶりです。ヒスパニック系住民がその原動力となっているため、これからはスペイン語を話すアメリカ人もどんどん増えていくことでしょう。

米国人口推移(単位:100万人)

1995年 263.0
2000年 282.2
2001年 285.1
2002年 288.0
2003年 290.9
2004年 293.6
2005年 296.4
2006年 301.0
(出所:総務省・統計局のデータを編集)

人口の増加はその国の活力を生み出します。アメリカは経済大国でありながら、かつ”若い”これからの国でもあるのです。

今回OECDは各国の2005年の年齢別人口をもとに、2020年までの生産年齢人口を予測しました。2020年までの日本の減少率はマイナス12%と、集計した28カ国中では突出して大きな落ち込みとなっています。一方のアメリカは6%のプラスです。

日本が現在のレベルの生産人口を維持するためには、今後毎年50万人の外国人労働者を受け入れていかねばならない(現在は約2万人)とのことです。

日本人はこれから、日本人だけで「貧しさを分かち合っていく」のか、それとも「清濁併せ呑む、他文化とのダイナミックな融合」を選ぶのか・・・・・・判断を求めらる時代が来ている、と言っても過言ではないでしょう。

「無料翻訳ソフト」の実力くらべ (第5回)

関係代名詞、関係副詞 (和文英訳)

今回は和文英訳を試してみました。

● 原 文 ●
1. 今彼は元ミスカリフォルニアの女性と交際しています。
2. 夫が有名な医者である女性がきのう誰かに殺された。
3. 私が一緒に働いている女性は、仲良くやってゆくのにむずかしい人なんです。
4. マクドナルドは人気が世界中に広がっているアメリカのファーストフード・チェーンです。
5. 営業成績が落ち始めた近所の銀行が、新しいお客をひきつけるために特別サービスをしている。
6. この製品が飛ぶように売れるとは私は夢にも思わなかった。
7. あなたはこの本を10頁から20頁まで、読みさえすればよいのです。
8. これは私のおじさんの一人が、元支店長として働いていた銀行です。
9. 彼がここへ来るときまでに、全部準備ができているようにしてください。
10. 私がアメリカ研究を選んだ理由は、アメリカをよく知ることが英語を徹底的に勉強するのに不可欠であることを知っていたからです。

【エキサイト翻訳】
1. He is associating with the woman in former Miss California now.
2. The woman whose husband is a famous doctor was killed by yesterday someone.
3. The woman that I am working together is a person difficult though it does happily.
4. McDonald is a fast food chain in the United States that catches on worldwide popularity.
5. Special is served so that the bank in the vicinity where business results began to fall may attract a new guest.
6. I did not think the dream to sell as this product flew.
7. You only have to read this book from page 10 to page 20.
8. In this, one of the uncles of me is a bank that worked as a former general manager.
9. Everything must be prepared by the time of which he comes here.
10. The reason why I chose American studies is that it knows it is indispensable so that knowing the United States well may thoroughly study English.

【Yahoo! 翻訳】
1. He associates with a woman of former mistake California now.
2. The woman who was the doctor that a husband was famous was murdered yesterday by somebody.
3. The woman whom I commit together is a person hard to please to do it peacefully.
4. The McDonald is the American fast food chain which popularity spreads through all over the world.
5. I give a service in particular so that the neighboring bank where has begun to lose a business grade attracts a new visitor.
6. I never dreamed that these products were selling like hot cakes.
7. You have only to read this book from page 10 to page 20.
8. This is the bank which one of my uncles committed as a former branch manager.
9. By time when he comes to here, please be all ready.
10. The reason why I chose Americanology as is because I knew that it is indispensable to know U.S.A. well to study English thoroughly.

【翻訳@nifty】
1. He has associated with the woman of former Miss California now.
2. The woman who is a doctor with a famous husband was killed by someone yesterday.
3. The woman whom I am committing together is a person difficult for doing with sufficient relations.
4. McDonald’s is a fast food chain of the United States where popularity has spread all over the world.
5. In order that the bank of the neighborhood from which business results began to fall may attract a new visitor, its service is given specially.
6. I never thought that I sold so that this product may fly.
7. You are what has only to read this book from 10 pages to 20 pages.
8. This is the bank which one of my uncles was committing as a former branch manager.
9. When he comes here, are all ready and please make [ by ].
10. The reason I chose American Studies is that it knew that it was indispensable for getting to know the United States well to study English thoroughly.

【Google 言語ツール】
1. Now he has associated with the original mistake California woman.
2. The woman who is the doctor where the husband is famous killed in yesterday someone.
3. The woman where I work together, although you do chummily, is the difficult person.
4. MacDonald is the fast food chain of America where popularity is spreading in the world.
5. The bank of the neighborhood where business result starts falling, has serviced especially in order to be accustomed to pulling your new customer.
6. In order for this product to fly, it can sell, with as for me you did not think even in dream.
7. It means that you, only reading should have done this book from page 10 to page 20.
8. This one person of my uncle, is the bank where it worked as a former general manager.
9. When he comes to here to, preparation that please makes sure does entirely.
10. Because the reason where I choose the American research although knowing America well studies English thoroughly had known that it is indispensable is.

【OCN 翻訳ツール】
1. He’s associating with the female of Miss former California now.
2. My husband was killed in who the lady who is a famous doctor was yesterday.
3. I’m a difficulty person in the lady’s working together being on good terms and managing.
4. McDonald’s is the American fast food restaurant where popularity is spread in all over the world and a chain.
5. A bank in the neighborhood open results have begun to fall where gives its service especially to attract a new visitor.
6. I didn’t also think these products sold so that it might fly in a dream.
7. You need only to read this book from 10 pages to 20 pages.
8. This is the bank where one person of my uncle was working as a former branch manager.
9. Please be ready completely by the time when he comes here.
10. The reason that I chose a American studies is because I found to know the United States well indispensable to study English thoroughly.

*人間による翻訳*
1. Right now he’s going out with a girl who’s a former Miss California.
2. A woman whose husband is a well-known doctor was killed by someone yesterday.
3. The woman I’m working with is very difficult to get along with.
4. McDonald’s is an American fast-food chain whose popularity has spread all over the world.
5. The neighborhood bank whose business started to drop off is now offering special services to attract new customers.
6. This is the last product I’d have expected to sell like crazy.
7. All you’ve got to do is read from Page 10 to Page 20.
8. This is the bank where one of my uncles used to work as branch manager.
9. See to it that everything is ready by the time he gets here.
10. The reason why I chose to study American studies was because I knew that a good knowledge of America was mandatory for studying English through and though.

今回の「勝手ランキング」は英国人ネイティブに頼んでつけてもらいました。人間の翻訳を100点としたら、それぞれ何点になるかを聞いてみましたが、「点数をつけることは難しい。ただ【エキサイト翻訳】は6と8を除くその他の文章は、なんとなく意味が想像できるので、印象的だった」とのコメントをもらいました。

1位 【エキサイト翻訳】
2位 【Yahoo! 翻訳】
3位 【OCN 翻訳ツール】
4位 【翻訳@nifty】
5位 【Google 言語ツール】

(この項、続く)

日新、バンコク―ハノイ間の輸送時間を4分の1に

2007.6.25 NIKKEI NET

国際物流中堅の日新はバンコクとハノイ間を66時間(2日と18時間)でつなぐコンテナの陸上輸送ルートを開発した。同区間の輸送時間では最短で、船便で10日前後かかる輸送時間を4分の1近くに短縮できる。アジア経済の一体化で課題とされたタイ―ベトナム間の高速陸上輸送が実用段階に入ることで、同地域に進出する日系企業の生産・販売の効率化につながる。

・・・・(記事の転載ここまで)

日本からベトナムへの直接投資額も輸出入額もここ数年、急増してきています。

日本の対ベトナム直接投資(実行ベース)
(出所:外務省資料)
1999年 0.6億ドル
2000年 0.8億ドル
2001年 1.6億ドル
2002年 1.0億ドル
2003年 1.0億ドル
2004年 2.5億ドル
2005年 3.8億ドル
2006年 9.4億ドル (速報)

対ベトナム貿易
(出所:財務省貿易統計ほか)
輸 入(ベトナム→日本)
1999年 2,230億円
2000年 2,846億円
2001年 3,168億円
2002年 3,163億円
2003年 3,580億円
2004年 4,170億円
2005年 5,016億円
主な輸入品:水産物、縫製品、原油

輸出(日本→ベトナム)
1999年 1,851億円
2000年 2,129億円
2001年 2,164億円
2002年 2,663億円
2003年 3,033億円
2004年 3,438億円
2005年 3,963億円
主な輸出品:機械機器、電子機器、鉄鋼

上記資料の最近の伸び率を見ていると「中国の次はベトナム」という考え方が、現実に動き出しているのがよくわかります。

”中国リスク”を回避するために、ベトナムでの現地生産やオフショア開発に”保険”をかけている日本企業も多いと聞いています。

ベトナム語-日本語間の翻訳が、今後の翻訳業界にどれだけの影響を与えるようになるかは、ここ数年ではっきりしてくるでしょう。

「安さより優秀さ」 情報シス開発、中国シフト加速

2007.6.22 ITmedia News

かつては「安さ」から中国委託を進めてきた情シス各社だが、今や「優秀さ」がその理由になってきている。

企業や官公庁の情報システム構築を手がける国内メーカーが、中国のIT(情報技術)企業への開発委託(オフショア開発)を活発化させている。中国では技術者育成をはじめとするIT産業の土台が急速に整いつつあるからだ。かつてのような安い人件費を当て込んだ委託は影をひそめ、国内情報大手は優秀な人材確保に走る。業界ではインドやベトナムへの注目も高まっているが、各社は安定した開発委託が期待できる中国への依存度を強めている。

・・・・(記事の転載ここまで)

「安いからではなく、優秀な人材が集まるから中国でオフショア開発をする」とは、やはり驚きです。つい最近まで人件費の安さばかりが注目されていたからです。

実際、毎年行なわれる国際数学オリンピック(昨年度は90カ国が参加)では、過去12年のうち9回、中国がチャンピオンに輝いています。中国に優秀なソフトウェアエンジニアが多い、というのもうなずけます。

また、オフショア開発で常に大きな障害となる”言葉の問題”に関しても「大学で日本語を学んだ人材の採用を進めた結果、ほとんどの中国人社員が日本語を話せるようになった」とあります。やはり外国語の習得に関しては、日本人よりも中国人の方が早いようです。

ただし、新たな問題も発生しているようです。

「ネックは人件費の高騰だ。かつては日本の3分の1程度とされたが、中国での開発コストは日本の8割前後にまで高まったとされる。 そのため、ベトナムやインドなどに新たな委託先を探る動きも出ている」とあります。

2年前、私はJETROの「ベトナムITミッション」でベトナムへ行ったのですが、その時も、多くの日本企業がベトナムでのオフショア開発に熱い視線を向けている様子がよくわかりました。

労働コストは中国よりもインドのほうが高い、と聞いていますので、今後ベトナムに更なる注目が集まっていくかもしれません。

5月速報!輸出15.1%増、輸入15.5%増 財務省貿易統計

2007.6.21 財務省

報 道 発 表
平成19年5月分貿易統計(速報)の概要

平成19年5月分については、輸出は自動車、鉄鋼等が増加し、対前年同月比15.1%の増加となった一方、輸入は非鉄金属鉱、通信機等が増加し、15.5%の増加となった。その結果、差引は9.3%の増加となった。

●総額
【輸 出】 金額 6兆5,651億円 (+15.1%) 42ヵ月連続の増加
【輸 入】 金額 6兆1,755億円 (+15.5%) 39ヵ月連続の増加
【差 引】 金額 3,895億円 (+9.3%) 7ヵ月連続の増加
(注)伸率及び増加・減少は全て対前年同月比による。

・・・・(記事の転載ここまで)

日本の輸出総額は、30年前と比べて3.77倍、20年前と比べて2.13倍、10年前に比べ1.68倍拡大しています。同じく輸入は3.50倍、3.12倍、1.77倍拡大しています。

年別輸出入総額表(財務省貿易統計)

暦 年   輸出(千円)   輸入(千円)
1976年 19,934,618,464 19,229,168,610
1986年  35,289,713,887  21,550,717,070
1996年  44,731,311,206  37,993,421,106
2006年  75,246,173,392  67,344,293,072
(このデータの詳細はこちら

まさに「貿易立国日本」を表す数字が明確に示されています。「バブルが崩壊」しても、「失われた15年」があっても、「デフレ経済」があっても、日本の輸出入は着実に増え続けてきたわけです。

さらに今年(2007年)に入っても、大幅に増え続けています。このまま行けば、おそらく対前年度で10%以上の伸びをみせるでしょう。まさに「高度経済成長産業」です。全世界の企業を巻き込んだグローバリゼーションの波は、日本の貿易額を今後も確実に増やし続けていくでしょう。

日本全体の貿易額がこれだけの伸びを見せているわけですから、わが翻訳業界全体も同じ比率で拡大してきたずです。今後も貿易の発展とともに着実に伸び続けていくはずです。

ネットと放送、幅広く規制・総務省研究会中間報告

2007.6.20 NIKKEI NET

総務省の「通信・放送の総合的な法体系に関する研究会」(座長=一橋大学の堀部政男名誉教授)が19日、中間報告を公表した。高速インターネットやネット経由のテレビ視聴の普及で垣根が低くなる通信と放送の縦割りの事業規制を撤廃し競争を促す「情報通信法(仮称)」の制定を提言した。ネットや放送で情報を伝えるメディアを広範囲に規制対象にする案も盛り込んだ。

・・・・(記事の転載ここまで)

ネット上のニュースは情報量が圧倒的に少ないので、紙の「日経新聞」から情報を拾ってみました。

メディア規制は3分類

1.公然通信

ネット上で誰でも見ることができるコンテンツ
(ネット新聞、雑誌、個人のブログ、ホームページ、掲示板など)
→ 全員が守るべき「共通ルール」を作成

2.一般メディア

(CS放送)
→ 緩めの規制

3.特別メディア

(民法キー局、地方局)
→ 強い規制

という案を持っているそうです。

ネット上で「全員が守るべき共通ルールを作成」するのは、確かに何もしないよりはまだマシかもしれませんが、憲法21条で保障された「言論の自由」がある以上、現実問題として「モラル集」や「マナー集」のようなものを作る程度のことしかできないでしょう。

※(参考)日本国憲法 第21条
集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
2 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。

放送局から一般大衆へ一方的に情報を流す旧来の情報メディアに「規制」は有効だったのでしょうが、あらゆる情報が蜘蛛の巣状に世界を一瞬にして駆け巡るWebの世界に、行政の「規制」がどれだけの効果があるでしょうか。

