遅い夏休みを利用して、大学時代の友人たちと3人でスコットランドのアイラ島とアイルランドのダブリンへ行きました。目的はもちろんウイスキーとギネスビールの本場を訪ねることです。
4年前にも3人でスコットランドのハイランド地方を訪ねたことがあるのですが、その時は聖地とも言えるアイラ島へ行くことができませんでした。
そのため今回のスコットランドの旅はアイラ島の蒸溜所だけを目的に向かいました。と言っても、東京⇒ロンドン⇒グラスゴー⇒アイラ島と3本の飛行機を乗り継ぐことになるので、やはりアイラは遠い場所です。
スコッチウイスキーの6つの地域
スコッチ・ウイスキーの生産地は、スペイサイド(Speyside)、ハイランド(Highland)、アイラ(Islay)、ローランド(Lowland)、キャンベルタウン(Campbeltown)、アイランド(Island)と言う6つの地域に区分けされています。そしてそれぞれの地域で、それぞれの特徴を活かしたウイスキーが造られています。
なかでもアイラのウイスキーは非常に個性的な特徴を持っています。潮風と独特なピート(Peat)の香りが造り出すスモーキーな味わいは実に強烈で「ヨード臭がする」とか「正露丸みたい」と敬遠する人も少なくありません。しかし、ひとたびその個性にはまってしまうと「やみつき」になってしまうほど、奥底に不思議な魅力を秘めています。
なぜアイラのウイスキーはそんなにも個性的なのでしょうか?
その答えはアイラ島の気候風土そのものにあります。アイラに木はほとんどなく島全体が草原と岩に覆われているのですが、その草が潮風にあたりながら、また大昔の地層内に含まれる海藻などが何億年もの時を経てピートと呼ばれる泥炭(でいたん)に変化していきます。
泥炭とは石炭になる前のドロ状の炭のことで、乾かせば暖房などの燃料としても使うことができます。そしてアイラは島の多くがそのピートで出来ているのです。
ウイスキーには大麦麦芽を水につけ発芽させ、その後乾燥させるという工程があるのですが、アイラではその乾燥工程においてピートを使い煙で燻します。
したがって、アイラモルトのあの強烈で個性的な香りと風味は、ピートによる乾燥工程により生み出されているというわけです。
アイラ島の9つの蒸溜所
アイラ島に9つある蒸溜所のすべてを訪問しました。
1. ボウモア(BOWMORE)
2. ブルックラディ(BRUICHLADDICH)
3. キルホーマン(KILCHOMAN)
4. アードナホー(ARDNAHOE)
5. ブナハーブン(BUNNAHABHAIN)
6. カリラ(CAOL ILA)
7. ラフロイグ(LAPHROAIG)
8. アードベッグ(ARDBEG)
9. ラガヴーリン(LAGAVULIN)
「9つの蒸溜所」と聞くと、「アイラ島の蒸溜所は8つでしょ?」と思う人もいるでしょうが、実は9つあるのです。今年の4月にオープンしたばかりの「アードナホー」という出来立てほやほやの蒸溜所も訪ねました。
<次回へ続く>