2013.2.25 COURRiER JAPON (2013年4月号)
昨年秋以降、急速に進行している円安ウォン高が韓国経済を苦しめている。日本からの観光客を頼りにしていた店は、その打撃の大きさに頭を悩ませている。
(中 略)
チェ・スクヒ(45)は1998年のオープン当初からここで商売をしている。彼女は「こんなに客が少ないのは初めてです。店の家賃を払えずにやめていく人もいる」と話す。
東大門で日本人観光客がよく訪れる名所の一つ「クイック・マッサージ」も閑散としていた。社長のパク・ヨンギル(65)はこう漏らす。
「2005年から値段は変わらないのに、最近は『高い』といって帰ってしまう人が少なくないんです。以前は朝の4時まで客が途絶えなかったのに・・・・・」
お店で使う金額も激減
円安の影響で日本人観光客が急減したため、彼らが主な客だった国内の主要商業エリアは大打撃を受けている。韓国観光会社によると、昨年9月に約30万人だった日本人の入国者数は、12月には約22万人にまで急激に落ち込んだ。
免税店やデパートなどは中国人観光客で売り上げを埋め合わせることができるが、日本人観光客に頼ってきた明洞、東大門、仁寺洞といったエリアの土産物産屋や化粧品店などは、店を畳もうかと悩むほどだという。
(後 略)
(以上で記事終り)
韓国はアメリカとFTA(自由貿易協定)を結んでいるので、日本のメーカーがアメリカで作った製品をウォン高に乗じてアメリカから韓国へ輸出するという隠し技ができるかもしれません。これは韓国の自動車、鉄鋼、造船などの製造業にとって脅威であることはまちがいないでしょう。
しかし、日本の製造業は今の円安傾向が続いているうちに本当の意味での国際競争力をつけていかねばなりません。サムスンのような真の実力を持つ企業は今回のウォン高という逆風の中においても、まだまだ絶大なる競争力を保持しているからです。
また、今回のウォン安により韓国経済そのものが減速してしまうと日本経済も少なからず打撃をこうむる可能性があります。日本にとって韓国は第3位、韓国にとって日本は第2位の貿易相手国だからです。
しかも、日本は多額の貿易黒字を韓国から稼いでいます。日本からは多額の機械などの資本財や、IT関連の部品などの中間品が韓国に主に輸出されているのです。したがって、韓国経済が減速すると、日本から韓国への輸出が減少するという懸念もでてきます。
とにかく日本の製造業、特に電機メーカーは、今回の「円安」というアドバンテージをもらっている間に、アメリカのアップルや韓国のサムスンに負けないような、「実力」をつけていってもらいたいものです。
強い日本の電機メーカー復活に大いに期待しています。