あふれるドル バブルの予感

2010年11月8日 日経新聞朝刊より

米連邦準備理事会(FRB)が量的緩和の第2弾に踏み切ったことで、世界的なカネ余りに拍車がかかるとの見方が出ている。米国のデフレ回避には避けられない措置と言えるが、強力なだけに副作用を生むリスクもある。あふれる投資マネーが新興国や商品市場に流れ込み、新たなバブルの芽を生むとの指摘もある。

2010.11.8 日経1

2010.11.8 日経2

2010.11.8 日経3
(以上で記事終り)

なんとも不気味な記事です。
現在世界は「カネ余り活況」なのだそうです。世界中の株価、特に新興国の株価が上昇し、金や資源の相場も上昇しているようです。

そういった中で、日本の株価だけは諸外国に比べ大きく出遅れ、かつ多くの日本企業は円高に苦しめられているというのが実情です。

残念ながら今回のリーマン・ショックにより、日本という国は「製造業の輸出でしか生き残っていけない国」ということがすっかりばれてしまいました。

以下独立行政法人経済産業研究所のホームページからの引用です。

製造業の付加価値額の対GDP比は20.8%、製造業の事業活動に伴う他産業の付加価値額の増加分を加えたものの対GDP比は32.4%、でGDPに占める割合は大きく、付加価値額の増減による波及効果は1.95でサービス業(1.35)よりも大きいです。

また経済成長という観点では、製造業の労働生産性の伸びは全産業の労働生産性の伸びを大きく上回り、経済成長に貢献しています。また外貨獲得という観点では、輸出の9割以上は工業製品が占めていて、貿易収支はかつてよりだいぶ減って11.6兆円(2001年)。一方サービス業の輸出入収支はほとんどの分野で赤字で、米国と対照的です(図1-13)。雇用機会という観点では、製造業の就業者数全体に占める割合は、日本20.0%、米国14.0%、英国16.5%、ドイツ24.1%で、米国、英国を上回ります。研究開発という観点では、製造業は我が国の民間研究開発投資の中心で、日本89.6%、米国64.2%、英国79.6%、フランス85.7%、ドイツ90.9%です。

この4つを見ると、製造業が引き続き日本経済の牽引力になると思います。サービス業の生産性向上にも努めないといけないわけですが、すぐに製造業と取って代わることはないと思います。

(以上、引用終わり)

日本の農業のみならず漁業や林業も非常に大切であり、食料自給率はなんとしても高めていかなければなりません。しかしそのためにもまずは輸出で稼いだお金で農業や漁業に重点的に研究開発投資を行い、競争力をつけさせていくべきでしょう。

日本は一刻も早く、環太平洋戦略的経済パートナーシップ協定(TPP)を決断し貿易立国として生き残る最後のチャンスを実現させねばなりません。これは日本の翻訳業界のみならず、日本全体の将来のために必要不可欠の戦略だと確信しているからです。