RCEP(Regional Comprehensive Economic Partnershipの略、アールセップ)は、日中韓印豪NZの6カ国がASEANと持つ5つのFTAを束ねる広域的な包括的経済連携構想であり、2011年11月にASEANが提唱しました。その後、16カ国による議論を経て、2012年11月のASEAN関連首脳会合において正式に交渉が立上げられました。
RCEPが実現すれば、人口約34億人(世界の約半分)、GDP約20兆ドル(世界全体の約3割)、貿易総額10兆ドル(世界全体の約3割)を占める広域経済圏が出現します。
(以上、経済産業省のサイト「東アジア経済統合に向けて」より)
(以上、富士通総研のサイト「RCEP vs TPP」より)
(以上、日本経済新聞のサイト「TPPの恩恵、日本が最大(経済教室) ピーター・ペトリ教授 マイケル・プラマ教授 GDP、2%押し上げ 影響力行使へ早期決断を」より)
近頃、下記のような貿易に関する協定の話題がマスコミを騒がしています。
・ RCEP (地域包括経済連携:Regional Comprehensive Economic Partnership)
・ TPP (環太平洋連携協定: Trans-Pacific Partnership)
・ FTA (自由貿易協定: Free Trade Agreement)
このうちFTAについては、2国間における貿易協定のことなので、当事者通しの交渉力がキーを握ると言えるでしょうが、RCEPとTPPに関しては、各国における様々な思わくが複雑に絡み合うことが予想されます。
上記「RCEPとTPPの概況」によれば、現状ではRCEPのGDPシェアが28.4%に対し、TPPのほうは、38.2%となっています。
しかし、2011年~2015年のGDP伸び率は、TPPの4.2%に対し、RCEPのほうは7.1%となっています。
もしこの予想が正しく、かつ同じペースで両陣営が伸びていくとしたら、早晩RCEPのGDPがTPPを追い越すことになります。
また、上記の表で主導国は、TPPは米国、RCEPはASEANとなっていますが、RCEPの主導国がASEANから中国へと移っていくことは間違いありません。
つまり、TPPは米国主導、RCEPは中国主導で、その両方に加入する“経済大国”日本が“キャスティング・ボート”を握ることになるのです。
このグローバル化の進む世界で、もはや日本だけが“鎖国”状態で生き残っていけるはずはありません。
RCEPもTPPも必ず実行に移され、否が応にも清も濁も併せ呑みながら急速に発展していくことは間違いないでしょう。
そして、日本の翻訳業界の出番が増えていくことになります。
かつての米ソ冷戦の陰で“漁夫の利”を得ながら、しっかりと経済成長を遂げた“したたかな国”日本の再来を静かに待ち望んでいます。