日本経済新聞の2009年2月14日の朝刊からデータを拾って、下記に表を作ってみました。
「2008年10月~12月期の実質国内総生産(GDP)は、前期比年率で10%前後のマイナスと、第一次石油危機以来約34年ぶりの大幅な落ち込みになる見通しとなった」とあります。輸出の落ち込みが突出していることが、この数字をみてもよくわかります。
さて、同じく日経新聞から拾ってきた数字をもとに下記に表を作成してみました。
上場企業の業種別の業績予想ですが、「電気機器」と「自動車・部品」が突出して悪いということが、この数字からもよくわかります。特にこの2つの業種だけで製造業売上合計の45%近くを占めていることもあり、製造業全体の業績を大きく悪化させています。またこの2業種の最終損益の赤字だけで3兆円をはるかに超えているわけですから、製造業全体の最終損益が赤字になっている理由もわかります。
日経新聞によると「4月~12月期で増益は鉱業と通信の二業種のみ。上場企業全体が最終赤字に転落したITバブル崩壊時の2002年3月期には、自動車や医薬品など8業種が増益だった」とあります。
長い間ハイテク技術日本の象徴であった電機産業、自動車産業は、また輸出の花形でもあり、貿易黒字の稼ぎ頭でもありました。その両方が今回極端に業績を悪化させています。このようなことが過去にあったでしょうか?
終戦直後を除けば、日本の花形産業である電機業界、自動車業界の全ての企業が同時にここまで極端な危機に直面したことは未だかつてなかったでしょう。あの第一時石油危機のときでさえ、電機業界のなかのコンピュータメーカーは、逆に特需に沸いたそうです。つまり企業の合理化で人員削減をした代わりにコンピュータ投資が国内外で積極的に行なわれたというわけです。
またそのときに日本の自動車業界は、原油価格の高騰という追い風により小型車の売上を伸ばし、現在の礎を築いたのです。
輸出の花形が瀕死の重症を負っているということは、われわれ翻訳業界にとっても大変由々しき問題です。
かつてのバブル崩壊の時は、まだ外国は景気が良かったため、輸出で稼ぐことができましたが、今回は国内も国外も経済を悪化させているため、本格的な景気回復までにはかなりの年月が必要でしょう。 私たち翻訳業界にも相当な覚悟が必要です。