ヨーロッパ言語とGoogle翻訳(その4)

それでは続いて、南スラヴ語群に属するブルガリア語、セルビア語、クロアチア語、スロベニア語をGoogle翻訳してみます。

南スラヴ語群
<ブルガリア語 原文①>
Обичам класическа музика.
(人間訳)
私はクラシック音楽が好きです。
(Google訳 日本語)
私はクラシック音楽が大好きです。
(Google訳 英語)
I love classical music.


<ブルガリア語 原文②>
Къде е тоалетната?
(人間訳)
トイレはどこですか?
(Google訳 日本語)
トイレはどこですか?
(Google訳 英語)
Where is the toilet?


<ブルガリア語 原文③>
Не мога да говоря Български.
(人間訳)
私はブルガリア語を話すことができません。
(Google訳 日本語)
私はブルガリア語を話すことができません。
(Google訳 英語)
I can not speak Bulgarian.

上記3つの例文は、どれもがシンプルな定形表現であるからかもしれませんが、話者の意図するところは伝わっていると思います。


<セルビア語 原文① ラテン文字の場合>
On je došao kući juče u dvanaest.
(人間訳)
彼は昨日家に12時に帰ってきました。
(Google訳 日本語)
彼は12で昨日帰ってきました。
(Google訳 英語)
He came home yesterday at twelve.

上記のセルビア語⇒日本語は「彼は昨日帰ってきた」ことはわかりますが、残念ながら「12で」が意味不明です。セルビア語⇒英語の方は、話者の意図は伝わるでしょう。


<セルビア語 原文② ラテン文字の場合>
Ovo je Japanac koji često dolazi kod mene.
(人間訳)
これは私の家によく来る日本人です。
(Google訳 日本語)
これは、多くの場合、私に来る日本人の男です。
(Google訳 英語)
This is a Japanese man who often comes to me.

これは男の写真を指さしながらの会話シーンなのでしょうか。セルビア語⇒日本語もセルビア語⇒英語もなんとか話者の意図するところは伝わるのではないでしょうか。


<セルビア語 原文③ ラテン文字の場合>
Piši kao što govoriš i čitaj kako je napisano.
(人間訳)
話すように書き、書いてある通りに読め。
(Google訳 日本語)
あなたが話すよう書いて、それが書かれていると読みます。
(Google訳 英語)
Write as you say and read how it is written.


<セルビア語 原文④ キリル文字の場合>
Пиши кao што говориш и читaј кaкo je нaписaнo.
(人間訳)
話すように書き、書いてある通りに読め。
(Google訳 日本語)
あなたが話すよう書いて、それが書かれていると読みます。
(Google訳 英語)
Write as you say and read how it is written.

セルビア語③と④のGoogle日本語訳は意味不明です。英語のほうも “as” にすべきが “how” になっていて、やはり使えないでしょう。
セルビアではキリル文字とラテン文字の両方が使われていて、それぞれのアルファベットが一対一で対応しています。そのため原文がキリル文字であってもラテン文字であってもGoogle翻訳の結果は当然のごとくまったく同じでした。


<クロアチア語 原文①>
On uvek govori japanski.
(人間訳)
彼はいつも日本語を話しています。
(Google訳 日本語)
彼はいつも日本語を話します。
(Google訳 英語)
He always speaks Japanese.


<クロアチア語 原文②>
Javite se obavezno, kad budete došli.
(人間訳)
到着したら必ず連絡してください。
(Google訳 日本語)
あなたが来たときに、必ずするレポート。
(Google訳 英語)
Be sure to come back when you come.

クロアチア語の①は、日本語も英語もきちんと訳されています。②の方は、日本語はかろうじて意味を類推できそうという意味では、英語よりはまだましと言えるでしょうか。


<スロベニア語 原文①>
Sem Japonec. (男性の場合) Sem Japonka. (女性の場合)
(人間訳)
私は日本人です。
(Google訳 日本語)
私は日本人です。 私は日本人女性です。
(Google訳 英語)
I am Japanese.  I’m Japanese.

スロベニア語⇒日本語の方は、わざわざ「日本人女性」と訳しているところに感心しました。英語の方は、”I am” と “I’m” で使い分けているところを笑ってしまいました。たまたまコーパスがそうなっていたのでしょうか。いずれにしても意味は正しく伝わっています。


<スロベニア語 原文②>
Izgubil sem dokumente.
(人間訳)
私は自分の書類を無くしてしまいました。
(Google訳 日本語)
私はマイドキュメントを失いました。
(Google訳 英語)
I lost the documents.

日本語のほうは、英語の ”document” の意味を知らない日本人にとっては、「???」となってしまうので、やはり問題ありでしょう。
英語のほうは、意味は伝わるのではないでしょうか。

(この項続く)