(前項からの続き)
さて、この調査でわかったことは、全国の翻訳会社数は1991年に1,401社、1993年に1,763社、そして2005年に約2,000社であったということです。バブル崩壊後の2年間で362社増えた翻訳会社数が、その後の12年間でたったの240社程度しか増えていないということになります。
私が知っている範囲内だけでも、バブル期以降に大手翻訳会社や老舗の翻訳会社が20社近く倒産、廃業に追いやられています。そして逆に新しい翻訳会社が多数誕生しています。そういう意味では、スクラップ&ビルドの激しい業界と言えるのかもしれません。1993年から2005年の間に増えた翻訳会社数は240社程度であったとしても、実はプラス740社マイナス500社だったのかもしれません(これは推察の域を出ませんが・・・・。またここでは個人営業の翻訳者が”翻訳業の看板”を掲げてタウンページに掲載していれば全て”翻訳会社”としてカウントしてあります)。
もうひとつこの調査でわかったことは、この翻訳業界は急成長の時代を終え、すでに安定成長の時代に入っている、ということです。私の経営するジェスコーポレーションは1964年の設立ですので40年以上の歴史があります。また30年以上の歴史のある翻訳会社は世の中に多数存在します。「会社の寿命30年説」の根拠のひとつに「一つの商品の寿命はせいぜい30年が限度である」があります。この説が世に出てすでに20年以上が経過しているのですが、21世紀の日本社会ではあらゆる商品の寿命がより短くなってきている、という現状を考えあわせると、旧来型の翻訳市場は、もうとっくの昔に飽和状態になっていると言っても過言ではないでしょう。
それでは、その「旧来型の翻訳市場」と「新しい翻訳市場」の違いは何なのか?となりますが、それを語る前に「日本の翻訳市場の規模はどのくらいなのか?」を検証してみましょう。
(この項終わり)