中国政府が現在行っている、検索エンジンやWebsiteへの検閲と規制も、いずれ破綻するのは目に見えています。自然界の原理原則に逆行しているからです。もうこの流れはどんな「権力」を持ってしても止められません。

行政ができることとしたら、教育による啓蒙活動だけでしょう。Web上に流れている情報の大部分は、玉石混交の「石」だということをよく理解させる必要はあります。同時に「玉」を選り分ける方法を大衆とともに考えていくことも大事かもしれません。

また、警察が明らかに「悪い人間」を追跡・特定できるよう、追跡技術を早く確立して欲しいと思います。ただその場合でも「家宅捜索」のように裁判所の許可を得たのち行使するのは当然ですが。

それにしても、「総務省は2010年の通常国会に新法案を提出、2011年に施行したい考えだ」とあります。2011年といったら今から4年後ではないですか。のんびりとした話です。

4年後のネット社会は、現在とは激変しているでしょう。現在のわれわれの常識を超える何かが生まれていると思うからです。

これから、老人たちが額を寄せあって作成する「ネット規制」が4年後にどんな意味を持つというのでしょうか?無駄なことに税金を使わないでほしい、と言うのは少し言い過ぎでしょうか。

川崎重工、中国で最大級造船所・低価格船、韓国に対抗

2007.6.19 NIKKEI NET

川崎重工業は2010年稼働を目指し、中国海運最大手、中国遠洋運輸集団(COSCO)と共同で大連市に中国の造船業で最大級となる造船所を建設する。総投資額は約600億円で、ばら積み船などを建造する。世界的な需要拡大で日本の造船業界は約30年ぶりに国内の生産能力を増強するが、川重は国内では液化天然ガス(LNG)船など付加価値の高い生産に特化。低価格分野は製造コストが安い中国で生産する分業体制を構築し、世界シェアトップの韓国勢に対抗する。

・・・・(記事の転載ここまで)

昨日のこのブログのなかで「国内の製造業に設備不足感が出始めている」と書いたばかりですが、今日このような記事が出てきました。国内の設備に不足感が出れば、海外に生産を委託するか、あるいは合弁で海外に工場を建てるのが一番手っ取り早いわけですから。

また、同じくNIKKEI NETの昨日の記事の中に、「川重、ボーイング新型機の機体工場新設、川崎重工業は米ボーイングの次期中型旅客機『787』の機体工場を愛知県に新設する。約200億円を投じ、2008年末の稼働を目指す」とあります。

さらに、6月15日のNIKKEI NETの中に「川重、橋梁・水門事業からの撤退を正式発表、川崎重工業は15日、橋梁(きょうりょう)と水門事業からの撤退を決めたと正式発表した」とあります。

日本企業の激しいスクラップ&ビルドとグローバル化をまさに絵に描いたような展開が見られます。

ところで、昔英国人から聞いたジョークを思い出しました。

「製品が売れて売れて、生産が追いつかなくなったらどうするか?

日本人は残業しても追いつかなくなったら、休みを返上して大増産に乗り出すでしょう。

アメリカ人は値段を上げるでしょう。

ヨーロッパ人は納期を延ばすでしょう!」

これはバブルのころに聞いたジョークですが、現在のヨーロッパはあのころとはずいぶん違うようです。冷戦の終結で旧東ヨーロッパの国々が西側経済に乱入し、ちょうど日本と中国のような関係になっているからです。

全世界を巻き込んだ経済発展の流れに、日本も乗り遅れないようにしてもらいたいものです。

設備投資の業種別動向

2007.6.18 内閣府

設備投資の動きに先行性がみられる設備過剰感(日銀短観3月調査)を業種別にみると、設備投資が引き続き堅調な電気機械、一般機械、鉄鋼、運輸通信等は直近で不足超となっている(図2)。

setsubi2

・・・・(記事の転載ここまで)

製造業の大部分で、設備過剰感がマイナス、つまり設備の不足感が出始めています。不足した設備をどこで補うのでしょうか?とりあえずは海外への委託生産から始まっていくのでしょうか?

現在景気の良い日本企業は、地球規模で生産し販売網を世界へ広げる大企業および中国需要を満たす素材産業や重厚長大産業だと思います。上記の統計は、大中小企業全てを対象に調査したものだと思うので、設備の不足感が、実際、産業の裾野まで広がっているのならばよいのですが。

携帯電話が手のひらサイズのプロジェクターに──TIのDLPピコ・プロジェクタ

2007.3.30 誠

米Texas Instrumentsは3月26日、米国フロリダ・オーランドで開催されている携帯電話や無線通信技術の展示会「CTIA Wireless 2007」で、同社が開発した超小型DLPプロジェクター「DLPピコ・プロジェクタ」の試作機を公開した。試作機は携帯電話に組み込まれており、携帯電話の画面をスクリーンなどに投影できる。
DLPピコ・プロジェクタは単独でも製品化は可能だが、携帯電話やポータブルメディアプレーヤーなどに組み込んでの利用も想定している
携帯電話からの投影イメージ。DLPピコ・プロジェクタのユニットは非常にコンパクトだ

・・・・(記事の転載ここまで)

ノートパソコンや重たいプロジェクターを持ち歩くことなく、ケータイ1個でプレゼンができるとは夢のような話です。大規模な会議には使えなくても、ちょっとした打合せの場で、会社案内や新製品の発表などに使えればとても便利です。

静画だけでなく動画にも使えるようになれば、音楽や音声をつけて、ちょっとしたミニシアターになるかもしれません。そうなれば、ビジネス用プレゼンはもちろんですが、もっとパーソナルな用途にも広がっていく可能性があります。

米Texas Instrumentsが今年の3月26日に発表した試作品なので、近々新製品として登場すると思いますが、日ごろ車で移動する米国社会よりも、電車での移動が多い日本社会により向いている、と言えるでしょう。日本での新製品発表の時期が楽しみです。

「無料翻訳ソフト」の実力くらべ (第4回)

使役動詞

● 原 文 ●
1. I had the insurance company take care of the damages.
2. My father hardly ever lets me have the car.
3. I didn’t mean to make him lose face in front of everybody.
4. How much did it cost to have the car repainted?
5. Have your teeth examined by Dr. Logan.
6. I had my house broken into last night.

【エキサイト翻訳】
1. 私は保険会社に損害賠償の世話をさせました。
2. 私の父は私に車をほとんど決して持たせません。
3. 私は、彼にみんなの正面で面目を失わせるのを意図しませんでした。
4. それは、車を塗り替えさせるのにいくらかかりましたか?
5. ローガン博士にあなたの歯を調べさせます。
6. 私は昨夜、家に侵入されました。

【Yahoo! 翻訳】
1.私は、保険会社を損害賠償の面倒を見てもらいました。
2.父は、めったに私に車を持たせません。
3.私は、彼を誰の前ででも面目を失わせるつもりではありませんでした。
4.車を塗り直しておくのにいくらがかかりましたか?
5.あなたの歯をローガン博士によって調べられてください。
6.私は、私の家を昨晩押し入っておきました。

【翻訳@nifty】
1. Iは、破損の保険会社取り分注意を持っていました。
2. 私の父親は私にめったに自動車を持たせません。
3. Iは彼に皆の前に面子を失わせるつもりでありませんでした。
4. 自動車を塗り重ねることはいくらかかりましたか。
5. ローガン博士によって歯を診察してください。
6. Iは昨夜へ家を壊しました。

【Google 言語ツール】
1. 私は損傷の保険会社の取得心配を有した。
2. 私の父はほとんど私が車を持つことを許可しない。
3. 私は彼に皆の前の表面を失わせる意味しなかった。
4. どの位それは車を塗り直してもらうために要したか。
5. あなたの歯を先生によってLogan検査してもらいなさい。
6. 私は私の家を昨晩に壊してもらった。

【OCN 翻訳ツール】
1. 私は保険会社に損害を世話させました。
2. 私の父は私にほとんど車を持たせません。
3. 私は、彼に誰の前でも面をなくさせるつもりではありませんでした。
4. それは、車を塗り直させるために、いくらかかりましたか?
5. ローガン博士が歯を調査させてください。
6. 私は私の家を昨晩に分割されました。

*人間による翻訳*
1. 私は保険会社に損害額を払ってもらった。
2. お父さんはめったに私に車を使わせてくれません。
3. みんなの前で彼のメンツを失わさせるつもりはなかったんです。
4. 車のペンキを塗り直してもらうのにいくらかかりましたか?
5. 歯をローガン先生に見てもらいなさい。
6. 私は昨夜強盗に入られたんです。

今回の実験では、【エキサイト翻訳】と【Yahoo! 翻訳】は思ったよりも、正確に翻訳できているなという印象です。なんとなく意味がわかるからです。それに反して、【OCN 翻訳ツール】は今回、株が下がりました。やはり内容によってそれぞれ得意不得意があるみたいですね。

今回の「勝手ランキング」です。

1位 【エキサイト翻訳】
2位 【Yahoo! 翻訳】
3位 【OCN 翻訳ツール】
4位 【翻訳@nifty】
5位 【Google 言語ツール】

(この項、続く)

ヤフー、「Yahoo!グルメ」で入電数に応じて課金されるシステムを8月から開始

2007.6.15 CNET Japan

ヤフーは6月15日、全国約60万件の飲食店情報を検索できる「Yahoo!グルメ」にて、「コール課金」を8月から開始すると発表した。

・・・・(記事の転載ここまで)

ネット社会における「数の力」がまたひとつ動き出した、という感じです。

今回のケースでは、ユーザーからの入電数に応じて課金されるシステムのようですが、全国60万件の飲食店情報に加えて、「Yahoo!クーポン」をいち早く確立したヤフージャパンならでは力技でしょう。

米国を初めとする全世界のほとんどの国で、Googleに圧倒され、旗色の悪いYahoo!ですが、日本でだけはなぜかまだ検索エンジンの利用頻度では、Yahoo!がGoogleを上回っているようです。

一般大衆にとっては、ポータルサイトとしての魅力は、GoogleよりもYahoo!のほうが上だ、と思われているからでしょう。少なくともビジネスユースではなくてプライベートな情報検索においては。

ヤフージャパンの大株主、ソフトバンクがVodafoneを買収したねらいの一つに、ネットと電話通信網との相乗効果をねらった市場戦略があったわけですが、今後この二つを使ったもっと強烈な連携プレーが飛び出してくる可能性も予感させます。

Googleの「SaaS」(Software as a Service)—アプリケーションやサービスをインターネットを通じてエンドユーザーへと供給する—のように、インターネットの「あちら側」で動いている「力」が、莫大な数の力を得た後に、広告収入だけでなく、課金活動を始める可能性も十分考えられます。

オープンソース化された「翻訳メモリー」のサイトを「1回クリックすると1円課金される」なんて時代が来るのかもしれません。

なにせ、Googleのビジョンには「言語を意識せずにインターネットを使えるようにする」というゴールが明記されており、人工知能分野や機械翻訳技術分野の専門家を多数集め、機械翻訳技術の開発を最重要課題としているそうですから・・・・。

輸出単価わずか180円!廉価に泣く時計[製造]

2007.06.14 NNA

税関統計によると、今年1~4月に中国から輸出された各種時計製品が1億8,404万個であるのに対し、金額ベースでは2億8,200万米ドル(約338億円)と、1個当たりの輸出額はわずか1.5米ドル(約180円)程度にとどまっていることが分かった。国内市場でもシェア70%を占めるとされる中国製時計だが、販売額は全体の30%前後にすぎないとのデータもあり、中国製時計の飛び抜けた“チープさ”が改めて浮き彫りになった形。付加価値の低さと大量生産という中国製品独特の構図がこんなところにも表れているといえそうだ。中国消費者報が伝えた。

・・・・(記事の転載ここまで)

製造原価の安いモノのひとつに、「トナー」があります。コピーマシンやプリンターのあの「トナー」です。

電機メーカーC社やR社の業績が絶好調で、すさまじい利益をあげているときに、ある業界関係者が私にこうささやいてくれました。

「新聞報道では、デジカメが絶好調で利益倍増などと出ていますが、あれはウソですよ。本当の利益は、コピーマシンのトナーなんです。だって『砂』を売って毎月客先の1社1社から、何十万円・何百万円ものお金が自動的に入ってくるわけですから、笑いがとまりませんよ」と言っていました。

そこで良心の呵責でも感じたのか、すかさずこう付け加えました。

「でもね、コピーマシンの会社よりも、もっと儲けている会社があるんですよ。なにせ製造原価が1個1円以下のものを、何千円、何万円で販売しているんですから。わかりますか?コンタクトレンズです」

メガネとコンタクトレンズはべらぼうに儲かる、と昔あるメガネ製造業界の人間から聞いたことがありますが、きっと本当なんだろうと思います。化粧品会社も同様です。

残念ながら、翻訳業界は受注産業ですから、1万台売るつもりで作ったら1000万台売れてしまったというファミコンのようにはいきません。

翻訳した1ワードは1ワードであり、それが100ワードや1,000ワードに知らないうちに化ける、ということはありえないのですから。

でもそういえば、「翻訳したら36億円の所得になっちゃった」という翻訳者もいましたね。

隣の芝生は青く見えるものです。

36億申告漏れ指摘のハリポタ翻訳者、日本課税で当局合意

2007.6.12 YOMIURI ONLINE

ベストセラー「ハリー・ポッター」シリーズの日本語版翻訳者の松岡佑子さん(63)が翻訳料など約36億円の申告漏れを指摘された問題で、日本とスイスの両税務当局が、松岡さんの居住地は日本にあり、日本で納税すべきであると合意したことがわかった。

・・・・(記事の転載ここまで)

松岡佑子さんの「ハリ・ポタ脱税」事件は、このブログでも昨年の7月にとりあげましたが、なにはともあれ、36億円の申告漏れという額の大きさにまずは驚きました。翻訳者が”翻訳をして”ここまで所得をあげたということ自体、前代未聞でしょう。

今回、東京国税局と松岡さんとの間で問題となった争点は、松岡さんの移住地は、「日本なのか」あるいは「海外なのか」ということでした。

結局、今回の「合意」により、松岡さんの「移住地は日本」ということに落ち着き、東京国税局は「所得約36億円から源泉徴収分を引き、過少申告加算税を含め約8億円を追徴課税した」とのことです。

しかし、各メディアの情報を調べてみても、相互協議の詳しい合意内容は明らかにされていません。

やはり東京国税局は今回の判断基準を公にするべきでしょう。常々思うことですが、国税局の判断基準は常にあいまいで、行政側の裁量権が強過ぎるからです。

「税法」というものは国会で承認された「法律」ですが、財務省の官僚が作る「通達」は「法律」でもなんでもありません。

しかし、国税当局はその「通達」をあたかも「法律」であるかのごとく振り回してきます。しかもたいていの場合は具体性がなく、結果として税務署担当者の裁量に負うところが大きくなり、判断基準もあいまいになりがちです。

