世界一の中小企業(その2)

日用金属製品の研磨材で国内95%のシェア、宇治電化工業

高級洋食器や特殊金属など、鏡面のような仕上げが求められる高品質な研磨材で国内トップシェアを持つのが、高知県高知市に本社を置く宇治電化工業です。まさにニッチ市場に特化して成功した企業と言えるでしょう。

『同社は1951(昭和26)年に開発した人造研磨材「トサエメリー」を世に送り出して以来、常に最大シェアを維持してきた。日用金属製品の研磨材では現在、国内で95%からほぼ100%のシェアを占める。その主要製品である研磨・研削材は、業界の人間ならば海外でも「トサ(土佐)」のニックネームでどこでも通じるという、超ロングセラーのヒット商品だ。(小さなトップ企業 日経BP社)』

トサエメリーエキストラ
<研削力が高く、優れた耐久性を誇るトサエメリーエキストラは、当社のロングセラーです。(宇治電化工業のホームページより)>

また、宇治電化工業は現在、得意の電気炉を使った溶融技術で環境問題への取り組みに力を入れています。

そのひとつに「リサイクルストーン」があります。

年々増加する都市ゴミを焼却することにより排出される「焼却灰」を再資源化し、石と同じ程度の硬さを持つ物質にする技術を確立しました。

その技術を使って商品化されたものが、「舗装用コンクリート平板リサイクストーン」です。

リサイクルストーン
<焼却灰溶融資源処理「リサイクストーン」(宇治電化工業のホームページより)>

これ以外にも、養殖用水の水質改善、水槽・池の水質改善、染色用水の活水、水耕栽培用の水の活水、研削油の活性化、芝の育成促進に使う、「セラパワーストン&セラミックボール」を開発しています。

セラパワーストーン
<セラパワーストン&セラミックボール (同社のホームページより)>

また、変わったところでは、再生紙として使えない低品質の古紙を使って、「ヤケ鉢・すて鉢」という名前のリサイクル商品も開発しています。

やけ鉢
<高知工科大学坂輪教授など11機関で構成する研究チームで開発し、淡路花博にて、特殊栽培技術部門で銅賞を獲得した。(同社のホームページより)>

「特殊技術」と「環境対応」という21世紀のキーワードを兼ねそろえた宇治電化工業。

世界へ羽ばたく日もそう遠くないかもしれません。