第67回 お酒の強さと飲み方について
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<質問>
本羅先生、こんにちは。
なんだかバタバタしているうちに、一年が終わります。
気が付いたら、忘年会に駆り出され、仕事納めをする前に、立て続けの飲み会で疲れきっています。
私、お酒の席は好きなのですが、あまり強くなくて、できれば気心知れた少人数で、ちびちび飲みたいタイプです。
大勢でワイワイ騒ぐのも楽しくて大好きなのですが、ついつい調子に乗って飲みすぎるのか、短時間でギブアップしてしまうのです。
そして、翌朝も辛いことに……。
本羅先生は、お酒が好きですか?
そして、強いですか?
弱いけど、お酒好きなら、私と同じタイプですね。
お酒が強い人って、本当に羨ましいです。
いくらでも、いつまでも、美味しそうに飲んでいて、ズルいなぁって思うこともあります。
本羅先生、私も、強い人と一緒に、長く楽しく、いっぱい飲みたいです。
年始の酒席に向けて、私みたいな、弱いけど酒好きなタイプに、何かアドバイスいただけませんか?
(東京都 K.M.)
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<回答>
忘年会シーズンを迎えて
K.M.さん、ご質問、ありがとうございます。本当に、私にとっても、今年は色々あったもので、あっという間に1年が過ぎた気がします。幸いにも(?)、今年の私は、忘年会には数えるほども参加しないので、のんびりと過ごしていますが、年末年始の休暇に入ると、そうも言っていられないでしょうね(苦笑)。とはいえ、新型コロナ禍も、これから再燃して第12波の襲来は確実です(図1)。
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図1.全国新型コロナウイルス感染症患者数の推移 |
●患者数は、2023年5月8日から2024年12月30日までの推計値。
●推計値は、「エムスリー株式会社 (M3, Inc.)」が独自に構築するデータベース「日本臨床実態調査(Japan Medical Data Survey, JAMDAS)」による。
参考)「新型コロナ・季節性インフルエンザ・RSウイルス リアルタイム流行・疫学情報」の
”新型コロナ”タブ https://moderna-epi-report.jp/ |
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そして、インフルエンザの流行も恐ろしい勢いで増えています。と言いますか、インフルエンザに関しては、昨年に比べて、子供たち(20歳未満)や社会で活動する人たち(20歳以上60歳未満)の感染者が、凄いことになっていますし、高齢者もかなりの数です(図2)。図示しませんが、過去10年で最も感染者数の増加する可能性があります。
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図2.年齢層別全国インフルエンザ患者数推移 |
●患者数は、2023年9月1日から2024年8月31日および同年9月1日から12月30日までの推計値。
●推計値は、「エムスリー株式会社 (M3, Inc.)」が独自に構築するデータベース「日本臨床実態調査(Japan Medical Data Survey, JAMDAS)」による、施設当たり週間総患者数。
参考)「新型コロナ・季節性インフルエンザ・RSウイルス リアルタイム流行・疫学情報」の
”季節性インフルエンザ”タブ https://moderna-epi-report.jp/ |
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まだまだ新型コロナ禍は終わりを見せませんが、ここ最近は、日本でも社会が活発化しました。当然ながら、世間で人の流れと密度が増すとともに呼吸器感染症が流行するのは、致し方ないでしょう。とはいえ、インフルエンザ患者数の増え方を見るに、何事か?!と驚かざるをえません。個人的には、今しばらく、盛り場での大騒ぎは控え目にしておこうかな、と思います(行かないとは言わない)。K.M.さんも、お気をつけください。
お酒と酵素の科学