経済のグローバル化が進み、このような「事件」も今後ますます増えていくでしょうから、その意味からも具体的な基準を今のうちにはっきりとさせてもらいたいものです。

2007年版「ものづくり白書」と翻訳業界

経済産業省/厚生労働省/文部科学省

我が国製造業の付加価値生産額が名目GDPに占める割合は、内閣府「国民経済計算」によると、2005年では21.0%であり、長期的には緩やかな低下傾向にある。長期的に低下傾向にあるのは、他の先進国と同様、第三次産業化が進展しており、サービス業の割合が増加していることによる。

・・・・(記事の転載ここまで)

念のため、別の資料(平成18年度国土交通白書)を見てみると、2004年(平成16年)の国内総生産に占める第二次産業の割合は、25.7%、第三次産業の割合は73.1%となっています。

いずれにせよ、「日本のGDPに占めるサービス産業の割合は、7割を超える」と言われる所以です。

それでは、そのサービス産業の内訳を見てみましょう。
(資料「サービス産業の現状と課題」平成16年6月 経済産業省 商務情報政策局 サービス政策課)

●広義のサービス業(=第三次産業)

*電気・ガス・熱供給・水道業
*情報通信業I運輸業
*卸売・小売業
*金融・保険業L不動産業
*飲食店、宿泊業
*医療、福祉
*教育、学習支援業
*複合サービス事業
*サービス業(他に分類されないもの)
*公務(他に分類されないもの)
*分類不能の産業

●狭義のサービス業=上記の「サービス業(他に分類されないもの)」

*専門サービス業
法律、会計、獣医、土木建築サービス業、デザイン業等
*洗濯・理容・美容・浴場業
*その他の生活関連サービス業
旅行業、家事サービス業、冠婚葬祭業等
*娯楽業
映画館、興行場、スポーツ施設提供業等
*自動車整備業
*機械等修理業
*物品賃貸業
*広告業
*その他の事業サービス業
ビルメンテナンス業、警備業、労働派遣業等

経済産業省では、わが国経済におけるサービス産業の重要性を認識し、「新産業創造戦略における重点サービス分野」を下記5分野に大別しています。

1. コンテンツ
2. 健康・福祉・機器・サービス
3. ビジネス支援サービス
4. 観光・集客交流サービス
5. 環境・エネルギー・機器・サービス

さらに各項目を細分類しているのですが、残念ながら「翻訳業」は見当たりません。翻訳に関する正確な市場規模も把握できない状態ですから、当然と言えば当然ですが、理由は下記3点が考えられます。

1. 翻訳市場が細かく散らばりすぎていて、莫大な費用のかかる正式調査に乗り出すのは難しい。
2. 翻訳および翻訳関連業務の明確な定義がなく、作業の線引きが非常に難しい。その捕らえ方によって数字は極端に変わってくる。
3. 複雑な下請け構造を持つ翻訳業界から、重複する売上を除いて、純粋な市場規模を算出する作業は、一筋縄にはいかない。

第4回洋楽翻訳選手権

2007.6.6 洋楽翻訳選手権HP

「洋楽翻訳選手権」とは、洋楽曲の歌詞を全国の中学生・高校生のみんなに自由な発想と新鮮な感性で翻訳してもらう選手権です。 あらかじめ用意された“正解”はありません。 いかに自分たちの“ことば”に翻訳できるかがポイントです。 英語の歌詞を、君だけの“ことば”に翻訳してください。

・・・・(記事の転載ここまで)

この洋楽翻訳選手権、私は知らなかったのですが、主催はセイコーインスツル株式会社で、後援が毎日新聞社とTOKYO FMとなっています。協力・協賛にも数多くの有名企業がならんでいるので結構な規模で開催されているようです。

また最優秀作品に選ばれると副賞として 「1週間のイギリス体験留学」に招待されるそうです。1週間ではちょっと短すぎるとは思いますが、応募資格が「満20歳以下の中高生」となっているので、学校の休みを考えれば、こんなものなのでしょう。

いずれにしてもこの「洋楽翻訳選手権」、プロの翻訳者には関係のない話ですが、お子さんや甥っ子、姪っ子さんに薦めてみたらいかがでしょうか?

「無料翻訳ソフト」の実力くらべ (第3回)

不特定の “we”, “they”, “ you”

● 原 文 ●
1. We had a poor crop of rice this year.
2. In Japan we don’t celebrate Christmas the way they do in the States.
3. In New York they speak English with a slightly different accent than they do on the West Coast.
4. They have almost the same climate year-round in Washington D.C., as we do in Japan.
5. You have more women than men in your company, right?
6. Everything’s delicious when you’re hungry.
7. 90% of Japanese people think they are in the middle class.

【エキサイト翻訳】
1. 私たちには、今年、米の不作がありました。
2. 日本では、私たちがそれらが米国でそうする方法でクリスマスを祝いません。
3. ニューヨークでは、彼らがわずかに米国西海岸でそうするのと異なったアクセントで英語を話します。
4. 彼らでほとんど同じ気候は私たちのようにワシントンDCで1年中にコネまでなります。日本。
5. あなたには、会社に男性より多くの女性がいるんでしょう?
6. あなたが空腹であるときに、すべてが美味しいです。
7. 90%の日本人の人々は、中産階級には彼らがいると考えます。

【Yahoo! 翻訳】
1. 我々は、今年、米の不作を持ちました。
2.日本では、彼らがアメリカを殺す方法で、我々はクリスマスを祝いません。
3.彼らが西海岸でするより、ニューヨークでは、彼らはわずかに異なるアクセントで英語を話します。
4.我々が日本でそうして、彼らはワシントンD.C.に一年中ほとんど同じ気候を持ちます。
5.正しく、あなたにはあなたの会社の男性より多くの女性がいます?
6.あなたが空腹なとき、すべてはおいしいです。
7. 90%の日本人は、彼らが中流階級でいると思います。

【翻訳@nifty】
1. 私たちは、今年米の貧しい作物を持っていました。
2. 日本では、それらが米国で行うように、私たちはクリスマスを祝いません。
3. ニューヨークでは、彼らは、西海岸で行うとはわずかに異なっているアクセントを持った英語を話します。
4. それらはワシントンのD.C.において一年中のほとんど同じ気候を持っています、として、私たち、に、日本で。
5. 会社の男性より多くの女性がいますね。
6. あなたが空腹の場合、すべてはおいしい。
7. 日本の人々の90%は、それらが中流階級にあると考えます。

【Google 言語ツール】
1. 私達に米の貧しい穀物が今年あった。
2. 日本で私達はクリスマスをそれらが州でする方法祝わない。
3. ニューヨークでそれらはわずかに別のアクセントと西海岸でするより英語を話す。
4. それらはWashington D.C.で日本のに私達として、一年中同じ気候をほとんど有する。
5. あなたの会社、権利で人よりより多くの女性があるか。
6. すべては空腹なときおいしい。
7. 日本の人々の90%は考える中流階級にあることを。

【OCN 翻訳ツール】
1. 私達は今年米の不作を持っていました。
2. 日本では、私達は、クリスマスを、米国でそれらがする方法で祝福しません。
3. ニューヨークでは、ウェスト・コーストでそれらがするより、彼らは、少し違うアクセントによって英語を話します。
4. それらは、一年中ワシントンD.C. それゆえ 日本の中の私達 にほとんど同じ気候を持っています。
5. 会社の人より多い女性を持っていますね?
6. 空腹の時には、すべては旨い。
7. 日本人の90%は、それらが中流階級にあると思います。

*人間による翻訳*
1. 今年はお米が不作でした。
2. 日本ではアメリカのようにクリスマスを祝いません。
3. ニューヨークでは西海岸とは少しちがったアクセントで英語を話す。
4. ワシントンD.C.では、1年中日本とほぼ同じ気候です。
5. あなたの会社では、男性よりも女性のほうが多いのですね。
6. お腹がすいているときは、なんでもおいしい。
7. 日本人の90%は、自分が中流階級だと考えている。

それでは、7の英文を少し変えて、おなじみの “think of A as B” の構文で書き直してみましょう。

● 原 文 ●
90% of Japanese people think of themselves as middle class.

【エキサイト翻訳】
90%の日本人の人々は中産階級として自分たちを思います。

【Yahoo! 翻訳】
90%の日本人は、中流階級として彼ら自身のことを考えます。

【翻訳@nifty】
日本の人々の90%はそれら自身を中流階級と見なします。

【Google 言語ツール】
日本の人々の90%は中流階級として彼ら自身について考える。

【OCN 翻訳ツール】
日本人の90%は自身を中流階級とみなしています。

このように構文を少し変えるだけで、ずいぶんと「正解」に近づくことがわかります。OCNの翻訳などはほぼ完璧と言ってもよいでしょう。逆に言うと、やはり今のところ機械にとっては、不特定の “we”, “they”, “ you” を訳すのが苦手なのがわかります。

今回の「勝手ランキング」です。

1位 【OCN 翻訳ツール】
2位 【翻訳@nifty】
3位 【エキサイト翻訳】
4位 【Yahoo! 翻訳】
5位 【Google 言語ツール】

(この項、続く)

「字幕in」が株式会社に! 戸田奈津子氏監修の字幕翻訳コンクールに採用決定

2007.6.4 字幕inプレスリリース

2007年5月24日、インターネット動画への字幕作成サービス「字幕in」作者の矢野さとるは、同事業を法人化し、「字幕in株式会社」を設立した事をここに発表します。
また、会社化第一号の実績として、2007年9月公開の角川映画「ミス・ポター」を題材とした字幕翻訳コンクールの字幕挿入システムとして採用される事が決定しました。

・・・・(記事の転載ここまで)

このブログの中でも紹介したことがある「字幕in」が株式会社化されました。

この「字幕in」は、YouTubeの動画に好き勝手な字幕をつけて、オリジナルとはまったく別のストーリーを作り上げていく「お遊びサイト」なのですが、なかにはまじめに翻訳作業を行っているサイトもあるようです。

つまり、字幕翻訳者になりたい人が、練習の意味も込めて、まじめに翻訳した字幕を公開し、視聴者の評価で反応を見ているようです。

今回は事業化後の第一号案件として2007年9月全国公開予定の話題作「ミス・ポター」を題材にした、神田外語グループ主催オリジナル日本語字幕翻訳コンクールのシステムとして採用されたそうです。

「ミス・ポター」はピーターラビット®の生みの親、ビアトリクス・ポターの恋と波乱に満ちた半生を描いた物語だそうです。

審査委員長には字幕翻訳の第一人者「戸田奈津子」氏を迎え、優秀作品には豪華商品を進呈予定であり、コンテストの詳細は2007年6月中旬に公開予定・・・・とのことです。

「字幕.in」の1日のページビューは200万で、矢野さとる氏が個人で運営するサイトの合計ページビューは1日500万にも上る、とのことです。

この若干25歳の若者、矢野さとる氏は「ただ者ではない」と思っていましたが、やはり動き出したな、という感じです。

中高年、老人、常識人のような既存の概念にとらわれた人々には理解できない「とんでもない世界」にどんどん挑戦していってほしいものです。

このような「破天荒な若者」がどんどん現れ、思い切り暴れだせば、日本の将来も楽しみになってきます

「無料翻訳ソフト」の実力比べ (第2回)

簡単なビジネス会話の翻訳

● 原 文 ●
A: Do you already know enough about the market?
B: No. We are going to conduct a market survey from now.
A: What kind of survey are you going to make?
B: We are thinking of a survey by questionnaire. The results of the survey should tell us the wants and preference of the customers.

【エキサイト翻訳】
A: あなたは市場に関して既に十分知りますか?
B: いいえ 私たちは今から市場調査を指導するつもりです。
A: あなたはどういう調査を作るでしょうか?
B: 私たちはアンケートで調査を考えています。 調査の結果は顧客の必需品と好みを私たちに言うべきです。

【Yahoo! 翻訳】
A:あなたが市場について十分にすでに知っているDo?
B:いいえ。我々は、今から市場調査を実行するつもりです。
A:調査で親切なWhatは、作りに行くあなたです?
B:Weは、アンケートによって調査について考えています。調査の結果は、我々に顧客の必要と選択を話さなければなりません。

【翻訳@nifty】
A: 既に市場のことを十分に知っていますか。
B: いいえ。私たちは、今からの市場調査を導くつもりです。
A: どんな種類に関する調査をするつもりですか。
B: 私たちはアンケートによる調査について考えています。調査の結果は、私たちに顧客の必需品および優先権を伝えるべきです。

【Google 言語ツール】
A:既に市場についての十分を知っているか。
B:いいえ。 私達は市場調査を今後行なおうと思っている。
A: どのような調査をする行っているか。
B:私達はアンケートによって調査について考えている。 調査の結果は顧客の好みほしいことをことを私達に告げるべきで。

【OCN 翻訳ツール】
A: すでに市場を十分に知っていますか?
B: 私達が現在から市場実態調査を実施しようとしているNo.。
A: どんな種類の調査で作ろうとしていますか?
B: 私達はアンケートによって調査について考えています。 調査の結果は顧客の望みと好みを私達に話すべきです。

*人間による翻訳*
A: もうそのマーケットについては十分知識がありますか?
B: いいえ、これから市場調査を行うところです。
A: どのような調査をしますか?
B: アンケート調査を考えています。その調査結果から顧客の望みや好みがわかるはずです。

第1文に関しては【翻訳@nifty】と【OCN 翻訳ツール】がほぼ正解に近く、その他はダメでした。
第2文に関しては、【Yahoo! 翻訳】と【Google 言語ツール】がほぼ正解に近く、その他はダメでした。
第3文・第4文に関しては、全滅です。

各翻訳エンジンは、文法事項によってなにか癖があるのかどうか、を確かめるために、次回からはもう少し的を絞った原文を探してきて、試してみようと思います。

今回の「勝手ランキング」は、「どんぐりの背比べ」と言うことで、「ランク付け不能」とします。

(この項、続く)

国内IT市場:2007年は2.1%増の12兆2474億円、2011年に13兆円強–IDC予測

2007.6.1 CNET Japan

調査によると、2006年の国内IT市場規模は、前年比2%増の11兆9948億円。同社による予測では、2007年に12兆2474億円(前年比2.1%増)に拡大。また、2006~2011年の年間平均成長率は1.7%と試算しており、2011年のIT市場規模は13兆788億円に達すると見込んでいる。
(中 略)
また、2007年以降は、2008年4月に始まる日本版SOX法の適用などにより、上場企業を中心とした、内部統制のためのIT投資が国内IT市場を押し上げると予測している。

