ネットと放送、幅広く規制・総務省研究会中間報告

2007.6.20 NIKKEI NET

総務省の「通信・放送の総合的な法体系に関する研究会」(座長=一橋大学の堀部政男名誉教授)が19日、中間報告を公表した。高速インターネットやネット経由のテレビ視聴の普及で垣根が低くなる通信と放送の縦割りの事業規制を撤廃し競争を促す「情報通信法(仮称)」の制定を提言した。ネットや放送で情報を伝えるメディアを広範囲に規制対象にする案も盛り込んだ。

・・・・(記事の転載ここまで)

ネット上のニュースは情報量が圧倒的に少ないので、紙の「日経新聞」から情報を拾ってみました。

メディア規制は3分類

1.公然通信

ネット上で誰でも見ることができるコンテンツ
(ネット新聞、雑誌、個人のブログ、ホームページ、掲示板など)
→ 全員が守るべき「共通ルール」を作成

2.一般メディア

(CS放送)
→ 緩めの規制

3.特別メディア

(民法キー局、地方局)
→ 強い規制

という案を持っているそうです。

ネット上で「全員が守るべき共通ルールを作成」するのは、確かに何もしないよりはまだマシかもしれませんが、憲法21条で保障された「言論の自由」がある以上、現実問題として「モラル集」や「マナー集」のようなものを作る程度のことしかできないでしょう。

※(参考)日本国憲法 第21条
集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
2 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。

放送局から一般大衆へ一方的に情報を流す旧来の情報メディアに「規制」は有効だったのでしょうが、あらゆる情報が蜘蛛の巣状に世界を一瞬にして駆け巡るWebの世界に、行政の「規制」がどれだけの効果があるでしょうか。

中国政府が現在行っている、検索エンジンやWebsiteへの検閲と規制も、いずれ破綻するのは目に見えています。自然界の原理原則に逆行しているからです。もうこの流れはどんな「権力」を持ってしても止められません。

行政ができることとしたら、教育による啓蒙活動だけでしょう。Web上に流れている情報の大部分は、玉石混交の「石」だということをよく理解させる必要はあります。同時に「玉」を選り分ける方法を大衆とともに考えていくことも大事かもしれません。

また、警察が明らかに「悪い人間」を追跡・特定できるよう、追跡技術を早く確立して欲しいと思います。ただその場合でも「家宅捜索」のように裁判所の許可を得たのち行使するのは当然ですが。

それにしても、「総務省は2010年の通常国会に新法案を提出、2011年に施行したい考えだ」とあります。2011年といったら今から4年後ではないですか。のんびりとした話です。

4年後のネット社会は、現在とは激変しているでしょう。現在のわれわれの常識を超える何かが生まれていると思うからです。

これから、老人たちが額を寄せあって作成する「ネット規制」が4年後にどんな意味を持つというのでしょうか?無駄なことに税金を使わないでほしい、と言うのは少し言い過ぎでしょうか。