さて、本題に入ります。K.M.さんからのご質問ですが、私はお酒が大好きです。まぁまぁ強いのではないかと自負しております。丈夫で性能の高い肝臓を標準装備してくれた親には感謝しかありません。だからといって、邪険に扱えば無残に壊れてしまいますし、大切に使えば一生ものです。もちろん、年と共に衰えを感じてもいますので(老化!)、酷使しすぎないよう、気を付けてはいます。
そんなわけで(?)、おそらく私は、K.M.さんからは「ズルい」と思われてしまうタイプでしょう。ただし、大騒ぎするより少人数の酒席が好み、という意味では、飲み方はK.M.さんと同じタイプですね。それはともかく、お酒の「好き/嫌い」は別にして、「飲める/飲めない」は、ある程度、遺伝的に決まっています。
以前、お話ししたように(本コラム第56回「嗜好品について」、第54回「麻酔について」)、酒精とも呼ばれる「お酒の主成分」であり、お酒の別名でもある「アルコール(alcohol)」は、化学的には「エチルアルコール(ethyl alcohol)」、あるいは「エタノール(ethanol)」が正式名称です(化学式:CH3-CH2-OH )。そして、「百薬の長」であると同時に「過ぎれば毒水」とも言われるように、生理学的には身体に良くない物質であることは間違いありません。ゆえに、身体の化学工場である肝臓で、化学反応により無害化する必要があります。
身体の化学反応には酵素(enzyme)が関与します。酵素は、タンパク質でできた触媒(catalyst)です。触媒とは、化学反応を制御する物質です。触媒自身は、化学反応の前後で変化せず、化学反応を早めたり、遅くしたりします。つまり、酵素は「反応速度」に影響して、普通なら進まない化学反応を起こし、あるいは普通なら一気に進んでしまう化学反応を遅らせて、普通とは異なる反応も誘導できます(ただし、一つの酵素が影響する化学反応は一種類だけです)。こうして、身体の化学反応、即ち生命活動は、酵素を使って上手く制御されているのです。
私たちが、肝臓でアルコールを無害化するには、2つの酵素が必要です。一つは「アルコール脱水素酵素(Alcohol Dehydrogenase, ADH)」、もう一つは「アルデヒド脱水素酵素(Aldehyde dehydrogenase, ALDH)」と言います。酵素が2つということは、アルコールを無害化するための化学反応も2種類です。より正確に言うと、二段階の化学反応になります(図3)。
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図3.アルコールの分解 |
●上図は、アルコール脱水素酵素(ADH)の反応。下図は、アルデヒド脱水素酵素(ALDH)の反応。
●下図の反応は、水(H2O)が水素原子(H-)とヒドロキシ基(hydroxy group, OH-)に分解されているように見えるが、厳密には、もう少し複雑な経過をたどって変化している。 |
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第一段階で、ADHがエタノールから水素分子(H2)を奪い、アセトアルデヒド(CH3-CHO)に変化させます。そして第二段階では、ALDHがアセトアルデヒドから水素原子(H)を奪い、ヒドロキシ基(OH-)を与えます。最終的に出来上がるものは、酢酸(CH3-COOH)です。つまり、私たちは、お酒を飲んで、肝臓でお酢を合成しているというわけです。と言っても、私たちの身体の中で「レバーのピクルス」ができるわけではありません。アルコールを無毒化した結果としての酢酸は、細胞の中でエネルギーとして代謝されますので、ご安心ください。
実は、ここで説明した2つの酵素は、お酒以外の解毒も含め、様々な生命活動に関わっています。生命の進化において、古くから保存されている酵素なのです。しかし「保存されている」とはいえ、生命進化の長い歴史の中で、突然変異を重ねてもいます。新型コロナウイルスのスパイクタンパク質ほど激しくはありませんが、タンパク質の変異という意味では同じことです。この2つの酵素も、複数の変異種があります(ヒトではADHで6種類、ALDHで19種類)。ただし、その変異(タンパク質の形が少し変わること)によって、性能が、より良くなるとは限りませんが。
あまり専門的な生化学の話になると、本来のテーマから逸れてしまいますね。「アルコールの分解」に絞って簡単にまとめます。まず、エタノールは「酔っぱらう」、アセトアルデヒドは「気持ち悪くなる(体内を傷つける)」という効果をもたらす物質です。そして、ADHとALDHの、それぞれに、化学反応が進みにくい(つまり、活性の低い)変異種があるとイメージしてください。