・・・・(記事の転載ここまで)

「日本版SOX法」とは、

「相次ぐ会計不祥事やコンプライアンスの欠如などを防止するため、米国のサーベンス・オクスリー法(SOX法)に倣って整備された日本の法規制のこと。上場企業およびその連結子会社に、会計監査制度の充実と企業の内部統制強化を求めている」

とあります(→詳細はこちら)

米国最大のエネルギー会社だったエンロンが、2001年12月、チャプター11(米連邦破産法11条)を適用して破綻しました。米国最大級の会計事務所アーサーアンダーセンと共謀の上、簿外で巨額の負債隠しを行っていたという不正会計事件でした。

私が学生だった、70年代後半から80年代前半のころ、米国の経済学、会計学、経営学は常に光り輝く憧れの的でした。日本の企業会計と監査の仕組みと米国のそれとは、まるで日本のプロ野球とメジャーリーグ(当時は大リーグと呼んでいました)の違いのように、比べることすらナンセンスであるかのごとく、偉大な存在だったのです。

しかし、その後野茂やイチローがメジャーリーグで大活躍するのを見につけ、日米野球の力の差がそんなにないことに気がつき始めました。

同様に、2001年に米国のエンロン事件を知ったとき、私は「ブルータス!おまえもか!」という思いで、驚愕しながら事件を注目していました。あのアメリカがこんなずさんな会計システムや監査システムを持っていたとは、夢にも思わなかったからです。

ただその後のアメリカの対応のすばやさは、さすがでした。大統領の鶴の一声で委員会が設置され、2002年4月には下院議院で可決、同年7月には各種不正会計事件への対応法案、SOX法が成立したのです。この迅速な対応や危機管理だけは、決して日本にはマネのできない、アメリカのすごいところでもあります。

さて、日本ではこの「日本版SOX法」が来年の4月からいよいよ施行されます。これによりIT関連への投資が一段と強まっていくという見方が強いようです。

企業のグローバル化に伴い、企業会計も国際化し、きわめて複雑になってきました。粉飾、脱税、資産隠し、所得隠しの手口もまさにグローバル化し、「見解の相違」もまたグローバル化してきているわけです。

この21世紀、金融や会計にともなう翻訳需要はますます重要性を帯び、需要もいちだんと拡大していくことでしょう。

傘の輸入がピーク/横浜

2007.6.1 神奈川新聞

梅雨入りを前に、横浜港で傘の輸入がピークを迎えている。横浜税関によると、国内で販売されている傘の約九割は輸入品で、輸入量は年々増加傾向にあるという。

・・・・(記事の転載ここまで)

100円ショップで初めて100円傘を見たときは、本当にびっくりしました。少々安っぽくはありますが、十分に使える傘だったからです。

傘の需要は雨季と乾季で大きく異なり、乾季前の傘工場では、遊休設備と遊休社員の処置に頭を抱えていたそうです。

そこに目をつけた日本の100円ショップの経営者が、中国奥地にある傘工場へ乗り込み、中国人経営者と交渉して「設備と人が空いている時のみ生産する」という条件で100円傘の生産を委託したそうです。

華僑に代表されるように、中国人の商魂はたくましいと思うのですが、その上を行く「燃える商魂」のような持ち主が、やはり日本人にもいるものなのですね。

おかげで私たちは、非常に安い傘を手に入れることができるようになりました。私が子供のころ傘は貴重品で、1本数千円しました。電車に置き忘れなどしたら、必ず遠くの駅まで受け取りに出かけたものです。

今の時代、傘を受け取るために電車で往復したら、その電車賃だけでいったい何本の傘が買えるでしょうか?いまや傘は「使い捨て」の時代となってしまいました。

それどころか傘を買う必要もありません。駅で雨に遭遇したら、遺失物預かり所へ行き、「先日傘を忘れました。黒のジャンプ傘です」と言えば、「好きなだけもって帰れ」と束で渡してくれるでしょう。

まあ、これは冗談ですが、それほど”モノ”の値段が安くなった、ということです。「使い捨てる」ことは決して本望ではないのですが、修理の費用と新品に買い換える費用とを比べると、どうしても二の足を踏んでしまいます。

傘、靴、自転車、スポーツ用具、その他の日用雑貨はもちろんのこと、洋服や家電品やパソコン、ケータイ等の電子機器類も、人件費の安い中国や東南アジアで生産しているため、本当に安く買えるようになりました。

しかし、それを日本国内で修理しようとすると、日本人の人件費がかかってくるため、ひどい場合は、新品を買い直すよりもお金がかかったりします。

これからは地球環境を保護するためにも、「モノのリサイクルを義務付ける法律」が、より強化されてくることでしょう。

そういえば、わが翻訳業界にも「翻訳メモリー」というリサイクル品が出回るようになりました。これは”モノ”ではないので、あまりありがたい話ではないのですが、やはり時代の流れなのでしょうね。

台湾・英業達:大陸の翻訳ソフト市場に参入

2007.5.30 中国情報局

台湾の英業達(Inventec)は22日、中国大陸のソフトウェア市場へ参入すると発表した。世界に先駆け翻訳ソフトの「Dr.eye譯典通8.0」シリーズを投入する。

(中略)

英業達によると、世界の翻訳市場は年間売上が130億ドル以上で、そのうちアジア太平洋地区が30%を占める。現在の中国大陸の翻訳ソフト市場は、パソコンと携帯電話向けを含めても2億元足らず。一方、学習機器などハード市場は十数億元の規模があるため、今後の市場拡大に期待が持てるという。

・・・・(記事の転載ここまで)

「英業達によると、世界の翻訳市場は年間売上が130億ドル以上」とあります。これを今日の為替レートをもとに計算すると、

130億ドル×122円=約1兆6,000億円弱 ← (全世界の翻訳市場の規模)

1兆6,000億円×30%=約4,800億円 ← (アジア太平洋地区の翻訳市場の規模)

となります。一方、「中国大陸での翻訳ソフトの市場規模は、2億元足らず」とあります。日本円に直すと、2億元×15.9円=32億円弱 となります。

数字の根拠は何も示されていませんが、例によって翻訳の市場規模を過大評価しているフシがあります。

日本最大の翻訳会社「翻訳センター」の年間売上高が40億円であることや、翻訳支援システムで世界に先行した「TRADOS社」が、思ったよりも成長せずに、SDL社に身売りしてしまったこと、から判断しても、そんなに巨大なマーケットが存在するとはとても思えません。もっとも、正確なところは誰も知らないわけですから、すべて想像の域を出ませんが・・・・。

ただ、本当に使える良い翻訳ソフトが完成すれば、新たな市場が創造され、また違った展開が生まれてくる可能性も否定できません。

信越化、米で1000億円投資・三井化はアジア強化

2007.5.30 NIKKEI NET

信越化学工業は水道管などに使う塩化ビニール樹脂で、1000億円を投じて米国に原料の工場を2010年にも新設する。最大市場の北米で原料からの一貫体制を築き、世界最大手の地位を固める。三井化学は自動車やパソコン向け耐熱性樹脂の原料の工場をシンガポールに300億円超をかけて新設する。国内化学大手が国際競争力の高い製品を軸にグローバル化を加速し始めた。

・・・・(記事の転載ここまで)

信越化学工業株式会社のホームページの2007年決算説明資料から拾ってきたデータです。

(セグメント別 連結売上高)
有機・無機化学品 7,084億円(11.3%増)
電子材料     4,794億円(32.6%増)
機能材料・その他 1,169億円(10.1%減)

(セグメント別 連結営業利益)
有機・無機化学品 1,067億円(10.9%増)
電子材料     1,066億円(63.4%増)
機能材料・その他  276億円(14.9%増)

と、電子材料部門の売上・営業利益の伸びが際立っています。
さらに、電子材料事業の推移・現況(連結)のページを見ると

・半導体シリコン
携帯電話、パソコン、デジタル家電、自動車など幅広い分野でデバイス需要が拡大し(中略)売上、営業利益とも大幅に増加した。

・電子産業用希土類磁石
パソコン、サーバー、映像記録機器用途等のハードディスクドライブ向けが好調で、売上は大幅に増加した。

・その他電子材料
フォトレジスト製品は、デバイスの微細化が進む中、ArFレジストの本格採用が進み、売上、営業利益を大幅に伸ばした。

とあります。電子材料部門の売上の85%を「半導体シリコン」が占めていて、会社全体の売上をみても「半導体シリコン」が稼ぎ頭であることがわかります。さすがに「半導体シリコン」世界No.1シェアを誇る企業だけのことはあります。

ただし、今回信越化学が米国に建設する工場は、「半導体シリコン」のためではなく、水道管などに使う「塩化ビニール樹脂」を製造するため、と記事にはあります。さすがに懐の深い企業です。

2006年の年初、日経新聞が上場企業のトップ相手に「今後最も発展する企業はどこか?」というアンケートを行いました。その際、No.1の地位を占めたのが信越化学だったと記憶しています。

いずれにせよ、企業が海外に工場を建設すると、膨大な量のドキュメントの翻訳需要が発生するものです。しばらくの間、信越化学が翻訳業界の目玉になるかもしれません。

「無料翻訳ソフト」の実力くらべ (第1回)

5種類の翻訳エンジン

Googleで「翻訳」を検索した時に、1ページ目(TOP10)に表示される「無料翻訳ソフト」を出現順に並べてみました。

1位 エキサイト翻訳
2位 Yahoo! 翻訳
3位 翻訳@nifty
4位 infoseekマルチ翻訳
5位 livedoor 翻訳
6位 Google 言語ツール
7位 OCN 翻訳ツール

上記に「ATLAS」「AltaVista」「So-net翻訳」の3つを加え、合計10個の無料翻訳ソフトに同じ文章を訳させてみた結果が下記です。

● 原 文 ●
I have an urgent matter that I want to discuss personally with you. Could I see you tomorrow morning? Only five or ten minutes will do.

【エキサイト翻訳】
私には、直接あなたについて話し合いたいと思う緊急事項があります。 私は明朝、あなたに会ってもよいですか? ほんの5分か10分が大丈夫です。

【Yahoo! 翻訳】
私には、私が個人的にあなたと話し合いたい緊急の問題があります。私は、明日の朝にあなたに会うことができましたか?わずか5または10分でも、良いです。

【翻訳@nifty】
Iは、あなたと個人的に議論したい緊急事項を持っています。Iは翌朝あなたに会うことができましたか。5分あるいは10分だけが間に合うでしょう。

【infoseekマルチ翻訳】
私には、私が個人的にあなたと話し合いたい緊急の問題があります。私は、明日の朝にあなたに会うことができましたか?わずか5または10分でも、良いです。

【livedoor 翻訳】
Iは、あなたと個人的に議論したい緊急事項を持っています。Iは翌朝あなたに会うことができましたか。5分あるいは10分だけが間に合うでしょう。

【Google 言語ツール】
私は私があなたと個人的に論議したいと思う緊急な問題を有する。 私は明日の朝会うでしようか。 5か10分ただする。

【OCN 翻訳ツール】
私は、私があなたと個人的に議論したい至急の問題を持っています。 私は明朝あなたに会ってさしつかえありませんか? ほんの5または10分がします。

【ATLAS】
私には、直接あなたについて話し合いたいと思う緊急事項があります。 私は明朝、あなたに会ってもよいですか? ほんの5分か10分が大丈夫です。

【AltaVista】
私は私があなたと個人的に論議したいと思う緊急な問題を有する。私は明日の朝会うでしようか。5 か10 分ただする。

【So-net翻訳】
Iは、あなたと個人的に議論したい緊急事項を持っています。Iは翌朝あなたに会うことができましたか。5分あるいは10分だけが間に合うでしょう。

*人間による翻訳*
あす午前中にお目にかかれないでしょうか。ちょっと緊急の要件で個人的にお話ししたいと思いまして。5分か10分で結構です。

まったく同じ結果が出たサイトがあり、それをグループに分けると下記の5つになりました。

第1グループ
【エキサイト翻訳】【ATLAS】

第2グループ
【Yahoo! 翻訳】【infoseekマルチ翻訳】

第3グループ
【翻訳@nifty】【livedoor 翻訳】【So-net翻訳】

第4グループ
【Google 言語ツール】【AltaVista】

第5グループ
【OCN 翻訳ツール】

同じ翻訳エンジンのサイト同士を比べても意味がないので、下記の5つのサイトに絞って、これから何回かにわたって翻訳の「実力くらべ」をしていきたいと思います。

【エキサイト翻訳】
【Yahoo! 翻訳】
【翻訳@nifty】
【Google 言語ツール】
【OCN 翻訳ツール】

さて、今回の結果ですが、【エキサイト翻訳】と【OCN 翻訳ツール】は、”Could I ~?” をなんとか依頼の表現としてとらえています。

【Yahoo! 翻訳】では、「明日の朝にあなたに会うことができましたか?」

と「明日の朝」の出来事が「できましたか?」と過去形で表現されています。

最近の日本の若者が使っている「~していただいて、よろしかったでしょうか?」みたいな、気持ち悪い過去形の依頼表現みたいですね。

ただし、【Yahoo! 翻訳】では、”will do” を「~でも、良いです。」ときちんと訳しています。

【エキサイト翻訳】では、「ほんの5分か10分が大丈夫です。」

【OCN 翻訳ツール】では「ほんの5または10分がします。」

と意味をなしていません。両方をあわせて「ほんの5分か10分でもよいです」としていれば、完璧だったのですが残念です。

【Google 言語ツール】は、最初の一文はともかく、後の2文は意味をなしていません。

【翻訳@nifty】にいたっては、 “I” を「私」と訳せずに、「I」と訳してしまう問題外の結果でした。先が思いやられます。

今回の結果の「勝手ランキング」です。

1位 【エキサイト翻訳】
2位 【Yahoo! 翻訳】and 【OCN 翻訳ツール】
4位 【Google 言語ツール】
5位 【翻訳@nifty】

(この項、続く)

他社電子マネーも使えます──流通各社、共通端末で囲い込み本格化

2007.5.28 ITmedia News

イオンやセブン&アイ・ホールディングスなどの流通各社が、自社以外の電子マネーでも決済できる共通端末の導入を進めている。共通端末による顧客囲い込み競争の第1幕が本番を迎える。

sk_emoney_02[1]

・・・・(記事の転載ここまで)

私もお財布ケータイ、”モバイルnanaco”を毎日愛用していますが、やはり使い出すと便利なので手放せません。

JRの”スイカ”の利用と共に、小銭を使う機会がめっきりと減りました。そのうちコインを見る日がほとんどなくなるのかもしれません。

通話、メール、デジカメ、ゲーム、検索、各種ダウンロード、ナビに続いて、お金の決済もケータイで行うとなると、次に求められるのは、やはり「翻訳」と「通訳」でしょう。

外国語の雑誌記事をケータイでスキャンすると瞬時に日本語へ翻訳されたり、ケータイに日本語で語りかけると、即座に外国語になって相手に伝わる、という夢のような時代がくるのかもしれません。

翻訳精度、通訳精度さえ問わなければ、技術的にはそう難しいことではないので、近い将来、海外旅行の必須アイテムとしてケータイが利用される日は近いでしょう。

しかし、ビジネスで使えるレベルの翻訳精度にまで上がっていくのかどうかは、難しいところです。その点に関してだけは、はたして、われわれが生きていいる間に実現するのでしょうか?

