アイルランド(その1)

アイリッシュ・ウイスキー博物館

私たちはスコットランドのアイラ島を後にして次なる目的地、アイルランドのダブリンへ向かいました。

まずはダブリン市街地にあるアイリッシュ・ウイスキー博物館(Irish Whisky Museum)を訪ね、アイリッシュ・ウイスキーの歴史とその製法や特徴の説明を受けました。

Irish whisky Museum 入口

ウイスキーの発祥の地が、アイルランドなのかスコットランドなのかの論争はいまだ決着がついていないようですが、「ウイスキー」という言葉が最初に文献上に登場したのはアイルランドだったようです。

こんな感じで説明を受けました

かつてアイリッシュ・ウイスキーは、世界のウイスキー生産量の6割を占めるウイスキー大国だったのですが、戦争、ジャガイモ飢饉、政変、アメリカの禁酒法などに翻弄された結果、1980年代には、ミドルトン蒸溜所(The Old Midleton Distillery)とブッシュミルズ蒸溜所(Old Bushmills Distillery)の2つにまで激減してしまいました。

いくつかの部屋をまわって説明を受けました

しかし、その2つの蒸溜所が上質なウイスキー造りを続けたことにより、近年アイリッシュ・ウイスキーの評価が見直され、現在では世界的ブームとなっています。そのため、かつて操業を停止した蒸溜所が次々に復活をとげ、現在では18の蒸溜所が操業し、さらに16の蒸溜所が今後新たに操業を開始する予定になっています。

テイスティングルーム

アイリッシュ・ウイスキーが人気のワケ

アイリッシュ・ウイスキーの最大の特徴はシングルポットスティルにあります。シングルポットスティルとは、大型のポットスティル(単式蒸留器)で3回蒸溜する製造方法のことです。

スコッチ・ウイスキーの場合、モルト・ウイスキーであれば通常2回蒸溜しますが、アイリッシュ・ウイスキーの場合は3回の蒸溜にこだわります。なぜならば、原材料に大麦麦芽、未発芽の大麦、オート麦、小麦、ライ麦などを使用するため、大麦麦芽(モルト)のみの場合よりもクセが強くなるからです。

この時、グレーン・ウイスキーのように連続式蒸溜器を使わずにあくまでも単式蒸溜器を3回使うところにアイリッシュ・ウイスキーのこだわりがあります。なぜならばそれによって、よりまろやかでより心地よい酒質が造れるからです。

テイスティングの説明を受けています

もうひとつアイリッシュ・ウイスキーがスコッチ・ウイスキーと大きく異なる点にピート使用の有無があります。スコッチ・ウイスキーはアイラモルトに代表されるようにピート香を前面に押し出した商品もあり、大部分のブレンデッド・ウイスキーに大なり小なり、ピートを使ったモルトがブレンドされています。

その点、アイリッシュ・ウイスキーの場合はほとんどがノン・ピートのウイスキーです。この辺はスコッチ・ウイスキーを意識したアイルランドの戦略なのかもしれません。ただし、例外としてカネマラ(Connemara)があります。このカネマラだけはアイリッシュ・ウイスキーの中では異色の存在なのですが、ピーテッド・シングルモルトとして人気も上昇中です。

いよいよお待ちかねのテイスティングタイムです

3種類のウイスキーをテイスティングしました

お土産で日本に持ち帰ったミニボトルも含め9種類ほど試飲しましたが、なるほどアイリッシュ・ウイスキーはどれも飲み心地がまろやかで軽快という印象でした。正直今まではスコッチやバーボンにばかり目がいってましたが、これからはもう少しアイリッシュに目を向けてみようと思っています。

<次回へ続く>