すると、そもそも「お酒が飲めない/飲むと体調が悪くなるタイプ」は、第一段階でADHの活性が低く(エタノールへの作用が弱い)、第二段階のALDHも活性が低い(アセトアルデヒドへの作用が弱い)と説明できます。逆に「いくらでも飲めるタイプ」は、2つとも活性が高いのです。そして「飲めるけど、すぐ赤くなる/二日酔いが酷いタイプ」は、ADHの活性は高いけど、ALDHの活性が低い人です。逆に、ADHの活性は低いけど、ALDHの活性が高い人もいますが、これは「少しの酒で長く酔える/酔いの抜けにくいタイプ」になります。先に説明した「酵素活性が2つとも低い人」は「飲めないタイプ」ですが、実は、活性が中ぐらいに変異した酵素もあります。このタイプは要注意で、なんと「気持ち悪さが、酔いで隠されてしまうタイプ(飲めるつもりタイプ)」なのです。以上、ざっくり5つのタイプを図4に示しました。
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図4. 2つの酵素活性と飲酒のタイプ |
●ADHはアルコール脱水素酵素。
●ALDHはアルデヒド脱水素酵素。
●図内の数字(%)は、日本人における、それぞれのタイプの割合を意味する。 |
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図4を見て、日本人の2人に1人が「飲める人」であることに、ビックリする読者も多いのではないでしょうか。これは、あくまで「遺伝子を持つ人」の割合で、実際の飲酒は、経験や学習、体調や気分、その他諸々の要因が総合されて決まる、個人差の大きい能力です。ある意味、スポーツなどと同じと考えてください。もちろんのこと、飲酒を競技のように礼賛するつもりはありません。繰り返しになりますが、そもそも「過ぎれば毒水」で、身体に悪いことは確かなのです。ただし、酔うことは気持ち良いですし、心と身体の緊張を解きほぐします。加減をわきまえて嗜む分には、人生を潤すことでしょう。それが「百薬の長」の意味するところだと、私は理解しています。
飲み方と体への影響
翻って「毒水」の顔も見ておきましょう。「飲めるタイプ」は酔うために量が必要なので、飲みすぎによる肝臓の障害が出やすいです。同じ危険性は、量が少なくとも「飲めるつもりタイプ」で、さらに上がります。「赤くなるタイプ」は、アルコールの解毒作用が弱いわけなので、身体にかかる負担は大きいです。そして「酔いが覚めにくいタイプ」は、酔っ払い的なコスパは良さそうなのですが、どうやら、最も「アルコール依存症」になりやすいようです。
いずれにせよ「飲めるタイプ」でも、ものには限度があります。自分はどのタイプか、これまでを振り返って、意識しながら飲酒するのが良いでしょう。最近は、自分の遺伝子タイプを調べるサービスも民間にあるようです。ただ、私は、そこまで調べなくても良いように思います。飲み方しかり、肝臓のケアしかり、神経質になりすぎず、自分の酔い加減と飲み方を意識することが大切なのではないでしょうか。では、どのようなことを意識するのがよいか、K.M.さんのリクエストに応えて、「科学的な一般論」としての「お酒の飲み方」の解説に移りましょう。
まず「酔い」の本質はアルコールの全身麻酔効果にあり、その効果は「血中アルコール濃度」で決まります。したがって、ほどほどの血中濃度で維持できている間が、気持ち良い「ほろ酔い(tipsy, buzzed)」状態と言えます。そして血中濃度が高くなるにつれ、酩酊(drunkenness)から泥酔(wasted)に至ります。その果てが、昏睡(coma)まで進む、急性アルコール中毒(acute alcohol intoxication)です。怖いですね。
さて、血中アルコール濃度は、飲んだお酒が消化管粘膜(95%が小腸)から吸収されて上がり、主に肝臓で分解されて下がります。肝臓でのアルコール分解速度は、先に見たタイプと、その日の体調や気分次第で変わりますが、おおよそ一定です。であれば、血中アルコール濃度は、吸収速度で調節するのが簡単です。もちろん「一気飲み」のような野蛮な行為は論外として、口にする量と頻度を加減して、チビチビとグラスを傾ければ良いことになります。しかし、盃を重ねて味わうようにも飲みたいですよね。そこで、次の一手は「胃」に工夫します。