中小企業とBRICs (その6)

メディアが作ったインド投資ブームを疑う理由――その3

引き続き、日経ベンチャーの中で財部誠一氏が連載している「中小企業とBRICs 熱狂と混沌の市場の中で、日本企業は・・・・・・・」の記事をご紹介しながら、内容を考えていきたいと思います。

(以下、記事の要旨)
ヒンドゥー教を背景に3000年もの歴史を持つカースト制度は、日本人には想像もつかぬ複雑さと重さを持ってインド社会に沈殿している。

・ バラモン(僧侶・司祭階層)
・ クシャトリア(王侯・武士階層)
・ ヴァイシャ(平民・商人階層)
・ シュードラ(上位3カーストの被征服民)
この4つのカーストが広く知られているが、実はこの下にアウトカーストと呼ばれる階層があり、そのアウトカーストもまた、上下二つの階層に分かれている。

さらに身分制度だけでなく、「ごみ拾い」は孫の代まで「ごみ拾い」という徹底ぶりである。インドではよく見合いを募集する新聞広告が出るが、プロフィールには必ずカーストの階層が明記されている。

インドに工場を持つある日系企業を取材すると、管理職は例外なしにバラモン・クシャトリアという上位2階層の出身者だけ、工場労働者はヴァイシャ・シュードラという下位2階層の出身者だけであった。

しかし、例外もある。インド最大の自動車メーカーであり、かつインドで最も成功している日系企業、スズキの鈴木修会長によると、スズキのインドの工場では、同じ食堂で、インド人の工場労働者も管理職も一緒に食事をとっているという。鈴木会長がまず率先垂範して、自らが工場労働者たちと一緒に食事をとり始め、その姿を見たインド人管理職たちも徐々に仲間に加わり、今ではそれが当たり前になっているという。

いずれにせよ、強く、明確な意思を持った経営者でなければインド社会では到底やっていけそうにないだろう。

以上で記事の要旨は終わりです。

この記事を読んで、有名な「たとえ話」を思い出しました。アフリカへ靴を売りに行った2人の日本の商社マンの話です。

商社マンAはこう会社へ報告しました。
「アフリカで靴を売ろうなんて、絶対に無理です。だってみんな裸足ですから」

商社マンBはこう会社へ報告しました。
「最高のビジネスチャンスです!だってアフリカの人は誰も靴を履いていないから」

インドにおけるカースト制度は、きっと日本人の想像をはるかに超える過酷な現実なんでしょう。しかし、日本でも欧州でもかつては厳しい身分社会を経験して現在に至っています。

カースト制度は2,500年続いたという説もあれば、5,000年続いたという説もあるようですが、いずれにせよ300年も5,000年も同じことです。五十歩百歩です。人間の寿命は長くてもぜいぜい50~60年なのですから。

実際、第10代インド共和国大統領、コチェリル・ラーマン・ナラヤナン氏(1921-2005)は、最下層のカーストとして生まれ、最後は大統領にまで昇りつめました。

日本の「士農工商」のように、カースト制度は、職業により身分を区別する制度のようですが、カーストが成立した時期には存在しなかった職業などはカーストの影響を受けにくいそうです。そのため、インドでIT関連事業が急速に成長しているのは、カーストによる差別を嫌った人たちが集まってきているからだそうです。

スズキ自動車の鈴木会長の言う「身分制度なんか関係ない!みんな一緒だ」という考えに、必ず多くのインド人たちが賛同するはずです。成功している日系企業が少ないだけに、逆に大きなビジネスチャンスなのかもしれません。

(この項、終わり)

グーグル、検索結果を翻訳表示する新「Google Translate」を公開

2007.5.24 PC online

米グーグルは、異なる言語で書かれたWebサイトを検索して、その結果を翻訳して表示する新機能を公開した。ベータ版として公開している翻訳サービス「Google Translate」の一機能として提供する。

・・・・(記事の転載ここまで)

「翻訳会社」をキーワードにして、”My language” を ”Japanese” に設定して検索してみました。左側に翻訳された日本語(?)のサイト一覧、右側に原文の英語サイト一覧が出てきました。そのなかから適当なサイトと文章を選んで、その翻訳文を原文と比較したものが下記です。試しに同じ英語の原文を「エキサイト翻訳」と「Yahoo! 翻訳」でも機械翻訳してみました。

【原 文】
Use our free tools
Free Website Translation
Wouldn’t it be great if the non-English speaking visitors to your website could translate it with a simple click of the mouse? Well now they can, by simply adding a piece of FREE code to your website. How great is that!

【Google Translate の翻訳結果】
私達の自由な用具を使用しなさい
ウェブサイト翻訳を解放しなさい
それはあなたのウェブサイトへの英語を話さない訪問者がマウスの簡単なかちりと言う音とそれを翻訳できれば大きくないか。 井戸今彼らはあなたのウェブサイトへ自由なコードの部分を単に加えることによって、できる。 大きいそれがいかにか!

【エキサイト翻訳の翻訳結果】
私たちの無料のツールを使用してください。
無料のウェブサイト翻訳
あなたのウェブサイトへの英語を話さない訪問者がマウスの簡単なクリックでそれを翻訳することができるなら、幸いでないでしょうか? さて、今、それらは、単に1つの無料コードをあなたのウェブサイトに追加することによって、そうすることができます。 どれくらいすばらしいかは、それです!

【Yahoo! 翻訳の結果】
我々の無料のツールを使用してください
無料のウェブサイト翻訳
あなたのウェブサイトへの英語を母語としない話す訪問客がマウスの単純なクリックでそれを翻訳することができるならば、それは大きくないでしょうか?かなり現在、単にFREEコードをあなたのウェブサイトに加えることによって、彼らはそうすることができます。なんて、偉人はそれであるでしょう!

次に「相撲」をキーワードに検索し、同じことをしてみました。

【原 文】
Japanese Sumo Wrestling is one of the oldest martial arts in Japan. Sumo wrestlers were a favorite subject on Japanese woodblock prints. In contrast to some of the traditional Japanese art forms like kabuki, which has a heavy stand in today’s world, sumo wrestling is enjoying a rising popularity – comparable to basketball in North America or soccer in Europe.

【Google Translate の翻訳結果】
日本にSumo苦闘することは日本の最も古い武道の1つである。 Sumoのレスリング選手は日本のwoodblockの印刷物の好みの主題だった。 従来の日本の芸術的な表現形式のいくつかと対照をなして今日の世界で重い立場があるkabuki、sumo苦闘すること楽しんでいる北アメリカのバスケットボールかヨーロッパのサッカーと対等な上昇の人気を-好みなさい。

【エキサイト翻訳の翻訳結果】
日本のSumo Wrestlingは日本で最も古い武道の1つです。 関取は日本の木版画での好きな科目でした。 今日の世界の重いスタンドを持っている歌舞伎のようないくつかの伝統的な日本芸術フォームと対照して、相撲は上昇している人気を楽しんでいます–ヨーロッパで北アメリカのバスケットボールかサッカーに匹敵しています。

【Yahoo! 翻訳の結果】
日本の相撲Wrestlingは、日本で最も古い格闘技のうちの1つです。相撲取りは、日本の木版プリントの得意分野でした。歌舞伎(それは、今日の世界で重い姿勢をとります)のような伝統的な日本の芸術形式のいくつかと対照的に、相撲は高まる人気を楽しんでいます – 北アメリカでのバスケットボールまたはヨーロッパでのサッカーに相当する。

今回のGoogleの試みは、素晴らしいのですが、残念なことに「翻訳」そのものがまったく使えません。「エキサイト翻訳」や「Yahoo! 翻訳」の翻訳結果と比べれば、その実力差は一目瞭然です。

もちろん「エキサイト翻訳」と「Yahoo! 翻訳」の翻訳結果をそのまま使うことはできませんが、それにしても「機械翻訳」の実力が、着実にアップしてきていることはわかります。正確さは欠いているものの、なんとなく「言いたいこと」がわかるからです。やはり機械翻訳の今後の行方からは、目が離せそうにありません。

中小企業とBRICs (その5)

メディアが作ったインド投資ブームを疑う理由――その2

引き続き、日経ベンチャーの中で財部誠一氏が連載している「中小企業とBRICs 熱狂と混沌の市場の中で、日本企業は・・・・・・・」の記事をご紹介しながら、内容を考えていきたいと思います。

(以下、記事の要旨)
インドは3年連続して8%台の高成長を遂げ、2007年度も7.3%の成長率になると、国際通貨基金(IMF)は予想している。しかもインドは人口10億人の大国だ。

にもかかわらず、2004年11月時点で、中国に進出している日系企業数が約5,000社なのに対して、インドは約300社に過ぎない。

海外からの直接投資が多いアジアの国々
1位  中 国  724億ドル
2位  香 港  359億ドル
3位  シンガポール 201億ドル
4位  韓 国  72億ドル
5位  インド  66億ドル
<国連貿易開発会議(UNCTAD)の2006年の資料より>
つまり、中国とインドを横並びで語ることがいかに無意味であるかがわかる。

なぜ、インドに対する海外からの直接投資がそんなに少ないのか?

インドで成果を上げている建設機械メーカー、コマツの関係者に尋ねると
・ 関税率が高くて部品を輸入するとコストが大幅に高くなってしまう。
・ インド人の平均的ワーカーの給料は高く平均4万円ほど(上海の労働者の平均賃金は3万円前後)
・ 製造コストだけを考えたらインドに進出する理由は見出せない。

また、インド人は理屈っぽく、自己主張が強烈で、インドは労働争議の激しい国として知られている。

このような理由から、日本の大手企業の間では、ポスト中国の投資先として、ベトナムブームが起きている。

以上で記事の要旨は終わりです。

私は2005年9月に「JETROのベトナムITミッション」に参加しました。その時の話をジェスコーポレーションのホームページにも載せているのですが、改めてここでも紹介させていただきます。

「2005年9月に1週間かけてホーチミン市とハノイ市を訪問し、多数のIT関連企業の人たちと話をする機会を持ちました。ベトナムは国民の半数が25歳以下という若い国なので、国全体に活気と熱気を感じました。ちなみに World Fact Book 2005によると、ベトナムの中間年齢は25.51歳で、 中国は32.26歳、日本は42.64歳とのことです。

国民性は真面目、勤勉、正直、シャイで手先が器用で目が良く(確かにメガネをしている人は少なかったでした)、性格的に日本人に近いので扱いやすいとの声(在ベトナム邦人)もありました。

国際数学オリンピックではこの数年間ベトナムは4位(アメリカ、ロシア、中国が1~3位、日本は10位)の座を占めているそうです。基本的に頭がよく理数系の仕事に向いていると思うとのことです(JETROハノイ所長の話)。

IT技術者はほとんど英語をしゃべれると聞いていたのですが、実際にはそう多くないという感じでした。ちなみにTOEICの点数は日本より下で、世界最低とのことです(JETROホーチミン所長の話)。

人口8,300万人の国でITソフトウエア技術者の数が12,000人から20,000人と言われているため、技術者の絶対数があまりにも足りません。そのうえ日本語を理解できる技術者はほんの少数のため、あっという間にキャパシティが満杯になってしまいます。日本メーカーがベトナムに工場を持つと、習熟に時間のかかるIT技術者よりも、手っ取り早く稼げる工場労働者のほうへ日本語の話せる人材が流れて行ってしまう、という心配もあります。

ベトナム政府も今後日本語のできるIT術者の養成に力を入れていく方針ですが、民間企業(ホーチミンにある日本とベトナムの合弁企業)で日本語のわかるIT技術者を独自に育てている会社もあります。日本語のわかるIT技術者を年間50人から100人輩出していく予定で、2005年の時点で、既に第1期生がスタートしています。

日本企業にとっては、工場移転やソフトウェアのオフショア開発の案件のみならず、今後急速に発展していくベトナム経済そのものから目が離せません。」

(この項、続く)

数学学習支援ソフト「Microsoft Math 3.0」

2007.5.16 ITmedia News

初級代数から微積分まで、数学の宿題に頭を悩ませる子どもと親を助けるソフトが登場する。

米Microsoftは5月15日、数学の学習を支援するソフト「Microsoft Math 3.0」を発表した。今月中に同社サイトでダウンロード可能となる予定で、価格は19.95ドル。

・・・・(記事の転載ここまで)

国際数学オリンピック(International Mathematical Olympiad)は、世界の高校生を対象とした、数学の国際大会ですが、昨年度(2006年)は90ヶ国からの参加がありました。

下記は過去12年間のTOP5ヶ国のデータです。

1995年:1位-中国、2位-ルーマニア、3位-ロシア、4位-ベトナム、5位-ハンガリー
1996年:1位-ルーマニア、2位-アメリカ、3位-ハンガリー、4位-ロシア、5位-イギリス
1997年:1位-中国、2位-ハンガリー、3位-イラン、4位-ロシア、アメリカ
1998年:1位-イラン、2位-ブルガリア、3位-アメリカ、ハンガリー、5位-台湾
1999年:1位-中国・ロシア、3位-ベトナム、4位-ルーマニア、5位-ブルガリア
2000年:1位-中国、2位-ロシア、3位-アメリカ、4位-韓国、5位-ブルガリア、ベトナム
2001年:1位-中国、2位-アメリカ、ロシア、4位-ブルガリア、韓国
2002年:1位-中国、2位-ロシア、3位-アメリカ、4位-ブルガリア、5位-ベトナム
2003年:1位-ブルガリア、2位-中国、3位-アメリカ、4位-ベトナム、5位-ロシア
2004年:1位-中国、2位-アメリカ、3位-ロシア、4位-ベトナム、5位-ブルガリア
2005年:1位-中国、2位-アメリカ、3位-ロシア、4位-イラン、5位-韓国
2006年:1位-中国、2位-ロシア、3位-韓国、4位-ドイツ、5位-アメリカ
国際数学オリンピック、Wikipediaより

過去12年間で、なんと中国が9回も首位を取っています。日本は1990年からこの大会に参加したのですが、最低が20位、最高が7位で、過去17年間の平均順位は、12位となっています。

日本は、数学に強い人たちがたくさんいる、とばかり思っていたのですが、どうやら事実は違うようです。

「昔の日本人は数学が強かった」と言う人もいますし、私もそう思いたいのですが、実は正確なモノサシが残されていないので、実際のところどうなのかはわかりません。少なくともこの国際数学オリンピックでの日本の成績を見る限りでは、日本は最初の5年間の平均順位は14位で、直近5年間の順位は9.6位ですから、徐々にとはいえ、日本の「数学力」は着実に上がってきているようです。

また、最近よく言われていることに「インド人は数学に強い」という話がありますが、この国際数学オリンピックの結果を見た限りではそれもあたっていないようです。

この結果が国民の数学力の全てを表すとは思いませんが、上位に名を連ねる、中国、アメリカ、ロシアという大国の面々を見ていると「技術立国日本」の将来に、一抹の不安を感じてしまいます。

日の丸半導体、再生への最後の選択

2007.5.11 NB online (ドイツ証券:佐藤文昭)

電機業界というのは、1970年代から90年代にかけて日本の一流大学を出たものすごく優秀な人が大量に入社しましたよね。社員のクオリティーとかモチベーションの問題じゃないんです。構造を変えなければどうにもならないんですよ。手遅れにならないうちに。

今はまだ80年代、90年代前半ぐらいまでにやっていたR&D(研究開発)の蓄積があるから技術的な優位性もあります。R&Dというのは10年とか20年後に効いてくるからです。しかし、現在は各社R&Dを削り落としています。マージンを上げるためにはやめざるを得ないんです。10年後は技術的優位性すら失っているかもしれません。

・・・・(記事の転載ここまで)

韓国のサムスン電子では、世界の超一流大学の大学院修了生を破格の待遇で採用し、最先端の研究設備と潤沢な研究資金を与えて研究開発を行わせているそうです。もちろん日本からも、有名大学院の中から、さらにトップクラスの修了生らが多数採用されている、とその筋に詳しい方から聞いたことがあります。

加えて、現在成田空港、羽田空港では、金曜日の夜発、日曜日の深夜着のアジア向け航空チケットが常に満席だそうです。日本企業で”熟練工”だった人たちが、中国・韓国をはじめとするアジア諸国の企業からアドバイザーとして雇われている、とのことです。

”日当10万円”なので、土日で20万円の報酬を受け取れば、飛行機代プラス宿泊代を払っても、”儲け”が出る、とのことです。貴重な技術を持つ日本の熟練工が、日本企業では冷遇され、その技術を生かす場がありません。

その点、現在発展途上の新興国では、そのような重厚長大にかかわる技術者が”ひっぱりだこ”なのだそうです。教える側の日本の熟練工の人たちにとっても、熱意のない日本の若者よりも、目を輝かせて、熱心に耳を傾けるひたむきなアジア各国の青年達に、ついつい熱が入ってしまう、というのもうなずけます。

しかし、こんなことで日本製造業の未来は大丈夫なのでしょうか?

天然資源の”ない”日本国が世界に誇れるものは、”人材資源”だけです。「研究開発」と「技能の継承」に関し、国を挙げて対策を練るべき時期に来ている、とつくづく感じます。

もっとも、国では「中小企業の研究開発促進」と「人材の再雇用の促進」策を打ち出しているようですが、はたしてこれで効果は出てくるでしょうか?

トヨタ自動車 営業利益2兆円超

2007.5.10 asahi.com

トヨタ自動車の営業利益が日本企業で初めて2兆円を超えた。1兆円突破からわずか5年で倍増した。その規模は電力10社や大手家電6社の各業界の営業利益の合計をもしのぐ。売上高は約24兆円と、ほぼロシアの国家予算並みだ。利益世界ランキングでは超原油高や金融市場の膨張を背景に石油会社や金融会社が上位を占めるが、トヨタはものづくり企業としてトップ級の地位をしっかりと固めている。

・・・・(記事の転載ここまで)

米フォーブス誌の「世界の企業の当期利益ランキング」によると、トヨタがTOP15に入っていますが、トヨタと7位のファイザー(製薬会社)を除けば、残りは全て石油会社と金融会社です。

この石油会社と金融会社、正直なところ私はあまり良い印象は持っていません。米英系の大手石油会社が、過去と現在の軍事力をバックに発展途上国から利権を吸い取り、現代社会に不可欠の石油を独占して、大儲けしている構図が透けて見えるからです。

第6位のゼネラル・エレクトリック社(米)は、あの発明王エジソンが創立した電機メーカーであり、”世界一の経営者”の称号を得た、あのジャック・ウェルチ元会長が率いた会社でもあります。しかし、ウェルチ会長在任中に、ゼネラル・エレクトリック社は、電機メーカーから金融会社へと変貌し、現在では「総合」という奇妙な業種に分類されています。

「職業に貴賎はない」という言葉があります。しかし「他人のふんどしで相撲をとる」金融業者がこのような巨万の富を得ていることに、正直大いなる疑問を感じます。

前々年度、トヨタは8,023億円の営業利益を海外、つまり日本以外の国からあげていますから、昨年度はさらに多くの利益を海外から稼いでいることでしょう。しかし、トヨタは製造業であり、額に汗して働く”実業”企業です。

その他の企業は全てが”虚業”、とまでは言いませんが、やはり強大な政治力と軍事力をバックに持つ”武力軍団”に見えて仕方がありません。

”地に足のついた”日本の製造業が、今後も大いに発展していくことを願ってやみません。

こんなに違う世界の携帯電話市場

2007.5.9 NBonline

現在、世界の携帯電話利用者数は24億人を超えている。

1位 中 国  (約4億6000万人)
2位 米 国  (約2億3000万人)
3位 ロシア  (約1億5000万人)
4位 インド  (約1億4000万人)
5位 ブラジル (約1億人)
6位 日 本  (約9600万人)

BRICs と米国、日本が上位を占め、この6カ国だけで約12億人、世界の全利用者の半数を占めている。
端末メーカーの世界シェアは、下記の3社で世界市場の7割近くを占有している(米IDC調べ)。

1位 フィンランドのノキア  (35.5%)
2位 米国のモトローラ     (17.7%)
3位 韓国のサムスン電子   (13.6%)

日系企業としては、ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズのみが8.5%のシェアを確保しており、唯一世界市場で存在感を見せている。その他のパナソニックモバイルコミュニケーションズ、NEC、シャープなどの日系企業は、全社を足しても世界市場におけるシェアは数%にとどまる。

下記の図は、横軸にMOU(月々の携帯電話通話時間)、縦軸にARPU(1カ月当たりの携帯電話利用料)に占めるデータARPUの割合を示している。世界の主要60カ国程度をマッピングしたもので、これだけでも日本市場が異質なことが見て取れる。

世界携帯
(出所:各事業者公表資料を基に野村総合研究所推計)

中国の各市省別の携帯電話普及率トップ

中国携帯
(出所:信息産業部より野村研究所推計)

日本とロシアにおける携帯電話利用者数の増加推移
ロシア携帯
(出所:ロシア市場は、 informa telecom&mediaより、日本市場はTCAより。2007年は野村総合研究所推計)

・・・・(記事の転載ここまで)

まず、日本は突出してデータ利用が多く、アメリカは突出して通話時間が長いですね。さらにこの中から、メール利用分を除いてみると、日本は圧倒的な「モバイルインターネットの利用」が目立ちます。そしてやはりアメリカだけが突出して通話時間が長いのです。

この両国の違いは、世界の中でも際立っています。
いったいなぜなのでしょうか?

私なりに考えてみました。

日本では、実は通勤電車の中でゲームをやる人が多いのではないでしょうか?

それに反して、アメリカでは車による通勤が圧倒的に多いので、通話はできても、ゲームはできない・・・・。

これはあくまでも私の推測ですが、違うでしょうか?

次に、中国の携帯事情ですが、地域によりここまで普及率が違うとは驚きです。まさに「格差の国」と言っても過言ではないでしょう。

最後にロシアですが、2004年以降、携帯利用者が急増しています。この最大の理由は、「ロシアでは携帯電話利用者の実に96%がプリペイド利用。日本ではプリペイド利用はわずか3%だ」とのことです。

「プリペイド式の携帯を使った犯罪を助長しなければ良いのだが」などと考えているのは、私だけでしょうか?

中国の貿易額、世界第2位の可能性も

2007.5.8 NNA

商務部関係者はこのほど、今年の中国の対外貿易総額が2兆1,000億米ドル(約250兆円)に達し、ドイツを抜いて世界第2位に浮上する可能性が高いとの予測を発表した。2010年には米国を抜いて世界1位になる可能性もあるとしており、予測通りに増加が続けば、貿易摩擦をめぐる論議が今後さらに加熱するのは必至。右肩上がりで増加を続ける貿易額の推移に改めて注目が集まりそうだ。

・・・・(記事の転載ここまで)

中国市場という「金脈」に世界中の企業が群がっています。まさに19世紀の米国のゴールドラッシュを思い起こさせます。

19世紀、多くの人々が「金」を求めて、カリフォルニアを目指しました。しかし、そのほとんどは「金脈」を見つけることはできず、また、運良く見つけても、強盗に襲われ身包み剥がされ、命までも失いました。

そして、その強盗もまた、金持ちが組織した軍隊に襲われ、身包み剥がされ、結局、ほんのわずかの金持ちグループだけが全ての金脈を独占したとのことです。

そんな折、「金」には目もくれず、「金」を探しに来た人々に盛んに「ジーンズ」を売りまくり、巨万の富を得た男がいました。リーバイスの創業者、リーバイ・ストラウスです。

私もまた、私自身が中国へ金脈を探しには行かずに、中国へ進出する企業へ、「翻訳という名のジーンズを売りたい」などと考えています。

はたして、21世紀のゴールドラッシュの行方はどうなるのでしょうか?

中小企業とBRICs (その4)

メディアが作ったインド投資ブームを疑う理由――その1

引き続き、日経ベンチャーの中で財部誠一氏が連載している「中小企業とBRICs 熱狂と混沌の市場の中で、日本企業は・・・・・・・」の記事をご紹介しながら、内容を考えていきたいと思います。

(以下、記事の要旨)
2003年秋、ゴールドマン・サックスは、インドのGDPは2016年にイタリアを追い越し、2032年には、日本に追いつくと予想を発表した。さらに、日本のマスメディアもインドへの投資ブームを後押しした。

その結果、日本からインド株への投資信託の残高は、2004年秋の20億円から、2005年9月の5,000億円へと、250倍に急増した。

しかし、過去10年間、日本のマスコミが取り上げる注目企業の顔ぶれは、変わっていない。いつもインドのIT企業“インフォシス・テクノロジーズ”と日本の自動車メーカー“スズキ”の2社だけだ。

インドに進出している日本企業を見つけて、取材を申し込んでも「うまくいっていない」ことを理由に断る企業が後を絶たない。唯一の例外が建設機械メーカーの“コマツ”だけだった。

日本と交戦経験のないインドには、中国や韓国のような半日感情もないし、政治体制も民主主義。日本との親和性は一見良さそうである。だが、実は日本とインドの距離は地球と月ほどにも遠い。

以上で記事の要旨は終わりです。

“コマツ”は、土木・建設機械に関する特殊な技術を持っているため、世界的な資源需要逼迫の折、いまやBRICsのみならず、世界各国から引っ張りだこの企業です。

一方の“スズキ”ですが、2005年にインド国内で生産された95万台の乗用車のうち、実に55%が“スズキ”製だったそうです。いまや“スズキ”抜きに、インドのモータリゼーションは語れないほど、圧倒的な存在感を持ってスズキはインド市場に君臨しています。

しかし、2004年11月の時点で、中国に進出している日系企業数が約5,000社なのに対し、インドは約300社に過ぎません。圧倒的大多数の日本企業が、“インド進出”に失敗しているのです。なぜでしょうか?

財部氏は、その理由を2つあげています。一つは「インドの労働市場(人件費と気質)」の問題で、もう一つは「インドのカースト制度」の問題としています。

(この項、続く)

「韓国人の英語教育支出は莫大だが効果は低い」

2007.5.4 朝鮮日報

(前略)

韓国人が英語教育に使う費用は世界的に見ても最高の水準だ。サムスン経済研究所は、その額を年間15兆ウォン(約1兆9300億円)と推計している。日本の5兆ウォン(約6435億円)の3倍だ。しかもこれは早期留学や語学留学にかかる費用を除く金額。留学のため海外に渡る小中高生は、01年の15万人から06年に19万人へと5年間で4万人増えた。

(中略)

だが「英語教育に対する関心や支出は莫大だが、その効果は低い」と専門家は指摘する。東アジアの経営環境情報を提供する香港の「政治経済リスク・コンサルティング」が03年に調査したところ、韓国はアジア12カ国の中で英語によるコミュニケーションが最も困難な国だった。

04~05年における韓国のTOEFLの成績は全世界147カ国中93位だった。昨年9月からは試験方式がIBT(Internet-based test)に変わり、文法がなくなりスピーキングが導入されたため、韓国は111位までランクを下げた。スピーキングだけを見ると134位と下から数えたほうが早い。世界的な流れが会話を強調する方向にあるのにもかかわらず、教室を一歩出ればこれまでと同じく英語を使う環境が整っていないためだ。

(後略)

・・・・(記事の転載ここまで)

1998年の国籍別TOEIC受験者数の割合は、日本と韓国を合わせると実に全体の92%以上を占めていました。その後、国籍別受験者数の公表をやめたようなので詳細はわかりませんが、日本でTOEICを運営する(財)国際ビジネスコミュニケーション協会のサイトを調べてみると、2006年度の日本でのTOEIC総受験者数は152万6,000人と書いてありました。

さらに、TOEICを主催する米国ETSのサイトを調べてみると、「全世界で年間450万人以上の人がTOEICを受験している」と書いてあったので、現在では、TOEIC受験者の3分の1が日本人だとわかります。

韓国でのTOEIC受験者数はわかりませんが、TOEFL(トーフル)では、全世界における韓国人の受験者数割合が、19%とのことなので、TOEICにおいても同じ程度と考えると、日韓両国をあわせれば、TOEIC受験者数の過半数を超えることはほぼ間違いないでしょう。

韓国の人口は、4.884万人(2006年6月現在)、一方、日本の人口は、12,775万人(2007年4月現在)ですから、国民一人当たり英語教育へ費やす金額は、韓国が年間4万円、日本が年間5,000円となります。なんと韓国は日本の8倍の金額を英語教育へ費やしていることになります。

日本語と同じ文法構造を持つ言語は、世界に韓国語(朝鮮語)だけと聞いています。やはり同じ極東(Far East)に住む民族にとって、極西(Far West)に位置する英国が使う言語は、世界で一番かけ離れた言語同士なのですね。

この調査を知るまでは、英語教育へかける「お金と時間の多さ」と、「費用対効果の悪さ」は、日本がダントツで世界最悪だと考えていました。

しかし、韓国は日本のはるか上を行っていたようです。やはり感覚ではなく、正確なデータを元に考えなければいけないと改めて考えさせられました。

メール使う人ほど日本語力低い?