具体的には、胃の中で「アルコールの滞留時間を上げること」と「アルコール濃度を下げること」です。前者は、簡単に言えば「飲む前に食べ、食べながらも飲む」のが良いでしょう。つまり「お酒を空きっ腹に流し込まない」のです。オススメは、油分の多い食べ物。油脂が胃に入ると、反射的に幽門(胃の出口)が閉まります。実は、しっかり油脂を消化するには、ゆっくり小腸に流す必要があるのです。そのため、油脂の混ざった食品は、胃で内容物の滞留時間を増やすために便利です。とはいえ、揚げ物ばかりではカロリーが心配になりますし、「オナカがいっぱいになると、お酒が美味しくない」という人の気持ちも分かります。でしたら、ドレッシングにオイルを使ったサラダやチーズ、イタリアンならカルパッチョ、和食では揚げ豆腐の煮物や焼物、焼き鳥の皮などは、どうでしょう。油味がありつつ、ある程度はカロリーも抑えられるのではないでしょうか。私が自宅で好んで食べるのは、カリカリに焼いた鳥皮と、その油で炒めたモヤシや玉ねぎです(お財布にも優しい)。
後者の「濃度を下げる」には「水を飲むこと」が最善です。元々、アルコール度数の高い洋酒では、チェイサー(chaser)という「追いかけ水」を一緒に飲みます。というか、お酒をノドに通した後すぐ、まさに「お酒を追いかける」ように飲み、濃いアルコールで焼けた喉の粘膜を冷やします。これを、そこまで度数の高くないお酒でも行うのです。もちろん、追いかけるように水を流し込む必要はありません。お酒の隣に水のグラスを置いて、積極的に飲めば十分です。例えば、私は、お酒の味を楽しむために、口にする肴を変えるたび舌を洗う感覚で水を飲んだり、香りを楽しむために水を飲んで息を鼻から抜いたり、もします。普通の人は、そのように変な(?)飲み方をせずとも良いですが(笑)。
そもそも、アルコールを化学的に分解するには、図3で見たように、同じ数だけ体内の水分子を必要とします。飲みすぎた次の日、喉の渇きを経験された方も多いでしょう。その分を予め補うと考えてください。「そんなに水を飲んだらトイレが近くなるじゃないか?」と思われる読者もおられると思いますが、元々、アルコールには利尿作用があります。正確には、体内の「抗利尿ホルモン」を抑制するため、結果的に尿量が増えるのです。これも、一種の生理学的な解毒メカニズム(体外への毒の放出)と考えられます。いずれにせよ、より一層、体内の水分が減るわけですから、生理学的な脱水に備えて、積極的に水を飲んでおくことは、当日だけでなく翌日に残るだろうアルコールの弊害を弱めることに有効です。というわけで、
●ゆっくりと飲む。
●空きっ腹で飲まず、できれば酒の肴に油分を加える。
●一緒に水を飲む。
まずは、この3点を意識してみてください。
肝臓の健康と定期検査の重要性
飲み方を最善にしたとしても、身体の応答は、私達の理想通りとはいきません。ですから、定期的に身体の状態を検診することは、長く「百薬の長」の益を受けるために必須と言えます。「沈黙の臓器」と呼ばれる肝臓は、基本的に余力が大きく、ちょっとやそっとのダメージでは、私たちの意識に異常を感じさせるに至りません。逆に言えば、肝臓からの悲鳴が聞こえた頃には、かなりの重症という訳です。そうした、ガマン強い肝臓の「声無き微かな訴え」を察する手立てが、血液検査の「γ-GTP(注1)」「AST(注3)」「ALT(注4)」といった項目です。
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(注1) |
γ-GTP:
γ-グルタミルトランスペプチダーゼ(γ-glutamyl transpeptidase)の略称。”GGTP”とも略される。有機化学としての、より正確な名称は「γ-グルタミルトランスフェラーゼ(γ-glutamyltransferase,略称:γ-GT,GGT)」。体内における解毒作用に関わる幾つかの酵素(γ-グルタミルペプチド(注2))を代謝・再生産するために必要な「特定の酵素を分解する酵素」の一つ。広く全身に分布するが、肝臓においては、合成された多くは胆管の細胞膜で機能している。アルコールに対して敏速に合成(=遺伝子発現)することが知られている。細胞膜に結合して働く「膜タンパク質」であるため、通常は血中で検出されないが、細胞膜/細胞/組織が壊れると、血中に流れて、結果的に検出され、それらの異常を示唆する。こうした酵素は、臨床検査の用語で「逸脱酵素(deviation enzyme)」と呼ばれる。γ-GTPの検出濃度は、アルコールの負荷(血中濃度の高さ/期間/頻度)に対して敏感に応答するため、アルコール性肝障害の目安とされる。アルコール以外にも、ある種の薬物に誘導され、肝臓や胆道の炎症や癌化でも検出される。 |