2007.5.1 産経新聞

大学生の1日平均の携帯メール送受信回数と日本語の基礎学力の相関関係を調べると、送受信回数が多い学生ほど日本語テストの点数が低いという結果が出たという。専門家は「携帯メールのコミュニケーションで新たな語彙を獲得するのは難しい」とみる。

・・・・(記事の転載ここまで)

確かにパソコンを使うことにより、漢字が書けなくなってきていることは事実です。やはり小学校・中学校までは、キーボードを使わずに手で漢字を書く訓練はどうしても必要でしょう。

だからといって、メールやパソコンそのものにまでネガティブな反応を示すのは考え物です。

私達の子供の頃は、「最近の若者はまったく手紙を書かなくなった。ラブレターも書かずに電話で済ませる。日本の将来が危ぶまれる」とよく言われたものです。

テレビが出てきたときには、「一億総白痴化」が叫ばれ、ファミコンが出てきた時には、「子供の人格障害」が叫ばれました。大正時代、電話が普及し始めた時には、「大量失業時代がやって来る」、と多くの人が心配したそうです。それまで「使い走り」をしていた「丁稚・小僧」が必要なくなるからです。

しかし、現実はその逆でした。電話の普及により、人間はより人間的な仕事に専念できるようになり、科学・社会の進歩に大いに貢献したのです。

世の中に何か新しい事象がはやると、有識者・評論家と呼ばれるご老人が現れて、必ずネガティブな発言をします。そして、世の中の悪い事象と無理やりに結びつけ、批判します。なぜもっとポジティブな考え方ができないのでしょうか?

私の知り合いの19歳の少年は、中学時代通信簿が1と2ばかりでしたが、今ではブログを使って、自分の考えをしっかりと発信しています。あれだけの文章力、表現力があればたいしたものです。インターネットやケータイを使って、若いベストセラー作家が生まれたり、若い芥川賞、直木賞作家が生まれる時代になってきているのです。

「先輩・後輩」、「年功序列」、「封建主義」、「男尊女卑」、そしてきわめつけが「世間様に笑われるからやめなさい」・・・・・・。

こんな世相の中で、才能の芽を摘まれて、朽ち果てていった多くの若者がいた、昔の日本などに戻りたくはありません。

通常人間の脳は時間の経過と共に、「良い思い出」を残し、「悪い思い出」を忘れるよう、記憶装置に働きかけます。そうしなければ脳が重圧に押しつぶされてしまうからです。

そのため、有識者や評論家の言う「昔の日本はよかった、だけど今の日本はダメ」という言葉には、たいていの場合賛同できません。

しかし、いずれにしても、新しい時代にあった、新しいルール作りは必要なものです。有識者の方々には、その方面で「良識」を発揮して欲しいと心から願っております。

中小企業とBRICs (その3)

脅威の市場 ロシア

引き続き、日経ベンチャーの中で財部誠一氏が連載している「中小企業とBRICs 熱狂と混沌の市場の中で、日本企業は・・・・・・・」の記事をご紹介しながら、内容を考えていきたいと思います。

(以下、記事の要旨)
モスクワでは今、消費が爆発している。「脅威の市場」と化しつつあるモスクワには、欧米資本が殺到している。だが残念なことに、日本企業の存在感は無に等しい。

ペレストロイカ以降、猛スピードで市場経済が進んだ90年代、ロシア経済は大混乱に陥った。マフィアが外国製品を輸入しては、高値で売りさばくブローカー商売であぶく銭を稼いでいた。

そこに98年、金融危機が勃発、ルーブルが4分の1に暴落し、ブローカー商売は成り立たなくなった。

「マフィア経済」が表舞台から去ったことを「チャンス」と見た欧米企業は、ロシア進出を加速した。

一方、金融危機に恐れをなした多くの日本企業は、ロシアから撤退した。

欧米資本の算入で、モノが市場にあふれ出てきた矢先に資源価格が高騰、ロシア経済は劇的な成長期に突入した。

以上で記事の要旨は終わりです。

さて、最近のロシアの天然資源やヨーロッパのエネルギー事情に関し、私なりに色々と調べてみました。多岐に渡る資料の要旨を下記に簡単にまとめてみました。

2006年元日、ロシアのプーチン大統領は、ロシアからウクライナへ送られる天然ガスパイプラインの圧力をいきなり2割下げ、西欧諸国へ大混乱を引き起こしました。ウクライナが天然ガスの単価値上げに応じなかったためです。

そのパイプラインは、ウクライナを通って欧州諸国にも天然ガスを供給していました。世界中から非難を浴びたプーチン大統領は、翌2日にはパイプラインの圧力を元に戻し、結局、ロシアとウクライナの望む中間の金額で単価交渉は決着しました。

この一件で欧州諸国のロシアに対する不信感は一挙に高まりました。しかし、地理的にもロシアに近い西欧諸国が、エネルギー大国ロシアに頼らない方向に動くことは難しいでしょう。

ドイツではむしろ、ロシアからのエネルギー供給を増やす方向へ動いています。ドイツとロシアは、合弁でバルト海の海底にパイプラインを通し、ロシアと仲の悪いポーランドやバルト三国を迂回してロシアの天然ガスをドイツに運ぶ巨大プロジェクトをスタートさせました。このパイプラインは、2010年から稼働することになっています。将来は英国その他の欧州諸国へも伸ばす予定です。

また、EU諸国は、カスピ海沿岸諸国からロシアを経由せずに、トルコ、ブルガリア、ルーマニア、ハンガリーを経由してオーストリアのウィーンに至る全長3,300キロメートルの長大なパイプラインを建設することに合意しました。2011年の完成を目指しています。これら数々の超巨大プロジェクトでは、日本の商社、伊藤忠や丸紅や、日本のメーカーが、一役買うことになります。

天然ガスは石油に比べて二酸化炭素の排出を制限できるので、地球温暖化防止策に協力している西欧諸国は、発電所などで使うエネルギー源を、石油から天然ガスに切り替える傾向を強めています。そのため、すでに天然ガスは世界中で奪い合いに近い状態です。

加えて、中国やインドといった人口大国が高度経済成長を始めた結果、世界的に石油の需要が増え、かなり逼迫してきています。

ロシアは、世界最大の天然ガス産出国、かつ、世界第2位の石油産出国ですから、国際舞台において、ロシアの発言力がこれからますます強まっていくことはほぼ間違いないでしょう。

3月の全国消費者物価、0.3%下落――2カ月連続

2007.4.27 NIKKEI NET

総務省が27日発表した3月の全国の消費者物価指数(CPI、2005年=100)は、生鮮食品を除く総合で99.6と、前年同月比0.3%下落となった。下落は2カ月連続。項目別で価格の下落幅が大きかったのは家具・家事用品(1.7%下落)だった。生鮮食品を含む総合では99.8と0.1%下落した。

・・・・(記事の転載ここまで)

上記グラフを見れば、1998年の半ば以降、日本はデフレ基調で来ていることがよくわかります。かねてよりの私の持論、このデフレ基調は、今後長期にわたって続くと信じています。

理由のひとつは、過去にも何回かこの話題に触れましたが、現在日本で一番力をもつグループ、高齢者の方々がそれを望んでいるからです。

土地・家屋を所有し、1,400兆円とも言われる個人金融資産の大半を所有し、かつ年金収入のある高齢者達にとって、デフレはインフレよりも居心地がよいのです。満足している人たちは、決して声高には叫びません。デフレ政策を推し進めた小泉政権があんなに人気が高かった理由も、実はそこにあると私は考えています。

それに加えて、日本がデフレになるもっと根源的な理由は、簡単に言えば、下記の3つだと私は考えています。

1. 米ソ冷戦の終結による軍拡競争の停止
2. 中国や東南アジア諸国からの低価格製品の流入
3. 日本におけるピラミッド構造社会の終焉

ピラミッド構造社会とは、毎年新入社員が入社して、常に後輩社員や部下があふれている、という組織構造のことです。

このピラミッド型組織には、企業内にとどまらず系列、つまり企業の下請け構造も含まれます。

かつて日本では、A社の下請け仕事をしている会社が、A社のライバル会社、B社やC社の仕事を請けるなど「とんでもないこと」でした。

私は1981年、ちょうど第一次日米自動車貿易摩擦が勃発して、米国自動車業界が一触即発状態にある時、サンフランシスコ郊外にあるGM(ゼネラルモータース)の工場を見学に訪れたことがあります。

日本人を見る、米国人工場労働者たちの鋭い視線と、「日本の自動車業界をやっつけろ!」と書かれた巨大な横断幕が今でも忘れられません。

ただその時、違う意味で少し驚いたことがありました。

GMの工場の従業員駐車場です。GM車はもちろんですが、フォード、クライスラーは言うおよばず、ドイツ車や日本車も数多く見られました。

私がそのことを指摘すると、案内してくれたGMの従業員の一人が、「どのメーカーの車を買おうが会社には関係ない。個人の問題だから。私の車は私の車だ」とこともなげに話していました。

それから7年後、私は仕事で愛知県にあるD社の工場を訪ねたことがあります。D社はT社系列の自動車部品メーカーでした。工場の入口で入場手続きをしていると、その時たまたまトラックで納品に来た、ある出入りの業者が立ち往生しています。

なぜならばその業者は、T社のライバル会社、N社製のトラックに乗っていたからでした。結局そのトラックは、守衛さんに門を通してもらえず、裏口へ回されていました。

また、こんな経験もしました。私がT社製の車に乗って、神奈川県内にあるN社の工場へ納品に行った時のことです。工場の入り口で守衛さんに呼び止められ、正門を通してもらえず、はるかかなたの裏門へ回されました。私は裏門の駐車場から目的地まで、延々と歩かねばなりませんでした。

「日本の会社って、なんて了見が狭いのだろう!」――こう思ったのは私だけでしょうか?

しかし、今の日本企業は違います。なぜならば、世界を相手に戦っているからです。購買も販売も広い視野で考えなければなりません。もうお隣どうしでいがみ合っている時代は、とうの昔に終わったのです。今では、D社もほとんど全ての自動車メーカーへ部品を供給しています。

グローバリゼーションの影響が、こんなところにも出てきているのです。

化学・鉄鋼・セメントなど、新興国に省エネ技術

2007.4.26 NIKKEI NET

化学、鉄鋼、セメントなど国内素材業界がアジアを中心とする新興国への省エネルギー技術の移転を加速する。それぞれの業界団体を通じて移転可能な省エネ技術をリストアップし、導入を希望する国・地域や企業に有償で供与する。経済が急成長する新興国のエネルギー消費の抑制は世界的な課題になっている。日本が持つ最先端の省エネ技術をこうした課題の解決に役立てる狙いだ。

・・・・(記事の転載ここまで)

日本の誇る省エネ技術が、世界の環境保全へ向けて、まさに今、花開こうとしています。

現在、世界では水資源の問題が深刻化してきています。たとえば、飲料水や農業水の確保のために、チグリス・ユーフラテス川の権益を巡って、トルコとシリアとイラクがもめていると聞いています。

一方日本では、中国の温家宝(おんかほう)首相が今月来日しました。中国首脳の来日は、実に6年半ぶりのこととなります。

実は、現在中国では、深刻な水資源の不足に頭を抱えています。そのための環境保全にどうしても日本の技術が必要なのです。

温家宝首相は、日中両国の環境保全に関する技術提携議定書に調印し、今後、日本の知的財産を保護することを国会の場で公約しました。

また、中国が日本のコメを輸入することも約束しました。今後の日中関係はきっと好転して行くでしょう。2年前に上海で起きた反日暴動がウソのようです。

話は変わりますが、横浜市内を流れる、新田間川(あらたまがわ)は、私が子供の頃はゴミが大量に浮く、ヘドロだけの黒い川でした。それが今では、鯉やぼらがたくさん泳ぐきれいな川へと変貌しています。

東京都と川崎市の間を流れる多摩川(たまがわ)も、かつては「汚染された川」として有名でしたが、現在では、稚アユがどこでも泳いでいると聞いています。アユは水がきれいでなければ生きていけません。

札幌市内を流れる豊平川(とよひらがわ)では、昨年度、サケが遡上してきた数が、約1,640尾だったそうです。大都市の川にサケが遡上するなど、信じられないことですが、まさにそれが現実となってきているのです。

日本の省エネ技術と環境保全技術は世界に誇れる知的財産です。この技術は今後どんどん海外へ輸出され、世界へ大きく貢献することになるでしょう。

しかし、実は、そう喜んでもいられないデータがあります。日本人は以下のことを心しておかねばなりません。

日本エネルギー経済研究所の2007年版「エネルギー・経済要覧」によれば、2004年時点で世界の二酸化炭素の排出量は72億3500万トン。そのうち中国の排出量は13億1100万トンです。日本は中国の約4分の1に当たる3億4900万トンです。

絶対量では中国の方が多いですが、2004年時点で、中国の人口は12億9600万人で、日本は1億2800万人。これらから計算すれば、日本の1人当たりのCO2排出量は2.7トンで、中国は1.0トンになります。ちなみに世界の平均は1.14トンで、インドは0.3トンになります。

また、CO2を吸収する森林資源の消費についても、日本は多いのです。日本製紙連合会の資料では、日本人1人あたりの紙及び板紙の消費量は2004年時点で247キログラムです。世界の平均は56キログラムで、参考までに中国は42キログラム、インドは7キログラムです。

日本はすばらしい省エネ技術を持っているくせに、無駄な消費が多すぎる、ということでしょうか?

少なくとも、「環境破壊しているのは、隣国中国だ」と名指しで非難することが、まちがっていることだけは、確かのようです。

【動き出す三角合併・上】内外から買収の脅威

2007.4.24 YOMIURI ONLINE

合併相手の株主に、対価として親会社の株を割り当てる「三角合併」が5月から解禁される。外国企業が自社株を使って日本企業を買収できるようになる。新たなM&A(企業の合併・買収)手法で、外資による買収攻勢が強まるのか、企業経営はどう変わるのか。

・・・・(記事の転載ここまで)

この手の話が出てくるたびに、私はいつも不思議に思うことがあります。

「企業防衛」とは「いったい誰が、何から何を守るのでしょう?」と・・・・・・・。

私から言わせれば、日本の「企業防衛」とは、「日本人経営者が自分の立場と給料を守ること」にすぎないと思っています。

また、企業にとって、特に上場企業にとって、一番大切なことは「雇用の確保」であり、次が「税金を支払うこと」だと私は考えています。

従って、経営者の「目の色」が何色なのか、とか、「資本の色」が何色なのか、とかはどうでもよいことなのです。

山一證券のように倒産して、従業員が路頭に迷うのと、ゴーンさんのように倒産寸前の日産を建て直し、雇用を確保し、日本国にたくさん税金を支払っている企業のどちらが国家国民にとって有益なのでしょうか?