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(注2) |
γ-グルタミルペプチド:
アミノ酸の「グルタミン酸(HOCO-CH(NH2)-CH2-CH2-COOH 」が、側鎖(アミノ酸を特徴づける官能基 / グルタミン酸では「-CH2-CH2-COOH 」)にある、γ位のカルボキシル基(-COOH )でアミド結合(-CO-NH-)したペプチドのこと。ペプチドとは、数個から十数個のアミノ酸が繋がっただけの小さなタンパク質を意味する。ちなみに、有機化学では「分子の中心と見なす炭素(C)」に結合する官能基や原子を「α位」と称し、アミノ酸のα位同士でアミド結合する場合はペプチド結合という。「γ位」はα位から数えて3番目の炭素に結合する官能基や原子を意味する。グルタミン酸の場合は「-CH(NH2)-」の「C」がα位で、側鎖「-CH2-CH2-COOH」の左からβ、γ、δと数え、カルボキシル基(-COOH )はγ位の炭素に結合している。 |
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(注3) |
AST:
アスパラギン酸アミノ基転移酵素(Aspartate transaminase)の略称。有機化学での、より正確な英語の名称は、”Aspartate Aminotransferase(略称:ART)”。臨床検査では、グルタミン酸オキサロ酢酸転移酵素(Glutamic Oxaloacetic Transaminase(略称:GOT))と呼ばれていたこともある。アミノ酸の「アスパラギン酸」と「グルタミン酸」を相互変換する酵素。肝細胞や心筋、骨格筋、赤血球の細胞内で機能している逸脱酵素(注1を参照)のため、それらの異常を検出するバイオマーカー(biomarker:生物学的指標)に利用される。ただし、肝障害が進み過ぎると(肝細胞が減り過ぎて)、むしろ数値は低下する。 |
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(注4) |
ALT:
アラニンアミノ基転移酵素(Alanine transaminase)の略称。有機化学での、より正確な英語の名称は、”Alanine Aminotransferase(略称は同じ)”。臨床検査では、グルタミン酸ピルビン酸転移酵素(Glutamic Pyruvic Transaminase(略称:GPT))と呼ばれていたこともある。アミノ酸の「ピルビン酸」と「グルタミン酸」を「アラニン」と相互変換する酵素。ほぼ全ての人体組織に含まれているが、特に、肝細胞での濃度が高い逸脱酵素(注1を参照)のため、肝臓の異常を検出するバイオマーカーに利用される。ただし、肝障害が進み過ぎると(肝細胞が減り過ぎて)、むしろ数値は低下する。 |
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各検査項目における検査数値の多寡については、検査した時の医師に、説明をよく聞いてください。そういえば、γ-GTPの数値を自慢げに誇ることは、酒飲みあるあるかもしれません。ただし、慢性的に高い値だと、本当に、再検査からの精密検査を指示されます。そして、あえなくドクターストップがかかるやもしれません。幸い、アルコールに敏感であるからこそ、少し節制すれば、すぐに改善する項目ではあります。飲み会続きで疲れているときは、もちろん無理をせず、調子良く楽しんでいるときでも、週に1~2日は休肝日を設けるのが無難でしょう。
健康的な飲酒ライフを目指して
体に悪いことを楽しむためには、常日頃から、健康でないといけませんよね。
清廉な方からは「矛盾している!」と怒られそうですが、そこのところは、昔から「無病息災」ならぬ「一病息災(注5)」という言葉もあるということで、お許し願えればと思います。K.M.さんも、ご自身のタイプや体調に合わせて、長く健やかな飲酒ライフをお過ごしくださいね。
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(注5) |
一病息災:
一つくらい持病を持っている方が、日常で身体に気を使うため、かえって長生きするのでは?という養生訓。 |
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