雇用を確保し、税金を支払える優秀な経営者であれば、国籍などどうでもよいのです。現に日本にもたくさんの外資系企業が、日本国内に会社を設立し、工場を建て、雇用を確保しています。日本からもトヨタ、ホンダ、ソニー、パナソニック、その他数多くの企業が海外に進出し、現地企業を買収したり、新規に企業を設立したりして、多くの雇用を創造しています。

何がいけないのでしょうか?

日本人は、「外資」というとすぐに「ハゲタカファンド」と結びつけ拒絶反応を示します。

確かに「売り抜け」だけを狙った投資ファンドも存在します。しかし、それは、その会社の資産を有効利用できていない、日本人経営者の怠慢や無能を指摘され、狙われているだけのこと、と私は考えます。

どこの国の人であれ、自分が大金を出して買った”もの”が、買った直後に価値が暴落することなど望むでしょうか?

つまり反株主・反従業員・反社会の行動をとって、トラブルを起こし、会社の価値を半減させることを「買った本人」が望むでしょうか?

長い間、「鎖国」をしていた日本の”会社市場”にも黒船が到来し、真のグローバリゼーションの波に揉まれる時代がやって来た、ということだと私は考えています。

翻訳業界におけるボリュームディスカウント

以前このブログの中で、売上高42兆円、世界最大の売上を誇る、ウォルマート・ストアーズの話題をとりあげました。

その中でウォルマートが仕入先のメーカーへボリュームディスカウントを要求する話をしました。「年間生産量の10倍を発注するので、単価を半分にして欲しい」と・・・・。

さて、わが翻訳業界にもボリュームディスカウントと言う慣習があるのですが、本来、製造業や小売業で行なわれている慣習を、わが翻訳業界にも適用して妥当なのかどうか、を考えてみたいと思います。

昔、ダイエーホークス(今のソフトバンクホークス)が熾烈な優勝争いをしているときに、テレビのニュース番組で、スーパーダイエーの店長ならびに店員一同が、ホークスのユニフォームを着て、「お願いします!ホークスを優勝させてください」とお祈りしているシーンが大写しになりました。

私はそのシーンを見て「なんと不思議な光景だ」と思いました。なぜならば、「あの人たちのやっていることは逆だろう。だってホークスが優勝してしまったら、ダイエーは優勝記念バーゲンをやらなければならないのだから」と思いました。

優勝記念バーゲンを始めたら、昨日の価格の3割引、5割引で売らなければならないわけです。当然、ダイエーの店長は戦々恐々で、「ホークスが優勝しないように」と祈るはずです。ところが現実はまったくその逆です。

なぜでしょうか?・・・・・・・答えは簡単です。

「在庫が整理できるからです」。

本来のバーゲン品と共に、ドサクサに紛れて「死に筋商品」や「不良在庫」や「ゴミ」が飛ぶように売れてしまうからです。結局損するのは、購入した消費者の方で、狭い家に、使わないガラクタ品とゴミの山が積みあがります。

小売業や製造業にとって、「売れない在庫」つまり「死に筋商品」ほど怖いものはありません。「いかに在庫のロスを少なくするか」は、「いかに売上を伸ばすか」とか「いかにコストを下げるか」と同じくらい大事なことなのです。

大量購入することにより、安く商品を仕入れ、予想に反して売れ残った「死に筋商品」をバーゲンで売り切ってしまうのです。

さて、翻訳業です。ご存知のとおり翻訳業に在庫はありません。しかし、クライアント側は、「いっぺんにたくさんの仕事を出すのだから、ボリュームディスカウントしてくれ」と要求してきます。

確かに「翻訳会社にとって経済的な受注単位」というものはあります。あえて大雑把に言えば、数十枚から数百枚ほどの単位の受注が、一番経済的です。

数枚ほどの小さな仕事の場合は、翻訳前後の基本工程はほとんど同じなので、一枚あたりのコストがかさみ、翻訳会社にとっては非効率的です。翻訳者にとっても、翻訳の能率は、尻上がりに上がっていくのが普通です。したがって、内容を理解し、スピードアップし始めたときには、もう仕事が終わっている、というような少量のジョブは非効率的です。

それでは、数千枚、数万枚という大型ジョブの場合はどうでしょうか?

500枚の独立したジョブ10本と、5,000枚の1本のジョブとではどちらが効率的か、となるとなかなか微妙なところです。

今どき「納期はおまかせ。できたときに納品すれば良い」などというありがたい仕事はありませんので、短期間での用語・表現の統一のための工程を考えると、たいていの場合、ジョブが大きくなればなるほど、余計な負荷がかかることになります。

つまり、「経済的な量」の複数のジョブが、規則正しく整然と流れて行くのが、翻訳会社にとっては理想的な状態であり、やみくもに量が増えたから値引きもできる、というわけではないのです。

「納期までに5,000枚翻訳できると思って受注したんだけど、4,500枚しか完成しなかったので、残りの半製品、500枚は、5割引でバーゲンセールします」とか

「ジャイアンツが優勝したので、納期までに完成しなかった半製品は、3割引とお安くしておきます」

などとできれば、翻訳会社も万々歳なのですが(笑)。

米消費者団体、GoogleのDoubleClick買収反対でFTCに申し立て

2007.4.21 ITmedia News

米国の消費者団体など3団体が4月20日、GoogleによるDoubleClick買収はプライバシー保護の点で懸念があるとして、米連邦取引委員会(FTC)に対して申し立てを行った。

申し立てを行ったのは、米電子プライバシー情報センターと米Center for Digital Democracy(CDD)、米公共利益調査グループの3団体。

3団体はFTCに対し、Googleがさまざまなデータを通じ、インターネットユーザーの行動を記録、分析、追跡することが可能かどうかを調査するよう要求。また、Googleに対して、OECDのガイドラインなどのプライバシー基準を遵守するとの計画を、公式に表明するよう求めるよう主張している。

3団体は、これらの課題が解決されるまでの間は、FTCはこの買収を差し止めるべきだとしている。

・・・・(記事の転載ここまで)

上記では、プライバシー保護の観点から、米国の消費者団体が難色を示しているわけですが、一方マイクロソフト社は、広告市場の独占が生じる、という観点からこの買収劇を非難しています。

マイクロソフト社が、「独占になるからけしからん」と言っているとは、まさに失笑を禁じえませんが、逆に言えば、そのくらい大変な危機感を抱いている、という証拠なのでしょう。

私は2006年9月16日に、「近未来のメディア業界を予想する“EPIC2014”」というタイトルのブログを書いたことがあります。その中で、インターネット技術の急激な発展により2014年までにメディア業界が激変してしまう「近未来の歴史」を描いた話題のネットムービー、”EPIC2014″ を紹介しました。

内容を簡単に紹介すると下記のようになります。

『2008年にGoogleとAmazon.comの合併企業”Googlezon”が登場、サーチエンジン技術と個人の嗜好の解析・推定技術の融合、そして圧倒的な資本力により様々なサービスの統合化を進め、2014年に “EPIC(進化型パーソナライズ情報構築網)”を完成させる。これは無数の情報源から発信されるネット上の情報を自動的に収拾・選別し、パーソナライズされた情報として個々のユーザーに届ける、マスメディア企業を不要とする仕組みであり、Googlezonは情報のマッチング量に連動した広告収入を積み上げ、莫大な収益をあげるビジネスモデルを築く。その過程で20世紀のIT企業の代表・Microsoftは主役の座を追われ、既存マスメディアの代表・New York Timesはインターネットの世界から退出し、ニッチな紙媒体として細々と生き長らえることになる。』

私は、このような動きが必ず起こると確信していましたが、まさに今、Googleが、その方向へ向かって動き出している、と思うと少し恐ろしい気もします。

ウォルマート、2年ぶり首位・米企業売上高ランキング

2007.4.18 NIKKEI NET

米経済誌フォーチュンは16日、2006年の売上高を基準にした米企業の上位500社を公表した。売上高が3511億ドル(約42兆円)の小売業最大手のウォルマート・ストアーズが前年首位のエクソンモービルを抜き、2年ぶりに首位に返り咲いた。

・・・・(記事の転載ここまで)

売上高42兆円を誇る世界最大の小売業、ウォルマートの最大の強みは、ライバルがマネのできない「究極の物流システム」と「究極の情報システム」を確立し、徹底した「ローコストオペレーション」を実現したため、と言われています。

小売業の門外漢である私にとっても「究極の物流システム」がいかなるものか、は興味がありますが、やはり、もう一つの「究極の情報システム」の方がより気になります。

特にかつてウォルマート最大のライバルと言われた、Kマートは情報システムへの投資に消極的だったため、ウォルマートに決定的な差をつけられ、2002年に破産してしまいました(その後、更正法により再建)。

今から1~2年前のことですが、アメリカの小売業を研究している専門家の方に、次のような話を聞いたことがあります。

「ウォルマートは情報投資に巨額を投じている。正式な額は公表されていないが、年間2兆円を投じている、という説もあるくらいだ。

全米店舗の商品の売れ行きと在庫をリアルタイムに把握し、過去のデータの蓄積から、予想される売上を算出し、即座にメーカーへ発注する。オーダーを受けたメーカーは、必要最小限の生産をして、即座に納品するので在庫の無駄がでない。

単価は極限まで買い叩かれるが、莫大な発注量を保障されているので、ウォルマートに従わざるを得ない。しかし、メーカーの意思による生産計画や商品開発などは、もはや存在せず、ただウォルマートの下請け生産工場と化しているだけ」とのことでした。

また、コストダウンの方策の一つが下記です。

「年間10万台の電子レンジを生産しているA社があるとします。1台3万円で卸しているとしたら、そこへウォルマートは話を持ちかけます。

『御社から年間100万台の電子レンジを購入する契約を結びましょう。その代わり単価を今の半分の15,000円にしてください』

A社の経営者はビックリして、『そんな無茶な』と一旦は断ります。そこでウォルマートはこう答えます。『わかりました、それではこの話はB社へもって行きます』。

ライバル会社B社の名前を出されたA社の経営者は、顔色を変えて考え直します。『もし今の半値の電子レンジが100万台、市場に出回ったらウチの会社はつぶされる。これはなにがなんでもやらねばならぬ』と。

こうやってガリバー、ウォルマートがますます巨大化していきます。

わが翻訳業は、このスケールを1万分の1くらいにした小さな世界で、小さなコスト競争をやっています。

しかし、当たり前のことですが、「小売業」と「翻訳業」とでは色々な面で違いがあります。単純にして決定的な違いは、「在庫がない」ということでしょう。

にもかかわらず、翻訳業界にも「ボリュームディスカウント」という習慣があります。

この「翻訳業界におけるボリュームディスカウント」に関しては、近々私が書いているもうひとつのブログ「翻訳業界徒然草」のなかでまた日を改めて、考えていきたと思っております。近いうちにアップしますので、ご興味のある方は是非訪れてみてください。

国内ネット広告費、5年後は2倍の7558億円に

2007.4.17 nikkei BP net

電通総研は4月16日、2007年から向こう5年間の国内インターネット広告市場について試算した結果を発表した。それによると2011年には年間のネット広告費が7558億円に達し、電通が推計した2006年実績の3630億円に比べ2倍以上に拡大する。

・・・・(記事の転載ここまで)

日本の新聞の発行部数は、「読売新聞」が約1,000万部、「朝日新聞」が約820万部、「毎日新聞」が400万部弱、「日経新聞」が300万部弱、と異常に多く、この主要4紙だけで合計2,500万部を超えています。

それに対し、米国の「ニューヨークタイムズ」、「ワシントンポスト」などの世界的な一流紙ですら、その発行部数はせいぜい100万~200万部、英国の「ザ・タイムズ」、「ガーディアン」などのコリティーペーパーでも50万~100万部、フランスの「ル・フィガロ」、「ル・モンド」も50万部前後の部数です。

旧ソ連の共産党機関紙「プラウダ」はかつて、1,000万部という世界一の発行部数を誇っていましたが、現在世界でそんなに発行部数の多い新聞は、日本にしか存在しません。中国の「人民日報」でさえ、せいぜい200万部前後です。

さらに、日本の大手新聞社各社は、系列のテレビ局、ラジオ局を持ち、日本のマスコミの全てを支配しています。知らず知らずのうちに、日本では旧共産圏さながらの「言論誘導」が行われていました。

そこへ突如として現れたのが「インターネット」でした。

日本の大手新聞社にとっては、正に「晴天の霹靂」であり、現在彼らが最も恐れている「異次元の情報媒体」に戦々恐々としている、と言っても過言ではないでしょう。

戦後の日本で最も権力を握ったのは、実は「マスコミ」だったのかもしれません。そして、いつのまにか、日本の「マスコミ」に「特権階級」としての意識が定着してしまいました。「日本の世論は自分達が動かす」と・・・・。

その典型的な例が、「記者クラブ」です。「記者クラブ」とは、首相官邸や官庁・地方自治体・警察ごとに置かれている、新聞・通信・テレビ各社の記者で構成されている組織のことです。

かつては、記者クラブを設置することにより、官庁の公式発表を迅速にメディアに伝えることができる、という利点がありました。しかし、これだけ通信の発達した時代には、すでに過去の遺物といってよいでしょう。

戦後、親睦団体として出発したにもかかわらず、特定の大手新聞社・放送局が取材を独占し、海外の報道機関や中小メディアやフリージャーナリストを締め出してきました。記者クラブの存在は、日本の閉鎖性を象徴するものとして、海外からの批判も絶えません。

かつては、長野県の田中知事が記者クラブ相手に戦いを挑み、敗れ、現在では宮崎県の東国原知事が、記者クラブ相手に戦いの火蓋を切りました。しかし、既存勢力の壁を打ち破るのは、そう簡単ではなさそうです。

しかし、「インターネット」が全てを変えるでしょう。

日本のみならず、世界中のたくさんの人々が、様々な角度から、様々な意見を発信できる世の中になってきたのです。マスコミによる一方通行の「言論誘導」や「情報誘導」の時代が、終わりに近づいてきています。したがって、インターネットを核とした、マルチメディアの広告料収入は、今後ますます増えていくはずです。

世界中から集まる様々な少数意見を翻訳し、紹介することも、また違った意味で、翻訳会社の社会的貢献の一つ、と言えるのかもしれません。